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事業完了報告

2025/01/10更新

事業概要

事業期間開始日 2023/05/18終了日 2024/02/29
対象地域主対象は沖縄、ただし全国・海外の子どもの参加も受け入れる
事業対象者

沖縄県内の吹奏楽および器楽演奏を行なっている7歳〜18歳の子どもたち。

事業対象者人数

対象としては、吹奏楽部・マーチングバンド部への所属に関わらず、県内で管打楽器に親しむ小中高生。


概算で3,350人
(算出根拠:沖縄県の吹奏楽連盟加盟小中高校が160校、各学校当たり20人の吹奏楽部員がいると仮定して、160×20 = 3,200人。 ただし、コロナ禍で部員は減少している可能性が大きい。更に、楽器を吹くが、吹奏楽部に所属していない子どもたちも一定数いることを想定し、その数として150人を加えた。)
なお、実態調査を通じて、県内の吹奏楽人口(マーチングバンド部の生徒も含む)をより正確に把握できるよう試みる。

事業概要

新型コロナにより、子どもたちの吹奏楽の体験と交流機会が減少した(課題①)。
当団体では、2022年に子どもたちへの音楽体験の提供を対面、オンライン双方で実施し、2023年も質の高い音楽体験を提供しようとしているが、地理的制約、対面での対応の制約、広報や子どもへのフォローの不十分さから、どんな子どもでも参加できる音楽体験の形が実現できていない(課題②~⑤、詳細は下記III. 参照)。


本事業では、オンラインでの合奏機会を(1) コンクール課題曲、(2) 海外でも有名な曲、(3) 沖縄の曲で提供することで、参加に制限を設けず(課題②、③、④の対策)、合奏参加募集の前に各楽器のオンライン交流・講習会を設けることで技術レベルに関係なく子どもたちが参加でき、交流することができる(課題⑤、①への対策)プラットフォーム構築を目指す。
更に、オンライン合奏サポートスタッフを設置することで、演奏技術や録画方法などに不安を持つ子どもが気軽に相談して不安を解消できるようにし、音楽編集者が音のミスを目立たないように編集する形で、更に参加への不安を除くようにする(課題⑤への対策)。


C→BRASSは音楽専門教育を受けた若手奏者の集まりで、本事業の交流・講習会、オンライン合奏、オンラインサポートの全てに参加することで、子どもたちがプロ奏者と直接交流する機会を持ち、音楽家への夢を膨らませる一助となることを目指す。ひいては、若手奏者にとっても活動の機会となり、音楽家が音楽家として生きていくことができる社会の醸成につなげる。


事業全体の概念図については、補足添付資料1を参照。

事業の総括およびその価値

上半期は吹奏楽コンクール課題曲のオンライン合奏動画動画制作と交流会、下半期は沖縄曲の公募と動画制作と交流会を中心に事業を行なった。延べ約270名の子どもに働きかけ、35本の動画を制作した。オンライン合奏動画は想定より多く初心者が応募し、技術レベルに関係なく子どもたちが参加できる取り組みになった。また、交流会や演奏サポートで関わった奏者は延べ130名で、子どもたちがプロ奏者が触れ合う機会を提供した。県内では活躍の場が限られている奏者にとっても貴重な機会となった。

課題設定、事業設計に関する振返り

事業の中で関わった吹奏楽部員や顧問の先生から、コロナ禍と時勢によって合奏の機会は縮小していることがわかった。具体的には、コロナ禍と少子化によって部活動の規模が縮小し、合奏できる人数にならない。NO部活動デーや部活動時間の短縮で合奏できるレベルに至らない、合奏のトレーニングができないなどの声があった。その観点から、今回の課題設定は吹奏楽を取り巻く実態と合致していたと評価でき、誰でもいつでも取り組めるオンライン合奏プラットフォームづくりは価値のある取り組みだったといえる。一方で、事業設計に関しては、学校と子どものスケジュール感が想定と異なっていたことから、盛り込みすぎのきらいがあった。そのため一部の取り組みを省略したり、別の取り組みに変えることがあった。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

