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休眠預金活用事業
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事業完了報告

2025/03/24更新

事業概要

事業期間開始日 2024/07/22終了日 2025/02/28
対象地域埼玉県南部およびその近辺の地域
事業対象者

クルド難民の子ども若者と家族
ウクライナ難民の子ども若者と家族、単身高齢者等
ひとり親世帯など困窮リスクの高い子ども若者と家族
来日直後など日本語の未習熟により就園・就学・就労に困難を抱える子ども若者と家族(必ずしも上記の属性にある方に限らず、柔軟に対応する)

事業対象者人数

クルド難民背景:100人
ウクライナ難民背景:30人
困窮リスク世帯:20人
その他の海外ルーツ者:50人

事業概要

埼玉県南部地域(蕨市)に拠点を構え、同市およびその近隣地域に暮らす難民背景や困窮リスクを抱える海外ルーツの子ども若者とその家族に、学びとつながりのための場を提供する事業。なお、近隣地域である戸田市・足立区にはウクライナ避難者コミュニティが、川口市にはクルド難民コミュニティと中国出身者集住団地があり、本事業の拠点から半径2km程度に集中しているため、学習者の自力通室に加え自動車による送迎を行うことで、当該集住地域において誰も取り残さない支援を実現する。
具体的には、日中の就学支援クラス、夕方(放課後時間帯)の日本語学習支援クラスに加え、オンラインや対面アウトリーチ型による遠隔地の学習者を対象とした個別日本語レッスンを実施する。また、拠点内にはコミュニティスペース(居場所)を設置し、子ども若者や保護者がそれぞれ安心とエンパワメントを獲得するための場として活用してもらう。
行政の支援が追いつかず、NPO等民間の海外ルーツの子ども専門支援団体も不在の地域において、本事業による日本語教育を中心とした学習機会の保障と、コミュニティスペースを通じたつながりの創出を通じ、難民背景のある方を含む海外にルーツをもつ子ども若者やその家族が、自信をもって自らの可能性を拡げられる地域社会づくりを実現することが本事業の目的である。本事業の受益者が、自分の育った地域で自らの可能性を活かして自己実現と社会貢献を成し遂げることができれば、結果としてそれが本人はもとより地域社会の構成員たる我々すべてにとっての幸福にもつながると考えている。今後さらに、外国人支援団体やその他NPO、行政、企業、個人ボランティアなど多様なステークホルダーへと共生社会実現のための協働の輪を広げるべく、本事業を通してその基盤を固める。

事業の総括およびその価値

事業では、埼玉県南部・東京都足立区およびオンラインにおいて、難民申請者のクルド人家族やウクライナ避難者など延べ40人の子どもに日本語や教科学習支援、延べ43人の保護者や大人に日本語学習支援を実施した。
また、埼玉県川口市においては延べ100人に対し居場所の提供や教育相談・行政相談支援などを提供した。また、法人基盤の強化として、財務管理の透明性向上や規程類の整備を進め、より安定した運営体制を構築した。これらにより、いま緊急に必要な支援ニーズに応えつつ、支援の持続性を確保するための体制を構築した。

