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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/03/01終了日 2024/02/29
対象地域鹿児島県大隅地域(鹿屋市・垂水市・志布志市・曽於市・肝付町・錦江町・南大隅町・大崎町・東串良町)
事業対象者

鹿児島県大隅地域に在住の子どもや若者で交通の便の良くない地域に住んでいる人たちや、生活困窮家庭や1人親家庭で夜遅くまで子どもだけで過ごしているという状態の人たち。

事業対象者人数

居場所利用のべ1000人、相談のべ500人

事業概要

コロナ禍において家庭の経済的な問題や夫婦不仲などで、子どもや若者が家の中での居場所を失っている事例が増えています。そういった子どもや若者のために安心できる居場所を提供します。その際、他の親・家族との仲介に入り、同時に家族支援も含めて対応していきます。
常時、平日17~21時(お迎え・入室)に対面での居場所を開所し、最大10名(男女計)の受け入れを行ないます。
移動手段の無い方は送迎を行ない、食事の提供、希望者は最大6名(男女計)の宿泊も可能とします。また、当機構の支援や行政連携も図ります。

事業の総括およびその価値

当機構において当初想定していた「夜の居場所」の利用者の背景は、「両親不仲・虐待・ヤングケアラー・孤独などで家の中に自分の居場所がない」というものだったので、主に、行政の福祉課や子育て支援課との連携を進めてきた。しかしながら、行政がアプローチできるのは親なので、ほとんど利用につながることはなかった。SNSを活用した周知活動は、実際に利用者から「SNSを見ても自分からは親に相談できないし、足もないし勝手に外出できない」という意見もあり、SNSの効果は即効性が薄いと分かった。そんな中で、不登校支援でつながっている学校から、「不登校ではない生徒で高校受験が厳しい困窮世帯の生徒がいる」と相談を受け、「夜の居場所」にて学習支援をおこなうことになった。学校紹介なので親とも面談ができ、生活や仕事の悩みなど当機構の本来支援として包括的な家族支援に発展したケースが多かったのは成果として捉えている。

課題設定、事業設計に関する振返り

対象者の家庭内の課題(生活困窮・両親不仲・虐待・ヤングケアラー・社会的孤立など)にフォーカスして、その課題と関わる福祉機関と連携するだけではなく、事業設計として、対象とする子ども・若者と常に関わりを持つ機関、特に、学校・教育委員会との連携を早期に取り組むべきであった。実際に、最後の4ヶ月で18名の利用があり、すべて学校からの紹介である。「学習の貧困」「貧困の連鎖」の背景には、当初フォーカスしていたいずれかの家庭内の課題が含まれており、一般的に介入しづらい課題であっても、学校紹介から入っていくと、面談や家族内への介入など比較的ハードルが低い。こういうことは、これまでの不登校支援をおこなう中でもわかっていたことだったので、今後も、当機構の「夜の居場所」は学習支援を入り口に組み立てていく。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1・鹿児島県大隅地域には推計2400人のひきこもり状態の方、約1000人の小学生から高校生までの不登校児童生徒、そして、高校中退者が約200人おり、その本人や家族との接点をLINE相談や対面相談で、本事業の広報・周知を通じてつくることができている。
アウトカム:結果不登校児童等は年々増加しているが、当機構としては、活動を通じてその数を減少させることはあっても、決して減少させることに目標は置かず、あくまでも、受け皿としてそういったご家族とつながることを目標に置いている。「夜の居場所」だけでなく、不登校・ひきこもり支援、就労支援などを通じて関わっているご家族は年間約200世帯となっており、公的機関からつながるだけでなく、テレビや新聞、ラジオなどのメディア出演、地道な全戸配布チラシも結果的に効果があらわれている。
アウトカム:考察困りごとを抱えている方の中には社会的に孤立している方も少なくはなく、また、困難な状況に疲弊していくと、情報のキャッチも弱くなっていく。そのために、そういった家族とつながるためには、様々な媒体を活用していかなければならず、民間の支援団体としては、継続的に努力していかなければならないことでもある。
2・2020年に「かごしま8050ネットワーク」を設立し、今は行政や民間団体など約40組織で構成されていて、本事業を通じて、そのネットワークを子ども・若者支援の他団体とも連携し、より強いネットワークが構築されている。
アウトカム:結果「夜の居場所」における動員においては公的機関のネットワークが有効に働いたというよりも、ピンポイントで、直接生徒と関わる学校からの紹介が効果的であった。ただ、様々な課題を抱えるご家族は多く、包括的な支援をおこなうにあたってはネットワークは有効に働いた。
アウトカム:考察困難を抱える方からSOSを発信するというのは実のところ難しく、身近な存在の方が「SOSに気づく」ということが大切になってくる。当機構が自殺対策事業の中でもおこなっているが、学校や公的機関に従事する方の意識づけも今後は重要になってくる。
3・大隅地域において居場所事業の必要性が認知され、大隅地域内自治体の孤独孤立対策や子ども家庭支援に反映されている。
アウトカム:結果不登校、鍵っ子、生活困窮世帯、ヤングケアラー、ひとり親、未婚の母など、社会的に孤立しているだけでなく、自殺企図や虐待などに発展してしまっているケースも多々あり、居場所の必要性、おせっかい的アウトリーチ支援の必要性が認知され、委託事業へとつながってきている。
アウトカム:考察これまでは行政がおこなってきた社会課題ではあるが、専門性や横断的に柔軟的な対応を求められるケースが増え、民間の支援団体の存在に注目が集まってきている。しかしながら、自治体によっては民間団体が存在せず、支援の地域格差が生じているので、自治体間での協定や広域での対応ができる仕組みを提言していく必要もある。

