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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/06/01終了日 2024/03/31
対象地域全国
事業対象者

コロナ禍での孤立孤独や物価高騰による生活苦に悩む若者(13歳〜39歳)。
特に、支援が必要であるにもかかわらず、「情報を知らない」「自分が対象者だと気づけない」「申請の敷居が高い」などの理由で支援に繋がれていない若者を主たる事業対象者とする。

事業対象者人数

情報への接触:160,000~200,000人
支援の実施:1,600~2,000人
(支援内容により人数は上下するが、情報の接触から実際の支援へ移行を1%と仮定し、平均で1団体当たり200人の支援につなげる)

事業概要

本事業では、コロナによる孤立孤独や、物価高による生活苦を抱える若者世代(13歳~39歳)に対し、緊急的な支援(食糧・物資・生活相談など)を提供します。対象として、特に「支援が必要にも関わらず、現在、繋がることができていない」層を重視します。
これまで支援を受けてこなかった層が、受援体験を得て、今後、より「助けて」の声を上げやすい状態となる(受援力を高める)ことを目指します。


【本事業が想定する事業内容】
・経済的困窮を抱える若者への支援(食糧支援・物資の送付・シェルター保護など)
・孤立孤独を抱える若者への相談や居場所支援(オンライン相談窓口、居場所、シェアハウスの提供など)
・生活状況に悩みを抱える若者への支援(妊娠葛藤相談・ヤングケアラー支援など)


【対象とする団体】
※上記に該当するような若者層への支援に既に取り組んだ実績がある
※若者層の生活スタイルや利用ツールに配慮した新規受益者の開拓(アウトリーチ)に取り組む意思がある
※新規受益者が増加した場合にも、適切に対応する体制が構築できる


【具体的な活動】
本事業の事業期間は2023年6月~24年3月を予定します。
活動を、時期により「準備」「実行」の2つのフェーズに分けることで、多くの対象者へ効率的に支援を実施します。


準備フェーズ(2023年6月~7月めど)
▼緊急支援の実施に必要な対応体制の整備(新規受益者の増加を想定)
 例)支援用の食物の仕入れ量の調整、人員の雇用・増員など
▼新規受益者の開拓(アウトリーチ)活動の準備
 例)新規に呼びかける層の対象像(ペルソナ)の設定、インサイト分析、発信手法の選定など
実行フェーズ(2023年8月~24年3月)
▼緊急支援の実施、新規受益者への相談、他の支援窓口への連携
▼新規受益者の開拓(アウトリーチ)活動の実施、成果データの分析によるPDCAサイクルの運用

実行団体数7

事業の総括およびその価値

全実行団体合計で12,747人に新規リーチでき、2023-2024年の急激な物価上昇化において支援が届いていない若者に支援を届けることができた。本事業では受益者に対して共通調査としてアンケートへの回答を依頼しており、「今回、サポートをうけて、今後、公的機関やNPOによる、なんらかの支援を受けてもいいと思うようになりましたか?(10段階回答)」という受援意識を問う設問に対し、平均7.86の数値を出すことができた(n=2,347)。伴走支援においては、助成期間終了後の資金調達について課題感のある団体が数団体あったため、出口戦略を考える会議を定期面談とは別に設け、ビジョン・ミッションの整理や事業上の優先度整理や資金調達資料作成サポートを行うことができた。また、助成終了期間後も続くケースの受け渡しや相談を伴う連携体制を築いた団体ができた。

