事業完了報告
2024/08/27更新
事業概要
| 事業期間 | 開始日 2023/01/27 | 終了日 2024/01/26 |
|---|---|---|
| 対象地域 | 栃木県、埼玉県 | |
| 事業対象者 | コロナ禍及び原油価格・物価高騰で生活困窮となり、自伐型林業による森の就労及び収入を求めている人 | |
| 事業対象者人数 | 20名 | |
| 事業概要 | 山の恩恵と木とともにあった日本人の生活。昭和30年代から主にスギヤヒノキの拡大造林が、一族の繁栄の為、子や孫のためにと日本各地で行われ、未来の日本経済を底上げする役割とし て実施された。国土の約7割が山林面積で、その4割が人工林となっている現状。現在超高齢化で拍車のかかった山林所有者の不明問題。更に国民を始め社会全体の山林への関心が失われ、日本建国以来の危機が迫っており、50から60年に及ぶ人工林の山の手入れがなされないままの状態で、地球規模による激甚化する自然災害の影響に耐えうる山林がどれほどあるのか、整備をするにも人的な確保ができていない現状が大きな問題であると考えます。一方人材不足を補うようにスマトート林業として、効率重視で大きな機械が導入され、山に大きな負担をさせ崩落する山も増えている。そこで、コロナ禍及び原油価格・物価高騰で職を失い、また生活困窮となっている皆様とともに、こういった現象を抑制するため、自伐型林業へ興味を持つ人の入口として自伐型林業の理念、知識、技術支援はもちろんの事、生活、自立支援、地域経済の活性化、環境配慮への視点を根底として人材育成を行い、より美しい山林環境を稼ぎながら後世に繋いでゆく。また、県や市町村、企業、地域の山林所有者への認知度を上げ、新規自伐型林業参入者の初動環境・受け入れ態勢を整える役割と共に、自伐型林業の行政・起業支援、さらに存在意義を広く周知し、関心を持つ人を増やし、山林への関係人口も増やす事業とする。 | |
事業の総括およびその価値
目標を「コロナ禍及び原油価格・物価高騰で生活困窮となった方」への、自伐型林業による森の就労及び収入の実践的な一助として、「未来の日本の国土をより美しく、強靭にし、地域に根付く林業」を目指す講習会とし、栃木では40日間、埼玉では52日間の環境配慮型林業の講習会を行なった。講習会開催経験のある「栃木県のとちのもり」と受講者側経験のあるリーダーの率いる「埼玉県の山守学舎」がコンソーシアムとなり、研修内容の擦り合せなど内容の濃い事業計画を立案し、募集の協力、実習内容の情報交換や研修の進捗の共有、さらに受講生の習熟度の確認調整などを行なった。栃木では40日間、埼玉では52日間とし、各10名予定の所、応募者が多く計22名で行ない、地域の抱える山林所有者の不明問題や管理整備放棄、さらに気候変動による自然災害の影響に真摯に向き合い、自伐型林業の理念・知識・技術を以た環境配慮型林業の実践者を産み落とすことが出来た。
課題設定、事業設計に関する振返り
当初より細かく課題を設定したことで、分野ごとにその領域や学びを提示できたことは受講生にとっても、また講師の皆さんや協力者、私たち実行団体にとっても進めやすい事業設計となり、課題に明確な指標になった。アウトカム・アウトプットの設定に戸惑いながらも、達成に向けての目標値・状態を置きながら、過程にある有益な価値(人・知識・物 ・こと・夢・金・時間)をコンソーシアムとして、また受講生の皆さんと共有できたことは大きな実りであった。ただし、木を残し森を育てるという環境に優しい自伐型林業の最大の長所と収益が少ないという最大の短所、また地域によっては山林面積や地形は様々で、どのように解決すべきなのかは大きな課題である。しかし地域の特性、企業や行政の関心を味方につける方法など、技術の習得だけでない時間が必要であり、短期講習で終わってしまうことにジレンマを感じざるを得ない。
今回の事業実施で達成される状態
短期アウトカム
| 1 | 生活困窮から脱出する目処をつける。 | |
|---|---|---|
| 指標 | 職業紹介・会社訪問・ハローワーク等で自 伐型林業(半林)による収入外の仕事(半X)を見つける。 | |
| 目標値・目標状態 | 受講者全員の就業・収入先の確保(見込みを含む)がされている | |
| アウトカム:結果 | 修了生全員の就業が確定し、収入源も確保できた | |
| アウトカム:考察 | 軽い気持ちや受講料無料で応募したものいたので、生業にするような意気込みをつけるのに苦労した。ただし個人面談の効果や山の魅力に助けられた。また、やる気になった修了生の気持ちを持続させることが重要だと考える。自力で林業系の就業先を見つけるもの、講師に依頼し成功するもの、個人事業主や団体を立上げ開業するのもの、それぞれの出会いを活かすことができた。 | |
