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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/04/01終了日 2024/02/29
対象地域大阪府大阪市中央区道頓堀、宗右衛門町エリア、天満橋
事業対象者

大阪ミナミの繁華街にSNSを介して集まる様々な背景を抱えて孤立する16歳から25歳までの若者

事業対象者人数

テント利用者150名、相談スペース利用者60名、ナイトユースセンター利用者100名

事業概要

大阪有数の繁華街であるミナミの場所には、虐待やDVなどで家庭に居場所がなく孤立する若者がSNSを介してつながり集まります。風俗街もあり、若者が性搾取や犯罪につながやすい地域です。テントを設置し、食事、生理用品などを無償提供し、生きることに精一杯で犯罪につながやすい若者と関係性をつくり、雑談の中から困りごとを拾います。また、静かな場所で個別に困りごと話せる相談スペースを設け安心して相談ができる体制をつくります。大阪では、日本国際博覧会開催に向けて路上を整備していく動きがあります。今後若者が集まる路上での取り組み回数を減らさざるを得ない可能性があり、若者が集まれるナイトユースセンターを開設します。

事業の総括およびその価値

東京トー横、大阪グリ下、名古屋ドン横、福岡警固、札幌大通など日本の繁華街で若者が集まる現象が起きている中、本事業を通じて2番目に規模の大きい大阪グリ下でのべ3549名、ユニーク数692名の若者が利用する場所をつくることができたことが価値である。また、居場所の提供にとどまらず、個別の相談や情報提供、ひとりひとりのペースに合わせて関係機関とつなぐ同行支援まで取り組むことができた。繁華街での路上アウトリーチ方法や食事・Wi-Fiなどの居場所で必要な要素、具体的にできることの提示や複数の相談方法を用意することといった相談に必要な要素、同行支援時のポイント、必要な連携機関など、繁華街のユース支援に必要な要素と課題を見つけることができた。本事業を通じて、繁華街における活動のモデルをつくり、他地域に展開する1歩を踏み出すことができた。

課題設定、事業設計に関する振返り

①相談や今後のことを考えるにも気力体力が必要なことから【食事・仮眠・イベント等でエネルギーを貯める機会】をつくること。②否定されてきた経験による不信・あきらめではなく、「期待を持ってもいいかもしれない」「自分の気持ちを言える経験として、【自分の意見が尊重され、自治的な経験ができる】③本人をだまそうとする人ではなく、【本人のこれからにベストな選択を探そうとする大人との出会いをつくる】ことをコンセプトに活動した。③に関しては適切な設計であった。一方②に関しては、意見を聞きながら備品を考える取組を行ったが、意見を言える方の声が通りやすいことが課題となった。①に関しては食事・仮眠は適切であったがイベントについては、参加できない自分と他者を比較してしんどさが増す方もいた。同行支援と同じく、わかりやすいイベントや企画よりも小さくひとりひとりの声を聴き、反映させていくことを積み重ねる活動を重視したい。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1・大阪ミナミでのべ1300名以上がテントを利用し、スタッフや協力機関などとつながりをつくることができている。
アウトカム:結果同行支援数159回。同行支援を重ねる中で、家やユースセンターで集合して一緒に行かないと協力機関に行けなかった方が、現地集合ができるようになった。また協力機関との会話もほとんど代理で行っていた方が自分で困っていることを話せるようになった。D×Pの同行がなくても支援機関に連絡を取ったり相談できるようになった方もいる。
アウトカム:考察同行は当日キャンセルが起こりうる。しんどさを抱えていたとしても当日に気力がないことなどがある。また、キャンセルをすると相談ハードルが上がるため、次の約束をこちらから声をかけることが大切である。出会いから協力機関につなぐまで数週間~1か月の機関で行った場合はつながった後に大きく躓くこともあった。躓くことは悪くないが、他機関からの信頼が減るため、小さなステップで時間をかけて進めていくことも重要である。さらに、相談することは現実に向き合うことでもあるのでしんどさが一時的に増す。その時に気持ちを聴く時間やストレスを解消する時間も一緒に取ることが重要だと感じる。
2・ナイトユースセンターが繁華街の中の居場所となっている。
アウトカム:結果ユニーク数692名が利用し、その利用きっかけのほとんどが口コミであることから繁華街の中の居場所になっていると言える。
アウトカム:考察アウトプット欄で記載したようにグリ下が居場所を求める若者が集まる場所になっていることから、繁華街に安心して過ごせ、相談できる環境・人と相談先まで一緒に行く人と出会える場所があることは困りを抱える若者にとって必要な取り組みであると考えられる。一方で性の相談や生活の相談が多いことからも、繁華街で過ごす中でさらに困りごとを抱えてきた方も多い。そのため生活を立て直していく中で繁華街から離れるということも選択肢に入るが、居住地に戻ったときに通える居場所がないという課題に直面することがある。居場所をつくる・見つける力をつける、他の居場所につなぐなどの展開が今後必要だと考えられる。
3・商店街や地域の人に理解を得られている。
アウトカム:結果下記のような事例があり、地域の中で徐々に理解を得られている状況である。 ・グリ下に関わる関係機関や地域団体/商店街の集まる会議(グリ下会議)の構成員として会議参加。 ・地元商店街のイベントの手伝い/企画に参加 ・地元飲食店から食品/食器の寄贈
アウトカム:考察結果に記載のような活動を通じて活動についてご理解いただく機会を持つことができた。関係性が悪くならないことは最低限ではあるが、若者を気にかける大人が繫華街の中に増えていくことが理想である。様々な飲食店や若者文化に近しいお店も立ち並ぶ土地柄であるため、希望に応じて街のお店を回る機会や町の人に関わる機会を引き続き模索していく。
4・大阪市中央区の福祉課の若者支援において、D×Pの取り組みがベストプラクティスとして紹介される
アウトカム:結果「大阪市中央区地域福祉ビジョン2023~2025」の具体的な取組みの中にテントを取り上げていただいた
アウトカム:考察活動の趣旨や利用人数、同行支援数などから取り組み事例として取り上げていただくことになった。一方で実施初年度ということもあり、データ取得のハードルが高く、繁華街の実態を定量化するまでには至らなかった。次年度は定量的なデータを取得し、具体的な政策提言に向けて動いていきたい。

