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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/08/01終了日 2024/02/29
対象地域全国
事業対象者

仕事、金銭、住居、健康、障害、家族関係などの課題を抱え、相談できる人がおらず適切な社会資源につながれていない、18~39歳の若者。 具体的には ・適職が判らないまま何度も離転職をくりかえして経済的にも困窮し、働く自信も失っている【仕事】【金銭】 ・精神疾患の診断を受けているがお金と知識もなく適切な治療に繋がっていない【健康】【金銭】【障害】 特に、シェルター事業においては、家族との関係性が悪く実家を出たいが自信がなく就職困難で資金不足、親も仕事が不安定で子どもを支援する資金がなく、既存の有償の就労支援プログラム等が受けられず、地域内にシェルター等もない人など【住居】【仕事】【金銭】【家族関係】

事業対象者人数

①想定する延べ支援数 LINE相談友達 新規1500件 うち、登録だけではなく相談につながる件数1200名、具体的な支援機関につなげる件数800名 シェルター提供(2週間~3カ月)最大定員5名/月 ②想定する新規受益者数と述べ支援数の根拠 LINE新規件数 1ヶ月200人×6ヵ月(2023年9月~2024年2月)※昨年度実績より算出 シェルター利用者数 5人/月×6カ月(2023年9月~2024年2月) ③③新規受益者と既存受益者を区別する管理体制について 弊社の全受益者は電子カルテ(salesforce)にて管理している。本事業の新規受益者は別の管理システムを活用し、Salesforce上ではタグ付けを行い既存受益者と分別管理をする。

事業概要

〇事業内容
1.働くことや生きる事に困難を抱える若者を対象にしたLINE相談
2.制度の狭間におり、複合的な課題を抱え、家庭環境や住環境、精神状態から住居移転による効果が特に高いと判断される若者に向けたシェルター支援 
〇事業背景
 国が2021年に発表した調査では不登校の小中学生はおよそ24万5000人、過去最多となりました。また不就労やひきこもりの若者、自殺者も明らかに増加傾向にあります。ひきこもり等自立に困難を抱える若者はコロナ以前にも高止まりしており、社会の深刻な課題となっていましたが、長引くコロナ禍や物価高による不況が更に打撃を与え、支援が必要な若者の経済状況の悪化も明らかです。
 こうした社会背景と現実的な数値の悪化がありながら、昨年度新たに取りくんだLINE相談の中で出会った、日本全国からの若者たちは、そのほとんどが既存の制度や相談窓口にはつながっておらず、存在を知らない若者も多くいました。
LINEの限られたやりとりの中で、可能な限り適切な地域の支援機関につなぎましたが、相談支援が中途で終わってしまう事も多くありました。一方で、3カ月余りで地方を中心に700名を超える若者の登録があり、既存の窓口とは違う切り口でのアウトリーチの必要性を強く実感しました。
 そこで、今年度はLINE相談の幅を広げ、より多人数で多様な相談に対応できる管理システムを活用しながら、キャリアコンサルタント、看護師、精神保健福祉士、元当事者や教員など、弊社の多様なスタッフによる、若者を確実に必要な資源につなげるチーム支援を行います。
また、弊社の生活支援の経験を元に、横浜市にある生活寮とコミュニティを活用したシェルターを用意して、住居移転による効果が特に高いと判断される若者に対し、安心安全な住まい、人とのつながりと楽しさがある環境で心身を整え、集中的に就労準備性を高める場を提供します。

事業の総括およびその価値

LINE相談事業は7か月間の実施で、累計友達登録数は3234名、実相談人数1639名、繋ぎ・紹介件数は750名と目標を全て達成することができた。相談に対応していたのは普段対面での相談実務を行っている相談員だったが、LINE相談と対面の若者の課題の差や相談におけるノウハウの違い、また逆に共通する若者像と背景にある社会課題への気づきがあった。特に社会資源の地域格差、若者の情報へのアクセス・取捨選択能力の格差は強く感じ、そこに場と時間、相談目的を限定しない無料のLINE相談という媒体はとてもマッチしていた。男女比は圧倒的に女性、特に10代から20代前半に集中。全体的に日々の生活への不安や不満、適切な相談先がわからない人の相談が特に目立った。シェルター事業では想定よりも利用者が若年層(17~20)に集中し、包括的な支援を望む家庭にニーズがあると改めて感じた。