課題設定、事業設計に関する振返り

本事業では、外国にルーツを持つ子どもや困窮する家庭への支援を実施したが、対象者の在留資格や経済状況の多様化により、課題の特定が難しかった。特に、仮放免状態のクルド人やウクライナ避難者など、支援ニーズが急増する一方で、社会状況や法制度の変化による影響が大きく、長期的な支援計画の策定が困難だった。また、支援の実施地域による行政対応の差が大きく、埼玉県では支援が十分に行き届かない状況も課題として浮かび上がった。事業設計においては、これまで当法人が得意としてきた日本語教育に加え、就学・就労にかかる相談支援や居場所提供などの新たな試みを行い、その事業化への可能性を模索した。さらに、支援の継続性を確保するため、法人基盤の強化や資金調達の多様化を進めた。今後は、より精度の高い課題分析を行い、行政・企業・市民と連携した持続可能な支援体制の構築を目指す必要があると考えている。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1〈学習機会確保〉 埼玉県南部およびその近辺の地域において、難民背景や困窮リスクのある子ども若者やその家族の学習機会が継続的に確保されている状態
指標継続参加している学習者数
目標値・目標状態継続参加者 100名以上
アウトカム:結果計画より遅れている
アウトカム:考察目標値を下回った背景には、講師の人材確保に時間を要したことが1つの要因として挙げられる。特に「わらび」拠点の講師については、平日の午前または夕方に授業を行うこと、また年度の途中(秋頃)に採用を行ったことから、教授力を一定程度備えた講師の応募を十分に得ることが困難だった。そのため、受講希望者に1ヶ月ほど入会を待機してもらうケースも出てきた。 一方、在留資格や経済状態が不安定な学習者、遠方で移動手段が限られる学習者等は、継続的な参加が困難になるケースも散見された。今後は、生活や法的なサポートも行い、より多くの子どもが参加できる体制を整えることが課題となる。
2〈日本語力・教科学力の向上〉 参加者の日本語力・学力の向上が見られている状態
指標「対話型アセスメントDLA」または「愛知県プレスクール実施マニュアル 語彙調査」を簡易にしたもの等 使用テキストの進度と理解度 中学・高校の定期試験成績 検定試験・入学試験等の合格者数
目標値・目標状態8割の学習者に日本語力・教科学力の向上が見られた 8割の学習者が検定試験・入学試験に合格した
アウトカム:結果計画より進んでいる/計画どおり進んでいる
アウトカム:考察就労支援クラス(成人)においては、テキスト『いろどり入門編』を用いて順調に授業を進め、継続的な参加をしていた学習者は各自のペースで学習内容について確実に理解を深めていったことから日本語力の向上が実現できたと捉えられる。JLPT-N5に合格した学習者も複数名いた。 就学支援・放課後日本語クラス(子ども)においては、継続的に通室できる子どもと断続的な通室の子とで分かれたが、継続的に通ってきている子どもについては着実に日本語や学習教科への理解が深まってきていることを、担当講師の記録から読み取ることができる。 オンラインクラスの学習者については、高校受験の第一志望校に合格し、公立校への進学を決めた。
3〈自信・学習意欲の向上、学習習慣の定着〉 入学・進学・進級・就労など次のステップに進むにあたり、やっていけるという自信が向上している状態。また、学習意欲が向上している、学習習慣の定着が見られる状態
指標学習者へのアンケートによる自信・学習意欲・学習習慣の変化 支援者へのヒアリング、授業記録の分析による子どもの学習意欲・学習習慣の変化
目標値・目標状態学習意欲について8割の子どもがポジティブな変化が生じた アンケートや授業記録などにおける学習者の言動などから学習意欲・習慣の変化が見られた
アウトカム:結果計画より遅れている
アウトカム:考察学習者の約7割がポジティブな変化を示した。支援の中で、個々の学習進度に応じた指導や励ましを行い、成功体験を積ませることで自己効力感の向上を促した。アンケートや支援者のヒアリングでは、学習意欲が向上した子どもが多く見られたが、家庭の事情により不安を抱える学習者の継続支援が難しいケースもあった。 また、仮放免状態の子どもたちは将来への見通しが持ちにくく、学習意欲の維持に課題が残った。今後は、メンタルサポートやロールモデルとの交流機会を増やし、また将来への展望がイメージできるような体験機会の拡充などを通じて、より持続的な学習意欲の向上を図ることが必要である。
