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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/03/01終了日 2024/02/29
対象地域東京都豊島区、板橋区、北区
事業対象者

虐待、貧困、親の過干渉などにより家にいたくないと感じる若者及び住まいを失う15歳から25歳くらいまでの若者

事業対象者人数

居場所利用の若者実数:100人(実数) うち新規の若者のアウトリーチ:40人(実数) 居場所利用の若者延べ:1,400人

事業概要

本事業では、家にいられない若者を対象に、避難場所として利用できる居場所を開放する。特に夕方以降の時間帯に行く場所のない若者へアウトリーチを行い、若者を孤立させず、家以外の安心できる場を提供し、抱えている問題に寄り添い相談に対応する。豊島区にある居場所を起点に周辺地域と広域のネットワークを構築することで、若者が地域に住み、働く機会を得るなどの自立に向けた支援を行いながら、若者が生きやすい地域社会システムを模索していく。これまでの知見と経験を踏まえながら、若者の置かれた状況に関する調査を行い、社会へ伝えていくと共に、行政へ向けた政策提言を行っていく。

事業の総括およびその価値

サンカクキチは2年目を迎え、安定した運営がなされるようになったが、ニーズの増大と拡大していく各事業の影響を大きく受けることにもなった。利用者数にその影響が顕著に現れており、昨年は1年間での利用者実数が95名だったのに対し、この1年間の利用者実数は165名という結果となった。相談拠点としてのサンカクキチの価値は「過ごせること」にあるが、若者たちが安心して過ごすためにはルールも含めた空気と体制の構築がより一層必要であることを改めて認識した。地域との交流・連携も含め、居場所としての活動は着実に拡張できている。団体の変化の渦中にあっても1年間、安定的に稼働することができたこと自体に大きな価値があったと感じている。
また、居場所運営以外では、調査の実施が1年間における大きな成果となった。文献調査だけでなく、学識者や実践団体へのヒアリングを経て得た知見と人脈は団体の資産として重要なものとなるだろう。