課題設定、事業設計に関する振返り

LINE相談に関しては、全て数値目標を達成することができた。LP広告からのCPAも平均600円台とかなり安く、効率的に多くの登録者を集めることができた。CPAの低さはLINEという媒体と対象者像がマッチしていたこと、ニーズに対し必要十分な情報があるキャッチーなLPデザイン、キーワードや地域を修正していった広告設定などがみ合って得られた結果だと考察している。一方で、LINE相談から対面や音声でのやりとりへの移行には困難が伴い、地域資源へのリファー、シェルター事業に繋げる事にはハードルの高さを感じた。最終的に実相談人数が1639名となったが、何度も日を置いて相談に来られる人であっても、面談や予約を取っての来所等は困難な人が多かった。LINE相談とリアルの社会資源の間を繋ぐ役割を持つ機能や人材の必要性を感じ、メタバースを活用したオンラインコミュニティの構築にも注力した。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1相談窓口や団体の活動の認知が向上し、支援に繋がった若者500名以上が、困難や生きづらさを抱えながらも、支援者や仲間と繋がっており、困難を出するための方針が経ち、居住地域で適切な支援機関と繋がっている
指標相談員・本人へのヒアリング
目標値・目標状態500
アウトカム:結果750名の若者に対し、適切な相談先や社会資源や制度を紹介する事ができたが、実際に繋がったかどうかはLINE相談の範囲内で把握することは困難であった
アウトカム:考察テキストだけで得られる情報や構築できる関係性に限界があり、多くの「繋ぎ・紹介」は適切な事業所のサイトや社会資源や制度の紹介に留まった。信頼できる繋ぎ先が全国にあり、更にリアルの場で資源に繋いでくれるサポーターの存在が、最終的には若者に必要になってくるということがLINE相談自体の課題として残る。ただ、LPには繋がれても情報を整理したり取捨選択することが困難な若者が多くいる事を発見する中で、一次相談窓口としてのLINE相談は、若者のセーフティネットとしての機能を大いに果たせると考えている。

アウトプット

11:仕事、金銭、住居、健康、障害、家族関係などの課題を抱えている若者の新規LINE友達登録者数増
指標LINE友達登録数
目標値・目標状態1500
アウトカム:結果最終的な登録者数は3234名、ブロック件数を含めても2300名を超え、想定を超える成果を得られた
アウトカム:考察LPに配置したキーワードやデザイン、広告設定が対象者像と噛み合った結果であると考える。特に「うつ」をキーワードに繋がる若者が多かった事は注目に値すると思われる。
22:上記若者の相談数増
指標LINEで相談が行われた登録者の数
目標値・目標状態1300
アウトカム:結果最終的な相談実人数は1639名。想定を超える成果を得られた。
アウトカム:考察上記と同様であるが、相談内容を変えて終結後も何度も相談してくるケースが、特に10代女性に目立っていた。場所や時間を問わないテキストでの相談に関するニーズの高さを感じる。
33:上記若者への適切な支援機関等の紹介数増
指標LINE登録者への支援機関紹介数
目標値・目標状態500
アウトカム:結果制度や資源の紹介が主ではあるが、最終的に750名の方に適切な支援機関を紹介することができた
アウトカム:考察最も多かった紹介先は地域若者サポートステーションで、175件。次が病院クリニックで68件、民間のポータルサイトが61件だった。全国にあるサポートステーションの需要の高さと認知度の低さが明らかになったと共に、地域ごとの資源格差や情報格差も明らかになったといえる。特に、障がい者でも10代でもない若者の「居場所」需要を強く感じた。
44:上記若者へのシェルター提供
指標シェルター提供人月
目標値・目標状態30(最大5人/月)
アウトカム:結果9月3名、10月4名、11月3名、12月3名、1月4名、2月5名と合計22名月で、全体では7割強の達成にとどまったが、2月は最大5名の登録者を確保することができた。
アウトカム:考察10代後半の若年層で、なんらかの事情で家族と一緒に過ごす事が難しい家庭への需要が高かったが、受け入れのリスクもあり、LINE相談からの移行は難しい事が多かった。社会福祉サービス申請にあたっての集中的な支援や具体的な就職活動サポートを求められることが多く、生活支援と合わせて情報を包括的に取得できるシェルター入居と組み合わせた支援は効果が高いと感じた。
55:上記若者、またそれ以外の若者のK2のオンラインコミュニティ(https://k2-doc.com/ K2クラブハウス)への登録者数増
指標K2クラブハウス登録者数
目標値・目標状態100
アウトカム:結果最終の新規登録者数は148名と目標を達成することができた
アウトカム:考察今年度からMetalifeを活用してのオンラインコミュニティの運用を開始したが、日常的に居場所として使用する事がなくとも、イベントごとに集客する事で新規登録を増やすことができた。相談の場を今後LINEからMetaLIfeに移行していくにあたり、場の構築が重要になってくると考えている。