11. 吹奏楽の演奏技術に関する自信の有無にかかわらず、子どもたちがオンライン合奏に参加する。
指標1 - 1. オンライン合奏の参加者数
目標値・目標状態1 - 1. 延べ100人
アウトカム:結果延べ69人
アウトカム:考察想定と異なるいくつかの要因によって、目標値に到達しなかったと考えている。 具体的には以下が挙げられる。 ・子どもの読譜力が想定より低かった ・子どもの忙しさが想定を上回っていたのに加え、部活動の時間がかなり短くなっていた。 ・学校行事と動画募集時期がバッティングした ・広報の方法を把握するのに時間がかかった
21. 吹奏楽の演奏技術に関する自信の有無にかかわらず、子どもたちがオンライン合奏に参加する。
指標1 - 2. 楽器初心者のオンライン合奏の参加者数
目標値・目標状態1 - 2. 延べ20人
アウトカム:結果延べ35人
アウトカム:考察「オンライン合奏って何だろう、面白そう」と積極的に思うのは、初心者や合奏経験が少ない子どもであった。また初心者を多く受け持つ先生が「オンライン合奏で何か新しい経験を積ませたい」と思って応募するケースが多かった。一方、いわゆる強豪校の先生は、イベントやコンクールに集中しており、オンライン合奏に興味を示さない方や「余裕がない」という答える方が多かった。
31. 吹奏楽の演奏技術に関する自信の有無にかかわらず、子どもたちがオンライン合奏に参加する。
指標1 - 3. オンライン合奏サポートに相談した子どもたちが実際にオンライン合奏に相談した割合
目標値・目標状態1 - 3. オンライン合奏サポートスタッフに相談した子どもの8割以上の参加。
アウトカム:結果オンライン合奏サポートスタッフに相談した子どもの10割が参加した(延べ39人)
アウトカム:考察企画概要に関する質問(例「同期なのか非同期なのか」「どのくらいの長さ演奏すればいいのか」)と、演奏上の不安に関する質問(例:「あまり上手にできないかもしれないが大丈夫か」)が多かった。オンライン合奏の全体像や参加方法を伝え、「上手に演奏することよりも参加することに意義がある」と丁寧に伝えたことで参加を決めた人が多かった。
42. 経済環境や音楽環境などの理由によるこれまでの合奏体験有無にかかわらず、子どもたちがオンライン合奏に参加する。
指標2 - 1. 吹奏楽部がなく(あるいは部活に参加できず)合奏ができない子どもが参加する。
目標値・目標状態2 - 1. 1人以上 ※どれだけの人数が参加したかではなく、取り残されかねない子どもを丁寧にフォローし、たとえ一人でも参加できることが、「どんな子でも参加できるプラットフォーム」として重要。
アウトカム:結果部活動に参加していない子ども2人が参加
アウトカム:考察2人の子どものうち1人は、興味があるものの合奏を行ったことがないためハードルを感じていたが、演奏上の難所がクリアできるようサポートしたり、気持ちの面での勇気づけを行うことで参加をしてくれた。 部活動に参加していないが楽器演奏をしている子どもは潜在的にはもっといるのかもしれないが、部活動の顧問の先生も把握していないためリーチがしづらく、SNSでの広報など働きかけ方に工夫の余地があると感じた。
52. 経済環境や音楽環境などの理由によるこれまでの合奏体験有無にかかわらず、子どもたちがオンライン合奏に参加する。
指標2 - 2. 録音録画機材(スマートフォンなど)を準備できない子どもが貸出機材によって、参加する。
目標値・目標状態2 - 2. 1人以上 ※どれだけの人数が参加したかではなく、取り残されかねない子どもを丁寧にフォローし、たとえ一人でも参加できることが、「どんな子でも参加できるプラットフォーム」として重要。
アウトカム:結果23名
アウトカム:考察スマートフォン等の撮影機材を持っていない人がいるのではないかと想定していたが、実際には機材を持ってない人は少なく、 ・スマートフォンは持ってはいるが演奏の撮影は不慣れ ・自宅で音を出せないため学校で撮りたいが、スマートフォンは使用禁止 という理由から撮影のサポートを希望する人が多かった。演奏の撮影をする場合どのような点に気をつけたらいいか伝える資料などを作成したらよいと感じた。
63. 交流・講習会やオンライン合奏参加者間での地理的制約を超えた交流が行われる。
指標本島北部・中部・南部および本島以外の離島からそれぞれ参加があること。
目標値・目標状態交流・講習会およにオンライン合奏毎に本島北部・中部・南部および本島以外の離島からそれぞれ1名以上参加があること。
アウトカム:結果本島各地域から参加があった。離島や県外、海外からの参加があった。
アウトカム:考察南部 33人(約 50%)中部 8人(約 12%)北部 15人(約 23%)離島 4人(約 6%)県外 8人(約 12%)海外 1人(約 2%)不明 2人(約 3%) だった。南部の割合が多い理由は、弊社の本拠地が那覇市であり、南部でのつながりが構築されていたことが挙げられる。一方、いわゆる強豪校があって吹奏楽部員の人口も多い中部は、想定に反して少ない割合にとどまった。理由は前述したイベントやコンクールに集中していたことが挙げられる。離島は宮古島の小学生、海外はバングラディシュの社会人だった。