課題設定、事業設計に関する振返り

サンカクキチの運営自体は安定して実施ができた。一方で、居住支援の拡大に伴い、困難度の高い若者がサンカクキチを日常的に利用するようになったことで、他の利用者との間でのトラブルが発生し、秩序をいかに形成するかという課題が表出した。今後は、安心して過ごす機能を維持しながらも、相談支援の体制を強化し、他事業との円滑な連携を行えるようにしていく必要がある。
調査事業は、今回の事業の中でも特に意義深いものであった。多様ゆえに捉えどころのない「居場所」を議論するための良い土台となる可能性を持ったレポートとなった。これを持って、各所で議論が活発化するような働きかけを継続し、一過性のものにしない工夫が必要と考えられる。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1事業対象者の若者100名が安心できる場や住まいを獲得し、自立に向けた支援を受けている
アウトカム:結果実数にして165名の若者がサンカクキチでの相談に繋がった。 他事業との連携により、居場所の利用から居住の相談につながるケースもあり、若者たちの居場所形成の一助となっている。
アウトカム:考察相談拠点としてのサンカクキチの強みは、「過ごせること」と「他事業との連携」が挙げられる。共に時間を過ごしながら、相談できる関係性を構築することで、顕在的な主訴だけでなく、潜在的なニーズの発見にも繋がっている。 サンカクキチを居場所とできるかは個々の判断によるため、定着のためには入口の目的化が重要になると考えられる。相談という機能だけでなく、ゲームや職員や利用者との交流が、サンカクキチを利用する理由として働いている。 サンカクキチは若者の滞留を良しとする場ではないので、ケアの期間を保障しつつも、今後は居場所事業の中にも、例えば地域との繋がり等の出口を描いていくことも視野に入れていく必要がある。
2若者のアウトリーチおよび居場所のノウハウを可視化し、他団体や視察に訪れた方(約50名を想定)へ提供できるようにする
アウトカム:結果▷見学者数:353名 ▷季節刊行の広報誌にてサンカクキチにおける食事提供の意義と手法について記述。 ▷ノウハウの可視化に関しては、改めて企業と連携して実施している最中である。
アウトカム:考察居場所の調査を通じて、議論の土台を他団体に提供する準備は整ったといえる。また、昨年以上に多くの方がサンカクキチに見学に訪れたことは、サンカクシャや若者支援が注目され始めていることの証左と考えられる。今後は、より広範にノウハウを届ける工夫が必要になって来るため、改めてサンカクキチの運営に関して可視化していく必要を感じている。サンカクシャの事例だけだと、再現性の難しい部分も多分にあるため、調査事業の次段階として、全国の居場所の運営をまとめたマニュアルの作成も視野に入れたい。
3豊島区だけでなく、近隣の北区板橋区文京区も巻き込んだ広域の若者支援ネットワークが立ち上がっている
アウトカム:結果豊島区においては昨年に引き続き「居場所ネットワーク会議」の運営がなされ、地域との関わりにおいては「くすのき荘」や「シーナと一平」、「カカオ工房Tribute」などの拠点との交流が深化した。加えて北区においてはサンカクキチ近辺の「滝野川フレイムス」や「Jimokids」と繋がり、連携が拡大した。 社会サンカク事業における仕事体験での連携が主はあるが、くすのき荘や滝野川フレイムスは、イベントがなくとも日常的に訪れる若者が現れた。
アウトカム:考察若者支援のネットワークという点においては、まだ豊島区が中心ではあるが、地域で若者を見守りサポートする形は豊島区内外に着実に広がりつつある。 今後もこの動きを深めていくために、協力者たちをうちに囲い込むのではなく、彼らの力が従前に発揮できるフィールドにおいて若者と関わることのできる接点作りに注力していく。
4夜の居場所や18歳以上の若者の居場所や住まいの調査を行い、課題の特定・分析及び政策提言を行う
アウトカム:結果「若者の居場所」をキーワードに、研究者の方々8名、若者対象の「居場所」支援を展開する10団体にヒアリングを実施し、調査レポートを作成した(全67ページ)。 居場所の機能の分類を試み、リスクと可能性を提示した。また居場所以外の若者支援施策に関しても言及した。 巻末には学識者及び居場所実践者との対談レポートを掲載している。
アウトカム:考察数的な調査ではなく質的な調査を主としたことは良い判断だったと思われる。居場所という、多義的で曖昧な概念に対し、その豊かさを保ちながら、支援の文脈の中でその言葉の意義を考えるための良い材料を作ることができた。ただし、この調査はさまざまなステークホルダーが議論を始めるための共通の座標に過ぎないため、いかに議論の場に他の機関を巻き込んでいけるかが肝要となるであろう。 また、今回の調査を経て、学識者の方々や居場所の実践団体とつながることができた。この繋がりもまたサンカクシャにとって大きな資産となり得る。

アウトプット

1居場所事業:平日週4日開放、延べ1,400名、実数100名の若者が利用する
指標利用回数のカウント
目標値・目標状態延べ1,400名利用、実数100名
アウトプット:結果▷ユニーク数:165名 ▷のべ:2,669名 ▷月あたりの平均利用者実数:48名 ▷開放日1日あたりの利用者平均:12.9名(個別対応日含む)
アウトプット:考察目標値に対し、実数値では160%、のべ人数では190%の結果となった。これは居場所を求める若者の増加ももちろん背景にはあるが、サンカクシャの(特に居住支援の)事業が拡大し、サンカクシャの対象となる若者の母数が拡大されたことの表れでもあると考えられる。 1日あたりの利用者数は多いと20名を超えることもあり、現状一度に食事を提供できる上限も20名前後だということが分かった。 相談体制の拡充を今後行っていく予定だが、それによって定着率も向上すると考えた場合、居場所が飽和しないよう適切に出口を設計する必要性が出てくると考えられる。
2アウトリーチ事業:新規40名の若者へアウトリーチし、相談支援を行う
指標YouTube、Twitter、LINE、ウェブサイト問い合わせ経由での利用回数カウント
目標値・目標状態新規リーチ40名
アウトプット:結果▷新規利用者数:104   メール:5   LINE:50   Twitter:2   電話:3   紹介:38   保護者からの問い合わせ:4   その他:2
アウトプット:考察昨年度は特に居住を主訴とした問い合わせがTwitter(現:X)を通じて多く寄せられたが、今年度はその多くがLINEからの問い合わせであった。 活動の拡大や、それに伴って増加したメディア露出が影響したと考えられる。 居場所利用を主訴としてつながるだけでなく、住まいや仕事を主訴とした相談から居場所利用につながるケースが多く見られた。上にも記載したが、サンカクシャの対象となる若者の範囲が拡大したことの表れと言える。
3課題調査事業:調査を行いレポートを作成し、調査報告イベントを年2回実施し、合計100名に課題を周知する
指標調査レポート成果物、イベント参加者人数カウント
目標値・目標状態イベント年2回実施、100名集客
アウトプット:結果▷「若者向けの居場所に関する調査」中間報告会 実施日 :2023年10月7日 実施形態:オンライン 視聴者数:323名(3/12現在) ▷「若者向けの居場所調査レポート」完成報告会 実施日 :2023年2月23日 実施形態:対面/アーカイブ配信 申込者数:165名
アウトプット:考察こども家庭庁が本格的に動き出したこのタイミングで、議論の土台となるレポートを民間団体で制作したことに一定の意味があるように思う。今後サンカクシャが自団体の事例を共有していく上での下支えになるほか、他団体へのノウハウを進めていく上でも「居場所」の認識を合わせる出発点となりうるだろう。 完成報告イベントにはこども家庭庁の職員にも登壇いただいたが、行政ゆえの葛藤も垣間見ることができ、官民がそれぞれの長所を生かしながら適切に連携することが今後若者たちが居場所と感じられる場所を増やしていく上で重要なのだと感じた。