課題設定、事業設計に関する振返り

当初想定通りではあったが、広告掲出後の問い合わせ数・相談者数が激増し、それに対し各実行団体キャパシティが追いつかない場面が多く、需要供給バランスの課題が発生した。オンライン相談そのものを初めて実施する団体もあり、組織のキャパシティ上げにおいては採用も含めて半年〜10ヶ月ほどの期間を設定する必要があったと感じた。領域の異なる7団体の実施を通じて、デジタルアウトリーチに向かない事業/向いている事業があることがわかった。若年妊娠など絶対数が少ない受益者を想定した事業においてはオンライン広告よりも各ステイクホルダーとの連携・紹介などのほうがリーチしやすい(例:貧困線以下の18-25歳は推計162万人/一方年25歳以下の中絶者数は5.3万人であり桁が異なる)ため、事業設計において受益者に沿ったアウトリーチ手法の設定が重要であると感じた。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1【受益者】 これまで様々な理由により、支援が必要にも関わらず繋がれてこなかった若者が、支援を活用した経験をきっかけに、「助けて」の声を上げやすい状態が生まれている(孤立孤独感を薄め、受援力が高まっている)
指標定量的指標: リーチできた人の中で「支援を使っても良い」と考える割合(参考:内閣府「子どもの状況調査」)
目標値・目標状態目標値: 「支援を使っても良い」と考える割合の向上
アウトカム:結果内閣府の令和3年子供の生活状況調査の分析報告書では、例えば「何でも相談できる場所」としての居場所や支援などを「利用したことがある・あれば利用したい」18.6%、「利用したいかどうか分からない」39.1%、「今後も利用したいと思わない」39.7%だった(※1)。 一方で本事業でリーチできた若者520人(※2)に受援意識の変化を調査したところ、48.8%が積極的に支援を受けたい、22.9%が受けてもいい(中立)、28.3%があまり受けたくないという結果だった。本事業による支援により「他者からの支援を受けても良いという気持ち」(受援意識)に大幅な向上が見られたと推測される。 ※1…対象は中学生世代 ※2…対象は19歳以下
アウトカム:考察・30歳以上は、年齢が上がるに従って「支援を受けてもいい」と感じやすくなる傾向が見られた。 ・性別で「どちらでもない」「答えたくない」を回答した人はやや低い傾向が見られた。 ・ほぼ全ての年代において食糧支援を受けた層の方が受援意識が高まっていた。14歳以下では、食糧支援の効果が特に高い傾向がみられた。 ・困窮度を問わず、困っている15−19歳のうち約9割は、便利さ・アクセシビリティが整っていれば、”誰かに相談してもいい”と考えていることが想定される。
2【実行団体】 事業を通じて、新規受益者の開拓(アウトリーチ)に必要なノウハウを得ることで、自団体にとって適切かつ効果的な受援者拡大の手法を確立し、今後も運用できる体制が整っている
指標定性的指標: ・実行団体ごとに受益者像(ペルソナ)が構築されているか ・ペルソナに即したアウトリーチ法が選定されているか ・データを活用したPDCAサイクルの仕組みとノウハウが団体内に構築されているか
目標値・目標状態目標状態: 団体が、自団体の支援が必要な受益者のペルソナ・インサイトを明確にし、それに応じた適切なアウトリーチ手法を確立している状態
アウトカム:結果定性的指標: ・実行団体ごとに受益者像(ペルソナ)を構築した ・ペルソナに即したアウトリーチ法を選定した ・データを活用したPDCAサイクルの仕組みとノウハウが団体内に構築された
アウトカム:考察・各実行団体でペルソナを作成、それに応じて広告プラットフォームを選定し、広告クリエイティブ、LPデザイン、キーワード選定を実施した。これまでに広告活用の経験がある団体は事業開始当初より広告を開始できたが、そうではない団体は広告運用支援会社のサポートがありながらも広告の開始が遅れた。 ・広告運用データをもとにPDCAを回し、より効果的なアウトリーチ手法を模索したり、様々な広告媒体を試して自団体に最適な媒体を探る動きも見られた。ニーズの高い食支援を前面に打ち出してクリック率/登録率を高めたり、支援提供の条件としてアンケート回答を求めることで受益者について解像度を高める取り組みも見られた。
