中間評価報告
2025/01/15更新
評価計画
中間評価 の目的:事業中間時点でみえてきた事業上の課題とそれを改善するために中間評価で確認したいこと
事業中間時点でみえてきた事業上の課題 | ・課題①:(資)実行団体独自のアウトリーチ手法により支援規模の拡大を試みているが、当初立てた仮説の妥当性の検証とそれに基づく手法の改善・開発の方向付けが必要。 |
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事業上の課題を改善するために中間評価で確認したいこと | ・確認①:(資)当初想定していた手法、ターゲット層の点検・検証に基づく新たなターゲット層や手法の可能性と、アウトリーチ手法の有効性を検証するためのデータ活用方法の再確認。 |
実施体制
1 | 内部/外部 | 外部 |
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評価担当分野 | 社会的インパクト評価(専門家) | |
氏名 | 新 藤健太 | |
団体・役職 | 日本社会事業大学 福祉援助学科 講師 | |
2 | 内部/外部 | 内部 |
評価担当分野 | 監督 | |
氏名 | 藤原航 | |
団体・役職 | ジャパ・プラットフォーム(JPF) 地域事業部長 | |
3 | 内部/外部 | 内部 |
評価担当分野 | 統括 | |
氏名 | 李ヘジン | |
団体・役職 | 日本国際交流センター(JCIE) チーフ・プログラム・オフィサー | |
4 | 内部/外部 | 内部 |
評価担当分野 | データ集計、整理、連絡・調整等 | |
氏名 | 金子佳南 小林里香 | |
団体・役職 | JCIE プログラム・オフィサー(休眠預金担当PO) JPF 地域事業部 休眠預金担当プログラム・オフィサー | |
5 | 内部/外部 | 内部 |
評価担当分野 | データ集計、整理 | |
氏名 | 金嘉恩(キム・ガウン) | |
団体・役職 | JCIE委嘱研究員 |
実施状況を把握・検証するために実施する調査
調査方法 | ①アウトカム測定用の調査票のデータの集計・分析、改善策の検討 |
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調査実施時期 | 2024年7月~11月 |
調査結果の検証方法 | ①フォーカスディスカッション:外部評価専門家及びJANPIA担当PO(2回)、ステークホルダー(5回)、資金分配団体事務局(3回) |
事業設計図の検証方法
検証方法 | ①外部評価専門家を交えたフォーカスディスカッション |
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実施時期 | 2024年11月初旬~中旬 |
事業計画書や資金計画書への反映実施時期 | 2024年11月 |
事業進捗の評価
アウトプットの実績
1 | アウトプット | 外国ルーツ住民を取り巻く課題の変化、支援現状などにかかわる調査結果を報告書・セミナーなどの形で発信し、ステークホルダーなどが情報を得ている。 |
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資金支援/非資金的支援 | 非資金的支援 | |
指標 | ・調査報告書の公表 ・調査結果関連イベントの開催数、参加者数 | |
中間評価時の値・状態 | ・1件 ・延べ1回、200名 | |
事後評価時の値・状態 | ・2件 ・延べ2回、500名 | |
現在の指標の達成状況 | 【在留外国人に関する意識調査の実施】 ・事務局の実施体制と調査を実施すること による効果を踏まえ、非資金的支援の活動は、資金および人的リソースを含め、よりアウトカムが実現しそうな上記環境整備の二つの軸に重点を置くこととして、本社会調査は実施しない方向で調整する。 | |
進捗状況 | 4その他 |
短期アウトカムにつながりそうな、活動直後にみられた受益者、対象者、関係団体等の変化(言動)があれば記載してください。
【非資金的支援】
・法テラス主催の勉強会は、法テラス側からお声がけいただき、在留外国人支援に関わる民間団体の活動に対する理解を深めることを目的に、資金分配団体がテーマ設定と構成を提案する形で実現に至った。実施後、入管庁の方から、入管庁でもアウトリーチを重要視しているが、現状十分に取り組むことができておらず、民間の力をどう借りるか、その糸口を模索しているところだったため、次回はアウトリーチに的を絞った意見交換を希望するなどの反響があった。(その後、11月26日にJCIEと入管庁の事務官レベルにおいて意見交換を実施した。11月29日には入管庁の管理職レベルと面談。12月5日には東京入管の方からJCIEとJPFにより詳しいヒアリングのために来訪。)法テラス で働く方の中からも、民間とつながる方法として、アウトリーチを活用したい、といった感想が寄せられた。それぞれの立場もあり、行政側の考えを早急に変えることは難しいが、民間側との対話を重ねることで、双方の意識が徐々に近づく素地は大いにある。