| 2 | 自伐型林業の技術習得をして収入を稼げる状態にする。 | |
| 指標 | 山の資源(原木販売・チップ・薪・森のエッセンスづくり・しいたけ栽培等)と身につけた技術(刈払い・伐倒等)を金に変える | |
| 目標値・目標状態 | 本事業の研修を通して、林業及び副業に関する技術と収入を得るための知識等を習得している | |
| アウトカム:結果 | 自伐型林業の技術はもちろん、副業への知識を十分に積むことが出来た | |
| アウトカム:考察 | 自伐型林業の技術はもちろん、副業への知識を十分に積むことが出来た | |
| 3 | 経営、利益と納税に関して学び、自伐型林業家として自立する目処をつける。 | |
| 指標 | 専業や半林として稼ぐ計画をつくる | |
| 目標値・目標状態 | 受講者全員が自分なりの事業計画を立案し、実現のために必要な手順を理解し実行することが出来る | |
| アウトカム:結果 | 個別面談を実施し、就業・自立・起業の相談にのり、修了生全員が、それぞれの未来予想事業計画を書くことが出来た | |
| アウトカム:考察 | 個別の面談では、将来のことは勿論、今の職業、家庭内の問題等多岐にわたる内容で話し合いを行った。その中で、個々人の将来の方向性を導き出させるのに時間を要した。 | |
| 4 | 就業支援を受けながら地域、事業主と行政とつながる。 | |
| 指標 | 地域交流はじめ、行政、林業種や他業種の経営者との山林活用やものづくり、ニーズ把握の交流の場をつくる | |
| 目標値・目標状態 | 交流の場に参加することで、受講生と地域の関係者がつながり、お互いに相談や情報交換が出来る関係になっている | |
| アウトカ ム:結果 | 講座の講師をはじめ、異業種・同業種交流会を通じて繋がることが出来た | |
| アウトカム:考察 | 現実的な就業支援の為の知識を幅広く与え、交流の機会をを増やす為、多くの講師陣を招くことは、有意義でもあったが、予算にも大いに影響のあることであった。国・県・地方自治体、自伐型林業講師陣は勿論のこと、さらに企業・大学・税理士・損保代理店・生物学者・造園など、多岐にわたるゲストスピーカーとの調整などは、困難であった。 | |
| 5 | 自伐型林業による施業は、山地災害の危険性を抑制する手立てであること、美しい山づくりををして、見学会や共同の出来る山への交流人口が増えるきっかけをつくる。 | |
| 指標 | 研修中であっても、山林に興味持つ方を招き、山の施業方法や山づくりを伝える場の創出 | |
| 目標値・目標状態 | 受講者全員が山の説明員として、見学者に案内が出来る | |
| アウトカム:結果 | 講師・見学者の来山は、総勢40名を超え、修了生は進んで案内・説明を実施することができた | |
| アウトカム:考察 | なぜ山を美しくするのか、なぜ作業道を作るのかということを言葉だけでなく、現場で見て、作業して、会得してもらった。ただし、実行団体の想いに強く感銘・共鳴をしてもらうには良かった が、修了生各自で深く考えることができるようになったかと言えば不安でもある。 | |
| 6 | チームで行い、個人で高めるリスク管理と作業効率の向上の習慣。 | |
| 指標 | 危険の伴う作業、方法(伐倒・伐根・集材等)に関してのブリーフィングの実施 | |
| 目標値・目標状態 | 施業に関して、事前に十分なリスク予測と効率的な作業手順の意見を出し合い、それを考慮した施業方法やリスク管理、対応が出来る | |
| アウトカム:結果 | 伐倒・伐根・集材などの作業に際して、しっかりとブリーフィングをすることが出来た | |
| アウトカム:考察 | ブリーフィングを通じて、他人の考え方を尊重すると同時に、自身の考え方のみが正解という考えを柔軟にすることが重要であることと同時にそのブリーフィングは、自己の危機管理からグループのものとなり、高い次元での危機管理の共有することにつながることにも気付いてもらえた。 | |
アウトプット
| 1 | 自伐型林業とは何なのか、本当にやりたいのか、受講前に自分と向き合うこと。 | |
|---|---|---|
| 指標 | 受講申込の際、「自伐型林業ですすめる自分と山の未来」と題し、最大原稿用紙2枚で提出をさせ、事前に自伐型林業と向き合ってもらう。 | |