3【資金分配団体】 本事業の成果を分析・モデル化し、アウトリーチを活用した緊急支援の事例として横展開や政策提言を実施できている 例:孤独孤立対策官民連携PF(分科会1「声を上げやすい社会」)における共有
指標定性的指標: ・団体ごとに、緊急支援事業の特徴や効率性(アウトリーチ手法を含む)が整理され、報告書などにまとめられているか ・官民連携PFなどにおいて、本事業の知見が政府や全国の団体に共有されているか
目標値・目標状態目標状態: 本事業で実施された成果や効率性が整理され、横展開可能なモデルが構築され、若者支援に関わる政治・行政・民間団体それぞれに共有されている
アウトカム:結果定性的指標: ・団体ごとに、緊急支援事業の特徴や効率性(アウトリーチ手法を含む)が整理され、報告書などにまとめられている ・官民連携PFなどにおいて、本事業の知見が政府や全国の団体に共有する準備ができている
アウトカム:考察・2月に成果報告会を開催し、各団体の7ヶ月間のアウトリーチの実施内容とそこから得られた知見をスライドにまとめて発表いただいた。パネルディスカッションでは3団体のアウトリーチの実践を深掘りすることができた。成果報告会の内容はレポート記事として4月に公開した。 ・本事業全体の知見やインパクトをまとめたレポート、および共通調査結果の報告書を作成し、5月中に公開を予定している。それらを孤独孤立対策官民連携PFや、自治体や助成財団、若者支援に取り組む団体等に共有する。デジタルアウトリーチの有効性やノウハウを広く知っていただくことで、助成事業や委託事業の中に広告費が盛り込まれることを期待したい。
4【資金分配団体】 本事業でコンソーシアムを組成して資金分配団体を務めるD×P、READYFORがそれぞれの強みを学びあい、休眠預金事業を含めた中間支援団体としてのケイパビリティ(強みや事業遂行能力)を高めた状態を作る。とくに、D×Pが単独で中間支援組織(資金分配団体)として取り組める状態を目指す。
指標定性的指標:各団体による補完したいケイパビリティ(強みや事業遂行能力)の定義 ※D×P:資金分配団体としての経理処理スキル  ※RF:若者世代への効果的なリーチの方法(それを団体に移植していくノウハウ) 定量的指標:上記に従ったアクション ※D×P:経理処理ルールを把握し業務遂行を担う ※RF:若者へのリーチ施策について団体に対して導入・運用伴走を行う
目標値・目標状態目標状態: 事業完了後、各FDOが単独で補完が実施できるスキルが担当に蓄積されている ※状態例 D×P:月次積算業務が概ね遅延なく実施できている(指標例:実行団体の月次精算提出状況) RF:若者へのアウトリーチが概ね遅延なく実施できている(指標例:実行団体のアウトプット達成状況)
アウトカム:結果定性的指標:各団体による補完したいケイパビリティ(強みや事業遂行能力)を定義し、学び合うことができた ※D×P:資金分配団体としての経理処理スキル  ※RF:若者世代への効果的なリーチの方法(それを団体に移植していくノウハウ) 定量的指標:上記に従ったアクションを実施した ※D×P:経理処理ルールを把握し業務遂行を担う ※RF:若者へのリーチ施策について団体に対して導入・運用伴走を行う
アウトカム:考察DxPは経理担当者がRFより対面で経費精算についての理解を確認する場を通じ、資金分配団体としての経費精算の実施、および実行団体の精算業務の仕組みや流れ等、休眠預金活用事業のルールについて理解を深めることができた。D×Pが単独で中間支援組織(資金分配団体)として取り組むための経験値を本事業で積むことができた。 RFはDxPによる実行団体への伴走支援の様子を見ることで、今後の事業伴走において実行団体にデジタルアウトリーチのノウハウを提供するための知見を得ることができた。他にも、若者への相談支援のノウハウ(雑談研修、希死念慮への対応等)を学ぶことができた。
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アウトカム:結果
アウトカム:考察
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アウトカム:結果
アウトカム:考察
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アウトカム:結果
アウトカム:考察
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アウトカム:結果
アウトカム:考察