4〈社会とのつながり・相談先の確保〉 家庭や学校以外で同じ地域社会に生きる人との新しい出会いと継続的な交流の場が確保されている状態。また、困り事があったら話してみようという関係性が育まれている状態
指標継続的に利用している人の数 継続利用者へのヒアリング調査で、困り事などの相談をしたことがある人の数
目標値・目標状態継続利用者 100名以上 ヒアリング結果のうち相談をしたことがある人の割合が6割以上
アウトカム:結果計画より遅れている
アウトカム:考察アンケートの「相談をしたとき、その困りごとは解決しましたか。」という質問に対しては、8割が「いつも解決する」「しばしば解決する」を選択した。 学習支援の場を通じて信頼関係の構築を図るべく、コミュニティスペース利用時や学習時間中などの何気ない場面で、生活面の悩みや将来の不安についても話せる環境を整えた結果、一定の参加者から相談を受けることができた。しかし、言語の壁、家庭の事情などから気軽に相談することが難しい学習者もおり、支援の裾野を広げるための工夫が必要である。今後は、バイリンガルコーディネーターによる相談対応や民族コミュニティとの連携などを通じて相談を受けやすい体制整備をしたいと考えている。
5〈安心感・自尊感情の高まり〉 他人や身近な人からの差別的言動に対する恐怖・怒り・悲しみ等の感情を共有できる仲間がいることの安心感がある状態。また、自分のままでいられる、いたいと感じられている状態。
指標継続参加者・継続利用者へのヒアリング調査で、困り事などの相談をしたことがある人の数
目標値・目標状態ヒアリング結果のうち安心感や自尊感情の高まりを感じた人の割合が8割以上
アウトカム:結果計画より進んでいる/計画どおり進んでいる
アウトカム:考察アンケートにより「日本人とのコミュニケーションはとても難しく感じます。彼らがとても冷たく感じられるため、何かを尋ねたり話したりするのをためらってしまいます。もう少し親しみやすく、温かみのある態度を取ってもらえたらと思います」「(日本社会は)外国人に対する差別的な態度をなくすために取り組むべきです」といった声が聞かれた。 一方、「先生方はとても温かく、私たちを喜ばせるために最善を尽くしてくれています。そのことに感謝しています」「コースを受講している先生が大好きで、日本語の学習が上達したと感じています」といった声もあった。 差別的ではなく温かい日本人もいることを講師らが伝えられた証左と捉えている。
6〈持続可能な財源確保〉 本事業の助成終了後も事業継続ができるとともに、団体の持続可能な成長が見込める状態。
指標・認定NPOの要件を維持できている ・次年度の資金計画が立てられる ・次年度の事業計画が立てられる
目標値・目標状態・クラウドファンディング寄付者500名以上(認定NPOのPST絶対値要件5年分) ・次年度の資金及び事業の計画が策定され、公募されている助成事業への応募を完了している。
アウトカム:結果計画より進んでいる/計画どおり進んでいる
アウトカム:考察次年度から3か年の資金調達計画および事業計画を策定した。 助成事業への応募については、戦略的に見送り、収益事業と寄附金収入の成長を図るための施策に注力する考えである。 本事業においてマンスリーサポーター募集LPやリーフレット等を作成したこと、また様々なメディアからの取材を受けたことなどにより、26人のサポーター増員を実現し、継続的に新規加入者が増えていく体制を築くことができた。 本事業期間中に実施したクラウドファンディングにおいては、約700名から727万円を集めることができ、1回のクラウドファンディングでPST絶対値5年分の要件を充足することができた。
7〈ガバナンスの強化〉 公金を扱う社会的責任を十分果たしうる状態。
指標弁護士等専門家によるレビューの内容
目標値・目標状態新規作成及び修正を行った規程類が団体の実情に即しつつ、社会的責任を果たせると専門家から評価されている状態。
アウトカム:結果計画より進んでいる/計画どおり進んでいる
アウトカム:考察NPOに詳しい弁護士と契約し、規程類を策定。必要十分なガバナンスを備えているとの評価を受けた。 また、広く一般社会に向けて規程類をホームページ上で公開し、透明性を確保している。