アウトプット

1平日週5日、男女棟合計で実人数48名、延べ600人が居場所を利用
指標利用実人数とのべ回数のカウント
目標値・目標状態利用者実人数48名、延べ600名人
アウトプット:結果男性棟:通算=実21名、のべ790人 女性棟:通算=実20名、のべ814人 利用者合計:実41名、のべ1604人
アウトプット:考察実人数は目標値に届かなかったが、無料学習塾のような「夜の居場所」と位置づけたことで学校との連携が進み、最後の4ヶ月で18名の新規利用があった。なので、この事業主旨で継続していくと、次年度以降、本事業年度の利用者以上の利用が見込まれる。のべ人数については、想定よりリピートする者が多かった。受験勉強など計画的におこない、定期試験の成績が上がるなど成果があらわれることで、「夜の居場所」の利用に自主性を持ってもらえるようになったことが要因にあると考える。
2スタッフへの相談実人数36名、のべ400件
指標相談実人数とのべ件数のカウント(相談領域等の分析)
目標値・目標状態スタッフへの相談実人数36名、のべ400件
アウトプット:結果男性棟:通算=実21名、のべ475件 女性棟:通算=実20名、のべ506件 利用者合計:実41名、のべ981件
アウトプット:考察学習支援が必要な生徒の背景には様々な事情があり、それはまたご家族も同様で、家族丸ごと包括的に支援することが多く、のべ相談数も多くなった。しかしながら、そういった相談は「夜の居場所」の時間帯だけでなく、昼間に対応することも多くて、スタッフ体制に困難を要した。
3HP・SNS経由での新規利用者20名
指標相談経由での利用実人数のカウント
目標値・目標状態HP・SNS経由での新規利用者20名
アウトプット:結果男性棟:通算=HP経由5名、SNS経由2名 女性棟:通算=HP経由3名、SNS経由4名 利用者合計:14名
アウトプット:考察SNSを閲覧したこともあって、学校などから案内を受けた際に、相談のハードルが低くなったというケースはあったが、純粋に、SNSを見て直接連絡をくれたというケースはわずかであった。だとしても、SNSの効果がまったくないわけではないので、様々な媒体の1つとして、今後も活用していく。
4当機構自主事業による生活や就労支援メニューへの接続が実人数20名、外部連携先への接続が20名
指標実施支援メニューの、連携先への繋ぎについて実人数とのべ件数のカウント
目標値・目標状態当機構の生活や就労支援メニューへの接続が実人数20名、外部連携先への接続が20件名
アウトプット:結果男性棟:通算=就労支援11名、生活支援10名 女性棟:通算=就労支援5名、生活支援14名 全 体:通算=外部就労支援機関11名        外部生活支援機関5名 利用者合計:メニュー接続39名、外部接続16名
アウトプット:考察利用者だけでなく、そのご家族も含めて、食料支援や就労支援をおこなう機会が多かった。居場所という受け皿、傾聴だけの相談窓口という受け皿だけでは、困難を抱える方の本質的な困りごとの解決には至らず、地域の中にどれだけ多くの社会資源を見つけていくか、そして、連携していくかというのが重要で、当機構の活動を通じて、様々な方に地域課題を知っていただくいい機会となったと考える。
5事業終了時の政策提言から当該事業の受託もしくは補助金を獲得し、事業継続の実施目処が立つ。月次報告と年度報告を実施。
指標政策提言、事業実績報告書成果物(月次及び年度)の行政からのフィードバック状況
目標値・目標状態政策提言1件、受託事業もしくは事業後の補助金獲得1件、事業実績報告書の作成(月次及び年度、計12回)
アウトプット:結果1件の自治体と子ども家庭庁のモデル事業「児童育成支援拠点事業」の話を具体的に進めていたが、現在、別で委託を受けている居場所事業の「増額」というかたちで話がまとまり、予定事業については次年度以降にあらためて話を詰めていく。政策提言をしていく上で、「夜の居場所」だけでなく、当機構がおこなう様々な事業について、当事者が所属する当該自治体には活動報告を毎月おこなっている。
アウトプット:考察「夜の居場所」の事業だけで予算を取っていくのは難しいと感じた。まずは「放課後の居場所」というところから徐々に広げていきたいと考える。