| 目標値・目標状態 | 受講希望者の文章の提出(必須) | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | 応募希望者31名全員から「自伐型林業ですすめる自分と山の未来」の文章の提出を受けたが、文字数には大きなばらつきもあった。ただし、自伐型林業の講習を受けるにあたっての準備、理解を深めることには大いに役に立ったと考える。スタッフ側も事前に受講生の人となりを把握出来たのはスムーズな運営に繋がった。 | |
| 2 | 刈払機取扱作業者安全衛生教育・チェンソーによる伐木等特別教育・小型車両系建設機械(3㌧未満)特別教育の修了 | |
| 指標 | 修了証の発行数 | |
| 目標値・目標状態 | 受講者全員に修了証の発行 | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | 修了証の発行は、技術の習得者としての意識、学ぶ姿勢を高める上でも大きな役割を担ったと考える。また、その技術・知識を教えるメンバーにおいても素晴らしい経験値の向上にも繋がった。 | |
| 3 | 伐倒・集材・搬出・緊急時等に活用するロープワークの習得 | |
| 指標 | 講習内での模擬試験での合格 | |
| 目標値・目標状態 | 技術習得100% | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | 伐倒技術においては、チェンソーの水平度合、方向の正確性、受け口の美しさ、時間、バックフォーの操作においては、バケットの水平の動かし方の正確性、点圧の安定性、さらに集材・搬出における林内作業車やウィンチの操作について十分な時間と反復練習を行えた。 | |
| 4 | チェンソーの目立て・清掃・組み立てを始め、使用するすべての重機・機材・道具の使い方・メンテナンス・管理の仕方の習得 | |
| 指標 | 仕事は、道具の整備が基本である考えを学ぶ | |
| 目標値・目標状態 | 各道具における管理の実数 | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | チェンソーの目立て・清掃・組み立てにおいて全体の講義としては12時間、講義終了後の個別清掃は各自4回ほど実施。バックフ ォーのメンテナンスとして、日々のグリスアップやクローラーの緩み解消を実施。 | |
| 5 | 実施する1作業、1ブリーフィング、1日の終了時のヒヤリハットの実施 | |
| 指標 | 事故を繰り返すことなく、死亡ゼロを目指す 事故の実数把握 | |
| 目標値・目標状態 | 事故数0 | |
| アウトプット:結果 | 事故数0件 | |
| アウトプット:考察 | 実施する1作業、1ブリーフィングは徹底的に実施した。例えば伐倒をする際に実施者となるものが最後にその伐倒方角と理由を述べることとし、前段に構成するグループのメンバーから自身の伐倒方向と理由を発表し、良き方法、良き意見があったらコピーしてもよしとしており、他者の意見を受け入れる柔軟性と気づきをブリーフィングを通して養うことができた。また、1日の終了時のヒヤリハットの実施と今日の1番を気づいたものから発表してもらい、危険性や危機管理の共有とともにカッコよかった人への賛辞を送った。 | |
| 6 | 自伐型林業に親和性のある副業の習得:キノコ栽培や特殊伐採(アーボリカルチャー)、エッセンシャルオイル製造等 | |
| 指標 | 副業の存在と可能性、収入確保に気づいてもらう | |
| 目標値・目標状態 | 副業の紹介数3 | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | 今回は、造園(大地の再生)、特殊伐採(アーボリカルチャー)、きのこ栽培、エッセンシャルオイル・ウォーターの作り方を学んだ。やはり、副業につながるといる事は、講師を招くことや資材購入に金銭面での負担が伴うと同時に、講義での内容が全般的になったり、資格取得となるものも用意できなかった。ただし、そこから得られたものは大きく講習終了後に本格的な稼ぐための講習を実施したところ多くの修了生の参加があった。 | |
| 7 | 国・県・自治体・団体からの情報収集と補助金獲得のノウハウの習得 | |
| 指標 | 自分の住む国・都道府県・市町村の自伐型林業への補助金状況確認と獲得方法を学ぶ | |
| 目標値・目標状態 | 申請書類の作成 | |
| アウトプット:結果 | 30%達成 | |
| アウトプット:考察 | 国・件・自治体からは、現在ある自伐型林業への補助の内容をお話をした抱き、その申請の仕方やまだ使われていない補助金の紹介を受けた。作成をするにあたっては、法人であることや事業主であることが要求され、その内容に関する申請方法や作成となってしまった。 | |