アウトプット

11. オンライン交流・講習会を3回開催し、沖縄の子供たちが配信を通じて交流する機会を提供する。
指標オンライン交流・講習会を3回開催する。
目標値・目標状態3回開催できている(100%)
アウトカム:結果2回開催した (1回目:課題曲オンライン交流会、2回目:祈りの島(=沖縄曲)交流会)。※海外曲を扱わなかったたため、海外曲に関連した交流イベントは行わなかった)
アウトカム:考察6月18日にオンライン課題曲交流会と題した交流・講習会を1回開催した。参加者数は39名。感想フォームは11名が回答(回答率28%)し、高い満足度が示された(9人が大変満足した、2人が満足したと回答)。特に講習の内容が素晴らしく勉強になったという声が多く見られた。祈りの島交流会では、普段触れ合わない中学校2校(協力校、後述)、C→BRASS奏者が交流するとともに、作曲者が楽曲の着想を得た久高島からのライブ配信も交えて、楽曲への理解を深めた。
22. オンライン合奏への参加に不安を持つ子どもたちへのサポートの実施
指標2 - 1. オンライン合奏サポート講師の学校派遣数
目標値・目標状態2 - 1. 20校以上への派遣
アウトカム:結果9校17回(課題曲)、2校24回(沖縄曲、協力校)の演奏サポートを派遣した。
アウトカム:考察事業前半は9校に17回の演奏サポートを行った。一つ一つの演奏サポートには「不安が解消された」「子どものモチベーションが上がった」などの声が寄せられ、目的とした効果が出た。事業後半は難度の高い沖縄曲に対応するため安岡中学校と東風平中学校を協力校とし提携し、安岡中に7パート10回、東風平中に5パート14回の演奏サポートを行った。子どもからは「最初はできないと思っていたのに、だんだんできていく自分に驚いた」「練習するうちに曲自体を好きになることができた」などの声が寄せられた。
32. オンライン合奏への参加に不安を持つ子どもたちへのサポートの実施
指標2 - 2. オンライン合奏サポートへの相談人数
目標値・目標状態2 - 2. 20人以上
アウトカム:結果延べ39人の相談に対応した。
アウトカム:考察39人に対して演奏サポートを行なった。一つ一つの演奏サポートには「不安が解消された」「子どものモチベーションが上がった」などの声が寄せられ、目的とした効果が出た。
43. 2023年2月22日のこども参加型コンサートの選抜に外れてしまった子供たち(48名)をオンライン合奏に招く。
指標選抜に外れてしまった子どもへの連絡。
目標値・目標状態対象となる子どもたち全員への連絡(100%)
アウトカム:結果対象となる子どもたち全員に連絡を行った(100%)
アウトカム:考察対象となる子どもたち全員への連絡を行なった。48名の中で1名参加があった。参加が少なかった理由は、本人のモチベーションの問題、忙しさ、大人のサポート不足といった要因が考えられる。