アウトプット

11.大阪ミナミでのべ1300名がテントを利用し、スタッフや協力機関などとつながりをつくることができている。
指標1.利用者数をカウント
目標値・目標状態1.1300名がテントを利用。
アウトプット:結果のべ314名、ユニーク数69名がテントを利用した。一回の平均利用者数は26名だった。 ユースセンターとテント比較した際に1日の平均利用者数は約2倍の差があった。テント利用者の年齢は10代後半~20代前半が大半を占めていた。
アウトプット:考察ユースセンターになり、時間の増加や土曜日の実施により、仕事・学校などの理由で平日は繁華街に来ていない層など利用できる幅が増えたことが利用者数の増加や層が多様になったと考える。また、空調・食事・ゲームなど環境面の変化により雰囲気も明るくなった。一方でテントはほぼ毎回利用していたが、ユースセンターになって利用が減った方も数十人いる。本人の置かれている環境の変化も考えられるが、利用者数の増加・層の多様化・雰囲気の変化によって、繁華街の雰囲気を好んでいたり、集団にいたくない方は利用しにくい環境になっていることも考えられる。そのため、路上で繁華街の雰囲気がそのままある環境での活動も重要な取り組みである。
22.ナイトユースセンターをのべ3000名が利用。
指標2.利用者数をカウント
目標値・目標状態2.ナイトユースセンターをのべ3000名が利用
アウトプット:結果ナイトユースセンターにのべ3549名、ユニーク数692名が利用した。1回の平均利用者数は53名だった。利用者数が目標を大きく超えたが、D×P公式Xを見て利用した方と利用者のSNSを見て知った方が数名いるのみで、テントからの継続利用か口コミでの利用が参加したきっかけの99%以上を占める。 月別の新規利用者増加数は6-7月が142名、10月が135名となり、以降8月、12月、11月、1月、9月、2月の順に多い。2月は37名と最も増えた月と比較して100名の違いがあった。
アウトプット:考察グリ下での口コミがきっかけで参加している方が大多数であることから、ユースセンターの利用数と同等かそれ以上の人数がグリ下を利用していると考えられる。ここからユースセンターの利用者増加・多様化していることからもグリ下に来る人数も増え、層も多様になってるのではないかと感じる。ユースセンターを利用する方の中でグリ下の「古参」「新規」という言葉が使われており、古参の利用者の声を聴くと「家に帰ることができる人が増えた」との声もあった。グリ下ができた当初は、「すでに繁華街で過ごしていた人の集まり」であったのが、現在は「居場所を求めて繁華街に出てきた若者の集まり」へと変化していると思われる。
33.ナイトユースセンター利用者が人と一緒に食事をつくる、一緒に食事をとる、季節行事などの本来家庭や学校で得られる機会が年間を通して定期的に体験できている状態
指標3.企画の実施回数
目標値・目標状態3.食事企画実施回数18回、季節行事企画6回
アウトプット:結果食事企画を63回、季節行事を6回実施した。
アウトプット:考察食事頻度については、「食事をつくってもらった経験がほとんどない」「1日1食くらいは食べる」などの声があり、十分な食事をとることができていない状況であったり、食事をとる習慣そのものがつくられていない方がおられる。 食事提供を続けていくうちに、利用者から「ありがとう」「うまかった」とキッチンスタッフへ声をかけていくことがあったり、「食べられないと思っていたけど、食べれた」という声もあった。家庭や学校などでの食事体験に否定的な感情が積み重なってきたことで苦手意識や食べない習慣があると想定されるため、ポジティブ食事体験を積み重ねることで食生活の改善のきっかけのひとつになるように感じてる。