活動

11:仕事、金銭、住居、健康、障害、家族関係などの課題を抱えている若者へのLINEによる1次相談
活動結果計画通り
概要相談者数は目標達成、支援先への紹介数も達成することができた。相談者の分析結果を見ると「悩みの相談先が欲しい」「安心できる居場所が欲しい」「趣味や興味あることを楽しめる場や仲間がほしい」等が合計で63%「食事やお金、住居のサポートが欲しい」は合計で24%だった事と比較すると、緊急性や困窮度が高い層よりも、そうではない層の方が目立っていた。
22:上記若者のうち、場面転換の必要性、緊急度が高いにも関わらず、公的な制度や民間の有償プログラムを利用できない若者への住まい・食事・就労支援を提供するシェルター運営
活動結果ほぼ計画通り
概要目標数には届かなかったが、想定外に若年層の子を持つ家庭への需要が明らかになった。最終的な入居者の平均が19歳で、高校生年齢である17歳も2名居た。緊急避難や生活保護家庭の引っ越し期間のサポート、通学支援や就職サポート、福祉サービス受給サポートなど支援内容は多岐に渡った。
33:寄付や貸与を活用した若者の居住支援制度の設立に向けたネットワークづくり
活動結果ほぼ計画通り
概要本事業で整備した生活寮を活用し、今後も一時的、短期的な生活支援を行えるよう、K2グループの家族会が運営する「一般財団法人若者自立就労支援協会」に成果を報告した上で支援を依頼した。今後財団内で認可された者については金銭的な負担無しで生活・就労の支援が受けられる様に調整している。また、シェルター事業の先駆者である「NPO法人サンカクシャ」へのヒアリングや事業所見学等も行った。
44:オンライン上でのコミュニティ形成による、相談後も継続する関係性や場の提供(K2クラブハウス)
活動結果計画通り
概要MetaLifeというサービスを活用し、オンラインコミュニティを開設、運営した。基本的には月に3~4回のイベントを実施しその都度集客、登録者を増やし最終的にはこのスペース内で相談やセミナーの予約が取れるようにしている。