活動

11. 沖縄県内の小中高生の吹奏楽実態の調査 (1) 吹奏楽人口の増減、演奏技術、吹奏楽環境の実態把握 コロナによる吹奏楽人口の減少は、2019年~2022年のコンクール出場校減少などに表れているが、実際の部員数の変化や、顧問が感じる吹奏楽環境の悪化などを把握する。沖縄県吹奏楽連盟・日本マーチングバンド協会沖縄支部に加盟する小中高校の中から可能な限り、主に面談・電話で聞き取りを行う。(子どもの現状に寄り添ったコンテンツを提供する前提であり、イベント広報も兼ねる。)
活動結果ほぼ計画通り
概要4月に行う予定で、事業スタートが5月18日からだったため、調査の実施を見送った。しかし、インタビューという形で吹奏楽部の活動の実態の把握を行なった。
22. 第1回オンライン合奏(吹奏楽コンクール課題曲) オンライン合奏第1弾は、基本的にどの学校、生徒も吹奏楽コンクールに向けて取り組む吹奏楽コンクール課題曲を取り上げる。(どの生徒もコンクールに向けて練習を重ねるので、オンライン合奏に参加するハードルが低い。そして各生徒の関心も高い。) (1) オンライン交流・講習会「課題曲作曲者オンライン座談会」 作曲者を招いたオンライン座談会及び各課題曲の各楽器向けオンライン講習を無料開催する(講師はC→BRASSの演奏家が担当)。課題曲の持つ音楽的な背景に触れ、競争だけでなく音楽的に楽しもうとする生徒の意欲を涵養でき、生徒同士も打ち解けられる講習を目指す。参加できなかった生徒向けに後日オンラインで録画を公開する。
活動結果計画通り
概要6月18日にオンライン課題曲交流会と題した交流・講習会を開催した。 3名の作曲者がオンライン参加、1名の作曲者が事前アンケートで協力し、課題曲作曲者全員が参加することになった。作曲者の日常や音楽への姿勢などが見えるクロストーク、課題曲の演奏場のポイントなどの講習、質疑応答を行なった。後日オンラインで録画を公開した。
3(2) 動画募集 課題曲の中から、各学校の選曲の傾向などを踏まえ1曲を選び、生徒からの演奏動画を募集する。吹奏楽環境が発展の余地がある少人数編成の学校などを対象に、木管、金管、打楽器の3人の奏者を派遣し、オンライン合奏に参加する自信を持ってもらうための支援を適宜行う。演奏技術に自信がない生徒にも、失敗しても編集段階で目立たなくできることなどを伝え、気軽に生き生きと参加してもらえるようにする。 【備考】 a. C→BRASSによる模範/基準演奏を公開し、それに併せて演奏を録画してもらう。 b. 録画機材を持たない沖縄県内の生徒のために、古くなった携帯電話を集めて録音機材として貸出を行い、どんな子どもでもオンラインで合奏・交流することに慣れや親しみを持つことができる場を目指す。
活動結果計画通り
概要課題曲の中から、各学校の選曲の傾向などを踏まえ1曲を選び、生徒からの演奏動画を募集した(7月から8月まで)。延べ69名の動画参加があった。要請に応じて9の小中高の39名を対象に演奏サポートを行った。 【備考】について、SNSやコミュニティで使わないスマホを募集したが、集まらなかった。なお、サポート窓口に「スマホがなくて困っている」といった相談は寄せられなかった。
4(3) 映像・音声編集 応募してきた動画を外注により編集する。編集内容については外注先と随時打ち合わせを重ねて最終成果品の質を高める。具体的には、映像の編集では、楽器ごとや学年ごとなど色々なフレーム割をすることで、視覚的に観ていて楽しめる内容にする。また、音声の編集は、音のミスや極端に外れた音程の部分を目立たなくし、仮に生徒たちの中で技術差があったとしても、まとまりのある演奏となるようにする。
活動結果計画通り
概要株式会社ワコーレコードに、編集、音声ミキシングを施した完成動画の制作を委託した。子どもの個性を生かしつつも、曲全体の聴こえ方のクオリティを保つというバランス感覚の優れた編集を行い、国内有数の吹奏楽専門のレコード業者として質の高い業務を行なった。沖縄県には吹奏楽を専門とする業者がいないため、今回の委託経験は弊社にとっても沖縄の音楽業界にとってもよい財産になったと捉えている。
