事業完了報告
2024/08/27更新
事業概要
事業期間 | 開始日 2023/08/01 | 終了日 2024/02/29 |
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対象地域 | 埼玉県戸田市 | |
事業対象者 | 6歳から12歳程度まで | |
事業対象者人数 | 700名(1日の利用者数10名×月の開所日数12日×7ヶ月-準備対象期間、年末年始休業を除く=700名) | |
事業概要 | ①事業の目的:児童虐待の発生予防を行うことを本事業の目的とする。児童虐待の発生リスクは保護者の育児疲れが深刻化した際に高ま ると仮定している。 |
事業の総括およびその価値
事業実施を振り返り、宿泊を伴った子どもの預かりについてのニーズが高いことがわかった。事業計画当初には、保護者の子育て疲れに目を向け、宿泊を伴った子どもの預かりによって子育て疲れの緩和を目指していた。保護者に対するアンケート調査を行ったことで、子育て疲れに対するレスパイトケアの効果があったことは分かったが、想定になかった効果として、宿泊に対する経験が、子どもの成長にもつながっていたことが分かった。子ども自身の成長にも繋がることで、保護者が宿泊を伴って子どもを預けることに対する心理的ハードルを感じることなく預けることができるようになった。また、入浴や入眠などに関して子どもが成長することで、子育てに関する親の手が離れ、新たな子育て疲れを生む可能性を軽減することができていた。
課題設定、事業設計に関する振返り
当初想定していた課題設定として、宿泊を伴った子どもの預かりにより親の子育て疲れを解消し、児童虐待の発生を未然に予防することを課題として設定していた。想定していた課題の通り、子育て疲れの解消を求める親は多く、また、宿泊を伴って子どもを預かることで、その子育て疲れは確かに解消に向かっていた。しかし、宿泊を伴って子どもを預けたいというニーズが週末に集中しており、当初想定をしていた金曜日の夜〜土曜日にかけての預かりのニーズが発掘できなかった。金曜日は日中学校、もしくは学童に行っていることが多く、その夜からの預かりとなるとお泊まりの準備など、むしろ保護者の負担になってしまう可能性があると考え、送迎支援の展開なども行ったが、依然として金曜日の夜〜土曜日にかけての預かりのニーズは発掘することができなかった。
今回の事業実施で達成される状態
短期アウトカム
1 | 受益者(子ども):児童虐待の発生リスクの高い状態から脱却し、学習や経験/体験の機会の提供を受けることで社会との接点の入り口に触れる状態。 | |
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指標 | ①体験学習・学習支援の実施回数(子どもの利用人数) ②楽しいと思えるものに出会えるかどうか。 | |
目標値・目標状態 | ①実施回数50回 ②ヒアリング観察シート対象者の楽しいと思えた人数が75%を超えること | |
アウトカム:結果 | ①実施回数30回 ②楽しいと思えた人数が75%を超えた。 | |
アウトカム:考察 | ニーズの不足があったため、金曜日の開所がなかった。これにより、実施回数に不足があった。しかし、実施時における子どもの参加も多く、主体的な参加が見られた。実施時の子どもの様子を観察した職員によると、楽しいと思えている子どもの数が多いと考えられる。 | |
2 | 受益者(親):育児疲れを解消することで児童虐待の発生リスクの高い状態から脱却し、社会との接点の入り口に触れ、社会からの支援を当たり前に享受できる状態。 | |
指標 | ①育児に関して、頼れる拠点があるかどうか。 | |
目標値・目標状態 | ①「育児に関して頼れる拠点がある」と回答する割合が30%増加(利用開始時と事業終了時の比較で) | |
アウトカム:結果 | ①「育児に関して頼れる拠点がある」と回答する割合が約40%増加した。 | |
アウトカム:考察 | 実施の育児に関して頼れる拠点があるという回答が増加していた。学童や保育園だけでなく、宿泊を伴って預かることのできる拠点が身近にできたことで、頼れる拠点があるという回答が増加したものと思われる。 | |
3 | 団体:子どもへのアセスメントの実施で児童虐待のリスク評価を行い、虐待を未然に防ぐための知識をスタッフが身に付けている状態 | |
指標 | ①子どもへのアセスメントが実施されているか | |
目標値・目標状態 | ①アセスメントの実施数:100回 | |
アウトカム:結果 | ①アセスメントの実施回数が延べ24回 | |
アウトカム:考察 | 児童虐待の発生リスクが高ま っていると思われる子ども/家庭が多くなく、また、リピート利用者も多いことから、アセスメント実施回数が予定よりも少なくなった。 | |
4 | 社会:児童虐待が起きた際や虐待リスクのある家庭に対する地域との連携体制が構築され、地域全体で虐待対応や未然予防の取り組みができている状態 | |
指標 | ①地域との連携体制が構築されているか | |
目標値・目標状態 | ①新たな連携先の開拓:7団体 | |
アウトカム:結果 | ①新たな連携先が7団体 | |
アウトカム:考察 | 食事の提供を地域の飲食店にお願いするなど、協力を得ながら運営を行うことで、企業を含め、地域との連携体制を構築することができた。 | |
5 | 法定事業化を目指す上で必要となる社会的インパクトを測定する方針が立てられること | |
指標 | 事例(ケース)記録を貯めること | |