資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括

1取り組み

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

・LINEの友達登録後、相談開始時に全員から取得した、性別、年代、相談目的、住居のデータに加え、10月末、12月末、2月末に任意で提出してもらったアンケートにより、数値的な分析ができた。
顕著な点を抽出すると、①男女比は7対3でで女性が多い ②ウェブ検索に次ぐ情報検索の手段として、Youtubeを上げる人が特に女性に多く、年代で言うと30代後半の方のyoutube活用率が高い ③広報を厚くした首都圏や分母の大きい大都市を除くと、北海道からの相談件数が目立つ ④「働きたいけどうまくいかない」という不就労を主訴とする人よりも「学校がしんどい」「毎日が楽しくない」「どことなく寂しさを感じる」という日々の不安や不満を主訴とする人が多いという点などがあった。
・LINE相談をする中で、全国にある障害の有無に関わらず「働く支援」を行うサポートステーションの重要性の高さと同時に認知度の低さを強く感じた。また働くにはまだ遠い層に向けた20代以上の若者の「居場所」のニーズの高さも感じられた。これらの結果を団体が運営しているサポートステーション事業、地域ユースプラザ事業にフィードバックすることができた。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

・若者を取り巻く環境は社会全体で格差が進んでいく中で、ますます厳しくなっていると感じている。同時に情報化社会の展開も指数関数的に速度を増しており、オンラインを活用したアウトリーチや相談の需要は今後も高まっていくと思われるが、セーフティネット的な役割を持つものと、具体的な「サービス」や「支援」に繋ぐためのものは機能として分けていく事が必要となるのではないか。その上で、オンラインであれば支援者がネットワークを通して全国的につながれる事には可能性を感じている。
・上述した属性的なデータに加え、本事業の中ででやりとりをしたテキストを分析することで、相談がうまく進むケースと進まないケース、ブロックや相談から離脱するケース等、それぞれのパターンに対する属性値を使った統計分析、相談の流れの分析(感情的にどう折り合いをつけていくのか、その際支援者がどの様に介入したのかといった事を大まかにとらえる、などが可能になると考えている。
・今後は分析結果を本体事業に活かすとともに、連絡ツールとしてのLINEの活用、オンラインとリアルの支援を繋ぐ場としてのメタバース上の相談機能を持つコミュニティ運営を本格化させていきたい。

外部との連携実績

1活動相談者の相互リファー
実施内容・NPO法人D×Pさんとは機密保持契約を結んだうえでSlackのチャンネルを開設し、具体的な対象者の相互リファーを実施した
結果・成果・影響等現場の相談員同士がすぐにコミュニケーションをとれる場を開設する事でスムーズなリファーが行う事ができた。次年度も継続する予定

広報実績

シンボルマークの活用状況 あり
内容

団体HP、備品購入したエアコン

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)なし
広報制作物等あり
内容

オンライン上でのイベントポスター

報告書等なし
イベント開催等

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますか

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部通報(ヘルプライン)規定を設けている

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

社労士、弁護士、会計事務所と相談し、新たな規定類を整備し、既存の規定類も修正、社内で共有した。(内部通報規定、文書管理規定、倫理規定、コンプライアンス規定、リスク管理規定、個人情報保護規定等)

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査および内部監査
内容

担当責任者→法人の会計責任者→会計事務所による監査

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

・女性の相談者が男性のおよそ3倍に上ったことは、各種支援につなげる一連の流れにおいて考慮に値すると言える。同時に、今回の事業において性別を意識した情報発信が特に行われていなかった事実を鑑みると、少なくともチャット相談においては、男性のペルソナに向けた要素を意識的に配置しない場合、性別の偏りが避けられない可能性が高いのではないか。
・当初ターゲットとして想定していなかった10代前半(14歳以下)の相談者も一定数存在しており、社会から孤立、少なくともその兆候が低年齢の頃から見られるということも分かった。
・事業全体を通して、オンラインアウトリーチという間口の広さと、それに伴うつながりの細さをどうフォローしていくかという課題が常にあった。信頼のおける第三者にオンライン上で相談することで解決の糸口が見える場合もあるが、相談支援だけではどうにもならないことが多く、チャット相談中に突如会話を打ち切られるケースも多々あり、ネットを活用して若者とのつながりを作るのであれば、初動で相手とのつながりを最大限太くしておくなど、受け皿の方向性を固めた上で適切な人員とシステムを選別する必要があると思われる