アウトプット

1孤立孤独や生活苦を抱える若者世代に対し、適切な支援を緊急に実施
資金支援/非資金的支援資金支援
指標定量的指標: ※下記は例であり、実行団体ごとに設定 ・食料支援の回数 ・相談窓口の相談件数
目標値・目標状態目標値: あくまで目安として、食料支援であれば1団体当たり45,000食、相談支援であれば1団体当たり100回など
アウトカム:結果定量的指標: ・食料支援の回数:実施した2団体の合計 30,753回(1団体あたり15,376回)  ・チャット相談件数:実施した6団体の合計 16,838件(1団体あたり2,806件) ・通話相談件数:実施した4団体の合計 4,751件(1団体あたり1,143件)
アウトカム:考察事前に想定していた仮説通りに成果を上げられた支援と、仮説が外れた支援の両方があった。食糧支援は生活困窮する若者へのニーズが高く、支援目標を達成した。一方で、LINE相談支援に登録はするものの、実際に相談してくる受益者は想定より少なかった。不安や悩みを抱えているものの、いますぐ支援が必要なほど困ってはいない方にも広告ではつながることができるためと考えられる。一方で、切実な悩みに発展する前に支援団体とつながることで未然予防につなげられることは大きな学びだった。
2アウトリーチ活動を通じて、生活苦を抱える若者のなかで、これまで団体等の支援を受けてこなかった対象につながり、支援を実施
資金支援/非資金的支援資金支援
指標定量的指標: ・団体にとって新規の受益者数
目標値・目標状態目標値: 団体ごとに200人(支援内容によって柔軟に設定)
アウトカム:結果定量的指標: ・団体にとって新規の受益者数:実施した7団体の合計 12,747人(1団体あたり1,821人)
アウトカム:考察LINE相談をする団体はオンラインで対応が可能なため、広告では団体の所在する県だけでなく、全国的に広告を配信していた。そのため北海道から沖縄まで全国各地の生活苦を抱える若者にアプローチすることができた。登録する若者の中にはコミュニケーションが苦手な方や、家に引きこもりがちな方など、自ら地域の相談窓口のある施設に行くことが難しい方も多かった。デジタルアウトリーチとデジタルツールを活用した相談支援だからこそつながることができたものと考えられる。
3本事業でリーチした若者(新規・既存問わず)のうち、自団体の事業では支援が難しい悩みを抱えている対象者を、本事業の別の実行団体の支援に連携
資金支援/非資金的支援資金支援
指標定量的指標: ・他団体の支援につなげた数
目標値・目標状態目標値: 団体ごとに10人
アウトカム:結果定量的指標: ・他団体の支援につなげた数:実施した7団体の合計 1,218人(1団体あたり174人) ※本事業の別の実行団体に限定せず、それ以外の団体や施設への連携も含む
アウトカム:考察10月に東京にて事例共有会を開催し、各団体がそれぞれの活動内容を紹介し、うまくいった支援ケースや、対応に苦慮した支援ケースを他団体と共有する機会を設けた。各団体の担当者が顔を合わせて悩みを相談したり互いにアドバイスをする体験を通じて信頼関係を構築することができた。それにより団体間でリファーを行うことにつながった。
4【準備フェーズ-1】 増えるニーズに対応ができる支援体制の整備支援 ※アウトリーチ活動によって増加すると考えられる受益者に対し、実行団体が対応できる体制を整えるよう支援する
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標定量的指標: ※下記は例であり、実行団体ごとに設定 ・新規職員の採用人数 ・新規委託先の数 ・シェアハウス等であれば、収容人数の増加
目標値・目標状態目標状態: アウトリーチ活動によって増加すると考えられる受益者に対し、適切な支援を提供できる体制が整った状態
アウトカム:結果定量的指標: ・新規職員の採用人数:1名 ・新規委託先の数:11件 ・シェアハウス等であれば、収容人数の増加:実施した3団体の合計 20人
アウトカム:考察業務委託や既存職員の配置転換で相談対応スタッフを増員した団体が多く、新規職員を採用した団体はほとんどなかった。その理由は、本事業の事業期間が7ヶ月間と短かかったことにあると考えている。広告を活用したアウトリーチ事業を本事業期間終了後も継続するための資金確保が課題であり、それを7ヶ月の間に目処をつけることは難しかった。また、相談支援スタッフには一定の専門知識が求められるため、即戦力となる人材を確保することも簡単ではなかった。アウトリーチ活動によって相談者数が増える前に、人の採用と教育のために一定の準備期間が必要である。
5【準備フェーズ-2】 アウトリーチ手法の設定・準備 ※実行団体が、アウトリーチすべき受益者像を設定し、適切な手法を選定することを支援する
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標定性的指標: ・対象とする受益者像(ペルソナ)の設定有無 ・受益者のインサイト分析有無 ・受益者像/インサイトに基づくアウトリーチ手法の設定有無 ・準備状況
目標値・目標状態目標状態: 実行団体が、受益者像(ペルソナ)の言語化ができており、インサイト分析に基づくアウトリーチ手段の設定ができ、行う準備が進んでいる