活動

1居場所事業。 平日週5日、無料で利用できる居場所として17時~21時に開所
活動結果計画通り
概要平日だけでなく、時おり土曜日なども開所希望があったため、月22日という日数を決めて開所した。
2生活及び就労相談事業。 生活や就労の相談、メンタルケアについて常駐スタッフが相談を受け、当機構として継続的な支援をおこなう。場合により公的機関等と連携。
活動結果計画通り
概要常駐スタッフには精神科で勤務していた看護師、応援で臨床心理士が対応していたので、会話の中で様子を観察し、個別相談をおこなうなどをしていた。また、当機構は県認定の就労訓練事業所でもあるので、仕事の相談なども適宜おこなえる体制をとっていた。
3広報活動。 連携機関からの繋ぎだけでなく、子ども・若者の自らの気づきから居場所に繋がることを狙いとし、情報周知を目的としてHPやSNS広告(Facebook、Twitter、Tiktok、Instagram、Youtube等)を活用。
活動結果計画通り
概要当機構のHP、Facebook、Instagramを活用して、定期的(週1~複数回を目安)に「夜の居場所」の様子を発信した。そのSNSなどを見て利用につながったケースは非常に少なかったが、学校から案内を受けた際に「そこ知ってる!」となって、利用のハードルがそんなに高く感じなかったり、ご家族に相談する際には便利だったという声は聞かれたので、少なからず効果があり継続する価値があると考えている。
4地域連携。 居場所での対話や観察から、利用者の背景にある課題を把握し、必要に応じて当機構の自主事業等を活用し、日中の支援にも繋げることを想定する。また、すでに当機構の各事業を運営する上で連携している各支援団体や地元企業と連携し、地域の中での孤立化を防ぐ。
活動結果ほぼ計画通り
概要前半は、利用者本人を医療機関や福祉事務所、職業紹介所などにつなぐケースが多かったが、最後4ヶ月の学校からつながる生徒のケースについては、そのご家族を相談機関につなぐことが多かった。包括的に考えれば、それも「夜の居場所」を実施した成果であると考える。
5政策提言。 事業終了後の調査研究により、行政等への政策提言を実施する。
活動結果遅延あり
概要肝付町教育委員会、錦江町要保護児童対策協議会、鹿屋市青少年問題協議会などで毎月の定例会を行い、夜の居場所の必要性の認識を行政内に広めることができた。 新たな事業への発展はまだ少し期間を要するが現在委託を受けている他の居場所事業の「増額」につながったことは一定の成果と考える。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