アウトプット

1日本語・教科学習支援事業において、100名以上の学習者が継続参加している。
指標継続参加している学習者数 参加者実数 延べ参加者数
目標値・目標状態継続参加者 100名以上 参加者実数 200名以上 延べ参加者数 2,000名以上
アウトカム:結果計画より遅れている
アウトカム:考察継続参加者(期間中に3回以上参加) 75名 参加者実数 83名 延べ参加者数 1,165名 参加希望者は多く集まった一方で、十分な受け入れ体制を確保することに時間を要した。 見えてきたニーズに十分応えるため、講師・コーディネーター・ボランティアそれぞれの採用を強化し、受け入れ体制の整備・拡大に注力する必要がある。
2コミュニティスペースにおいて、100名以上が継続利用している。
指標継続利用しているコミュニティスペース利用者数 参加者実数 延べ参加者数
目標値・目標状態継続参加者 100名以上 参加者実数 200名以上 延べ参加者数 2,000名以上
アウトカム:結果計画より遅れている
アウトカム:考察継続参加者(期間中に3回以上参加) 26名 参加者実数 100名 延べ参加者数 253名 学習者の子どもたちが継続的に利用するケースを除いては、多くの場合が単発利用である。初回訪問時に学習ニーズの聴き取りなどをし、そのまま日本語・教科学習支援プログラム利用につながっていくケースが多く、継続的にコミュニティスペースだけを利用する方は稀である。それゆえ、継続参加者数は限定的となっている。一方、学習支援プログラムの休み時間に子ども同士が遊びを通じて交流する時にコミュニティスペースを毎日利用している(上記の人数カウントには含まれていない)。
3クラウドファンディングで目標額を達成する
指標・クラウドファンディングの寄付金額 ・寄付者数
目標値・目標状態寄付額 700万円以上 寄付者 700名以上
アウトカム:結果計画より進んでいる/計画どおり進んでいる
アウトカム:考察当初本事業の出口戦略として計画をしていたが、他事業でも資金調達の必要性が高まり、結果的には本事業費からは支出しない形を取りつつ、本事業及び他事業を含めてクラウドファンディング(9/20-10/31)を実施し、寄付額7,272,000円、寄付者723名を達成した。
4マンスリーサポーターの募集基盤が整い、サポーターが増えている
指標・マンスリーサポーターからの月あたり合計寄付額 ・サポーター数 ・マンスリーサポーター募集ツール(紙、LP)有無
目標値・目標状態・寄付額 20万円/月 ・サポーター数 100名 ・募集ツール(紙、LP)有り
アウトカム:結果計画より遅れている
アウトカム:考察事業開始時点 80,000円/月(35名) 事業終了時点 127,500円/月(57名)=22名増 上記クラウドファンディング期間中に行った自団体による発信やマスコミによる発信、マンスリーサポーター募集のLPやリーフレット等の施策により、計22名のマンスリーサポーター増を達成した。 目標値には及ばなかったが、「受け皿」としてのツールは概ね整い、着実に増加もしているため、そのペースを加速させるための発信施策への注力が今後必要になると考えている。