アウトカム:結果定性的指標: ・対象とする受益者像(ペルソナ)を設定し言語化した ・受益者のインサイト分析によりPDCAを回すことができた ・受益者像/インサイトに基づき複数の広告プラットフォームを試用しアウトリーチ手法を取捨選択した ・本事業後もアウトリーチを継続する準備ができた
アウトカム:考察各団体がペルソナを設定し、それに応じて広告のキーワード、広告のクリエイティブ、LPのデザイン等を作成した。すでに広告を活用している団体は、広告運用支援会社等の業務委託も活用し、素早く作成し事業開始後すぐに広告を開始することができた。一方で、広告を活用したことがない団体は広告運用会社等のサポートを受けながらも広告開始のための設定やLPの作成に時間がかかり、広告を開始するまでに3〜4ヶ月程度を要した。
6【実行フェーズ】 実行団体が、緊急支援を適切に実施するための支援 (例:食糧支援などが適切に行われているかの確認    新規受益者の開拓(アウトリーチ)の進捗と改善提案)
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標定性的指標: ・実行団体が設定した支援目標を達成しているかどうか ・新規受益者の開拓手法の改善(PDCAサイクル)が実施されているかどうか
目標値・目標状態目標状態: 実行団体が、新規受益者を開拓し、支援の質・量ともに目標を達成できている
アウトカム:結果定性的指標: ・実行団体は概ね設定した支援目標を達成できた団体が多かった ・新規受益者の開拓手法を改善し、登録率や相談支援実施率の向上に取り組んだ
アウトカム:考察実行団体が使用した広告プラットフォームは、Google検索広告:7団体、Yahoo検索広告:3団体、Googleディスプレイ広告:1団体、Yahooディスプレイ広告:1団体、X(Twitter)広告:2団体、Instagram広告:3団体、Facebook広告:1団体、LINE広告:2団体、Youtube広告:1団体であった。複数の媒体を試すことで、自団体の受益者に効率よく届けられる媒体の見極めができた。ペルソナに応じて広告のキーワード、広告のクリエイティブ、LPのデザイン等を作成し、数値データを元に仮説を立てて微調整し、数値改善に取り組んだ。
7【資金分配団体としてのアウトプット】 資金分配団体が、本事業の各実行団体のアウトリーチ事例のデータや課題を整理し、官民連携PFなどで政府への提言や各団体に横展開を行う
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標定性的指標: ・事例の整理 ・アウトリーチを実施する際の課題点等の整理
目標値・目標状態目標状態: 本事業の成果が官民連携PFなどを通じて国および全国の民間団体に共有されている
アウトカム:結果定性的指標: ・事例共有会や月次面談を通じて事例の整理ができた ・成果報告会を通じてアウトリーチを実施する際の課題点等の整理ができた
アウトカム:考察デジタル広告を活用したアウトリーチが向いている事業、向いていない事業についての知見が得られた。地域に紐づいたリアルな支援を行う事業は向いていない。地域限定の広告配信にする必要があるため、インプレッションの母数が少なすぎて広告が成り立ちにくく、かかるコストのボラティリティも高い。また、都市部では広告での競合が多いため費用対効果が悪くなる傾向があった。こうした知見をレポートとしてまとめ、国や自治体、助成団体、非営利団体等に展開する予定である。
8【資金分配団体アウトプット】 本事業でコンソーシアムを組成して資金分配団体を務めるD×P、READYFORがそれぞれの強みを学びあい、休眠預金事業を含めた中間支援団体としてのケイパビリティ(強みや事業遂行能力)を高めることを目的に、それぞれの高めたい事業遂行能力に関連する実務経験を蓄積する
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標定量的指標: ※D×P:経費精算に携わった担当者の業務時間数 ※RF:若者へのリーチ施策について団体に対して導入・運用伴走を行った担当者の業務時間数
目標値・目標状態目標値:D×P(経費精算に携わった担当者の業務時間数)およびRF(若者へのリーチ施策について団体に対して導入・運用伴走を行った担当者の業務時間数)それぞれのべ30時間以上
アウトカム:結果定量的指標: ※D×P:経費精算に携わった担当者の業務時間数 40時間以上 ※RF:若者へのリーチ施策について団体に対して導入・運用伴走を行った担当者の業務時間数 40時間以上
アウトカム:考察実務を通しての日常的な説明の他、10月には対面で精算における理解度の確認や、今後の課題感についてヒアリングを実施。資金分配団体としての経費精算はDxPのみで問題なく対応できており、実行団体の精算業務も仕組みや流れを十分に理解できている。加えて、実務把握だけでなく今後を見据えてのルールの在り方や考え方の議論も含めた学び合いも生まれている。 運営面では、伴走面談や研修を中心に、リーチ方法や相談体制、細かいテクニックなどDxPのこれまでの若者支援の知見をREADYFORが吸収する機会を頻繁にとっており、特にオンラインツールを活用した相談において必要となるノウハウ、要素などの学びを多く得ている。
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活動