活動

1居場所事業:居場所を平日週4日、14時~21時頃まで居場所を開放する(※本事業の対象は17時~22時)
活動結果計画通り
概要想定を大きく上回る165名の利用となり、ニーズの拡大とともに事業ハブとしてのサンカクキチの必要性を改めて認識した。 5月からは人員補強を行い、居場所専任スタッフ2名体制で臨んだ。これにより、よりひとりひとりの若者に目を配ることが可能になり、昨年度以上に安定した運営が可能となった。 居場所利用者の多様化に伴い、秩序維持を目的として利用規定を整備し、若者たちと改めて覚書を取り交わした。
2アウトリーチ事業:YouTubeやTwitterなどでの情報発信によるアウトリーチを行い、相談を受けながら居場所を紹介することで、若者の受け皿となる
活動結果ほぼ計画通り
概要事業開始時から、新たに104名の若者と繋がることができた。これは想定を上回るペースであり、事業の必要性を強く感じた。(新規104名のうち、54名が3回以上居場所を利用) アウトリーチのツールとしては注力対象をYoutubeからTikTokに変更した。ライブ配信を軸としながら、事業を紹介するショート動画を作成した。
3課題調査事業:若者の居場所や住まいに関しての調査を、研究者と合同で実施し、レポートにまとめ、政策提言や課題に対する認知向上を図るイベントを実施する
活動結果計画通り
概要政策立案を検討する自治体や居場所事業を始めようとする団体が、居場所の意義を認識し、議論するための土台を作ることを目的として、「若者の居場所」をキーワードに、研究者の方々8名、若者対象の「居場所」支援を展開する10団体にヒアリングを実施し、調査レポートを作成。完成報告会では学識者、こども家庭庁職員を交えたディスカッションを行った。
4地域コミュニティ連携:地域内において若者が活動ベースで時間を過ごすことのできる居場所を増やすべく、民間コミュニティとのネットワークを構築する。
活動結果計画通り
概要サンカクキチ以外に若者の居場所を地域に拡張を試みた。特に上池袋の「くすのき荘」や、北区の「滝野川フレイムス」とは密な関係が構築できた。くすのき荘での「Cleanup & Coffee Club」や滝野川フレイムスのような日常に近いところに他者と接点があることで、若者が街に繰り出す理由となっている。 また、社会サンカク事業との間にグラデーションを作る上でも地域の存在は欠かせないものとなっている。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