5(4) 公開 C→BRASSのYouTubeチャンネル上で動画を公開する。なお、2022年度は、2022年吹奏楽コンクール課題曲を作曲者自身のご指揮の形でオンライン合奏を行ったが、上述の通り、期待していたよりは参加者が集まらず、視聴数も伸びなかった(チャンネル上では14万回再生の動画もある中で、この動画は8,500回程度)。アプローチを変えた今回がどう変わるかの検証も兼ねたい。
活動結果計画通り
概要「【みんなdeリモート大合奏!!】行進曲「煌めきの朝」【C→BRASS】」と題した動画を、10月13日にYouTubeで配信した。公開から事業終了までの約140日で、視聴回数は1,105回だった。過去のオンライン合奏動画の公開後140日の視聴回数9,566回と比べて少なく、十分な視聴回数ではないと評価している。 動画再生数を決める要因である初期インプレッションへのクリック率を上げる工夫が必要。
63. 他団体との連携(中間レポート共有) レポートでは、上記「Ⅲ.事業の背景・課題」で述べた課題③~⑥に対し、「沖縄県内の小中高生の吹奏楽実態の調査」なども踏まえて具体的にどういうアプローチを行ったか、それに対して結果(講習会及び動画公開直後の反響など)はどうであったかなどを主に報告する。
活動結果ほぼ計画通り
概要進捗報告書をベースにした中間レポートを共有予定だったが、連携会議等で事業を行う中での気づきや課題を共有する場があったため、他団体との必要な連携が行われていると判断し、レポートの作成・共有を省略した。その代わりに毎連携会議に出席し他団体との連携に努めた。
74. 第2回オンライン合奏(沖縄曲) 沖縄曲は新規に作曲する。また著名な奏者(金管・木管一人ずつ)に参加いただく予定(オンライン参加なので沖縄に招聘するよりコストが安く、スケジュール調整が容易)。 沖縄県内の離島、僻地に住む子供にも宣伝やオンライン支援を届けて、地理的要因による機会の不平等の改善を目指す。 (1) 海外参加者の募集 事業開始時点から、海外からの動画参加者集めを行う。第一歩として、C→BRASSが繋がりを持つ、インドネシアやドイツなどから演奏者を集めていく。例えばインドネシアでは駐在関係の邦人バンド、ドイツではミュンヘン市民バンドとつながりがあり、いずれも邦人・現地の子どもが参加している。沖縄とつながりが深いブラジルなどからも参加者を集められるよう、海外奏者参加の下準備を続けていく。
活動結果ほぼ計画通り
概要「沖縄をテーマとした新しい吹奏楽曲」の公募を行い、20作品の応募があった(9月10日締切)。9月22日に審査を行い、最優秀作品「祈りの島」(佐藤信人作曲)を選出した。 選出後、離島・僻地を含む沖縄県内の各地、海外の奏者に広報を行い、沖縄曲に取り組んでもらうように働きかけた。 オンライン合奏動画の制作を行わないことにしたため(理由は後述)、著名な奏者に呼びかけは行わなかった。
8(2) オンライン交流・講習会(沖縄曲) 作曲された沖縄曲の各楽器向けオンライン講習会を無料開催し、後日オンライン公開する。交流イベントでは、曲の意味・背景などから文化面での理解を深めてもらえるような企画とし、子供たちが吹奏楽を通じて沖縄音楽の継承、発展の主体となれることの意識を抱いてもらえるようにしたい。
活動結果計画通り
概要10月から12月まで、安岡中学校(那覇市)と東風平中学校(八重瀬町)の2校と協力し、沖縄曲に取り組んだ。C→BRASSを含めた3者合同の「祈りの島交流会」を12月28日に開催した。会場にリアルで交流をしつつ、配信機器を用いて久高島から中継を行い、オンラインならではの良さが伝わるよう工夫をした。参加者から「プロの音を聞きながら島の様子も見ることができて、とても豊かな体験だった」と好評だった。