1【準備フェーズ活動-1】増えるニーズに対応ができる支援体制の整備 ・各実行団体が行う緊急支援活動に応じた実施に向けた準備 (例) ・経済的困窮・孤立孤独を抱える若者の支援ニーズの見積もり・試算 ・物資(食糧・生活用品)の送付に向けた手配・ロジの調整 ・オンライン相談窓口、居場所、シェアハウス(新規に必要となる拠点含む)の整備 ・上記の支援の実施に必要な人員の採用・プロボノの登用
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果ほぼ計画通り
概要物資支援の手配についてはミスによって一部の方に二重送付をしたケースもあったが、団体内の作業フローを見直し再発防止することができた。デジタル広告でのアウトリーチの開始により、想定以上に相談件数が増えてしまい、相談対応が逼迫する団体もあった。一方で7ヶ月の事業期間では職員の採用に踏み込むことは難しく、役職員が労働時間を増やして対応するケースが多かった。
2【準備フェーズ活動-2】新規受益者の開拓(アウトリーチ)手法の準備 ・自団体の受益者像(ペルソナ)の言語化 ・ペルソナに基づくインサイトの分析 ・インサイトに基づくアウトリーチ手法の選定 ・アウトリーチ手法の実施準備(検索連動広告であれば申し込みやワード設定等)
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要デジタル広告の実施経験がある団体はすぐに広告を開始でき、経験のない団体でもITリテラシーが高い団体は広告運用支援会社のサポートを受けて1〜2ヶ月後には広告を開始できた。一方でデジタル広告の実施経験がなく、ITリテラシーも低い団体は広告開始まで3〜4ヶ月かかった。事業後半では多くの団体が複数の広告プラットフォームでの広告配信をすることができた。
3【実行フェーズ活動-1】緊急支援の実施 ・各実行団体が行う緊急支援活動の実施 (例) ・経済的困窮を抱える若者への支援(食糧支援・物資の送付・シェルター保護など) ・孤立孤独を抱える若者への相談や居場所支援(オンライン相談窓口、居場所、シェアハウスの提供など) ・生活状況に悩みを抱える若者への支援(妊娠葛藤相談・ヤングケアラー支援など)
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要当初の想定よりも多くの若者に支援を届けられた団体が多かった。食糧支援は生活困窮している若者からのニーズが高く、アウトリーチの切り口として有効であった。また食糧支援の条件としてアンケートへの回答を依頼し、孤立孤独を抱える若者への理解につなげた団体があった。相談支援はLINEのチャット相談は始めやすいが、自分の困りごとを言語化する力の弱い若者の場合は電話や対面での支援が必要であることがわかった。
4【実行フェーズ活動-2】新規受益者の開拓(アウトリーチ)活動の実施 ・新規受益者の開拓(アウトリーチ)活動の実践 ・受益者の開拓状況などのデータを基にした改善行動(PDCAサイクル)の実施
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要GoogleとYahooでの検索連動型広告とディスプレイ広告、X(Twitter)、Instagram、Facebook、LINE、Youtube等のSNS広告などで、各団体が自団体に向いていると考える広告を試すことができた。団体によって各媒体への向き不向きがあり、時期やライバルの出稿状況でも波があるため、広告会社と要因を分析しながら自団体にとって効果のある広告を検討することができた。
5【実行フェーズ活動-3】他団体との連携 ・新規の受益者のうち自団体の支援専門性と合わない課題を抱える受益者の他団体への紹介 ・地域における支援団体や機関(教育委員会や児童相談所やソーシャルワーカー、民生委員等)への連携
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要広告によって、課題が深刻になる前の困窮者予備軍の若者にもアプローチができた。そうした若者が抱える課題や悩みを相談員が整理し、困りごとに応じて適切な支援機関や団体を紹介することができた。実行団体間の顔合わせの機会を作ることで連携や紹介も見られたが、より実行団体間でのやりとりを活発化するための仕組み化については今後も検討していきたい。
6【通期の活動】 ・各資金分配団体が中間支援団体として高めたいケイパビリティの定義 ・それを高めるための活動(業務実施)
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要DxPは資金分配団体の経費精算業務の実践を通して休眠預金活用事業における精算のルールの理解を深めることができた。READYFORはDxPによる実行団体への研修やマニュアル提供、月次面談での伴走支援を通じて、若者支援分野の実行団体への中間支援における知見を学ぶことができた。
7【準備フェーズ活動-1】増える緊急支援ニーズに対応ができる体制の整備支援 ・増加するニーズの見積もり・試算支援 ・各指標の策定(食料支援の回数・相談窓口の相談件数等) ・スタッフ採用支援 ・キャパシティ整備に関わるプロジェクトマネジメント
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果ほぼ計画通り
概要チャットや電話による相談支援を実施するのが初めての団体には、希死念慮に関する研修、若者と信頼関係を構築するための雑談研修を実施した。また、LINE相談の運用マニュアルや団体内でのスタッフ研修に活用できる資料の提供を行なった。一方でスタッフの採用支援については7ヶ月という事業期間では多くの団体が採用まで踏み込むことは難しかった。
8【準備フェーズ活動-2】新規受益者の開拓(アウトリーチ)手法の準備支援 ・受益者像(ペルソナ)の分析・言語化のためのノウハウの提供 ・インサイトの分析・アウトリーチ手法の選定および準備への助言 ・アウトリーチ手法の参考事例の提供
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要NPOのデジタルアウトリーチのノウハウを持つOVAを紹介した上で、実行団体は他の広告運用支援サービスを提供する会社も含めて比較検討し、業務委託先を選択した。それらの広告運用支援会社のサポートを受けることでスムーズな広告媒体の選択と広告開始ができた。資金分配団体は月次面談において広告の実施状況をヒアリングし改善のアドバイスを実施した。
9【実行フェーズ活動-1】緊急支援の実施支援 ・各実行団体が行う緊急支援活動の実施に対する助言・グッドプラクティスの紹介 ・各指標の到達度の確認・見直し ・安全対策・各種法令等の遵守へ関する助言 ・外部リソース(支援団体、制度など)との連携・活用に関する助言
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要広告開始にあたりSNSでの炎上を防ぐための広報危機管理研修を実施した。10月に事例共有会を東京にて開催し、各団体がどのようなペルソナに対して、どの広告媒体を活用し、どのようなキーワードや広告のクリエイティブで広告を実施しているのかを共有した。その上でグループに分かれて話を聞きたい団体にヒアリングできる機会を設けてノウハウの共有を計った。
10【実行フェーズ活動-2】新規受益者の開拓(アウトリーチ)活動の実施支援 ・新規受益者の開拓の改善支援 (例えばアウトリーチ手法に検索連動広告を用いたのであれば、インプレッション、顧客獲得単価(CPA)などのデータの収集およびPDCAサイクル運営に関する助言) ・本事業の実行団体の好事例の団体同士の共有支援
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要広告の成果と、そこからどれだけの受益者を相談サービスなどにつなげられたかを月次面談で報告を受けるとともに、課題に感じていることについて毎月助言を行なった。成果の数値については月ごとにシートに記入をいただき、それをグラフ化し団体間のアウトリーチの特徴を分析し、成果報告会にて発表を行なった。成果報告会では実行団体同士でのパネルディスカッションを実施し、成功事例や課題について共有し、多くの学びが得られた。
11【実行フェーズ活動-3】本事業の団体ごとの事例やデータの整理を実施、体系化し横展開可能にする ・実行団体の緊急支援による成果をとりまとめ ・新規受益者の開拓(アウトリーチ)手法ごとのメリット/デメリットや費用対効果などを分析 ・上記の整理をもとに、国や他団体が参考とできる事例として整理し、官民連携PFなどで共有
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要成果報告会では各団体のデジタルアウトリーチの実施内容や得られた成果、今後の課題などをスライドにて発表いただいた。それらの情報をもとに事業全体のレポートを現在作成中である。また、本事業で実施した共通調査の結果を報告書に取りまとめ、5月16日に厚生労働省の記者クラブにて記者発表を実施予定である。レポートや調査結果報告書を通じて、若者へのデジタルアウトリーチの有効性を示していきたい。