活動

1就学支援クラス(日中) 対象:不就学/不登校や不就園/不登園、夜間中学在学、学齢超過、未就労・進路未決定などの状態にある子ども若者(3歳〜20代)  内容:日本語ゼロ初級〜初中級程度の学習者には集中日本語レッスンを、日本語での学習が可能なレベルまで達している学習者には更に教科学習支援も合わせて行う。(少人数グループまたは個別の対応。同等のニーズをもつ学習者が揃った場合は多人数クラス形式を取る)
活動結果ほぼ計画通り
概要週5日、午前〜午後にかけて日本語の授業を実施。成人(子育て中の保護者ら)からの日本語学習ニーズが多く寄せられ、成人向け生活日本語クラスとJLPT対策クラスを開講した。 中学既卒者の個別日本語クラスも行った。 在留資格のない既卒者の高校入試出願可否について行政機関と交渉し、許可見込みを得た。外部連携団体のオンライン日本語クラスにリファーし、その補講を当団体で受け持つなど、支援の分担体制も整えた。
2放課後日本語クラス(平日夕方) 対象:就学・就園をしているが、日本語の力・教科学習の学力に不安がある子ども等 内容:概ね上記と同様。高校進学を目指す中学生には、埼玉県学力診断試験「北辰テスト」や、英検・漢検などの対策支援もあわせて行う。
活動結果計画通り
概要小・中学生が週4日通ってきて、初期日本語から教科学習や宿題までを丁寧に指導できる体制を整備した。 子どもたちにとって「いつでも行ける」常設型教室としての役割を果たせたと捉えている。 子どもと同じルーツをもつスタッフ2名が、子どもたちと母語で教科学習をする時間もあり、指導方法の多様化の可能性を見出すことができた。
3個別日本語レッスン オンライン/対面アウトリーチ(随時) 対象:本事業拠点まで通えない事情のある子ども若者や高齢者等 内容:成人には生活者向け教材(『いろどり』『まるごと』等)を用いた生活日本語習得を目指した個別レッスンを行う。日本語能力試験(JLPT)対策もニーズがあれば実施する。子どもに対しては、上記2つの活動と同等の内容を個別に実施する。
活動結果計画通り
概要埼玉県南部および東京都足立区のウクライナ避難者に対し、それぞれの事情に応じて、家庭訪問型・オンライン・教室対面型の3種の日本語レッスン機会を提供した。 また、オンラインでは非正規滞在者や困窮世帯の中学生の個別オンライン日本語・教科学習支援を行い、高校受験の合格まで導いたケースもあった。
4コミュニティスペース「いま」(日中) 対象:本事業対象者全員 内容:集ってくつろぐための「居間」であると同時に、「今」の幸せを大切にする(将来の心配は一旦脇に置いておいてエネルギーを蓄えたり人との関わりの喜びを再確認したりする)ための場所。雑談の中で困りごとを耳にしたらそれを「相談」と捉え、緊急に対応が必要なケースは法人内部で対応するか、連携先と協力・リファーするなどして、解決に向けた伴走を行う。
活動結果ほぼ計画通り
概要母親のレッスン中、幼児たちが遊びながらくつろぐスペースを提供。 放課後には、学習の前後にスペースを利用し、子ども同士や先生と仲良くなる機会とする例も多かった。 上述のとおり、同じルーツをもつ若いスタッフの存在が、子どもたちに、教室を単なる学習の場だけでない、母語で思うまま喋りながら遊べる場でもあるとの認識を与えることができた。 在留資格や進学に関する相談を受け、行政機関に同行するケースもあった。
5団体の基盤強化 (随時) 内容:本事業終了後の財源を確保するため、また竹の塚の新拠点のリノベーション費用・ランニングコストとして、新たに取得見込みの認定NPOの利点を活かし、クラウドファンディングを実施する。 また、持続可能な事業体制を構築するために、団体広報に注力し、マンスリーサポーター獲得のキャンペーンを12月に行う。広報用のDTP/WEBツールを作成する。
活動結果計画通り
概要マンスリーサポーターランディングページを作成。 マンスリーサポーター獲得のためのDTPツール(郵便振替払込取扱票つきの寄付チラシ、3つ折りリーフレット)も作成。 クルド難民のおかれた状況を伝えるオンラインイベントを実施し、多くの寄付者獲得につなげた。
6規程類整備 (随時) 内容:団体のガバナンスを強化するための規程類の整備を、弁護士の助言を得ながら行う。具体的には、経理規程、旅費規定、文書管理規程等の作成、及び既存の規程類(謝金規程、就業規則、パートタイム賃金規程、特定資産取扱規程、役員報酬規程)の見直しを行う。
活動結果計画通り
概要認定NPOや休眠預金活用事業に詳しい弁護士と契約締結。本プロジェクト上の目標と現在の団体の課題を洗い出した。 その後、現在の当法人の状況にあわせ、過不足ない規程類の整備を実現し、HP上の公開まで行った。