44.ひとりひとりが声を上げやすく、声を上げたときに大人から何らかのリアクションがあることを経験できる状態
指標4.個別の面談・DM数及び声に対してのリアクション内容
目標値・目標状態4.個別面談・DM数50件及びそれに対してのリアクション記録が100%ある状態
アウトプット:結果DM対応者67名、個別面談や同行支援につながったユニーク数46名、個別面談のべ111人となった。 複数人でDMをチェックすることによってリアクション漏れがないように行った。 相談の内訳は「身体や心に関する相談」が最も多く、以下「住居やお金に関する相談」、「その他の相談」、「家庭に関する相談」、「進路・就職の相談」の順になっている。
アウトプット:考察相談はInstagramのDMからが最も多かった。利用者の多くが過去の経験から相談することにあきらめの気持ちがあるため、利用者の使っているSNSで窓口を設けたことが効果的だったと思われる。一方でユースセンター当日に相談が開始するケースもある。こちらは食事提供をする中での会話で普段の食事や生活状況について会話することを続けていくうちに、自分の置かれている状況を相談し始めることが多い。また、こちらができることを具体的かつ明確に伝える必要がある。「病院に同行できる」「無料で性病検査ができる」「食糧をもらえる」等、困り感を一時的に満たすことができるものがあることで、最初の相談につながる可能性が高まる。

活動

1・グリ下(大阪ミナミ繁華街)でテント設置:月3、4回程度、17-21時の間で若者が集まる対面での居場所。食物、衛生用品、生理用品などを無償提供します。
活動結果遅延あり
概要4-7月の金曜日に計12回実施した。グリ下から数m先にタープテントを2基と机4台、椅子20脚ほどを設置し、訪れる若者と時間を共に過ごす活動を行った。また、公式Instagramの紹介も行い、Instagramでの相談や相談場所への同行ができることの周知も行った。観光客の増加によるテント設置場所が確保しづらいことやテント利用者のほとんどがユースセンターも利用していることを理由に7月をもって休止した。
2・ナイトユースセンター:16-22時の間で週2回、若者が集まる対面での居場所を開催します。 (時間や頻度は変更となる可能性があります。)
活動結果ほぼ計画通り
概要グリ下から徒歩5分の場所にあるビルの1室(約50坪)を借り、食事・仮眠などができる場所を実施した。6月から週2回程度計66回実施した。また、実施日以外では寄せられた相談に対する個別面談を実施した。さらに、大人から否定された経験がある方も多いため、相談に行くハードルをさげ、人の手を借りてよかった経験になるサポートをするために相談先への同行まで行った。
3・クリスマス、お正月などの季節行事など文化的機会を提供します。 料理を一緒に作る、ゲームをする、若者の興味関心に合わせた企画の実施など、ひとりひとりの興味関心を深め、若者のこれからの選択肢が広がる機会をつくります。
活動結果ほぼ計画通り
概要食事・仮眠などで身体的な休息だけではなく、精神的にもエネルギーが貯められる機会として季節行事やゲーム、料理などの機会を提供した。今年度は利用者が主体となり料理作りをする機会や、スタッフが材料を用意して利用者が団子をこねるような活動など料理を軸にした機会を主に実施した。またひとりひとりの関心に応じた機会としては、街に写真を撮りに行くワークショップを1名と行った。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