9(2) 動画募集 沖縄県内を中心に、海外、及び県外から演奏動画を募集する。沖縄曲は、沖縄舞踊、琉球楽器の団体などとコラボレーションできるかを検討し、可能であればコラボレーションする。参加した子どもたちに、海外の人々や著名奏者との共演したということ、更にそれが沖縄内外の人々に視聴してもらえるということに達成感やわくわく感を持ってもらえる動画を目指す。 【備考】 a. C→BRASSによる模範/基準演奏を公開し、それに併せて演奏を録画してもらう。 b. 録画機材を持たない沖縄県内の生徒のために、古くなった携帯電話を集めて録音機材として貸出を行い、どんな子どもでもオンラインで合奏・交流することに慣れや親しみを持つことができる場を目指す。
活動結果ほぼ計画通り
概要10月から12月初旬にかけて、県内・県外・海外に沖縄曲の動画募集を呼びかけた。 しかし、以下の理由から応募が集まらなかった。 ・楽譜が複雑で子どもの読譜力を超えていた。 ・子どもの忙しさが想定を上回っていたのに加え、部活動の時間がかなり短くなっていた(冬季) ・学校行事と募集時期がバッティングした そのため動画募集と合奏動画の制作をやめ、レクチャー動画(詳細は後述)を制作する方針を切り替えた。
10(3) 映像・音声編集 応募してきた動画を外注により編集する。
活動結果計画通り
概要25本のレクチャー動画の制作を行なった。 ・各パートをプロの奏者が演奏し、「音のお手本」を提示 ・あえて速さをゆっくりにして、聴き取りやすく、かつ一緒に練習しやすくする といった点に工夫し、今後沖縄曲に県内の子どもを中心に誰でも挑戦し、オンライン合奏を行えるような足がかりを作った。
11(4) 公開 C→BRASSのYouTubeチャンネル上で動画を公開する。
活動結果計画通り
概要28本のレクチャー動画をC→BRASSの公式YouTube上で公開した(2/28)。 2/29時点での総再生回数は、536回だった。視聴した子どもからは「わかりやすくて参考になる」「難しい指づかいがアップで見れるので助かる」といった声が寄せられた。
125. オンライン合奏サポート 木管、金管、打楽器の3人の奏者を学校派遣し、オンライン合奏参加への自信をつける支援を行う(オンラインでの対応も含む)。また、オンライン合奏への参加に関する個別相談を随時実施する。
活動結果ほぼ計画通り
概要10月から12月にかけて協力校の安岡中学校と東風平中学校に金管、木管、打楽器の奏者を派遣した(安岡中学校:7パート10回、東風平中:5パート14回)。オンライン合奏のためのサポートだったが前述の理由からオンライン合奏は行わなかった。しかし、12月28日に行なった交流会で沖縄曲の合奏を行なったため、それに向けたサポートになった。
136. 他団体との連携(最終レポート共有) オンライン合奏の取組、結果をレポートにまとめる。今後のオンライン合奏文化の展望について、どうすれば単体のイベントではなく、自立・自律的なプラットフォームとして発展していけるかの道筋を検討する(子どもたち自ら曲を選び、基本音源を準備し、各地の子供たち・吹奏楽愛好者とオンライン合奏を自由にしていけるような形)。
活動結果ほぼ計画通り
概要資金配分団体(みらいファンド沖縄)へ事業報告書の提出を行った。他団体への共有は事業終了後に行う予定。
146. 他団体との連携(最終レポート共有) オンライン合奏の取組、結果をレポートにまとめる。今後のオンライン合奏文化の展望について、どうすれば単体のイベントではなく、自立・自律的なプラットフォームとして発展していけるかの道筋を検討する(子どもたち自ら曲を選び、基本音源を準備し、各地の子供たち・吹奏楽愛好者とオンライン合奏を自由にしていけるような形)。
活動結果ほぼ計画通り
概要資金配分団体(みらいファンド沖縄)へ事業報告書の提出を行った。他団体への共有は事業終了後に行う予定。