短期アウトカムの進捗状況
1 | アウトカムで捉える変化の主体 | |
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資金支援/非資金的支援 | 非資金的支援 | |
指標 | ①行政(政策実務家)と実行団体の間の認識の不一致 | |
中間評価時の値・状態 | 行政が実行団体との間の制度活用における認識の差があることに気が付き、理解する | |
事後評価時の値・状態 | 行政と実行団体との間の制度活用における認識のずれが生じる構造が明らかにされている。(改善が図れるようになる) | |
これまでの活動をとおして把握している変化・改善状況 | 法テラスの勉強会の事後アンケート結果から、「発信してもどれだけ確実に正確な情報が外国人の方々に届いているか…分からないところ」「日本で生活する外国人の在留資格が多様で様々な法的な制限がある中での支援は大変…」等の意見があり、一部行政 側からも制度活用や情報獲得の困難さといった面で、活動現場に従事する者に対する寄り添う声があった。公的機関とNPO等の民間がそれぞれの強みを生かして連携することの重要性が確認された。 | |
2 | アウトカムで捉える変化の主体 | |
資金支援/非資金的支援 | 非資金的支援 | |
指標 | ①外部照会件数 ②(参加者による意識変化) ③メディア掲載数 | |
中間評価時の値・状態 | ①1件以上 ②外国ルーツ住民の課題や取組みへの理解が高まったとの回答が5割以上を占める ③2件以上 | |
事後評価時の値・状態 | ①3件以上 ②外国ルーツ住民の課題や取組みへの理解が高まったとの回答が8割以上を占める ③5件以上 | |
これまでの活動をとおして把握している変化・改善状況 | ①0件 ②ー ③0件 |
短期アウトカムの状態の変化・改善に貢献した要因や事例
【資金的支援】受益者の規模拡大や状態改善への変化に貢献したと思われる要因は、各実行団体の報告から分析すると大きく3つに分かれる。一つは、ステークホルダーとの関係性構築が図られ、行政や社協、他の民間団体等との役割分担やニーズに基づいた支援が機能しはじめていること(IKUNO、シャンティ、移住連、名古屋)。二つ目は、各団体の外国ルーツ相談員/支援者の育成が着実に行われていること(移住連、シャンティ、IKUNO)、三つ目に、進捗の差はあるが、事業が動き出し多くの活動が軌道に乗り出していることにより、受益者との接点が増え、良質な支援を提供していることと相まって、多くの団体で受益者のニーズに応えることができているといった報告がみられた(全団体)。
一つ事例を挙げるとすると、シャンティ国際ボランティア会が活動する東京都豊島区では、地域住民からの要望を受け、2024年8月から豊島区役所に外国人相談窓口が設置されている。区役所の窓口では対応しきれないケースについては、シャンティのコーディネーターが中心となり、行政の窓口のそばで、通訳や法律相談などを行っている。ある日、保健所の紹介で区役所外国人相談窓口を訪れた相談者が、区役所では対応しきれない在留資格の問題を抱えていたケースが挙げられたが、その場で当該団体のコーディネーターがいたため、区役所担当者に代わりケースを聞き取り、法律相談の紹介という形でサポートを行うことができた。行政との連携によるアウトリーチと専門性を生かした課題解決ができたほか、実際のケースを通して行政連携の強化が期待できる事例である。
事前評価時には想定していなかった変化・影響
(1)外国人に関する法案の改定等(外国ルーツ住民を取り巻く環境の変化)
①入管難民法の改正案可決・成立:2024年6月14日、税金を滞納する等した場合に、外国籍住民の永住資格取消しを盛り込んだ入管難民法案が可決されたことを受け、90万人近くいる永住資格をもつ外国籍住民の日本での生活を不安定にさせる恐れがある。
②技能実習制度の廃止、育成就労制度:2024年6月14日、現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度として、育成就労制度を創設することで国会で可決・成立した。→各実行団体の相談現場を見学する限り、育成就労制度に関する直接的な相談はなかったが、技能実習から特定技能への変更に関する質問や、特定技能(2号)家族帯同による子どもの保育・進学の相談などが増えて居るように見受けられた。就労目的で来日した外国人労働者が、確実に日本での生活者・定住者として増えている状況は確実。支援の対象者数が急増している中で支援現場の財源も人的資源も増えない状況が続くことは、喫緊の課題である。
(2)極右、極左政党の出現(議席を獲得)
昨今、クルド人に関する偽情報や偽動画・写真の拡散など、地域的だが偏見をもとにした動きが活発になっている。また、中国人を対象とした差別的記事が『週刊現代』で発行される他、2024年9月18日に中国でおきた、日本人児童刺殺事件を受けて、対日・対中国人への偏見増長が懸念されている。関連性は確認できないが、10月末に日本では衆議院の解散総選挙があり、これまで日本ではあまり目にしなかった、極右・極左的な(外国人排斥と明確に公約に盛り込む)政党が出現したことは今後少なくとも、外国人との共生社会の実現のためには脅威になり得る。