資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括

1取り組み雑談研修の実施、希死念慮への対応研修の実施
取り組み分類事業運営支援
到達度想定以上の成果があった
概要および考察リスクが高い対応のため希死念慮研修を実施。任意参加だったが48名が申し込み、アンケートで満足度4.3(平均)となった。また、チャット上のラポール形成に難しさを感じるというニーズのあった2団体に雑談研修を実施した。希死念慮研修では「組織で対応できる限界ラインを設定したり、対応時間を決めたり、1人の相談員で対応しない仕組みをつくることが重要とわかった」「利用規約の重要性がわかった」という声があり、現場の相談員のスキルだけでなく組織上の基盤強化につながる話として受け取ってくださったことが想定以上だった。ただしD×Pだけでなく他団体の話も聴きたいという意見を受け取ったため、研修設計は改善の余地がある。
2取り組みLINE相談実施にあたってのマニュアル共有、未成年に対する支援における法務的解釈のサポート、利用規約のテンプレ提供
取り組み分類事業運営支援
到達度想定通りの成果
概要および考察LINE等のSNS相談を開始した団体に対し、運営上のガイドラインや相談員向けの初期導入研修資料、利用規約などを提供した。内部用資料を提供したことで「イチからつくらず済んで助かった」という声も受け取った。また、17歳以下の未成年に対する関わりは親権の課題もあり支援者側の関わりにおける留意点があるため、ケースごとに対応の相談を受け、それに対して留意したほうがいい視点を伝えた。課題として、当団体内でも運営上のガイドラインは未整備の部分があるため、1パッケージとして提供できなかった。「オンライン相談スタートガイド」のようなパッケージができれば、より実行に移しやすいのではと考えている。
3取り組み助成金獲得後の出口戦略立案支援、ビジョン・ミッション制定に向けた支援
取り組み分類組織基盤構築支援
到達度想定通りの成果
概要および考察助成金終了後の資金獲得について課題を感じていた団体が2団体あったため、定期面談とは別に出口戦略について考える会議体を設けた。うち1団体ではVBMを実施し、ビジョンミッションに基づいた中期計画や人員配置、何を強みとし、何を強化したらいいのかなど具体的に協議して決めていくことができた。うち1団体では、資金調達に人的コスト・労力をかけることについて優先順位が下がりやすい状態だったため代表に重要性をあらためて伝え、下記の資料作成サポートも行った。
4取り組み寄付金獲得のための法人向け営業資料の作成支援
取り組み分類資金調達支援
到達度想定通りの成果
概要および考察上記の出口戦略の議論中、これまで企業からの寄付獲得経験が少なく、社内に寄付金獲得用の営業資料もない状態だったことがわかった。講演資料の改善や寄付金獲得用営業資料を作成することでより訴求力が上がると考えられたため、先方の資料を参照しながら、資料を改善・作成した。また、その資料を用いて事業期間内に、大手企業が数百人規模のイベント会場を無償提供してくれるなどの動きがあった。事業期間も短く期間内の寄付金獲得まではできなかったが、緊急支援枠ではなく通常枠であれば、寄付獲得および企業との継続的な関係性づくりまでサポートできる可能性があると考えられる。
5取り組み事例共有会・成果報告会の開催、Slack等でケース事例の共有
取り組み分類ネットワーク形成・CI促進支援
到達度想定以上の成果があった
概要および考察10月に事例共有会、2月に成果報告会を実施した。事例共有会では各団体で対応に困ったケース事例を共有し、ワールドカフェ形式で対応方針や悩みを相談しあった。顔の見える関係性ができ、その後一部の団体では事業終了後も続く連携として、ケースの受け渡しができるようNDAを締結・Slackで各個別ケースの対応方針や受け渡しのやり取りを行える状態をつくることができた。また、成果報告会では貴重なデジタルアウトリーチのデータを整理してまとめることができ、アウトリーチの意義や今後の提言についてもディスカッションすることができた。成果報告会のセッションの記事は今後D×Pのサイトでも公開予定である。
6取り組み共通調査の実施
取り組み分類調査普及啓発・アドボカシー支援
到達度想定通りの成果
概要および考察支援を行った当事者の方に対して各団体より共通アンケートを配信し、最終的に2,347名が回答した。年代・性別・アウトリーチ手法による受援意識への影響や、相談先にのぞむ条件を調査することができた。本調査内では内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」との共通設問も用いて結果の比較を行ったが、オンラインアウトリーチを利用する若者は「無料」「匿名」「SNSやメールで相談」「曜日・時間帯を気にせず相談」などを重視する傾向も見られた。こうした結果について記者会見で発表することも検討しており、広く発信することで社会での有効な知見としていければと考えている。
7取り組み広報危機管理/炎上リスク研修の実施
取り組み分類その他
到達度想定通りの成果
概要および考察デジタル広告をかけることや、風俗で働く女性のサポートや妊娠/出産等表現を間違えるとSNSで炎上することも起こりうる事業をしている団体もあったことから、事業開始タイミングでソーシャルPRパートナーズの若林直子さんをゲストにお呼びし、炎上時の対応研修を実施した。日頃のコンスタントな発信やメディアリレーションの重要性や、仮に問題があったときに決して嘘をつかず正面からお詫びし、丁寧に経緯を報告をすることなどが語られた。幸い本事業期間中に大きなトラブルはなかったが、今後の団体運営上のリスクマネジメントに生きる機会となった。休眠預金を受ける全団体向けに実施してもよいかもしれないと感じた。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

1.資金提供だけではなく、ファンドレイジング支援や経営支援ができた
財務規模1億円以下の法人の場合、次年度以降の事業継続が課題だったため寄付の短期的な戦略や実行ポイントをまとめることができた。経営者とも面談し、経営者が現場に入る時間が多すぎることもあったため、どのように時間などリソースを割くかなども含めて話し合うことができた。団体によっては経営者とスタッフとの話し合いの場を持ち、次年度の動き方や経営計画・ビジョンミッションをまとめるまでの併走ができたのは資金分配団体として大きな力を発揮できたことだった。
2.資金調達や採用などのノウハウなどの共有ができた
今回実行団体に対しD×Pの資金調達方法や仲間集めのポイントをお伝えしたことをきっかけに、お伝えした内容を整理して、当団体でオンラインのセミナーを一般開催で実施した。そこには全国から220名を超えるNPOやファンドレイジングに携わる方が参加した。参加者からは「初めて月額寄付を集めるノウハウなども知れた」と大変好評で、こういった非営利組織の経営ノウハウの共有が一般公開できたのも一つの想定外の波及効果だった。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