資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括

1取り組み

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

①部活動の活動希望・時間が、想像以上に縮小していた。伴って演奏に困難を感じる子どもが増えていたが、阻害要因は演奏技法よりも「楽譜が読めない」ことにあることがわかり、想定外の気づきだった。
②非同期合奏と同期合奏では求められる能力と得られる体験が異なる。非同期は個人の技量に向き合う体験ができ、同期合奏では周りと協調しながら演奏する体験ができる。
③小学校の吹奏楽クラブは演奏指導が行き届いておらず、かつ指導を求めている団体が多いことがわかった。背景に、クラブを保護者会が運営しており代表者が毎年変わることから、奏者とパイプがつながりづらいことがある。今回吹奏楽クラブがある全小学校に広報したため、必要としている子どもに指導が行き届くきっかけになった。
④作曲公募では全国から多くの作品が集まり、「若手作曲者の励みになる」と多数の反響が寄せられ注目される取り組みになった。
⑤吹奏楽に特化した音響業者は県内におらず、委託した県外業者から現場のノウハウをC→BRASS側で蓄積することができた。レクチャー動画では自団体で収録・編集を行うことができた。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

コロナ禍や時勢により減じた子どもたちの合奏体験・交流機会を、「どんな子どもでも参加できる」形で保障することにこだわった。事業で関わった子どもの多くが演奏に自信が持ていない状態からスタートしたが、事業を通して「自分もできるんだ」と自信が持てるようになり、積極的に音楽活動に取り組むようになった点は評価できる。一方で、合奏体験を十全に保障できたかといえば、前述の非同期と同期の体験の質の違い(非同期では「個人でよくできた」という喜びがあるが、「合奏をやった」という実感や喜びが同期合奏に比べて少ない))は考慮すべきと捉えていて、今後の課題である。
子どもがプロ奏者と交流する機会を創出したことで、音楽家という職業を身近に感じイメージしやすくなるきっかけになった。また、活動の機会が限られている若手奏者に貴重な機会をつくることができた。
今後は、本事業で明らかになった非同期オンライン配信の利点を活かした取り組みを、自走化できる形で行いたい。具体的には、身近にある撮影機材と自団体内の人材で、収録・編集をしたオンライン教材を公開し、子どもの音楽体験を支える取り組みと行ってみたいと考えている。

外部との連携実績

1活動連携会議への参加
実施内容琉球新報社・スタジオレゾナンス事業共同体の主催で行われた連携会議に毎月参加した。
結果・成果・影響等取り組みを行う中での気づきや悩み事の共有をすることで、その後の事業を円滑に進めるきっかけを得ることができた。
2活動円卓会議への参加
実施内容12月17日に子どもの体験保障を考える円卓会議に論点提供者として参加した(主催:一般社団法人 C-BRASS ウインドオーケストラ 協力:公益財団法人みらいファンド沖縄、NPO 法人まちなか研究所わくわく)。その中で、本事業の取り組みを発表した。
結果・成果・影響等行政・学識・メディア等、多様な見地を有するメンバーから、課題に対するアイデアを得ることができた。

広報実績

シンボルマークの活用状況 あり
内容

・オンライン交流会チラシ
・課題曲基準動画
・作曲コンペ広報物

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・作曲コンペ新聞掲載(琉球新報)
・課題曲オンライン交流会新聞掲載(琉球新報)

広報制作物等なし
報告書等なし
イベント開催等

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更があり報告済み
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますか

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部通報規程を整備し、施行している。
ヘルプライン窓口の設置、通報者等への不利益処分の禁止の条項を規程に含めている。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

事業終了後、会計監査を内部で行いました。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

コロナ禍の影響から脱しつつあるが、吹奏楽にかかわる子どもを取り巻く環境は縮小傾向にある。特に少子化から単独の学校単位での合奏が難しくなると予想される。その対策の一つとしてオンライン合奏が選択肢に上がる可能性があるが、非同期ではなく同期合奏が求められると予測している。同期オンライン合奏をだれでも手軽に行える技術インフラが整っていないため、非同期でできる取り組みを進めつつ、同期合奏の可能性は探っていく必要がある。
また、子どもが楽しんで音楽活動を行うために、読譜力が重要であることがわかったが、なぜ読譜力が低下しているかの調査はまだ十分に行なえていない。現在音楽教師や吹奏楽部顧問から聞き取りを行なっており、対応していきたい。