目標値・目標状態 | 記録延べ50人 | |
アウトカム:結果 | ①記録延べ20人 | |
アウトカム:考察 | 事例記録を貯めているが、人数が予定よりも少なくなった。 |
アウトプット
1 | 1:宿泊支援提供回数40泊(のべ) | |
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指標 | 業務記録からのカウント | |
目標値・目標状態 | 40泊 | |
アウトカム:結果 | 29泊 | |
アウトカム:考察 | 金曜日の利用ニーズがなく、想定より宿泊支援提供回数が少ない。しかし、毎週の土日の宿泊に関しては毎回定員となっていた。また、平日についても緊急的な利用希望があった。金曜日は学童を利用している児童が多く、宿泊に伴う荷物の準備など、保護者の負担が生じるため、ニーズがなかったものと考えられる。しかし、平日の緊急的な利用については、より子育て疲れが顕在化している家庭の利用が多く、対応可能な範囲での実施に留まったが、大きなニーズがあったように思う。 | |
2 | 2:学習支援提供回数40回(のべ) | |
指標 | 業務記録からのカウント | |
目標値・目標状態 | 40回 | |
アウトカム:結果 | 34回 | |
アウトカム:考察 | 金曜日の利用ニーズがなかったことで、金曜日に実施を予定していた学習支援が実施できず、計画より遅れが生じた。金曜日は学童を利用している児童が多く、宿泊に伴う荷物の準備など、保護者の負担が生じるため、ニーズがなかったものと考えられる。 | |
3 | 3:体験/経験機会提供40回(のべ) | |
指標 | 業務記録からのカウント | |
目標値・目標状態 | 40回 | |
アウトカム:結果 | 30回 | |
アウトカム:考察 | 金曜日の利用ニーズがなかったことで、金曜日に実施を予定していた体験/経験支援が実施できず、計画より遅れが生じた。金曜日は学童を利用している児童が多く、宿泊に伴う荷物の準備など、保護者の負担が生じるため、ニーズがなかったものと考えられる。 | |
4 | 4:預かり支援による保護者のレスパイトケア利用人数400人(のべ) | |
指標 | 業務記録からのカウント | |
目標値・目標状態 | 400人 | |
アウトカム:結果 | 414人 | |
アウトカム:考察 | 金曜日の利用ニーズがなかったことで、金曜日の宿泊支援の実施はなかったが、土曜日、日曜日のみであっても利用者数が多かったため、計画よりも進んでいた。金曜日は学童を利用している児童が多く、宿泊に伴う荷物の準備など、保護者の負担が生じるため、ニーズがなかったものと考えられる。しかし、土曜日、日曜日については、毎週定員に対して満員となるほどの予約があり、週末に限定をしても大きなニーズがあると考えられる。 | |
5 | 5:24年度以降の埼玉県戸田市受託事業化 | |
指標 | 24年度埼玉県戸田市基本方針計画への掲載 | |
目標値・目標状態 | 24年度埼玉県戸田市基本方針計画へ掲載される | |
アウトカム:結果 | 掲載されなかった | |
アウトカム:考察 | 市長プレゼンの機会などを獲得することはできたが、24年度の基本方針に掲載されることは難しく、現在も模索を進めている。利用した保護者の声などを適切に伝えていくことで、子育て支援の町としてイメージの強い戸田市においては、今度も受託事業化の可能性は大いにあり得ると考えられる。 |
活動
1 | 1:居場所での子どもの宿泊を伴う預かり支援 | |
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活動結果 | ほぼ計画通り | |
概要 | ほぼ計画通り実施をすることができた。ニーズの不足などから実施日数に不足はあったが、宿泊を伴う預かり支援について、ほぼ予定通り実施をできた。 | |
2 | 2:居場所での子どもに対する学習支援 | |
活動結果 | ほぼ計画通り | |
概要 | ほぼ計画通り実施をすることができた。ニーズの不足などから実施日数に不足はあったが、学習支援について、ほぼ予定通り実施をできた。 | |
3 | 3:居場所での子どもに対する体験/経験機会の提供 | |
活動結果 | ほぼ計画通り | |
概要 | ほぼ計画通り実施をすることができた。ニーズの不足などから実施日数に不足はあったが、体験/経験支援について、ほぼ予定通り実施をできた。 | |
4 | 4:居場所での子どもの預かり支援による保護者のレスパイトケア | |
活動結果 | 計画通り | |
概要 | 宿泊を伴った子どもの預かり支援により、保護者のレスパイトケアについて、実施をすることができ、成果も得ることができた。 | |
5 | 5:24年度以降の埼玉県戸田市受託事業化に向けた活動 | |
活動結果 | 遅延あり | |
概要 | 市長プレゼンの機会などを獲得することはできたが、24年度の基本方針に掲載されることは難しく、現在も模索を進めている。 |
資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括
1 | 取り組み |
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想定外のアウトカム、活動、波及効果など