・ODや飲酒、喫煙をユースセンターで禁止というルールをつくったことによって、利用者同士の中で、ODや喫煙、飲酒、家出を止めるような関わりが生まれ、ある種の自浄作用が発生した。
・大阪府社会福祉士会や大阪市中央区人権啓発推進委員会の講座・勉強会に登壇依頼をいただく機会があったり、自治体の紹介を受けて保護者からの問い合わせがあるなど、グリ下に取り組む団体という認識が府内各所に持っていただいている。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

事業開始当初に比べて、観光客の増加が目立ち、グリ下に外国人がたむろする姿も目立つようになった。また、前述したように利用者層の変化もあることから、もともと繁華街で過ごしていた若者たちの姿が見えづらくなっている。グリ下に流入する方は現在の方式でリーチできると思うが、もともと繫華街で過ごしていた若者たちにリーチする方法は別途検討が必要である。路上の活動は現在の環境では難しいため、今つながっている方を対象層にユースセンターをアレンジしたものを実施し、口コミが広がる形式を検討する。
また、現在の活動は下記の目標で次年度は活動する。
①前述したように周囲と自分を比較して、何もできない、人と違うということに傷つく利用者もいるため、「何もできない気持ちをそのまま否定しない非交流的な日」と「何かしようかと思ったときに機会と出会える交流的な日」をつくり、それぞれの日によってユースセンターの雰囲気を変化させます。
②ユースセンターの運営~同行支援まで実行して成果を出すことで精一杯であった。次年度はマネジャーから権限委譲と定期的な休館日を設けることで余白をつくり、質の向上・業務効率化にも力を割きたい。

外部との連携実績

1活動株式会社ネクイノとの連携
実施内容https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000021661.html
結果・成果・影響等性や身体についての相談が多いが、スタッフから具体的な回答はできないため、つなぐまでに時間がかかっていた。この連携によって専門家に直接相談できるようになり、相談のハードルを下げることができた。
2活動同上
実施内容https://nextinnovation-inc.co.jp/news/41UeqncPGXqEqhyoLDQlbN
結果・成果・影響等費用の問題で検査ができない方が検査を受けられたり、スタッフが検査のための同行支援をせずに済むことから、利用者にとってもスタッフにとってもよい連携となった。
3活動婦人科との連携
実施内容経済的困難にあるなど様々な境遇において婦人科にアクセスしづらい若年層が自分の体と心を守れるように、診療所の紹介・利用者の同行支援や事情に応じてD×Pから医療費支援を行う
結果・成果・影響等スタッフが同行することや若者の背景を知って診察してくださるため、診察にハードルのある利用者も安心してつながることができた。
4活動社会福祉協議会
実施内容ユースセンターへの出張相談
結果・成果・影響等窓口まで行く場合は数回キャンセルがあった若者が、ユースセンターで相談できることによって相談につながり、相談までのハードルが下がった。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

POPEYE(ポパイ) 2023年 11月号(発売2023.10.06)

広報制作物等なし
報告書等なし

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内容

理事会は2023年5月23日、2024年2月8日に実施しました。

内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部通報者保護規定を作成しています。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
内容

特に役員との取引について利益相反が起きていないか法務担当が確認を行っています。また、寄付者等関係者との取引についても同様です。

コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
内容

コンプライアンス委員会を2024年1月に実施しました。

ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

これまで法務は経理と兼任で業務を行っていましたが、法務で新た採用を行い専任スタッフが3月から入社しました。
また、法務と各事業部門とのリスク会議を開催し、法令遵守に努めています。

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査および内部監査
内容

5月に公認会計士による外部監査を実施予定です。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

支援に必要な連携団体とのコネクションは各現場で持っているが、事業の相談ができるコネクションを代表以外が持つことができると組織は強化されると感じている。本事業において事業マネジャーが他の実行団体の皆様と関わることで、今後の事業展開やマネジメントについて相談できるつながりができた。

シンボルマークの活用状況

今回の助成金を使って購入しました備品(例えば冷蔵庫やハンモック)などにシンボルマークを貼っています。