コロナの緊急事態は去ったものの、物価高の影響が影を落としている。総務省の消費者物価指数によると、2020年の平均を100としたときに2023年の月には103.6、そして2024年2月には106.5となっており上昇し続けており、生活困窮状態にあり、かつ生活困窮以外の課題(病気、精神面、虐待経験、家庭内不和など)を抱える若者にとっては二重苦・三重苦の状態である。事業の共通調査でも食糧支援を受けた受益者が(受けていない方よりも)「また支援を受けてもいい」と回答する率が上がっていることからも食ベ物へのニーズの高さ・生活困窮度合いがうかがえる。また、不登校や虐待への相談件数、10代の自死数も過去最多となっており、若者が孤立・孤独しやすい状況がより悪化していると考えられる。本事業は支援を受けるハードルを下げることが狙いであり、食糧支援はシンプルながら、受益者にとっても寄付者(助成側)にとってもわかりやすい仕組みであるため、食べ物を届けることをきっかけとした活動は今後もよい効果をもたらすと考えられる。

本事業を行なっている中で生じた実行団体や受益者のもっとも重要な変化だと感じた点

風テラスに対し資金提供をしたことでアウトリーチ数が54,196人に増加したことも重要な変化だが、ビジョンミッションや中期計画なども一緒に立てることができたのは重要な変化だった。定期面談とは別に出口戦略のセッションを行ったほか、2月に総仕上げとして新潟に訪問し対面でVBM(ヴァーチャルボードミーティング)を実施した。ビジョンミッションに基づいた中期計画や人員配置、何を強みに何を強化したらいいのかなど具体的に協議して決めていくことができたのは風テラスさんにとっても大きな変化だったのではないか。代表ではなく、事務局長に近い立場の方にも参加していただき、現状業務的にも難しい点や広報やファンドレイジングに対しても人件費投資した方が良いのではないか、と各スタッフの強みや弱みも聞きながら決めていくことができた。
受益者側の変化としては、「今後、公的機関やNPOによる、なんらかの支援を受けてもいいと思うようになりましたか?」という設問に対して10段階評価のうち平均7.86の評価を得たことは、重要な変化だった。支援を受けることへのハードルを下げることができたのは重要な変化だと考える。

外部との連携実績

1活動ランディングページの制作、広告運用支援・アドバイス、広告数値分析など
実施内容NPO法人OVAは検索連動型広告を活かしたインターネットゲートキーパーの取り組みを長年行っており、今回オンラインアウトリーチに初挑戦する団体が多かったことから7団体中5団体にOVAさんが入っていただき、広告運用支援やランディングページの制作などを行っていただいた。
結果・成果・影響等短い事業実施期間にもかかわらず、LP制作や広告運用・結果集計までのステップを踏むことができたのはOVAさんの力が大きかった。各団体の成果分析データを出すことが出来たのは大きな成果だったと考えている。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)なし
広報制作物等なし
報告書等あり
内容

・web記事:成果報告会のセッションの一部を発信 https://www.dreampossibility.com/times/11374/
・共通調査結果を発信予定(5月16日に厚生労働省 記者クラブにて記者会見を実施予定)
・事業全体のレポートを作成予定

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

社内に、内部通報窓口・労務相談窓口・ハラスメント相談窓口を設け、周知しています。労務制度に関する個別相談や社内制度に関する相談を受け付けました。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

これまで法務は経理と兼任で業務を行っていましたが、法務で新た採用を行い専任スタッフが3月から入社しました。
また、法務と各事業部門とのリスク会議を開催し、法令遵守に努めています。

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査
内容

2024年5月に公認会計士による外部監査を実施予定です。

事業完了した実行団体へ事業完了時監査を行いましたか実施済み
内容

2024年4月に事業完了時監査を行いましたが、新潟県フードバンク連絡協議会のみ事業完了報告書の提出が遅れたため未完了です。2024年5月に実施予定です。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

これまで代表が個別にNPO経営の相談に応じてきた数は20団体を超えているが、認定NPO法人D×Pとしては初めての資金分配団体としての事業だった。そのため、資金提供や団体への伴走支援も法人として初めてであったため、組織としてスタッフを配置し伴走支援ができる体制ができたことは組織として強化されたことである。
新たに認識した課題として、一定程度の規模を持つ組織への伴走支援は資金提供やノウハウ提供だけでも行えるが、財務規模がおおよそ1億以下の事業規模のNPOはファンドレイジングや経営計画など一定程度作成や相談に乗り、一緒に作ることが必要だった。緊急支援だったからかもしれないが、事業を継続して資金提供がなくなった後もできるようにしていくためには寄付型の組織として整えたり強化して施策を打つ必要が出てくる。今回、私たちも一部ファンドレイジングの資料作成や経営計画などの作成、VBM(バーチャルボードミーティング)の実施なども手伝ったが、今後支援するときにはその部分も考慮した支援が必要となると思っている。

シンボルマークの活用状況

・公募/結果等概要をまとめたwebサイトに掲出
・資金分配団体オフィスに使用