想定外のアウトカムについて、当初計画時には、子育て世帯の親に目を向け、子育て疲れの緩和を行うことによって、児童虐待を未然に予防することを目的として掲げ、各アウトカムの設定をしていた。しかし、宿泊を伴った子どもの 預かり支援を行うことで、子ども自身の成長にも繋がるということがあった。実際に預かりを行った子どもたちは新型コロナウイルスの蔓延などにより、「お泊まり保育」や、友人宅での宿泊などを経ずに過ごしてきた子どもが多かった。今回の支援を通し、自宅以外で宿泊をすることで自分のことを自分でやるようになるなど、子ども自身の成長にもつながっていた。この成長は、親の二次的な子育て疲れの軽減に繋がることも想定できる。
波及効果としては、活動地域である戸田市長からの関心をいただき、プレゼンの機会をいただくこととなった。また、実施について多くのボランティア参加などをいただくこととなった。
事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動
課題を取り巻く変化 | 宿泊を伴った子どもの預かりを行うことにより、子育て疲れの緩和に繋がるということが、利用者(親)に実施したアンケート結果により明らかになった。 |
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外部との連携実績
1 | 活動 | 居場所での子どもの宿泊を伴う預かり支援 |
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実施内容 | 地域飲食店による食事提供 | |
結果・成果・影響等 | 食事提供を通して、地域企業との連携をすることにより、地域住民からの事業への理解に繋がった。また子ども達にとっても、栄養バランスの取れた食事をとる事となり、家庭からの評判もよかった。 | |
2 | 活動 | 居場所での子どもに対する体験/経験機会の提供 |
実施内容 | ボランティア/プロボノによるイベントなどの実施 | |
結果・成果・影響等 | 社内だけでは実施が難しいような理科実験や、イベントの実施を行うことができ、子供に対して、新しい体験/経験機会の提供をすることができていた。 |
広報実績
シンボルマークの活用状況 | あり | |
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内容 | 実施拠点の看板にマークの掲示を行った。購入した備品にシンボルマークのシールを掲示した。 | |
メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等) | なし | |
広報制作物等 | あり | |
内容 | チラシを作成した。 | |
報告書等 | あり | |
内容 | 活動報告書を作成した。 | |
イベント開催等 |
ガバナンス・コンプライアンス実績
規程類の整備状況
事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか | 完了 | |
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整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか | 全て公開 | |
変更があった規程類に関して報告しましたか | 変更はなかった | |
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますか |
ガバナンス・コンプライアンス体制
社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通り に開催されていますか | はい | |
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内部通報制度は整備されていますか | はい | |
内容 | JANPIA内部通報制度を活用した。 | |
利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか | はい | |
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたか | はい | |
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたか | はい | |
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む) | 外部監査および内部監査 | |
内容 | 外部専門家による外部監査、および内部の財務担当者による監査を実施した。 | |
本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますか | いいえ |
その他
本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など | 宿泊支援を行うことで、保護者の子育て疲れの軽減に取り組み、児童虐待の発生予防を行うことを目的としていた。実際に支援を行う中で、保護者の子育て疲れの度合いからして、リピートして利用することに対するニーズが高く、繰り返しの利用により、子育て疲れの軽減が一定見られたが、その間、子どもは平日は学校や学童、週末は宿泊と、家庭にいる時間が極端に短くなってしまっていた期間があった。保護者の子育て疲れと、子どもの心理的な安心感の確保の両立の難しさに直面した。今後は、より家庭に寄り添いつつ、子どもの心身の発達にも目を向けていく必要があると考えた。 |
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