(3)ワールドフレンズ天草との資金提供契約の中止
(4)実施体制の変化:JCIE執行理事毛受の退職により、当センターのメディア露出が多少の減少傾向にある。ただ一方で、チーフ・プログラム・オフィサーの李ヘジンに取材依頼等が入りコメントを出す記事がいくつか出ている。
事業進捗の評価
評価の視点 | 自己評価(価値判断)結果 |
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アウトカムが発現するための活動が適切に実施され、アウトプットは想定どおり積み上げられているか | 資金的支援については、各実行団体進捗の差はみられるが、活動が着実に行われ、適切なアウトプットとそれに伴うアウトカムの発現が見え始めている状況。非資金的支援については、総じて遅れは見られるものの、行政側/政策立案者との連携の突破口が見えてきたので、対話を重ね、連携を深め、双方目指す方向に向かって進めるよう邁進する。 |
アウトカム発現への貢献要因や阻害要因を把握し、事業改善につなげられているか | アウトカム発現の貢献要因としては、事務局に行政側とのパイプ役となる人物がいたことおよびその人物が今年度より定期的な省庁との勉強会に招かれる機会ができたことと考える。非資金的支援の遅延の阻害要因のひとつとして、実行団体の1団体が本事業から離脱することによる事務的負荷が想定以上に大きかったことがあげられる。 |
組織基盤強化や、事業活動が円滑に進むための環境づくりができているか。また事業終了後を見据え、活動が継続するための取り組みが進んでいるか | 事業終了後を見据えた団体の財源確保や持続化のた めの取組みについては、事業後半部分にて実行団体への聞き取りおよび連携会議を通して各団体の具体的な戦略を確認し、資金分配団体として関与できる部分を検討する。名古屋難民支援室においては、地域住民の難民に対する理解促進を踏まえて生協関係者にステークホルダーとして関わってもらっており、また他財団の資金を活用して新設したHPやSNSを通しての情報発信、様々な講演会や勉強会等を通じて、個人会員・寄付の増加を試みている。 |
事業の改善結果
事業の改善結果
項目 | 内容 |
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事業設計(ロジックモデル)の改善ポイント | 非資金的支援における社会調査(21緊急枠で実施したような、外国ルーツ住民を取り巻く課題の変化、外国ルーツ住民を対象とした支援制度や実施状況などにかかわる調査)の実施を見直す。他の非資金的支援に関わる活動に比重を置いた方が、短期アウトカムを出すうえで効果的であることが分かってきたため。 |
事業計画書の改善ポイント | 上記と関連して、非資金的支援の社会啓発・アドボカシー活動において、大規模な社会調査の実施を削除する。一方で、現状、行政側も当該分野に対して動きをみせているため、社会調査などでデータを示すといった手法より、行政が提供し始めたプログラムに対して、民間団体が関わり、予算や使い勝手等について実用的な提案するなどの関わり方がより効果的に機能すると考えられるため、そのような内容の修正をかける。 |
その他 | 九州地方の散在地域で活動しているワールドフレンズ天草が本事業の実行団体から外れることになり、その調整が必要になる。 |
事業で最も重視する指標・変化
一つは、本事業の主題にもある通り「アウトリーチ手法」の効果を測る指標とその変化を重視したい。昨今、行政側も民間支援団体や受益者へのアウトリーチや情報発信に力を入れ始めている中で、主に社会福祉分野で取り入れられてきた従来型の(支援側から赴くスタイルの)アウトリーチ手法が、様々な文化背景や言語面でハードルをもつ外国人に通用しない現状も明らかとなっており、当該分野へのアウトリーチ型支援に関して重要な手立てとなり得る。二つ目は、外部評価アドバイザーの指導のもと、受益者の変化を図るために設計・導入した共通指標と調査票が、外国ルーツ住民の相談支援に一定の成果を見出せるか、その妥当性が示せることにも力を入れたい。三つ目として、非資金的支援として掲げている、制度活用や頻繁に更新される制度・新システム等に関し、行政側と民間支援団体との意見交換や情報共有を推進し、官民の連携が強化されること。
広報に関する報告
シンボルマークの活用状況
自団体のウェブサイトで表示 広報制作物に表示 イベント実施時に表示 |
広報
メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等) | なし | |
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広報制作物等 | なし | |
報告書等 | あり | |
内容 | 第3回連携会議の実施(JCIEおよびJPFのウェブサイトで掲載・報告) | |
イベント開催等(シンポジウム、フォーラム等) | あり | |
内容 | IKUNO・多文化ふらっとHP活動報告記載 |