大きく想定から外れたわけではないが、利用者の増加に伴なって大人コミュニケーションにおける摩擦が顕在化したことで、居場所内の秩序について考えるきっかけとなった。これは人員体制やルールに影響を及ぼし、改めて利用者向けの規約を整備し、3月以降人員を拡大する決断を下すこととなった。居場所が他事業の影響を強く受けるように、他事業が居場所の影響を強く受けることも再認識したため、居場所内での相談支援体制を構築する必要性を強く感じたためである。
調査事業に関して、想定していた以上の数のヒアリングを実施することができ、結果として調査主体の考察だけにとどまることなく、非常に多角的な視点から居場所に関する整理がなされたように感じている。1年間の活動の中で今回のようなボリュームの調査が行えたことは、今後自団体だけでなく他団体が調査を実施していく上でも一つの指標として機能するのではないかと期待する。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

居場所の調査を実施する中で、孤独とは複合的な感情群であり、実存を脅かす居場所の欠乏だということが明らかになったが、これは日々関わる若者たちの様子と照らして合致する部分が非常に多いと感じた。若者たちは複合的な課題を抱えながら居場所を求めてサンカクシャに繋がってくる。その居場所は文字通り物理的な空間としての居場所であることもあれば、胸の内を明かすことのできる相手であったり、自分の時間を投下することのできるアクティビティであったりもする。その孤独の形に応じて、若者たちのニーズは変化するのであり、画一的な「居場所」によって対応できるものではない。故に、その形を捉え、必要な居場所に接続できるようなサポートを模索することが重要だと考える。今回の事業においては「夜の居場所」というキーワードがあり、「時間」が一つの争点であったように思う。しかしこれはあくまで一要素であり、それ単一で若者の状況を好転させることのできるものではない。何が若者にとって必要かを、議論し続けることが重要であり、それを可能とする組織間の連帯や、社会への継続的な問題提起を促すことが、今後のサンカクシャの活動の鍵の一つになると考える。

外部との連携実績

1活動HOT DOG BASE
実施内容上池袋のコミュニティスペース「くすのき荘」の売店スペース「喫茶売店メリー」にて、スタッフと若者によるホットドッグとドリンクの販売を実施。 実施日程:2024年2月10日(土) スタッフ1名と若者5名が稼働。社会サンカク事業と連携しての実施となった。
結果・成果・影響等想定していた時間よりも早く用意していた分を売り切ることができ、活動に参加した若者に給与を支払うこともできた。何より、地域の人々に、サンカクシャの活動を認知してもらう一つのきっかけとなった。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

広報としま 6月号

広報制作物等あり
内容

TikTokチャンネル「サンカク相談室」 事業紹介ショート動画5本
居場所パンフレット制作
サンカクシンブン制作

報告書等あり
内容

若者向け居場所調査レポート
https://www.sankakusha.or.jp/magazine/20240220/

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか整備中
内容

経理に関する規定は3月臨時理事会にて施行の予定、情報公開と職員の給与等に関する規定は整備中です。その他は完了しました。

整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更があり報告済み
内容

定款、規定等未整備だったものを掲載しています
https://www.sankakusha.or.jp/about/

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

コンプライアンス規程にて整備している

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
内容

年に1回、年次総会にあわせて、利益相反防止のための確認をおこなっている

コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
内容

コンプライアンス担当理事ならびにコンプライアンス委員を設置している

ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

2023年10月にコンプライアンス規程を施行した

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

例年、5月頃に総会へ向けて内部にて会計監査を実施している

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

繰り返しの記述になるが、サンカクキチにおける秩序の維持と相談支援の体制の構築の必要性が、本事業を1年間実施する中で見えた運営における最大の課題である。サンカクキチはサンカクシャの事業の中でも最も「支援らしさ」から遠い空気感の中にあり、これが若者の居心地の良さに繋がっていると考えているが、この空気感を大きく変えることなく自然な形で若者の相談を掬い取れる体制を模索していく必要があると感じている。
運営資金の安定した獲得は依然課題である。居場所は継続して運営されること自体に意味があるが、単年の助成金の中で資金繰りの体制までを構築するのは難しい。団体として寄付などを通じて資金獲得を進めるのはもちろん必須であるが、分配団体には、中長期的な視点で居場所の運営を支援することを期待したい。サンカクシャとしては、今後は助成金を活用しつつも、最終的には自主財源での居場所運営が可能な体制へとシフトすべく、事業としてのファンドレイジングの道筋を描いていく必要性を感じている。

シンボルマークの活用状況

若者向け居場所調査レポートに掲載