| 8 | 自伐型林業の基本である作業道づくり方法を学び、必要とする工法の選択をする | |
| 指標 | 経験の高い講師から技術を見て、作業をして学ぶ | |
| 目標値・目標状態 | 山の設計図の提出 | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | 山は天が創造したものであり、故に工法は柔軟に考える事を理念とし、山の形状により現場に適した工法、自身が行いたい施業方法に適した工法の最大公約数的に考え、現場に合わせた最善最適な工法の実施を教えた。が、講師による違い「奈良型」か「四国型」のどちらかの工法にすべきとの声も外野から聞かれた。 | |
| 9 | 林業関係者、異業種との交流 | |
| 指標 | 林業の川中・川下の業種の関係者や異業種と交流をする | |
| 目標値・目標状態 | 交流参加者数 | |
| アウトプット:結果 | 63名 | |
| アウトプット:考察 | 外部講師を招く上で、地域の方、興味のある方にもお声がけをして、交流参加者数を増やすことを目指した。大地の再生講座には、県内外から多くの方が参加し、さらにレジェンド講師と言われる岡橋清隆氏・橋本光治氏の作業動作設講習には、県内自伐型林業経験者の参加が多く見られた。また、修了生の中には「こんな山にします」とあたかも自身のモデル林のように研修場所へ地域の協力者を招き理解を求めていた。 | |
| 10 | 就業相談会 | |
| 指標 | ①兼業する仕事内容の確認 ②施業地確保の進捗状況の確認 | |
| 目標値・目標状態 | 山林バンク数5ha | |
| アウトプット:結果 | 各自約5回実施、山林3ha | |
| アウトプット:考察 | 自伐型林業への兼業の不安や現在の職業の相談をはじめ、自伐型林業➕の可能性や考え方の相談が多く寄せられた。また、施行地確保にあたっての対応の仕方や金銭面での相談などもあった。さらに、家族への理解の神道の方法や問題などもあった。ただ、この個別相談は、修了生が向かう大きな指針になったことは間違いない。 | |
| 11 | 林内作業車による集材・搬出法の習得 | |
| 指標 | 林内作業車による作業方法の習得 | |
| 目標値・目標状態 | 集材数30本 | |
| アウトプット:結果 | 集材数本66本 | |
| アウトプット:考察 | 事業の採択が決まる前から、林内作業車の受注が遅れていることから予約をしておく必要があった。さらに、関東近辺では林内作業車の中古の数も少なく、準備をするのに苦労をした。作業に関しては、危機管理や重量物の移動に関する走行・牽引のポジショニング、さらに機械操作手順のスムーズさを重点に学んでもらった。 | |
| 12 | 事業経営・納税・財務管理等の学習 | |
| 指標 | 学識経験者による失敗しない経営・納税・財務管理方法の習得 | |
| 目標値・目標状態 | 経営理念の提出 | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | 起業に関しては経営診断士より、納税・財務管理に関しては税理士より、さらに銀行の支店長より「融資したくなる人」と題し、その内容を講義いただいた。また、従業員や自身の損害保険への加入とともに、危機管理についても学んだ。 | |
| 13 | 山づくりとまちづくりの過去と未来 | |
| 指標 | 林業を取り巻く、過去と未来を自伐型林業とまちづくりを通して理解する | |
| 目標値・目標状態 | 自らの目指す自伐型林業とまちづくりの考えをまとめる | |
| アウトプット:結果 | 100%達成 | |
| アウトプット:考察 | (栃木)宇都宮大学教授・地元事業体から山林と人との関わりの過去からの経緯、と今後の展望の講義を受けた。(埼玉)竹中工務店から2名、東京大学大学院の助教授、生物多様性の研究員から、「山づくりとまちづくりの過去と未来」に関することを、それぞれの立場(開発する側・研究者側・守る側)から大いに講義してもらった。 | |
| 14 | 地域住民との交流 | |
| 指標 | 山林における困りごとの収集 | |
| 目標値・目標状態 | 全体で山林の困り事収集数10 | |
| アウトプット:結果 | 8件 80% | |
| アウトプット:考察 | 仕事づくりを行う上でも大いに有効なものであったが、交流をした方々も多少の山仕事の経験を有しており、山林における困りごとの収集が自身での解決ができる方が多く100%達成できなかった。その内容のほとんどが、次世代への山林のバトンタッチ時期とその後の悩みであった。 | |
| 15 | ||