当機構において当初想定していた「夜の居場所」の利用者の背景は、「両親不仲・虐待・ヤングケアラー・孤独などで家の中に自分の居場所がない」というものだったので、主に、行政の福祉課や子育て支援課との連携を進めてきた。しかしながら、行政がアプローチできるのは親なので、そもそもその親に課題があり、ほとんど利用につながることはなかった。そういった家庭環境にある子どもたちの中で、現在、中学生の子どもたちに対して学校や教育委員会も「なかなか家庭に踏み込めない」と問題意識を持っており、特に、「高校進学を控えている生徒」「このまま3年生になっても学業についていけないのが目に見えている生徒」に対して具体的な方策が出せない中、学校から「夜の居場所を活かせないか」という相談を受け、「夜の居場所」にて学習支援をおこなうことになった。学校紹介なので親とも面談ができ、生活や仕事の悩みなど当機構の本来支援として包括的な家族支援に発展したケースが多かったのは成果として捉えている。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

本助成事業終了後も自主事業として継続していく必要性はあると考えている。本助成事業のような夜からの時間帯だけでなく、放課後の時間帯から受け入れをすることで、当機構の昼間の活動である不登校支援と一部の時間帯は一緒に取り組むことができるので、人件費等の予算はこれまでよりも抑えることができる。また、昼間のスタッフが関わることで、家族支援など昼間におこなう支援を夜のスタッフがおこなわなくてもよくなるので、夜のスタッフの時間外活動の負担がなくなる。今後、不登校支援を通じて学校や教育委員会との連携はすでにできているので、福祉課等から親経由で子どもと関わるのではなく、子ども経由で家族丸ごと関わっていけるスキームの効果性を引き続きアピールしていきたい。

外部との連携実績

1活動学校・教育委員会との連携
実施内容学校・教育委員会から対象児童を紹介していただく。
結果・成果・影響等子どもへの学習支援を通じて家族丸ごと支援につながった。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

ラジオ:FMかのや

広報制作物等あり
内容

チラシ、当機構のHP

報告書等あり
内容

行政からの他の委託事業の報告と併せたかたちで提出

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
内容
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった
内容

変更なし。

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内容

定款には、社員総会と理事会の開催について定めており、いずれも定款の定める通りに開催している。

内部通報制度は整備されていますかはい
内容

「事務局規定 別紙 業務の分掌」に記載。
総務部に「内部通報窓口」を置いている。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
内容

「役員の利益相反防止のための自己申告等に関する規定」に則り、役員は毎年 4 月に当該役員の兼職等の状況その他前条の規定に基づく申告事項の有無及び内容について代表理事に書面で申告するものとしている。

コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
内容

「コンプライアンス管理規定」に則り責任者を配置。

ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

事業開始前に、ガバナンス・コンプライアンスの整備等を実施した。

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査および内部監査
内容

理事会での内部監査をおこなった後、外部監査をおこなっている。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

「夜の居場所」にて子どもたちの学習支援に携わるスタッフが、これまでのように「不登校」という軸が最初にあって背景課題に取り組むのではなく、どのような課題軸があるのかを探すところから取り組んでいけたのは、スタッフのスキルアップにつながったのではないかと思われる。
不登校支援の多くは親からつながることが多いが、「夜の居場所」を必要とする子どもたちは親からつながることがほとんどない。つまり、今後、卒業してしまうと学校や教育委員会とのつながりが途切れ、自らSOSを出せないと「孤立」してしまう可能性が高くなるということだと考える。家庭内の課題や子どもの発達特性など、他者には気づかれにくいことも多く、「孤立」から事件・事故に発展することも少なくはない。不登校支援とは違う関わり方ができる「夜の居場所」は、早期にそういったリスクの芽を摘むことができると考えると、非常に有効な取り組みである。

シンボルマークの活用状況

チラシ、当機構のHP