資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括

1取り組み

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

SNSを中心とした活動の様子の発信が、多くのフォロワー等の目に留まり、拡散された結果、マスメディアの取材を受けて、さらに認知が広がるという好循環があった。
本事業終了後の持続可能性を探る中で、民族コミュニティ団体との協働による日本語コースの設置とコミュニティ内からの資金調達を行い、次年度の新規事業に発展させることができた。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

在留資格のない仮放免状態の子どもに対しては、行政の不理解などもあり、小学校からの除籍や、夜間中学への入学拒否などが起きている。マスメディアの報道や弁護士会の声明などにより状況の改善は見られるが、十分ではない。
ネット上のヘイトスピーチが、対象とされる当事者のみならず行政をも萎縮させ、結果として子どもたちから学ぶ権利を奪うことに繋がってしまっている。
言葉・制度・心の「3つの壁」において、クルドの子どもたちをはじめとした海外にルーツをもつ子どもたちの教育への包摂には、まだそれぞれ課題が山積している。
日本語教室を開講して言葉の壁をこえる後押しをすることに留まらず、制度改変へのアプローチや、ヘイトスピーチなどの差別助長行為への対応と公正な社会に向かうための機運醸成等にも着手していきたい。

外部との連携実績

1活動就学就労支援クラス(日中)
実施内容民族コミュニティ団体 青少年自立援助センター クルド人支援団体
結果・成果・影響等助成によらず自主事業として日本語教室の継続実施が実現した。 初期日本語学習コースをオンラインで受講させてもらうことで、学習者の学習時間を大幅に長く確保できるようになった。 他の支援団体からのリファーを多く受けることで、地域内で支援の役割分担ができるようになってきた。
2活動個別日本語レッスン オンライン/対面アウトリーチ
実施内容ウクライナ避難者支援事業を自治体から受託して行う団体
結果・成果・影響等ウクライナ避難者コミュニティと繋いでもらい、定期的な日本語対面レッスンを実施できるようになった。
3活動規程類整備
実施内容社会貢献活動への支援を目的として組織された弁護士グループ
結果・成果・影響等特に認定NPOの運営や休眠預金活用事業に詳しい専門性の高い弁護士に依頼して基盤整備をすることができた。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・10/09 神奈川新聞「日本語学び尊厳守る」
・10/23 東京新聞「クルド人ヘイトが激化…「逃げ場所」を外国ルーツの子どもたちに」
・10/29 朝日新聞「外国ルーツの子に常設の日本語教室を」
・10/31 東京新聞「クルドの子どもたちにヘイトからの「逃げ場所」をつくりたい」

広報制作物等あり
内容

・本事業拠点「Mutluわらび」教室の広報チラシ
・マンスリーサポーター募集を目的としたランディングページ
・郵便振替による現金寄付募集を目的としたフライヤー
・マンスリーサポーター募集を目的とした3つ折りリーフレット

報告書等なし

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部通報規程を作成、施行した。
コンプライアンス担当理事または事務局長に対して、職員らが電話・メール・面談等の方法で通報を行うことができる体制が整った。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

コンプライアンス規程を作成、施行した。事務局人員を拡充し、出納・経理・人事労務等において不正が行われないよう相互に牽制できる体制を整備した。

団体の決算書類に対する会計監査はどのように実施しましたか。本事業の最終年度の状況を選択してください(実施予定の場合含む)実施予定はない
本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

今年度、新たに「認定」を取得したNPOとして、十分に透明性を確保し、説明責任を果たすための体制構築を、弁護士の伴走による規程類の整備を通じて実現することができたのは大きな成果だった。
途中で入職した事務局長が本助成事業にも関与し、その複雑な事務作業や連絡調整等を通じて、法人全体のバックオフィスの業務フローを短期間で整備することができた。
持続可能な資金調達源としてのマンスリーサポーターの獲得のための道筋が、様々なツールの作成により、はっきりと見えるようになった。
現場を動かすコーディネータースタッフが1つのチームとして役割分担をしながら事業を進める経験をしたことで、相互の個性を把握しながら補完し合い、より高次元の成果を創出できる力を獲得した。