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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/06/02終了日 2024/02/29
対象地域主に京都市内
事業対象者

職や人間関係に不安を抱えている10代~40代若者

事業対象者人数

のべ50人

事業概要

2020年以降、若者からの失業相談が相次いだ。コロナ禍で雇い先も人件費を削減せざるを得ない中、学生や非正規雇用者が勤務日数を減らすよう雇い主から言われ、職を失うケースが多く見受けられた。当法人は主に子ども若者が過ごせる居場所の提供をこれまで行なってきたが、仕事という「役割」や「ポジション」、「居場所」を失った若者たちが望んだのは多くが「役割取得」であった。居場所利用で来た若者の多くが「何か手伝えることがあればやりたい。そのほうが安心する」と言い、ただその場にいられる安心感よりも、自分がここにいてもいい存在の承認を求めていた。そして「誰かの役に立てる」ことが「この場所にいてもいいんだ」という安心感につながり、自己肯定感にもつながっていった。「ごはんが食べられない」理由が経済的問題だけでなく、メンタルが影響している若者がジェンダー関係なく増加した。「誰かと一緒だと食べられるけど、コロナ禍で誰かとご飯を食べることも制限されて、しんどい」というニーズを受けて、コロナ以前に行なっていた若者のご飯会を再開。人と人との接触の機会の減少が、上記にあげた「役割喪失」や「孤立」に直結していると痛感した。
そこで、学校生活や職場等における人間関係に不安を抱える若者、職や居場所を失い、焦燥感が強く出ている若者を対象に、9時~22時までいつでも自由に利用できるフリースペースの開放を行う。無料でカレーを食べられる仕組みを作り、孤食や食の貧困にもアプローチしていく。当法人の既存事業において居場所の提供だけでなく、食のサポートや就労サポート、必要に応じて住居の提供・サポートを行う。居場所や対人交流を通じて、「誰かとつながる」ことへの精神的ハードルを下げ、孤独・孤立感の減少と存在承認による自己肯定感の増加を目指し、若者の自立の促進につなげていくことを目的とする。

事業の総括およびその価値

就労サポート4名、トライアル就労6名を採用。体調面、メンタル面ともに不調の時期が続く若者もいたが、しばらく休んでまた戻ってこれるような緩やかな継続もでき、「仕事に行けなくなったら辞めさせられる」といったこれまでの経験からくる不安の軽減にもつながった。就労面のサポートだけでなく、メンタル面や生活面、人間関係の不安など、本人が抱えるしんどさを、ソーシャルワーカーが本人からの聞き取りやケースカンファレンスをもとにアセスメントし、迅速な対応を行うこともできた。
若者交流会では、毎月のご飯会だけでなく、山登りや宿泊などイベントも開催し、新たな横のつながりもできた。イベントを通じて新たな居場所活動が始まるなど、法人の事業の発展にもつながった。
新たに引きこもり支援団体ともつながり、就労サポート者の紹介・情報共有・連携を図った。相談の件数も増え、今後はスタッフのスキル強化にも努めていく必要を感じている。

課題設定、事業設計に関する振返り

若者の就労サポートの場として、常設されているコミュニティ・カフェ「すずなりランタン」を使用したことは大きな利点だった。アクセスしやすく、カフェ業務など仕事のイメージもつきやすかった。2階には事務スペースを構えているため、スタッフと一緒に事務作業をしてもらったり、マルシェで売るためのアクセサリーをつくってもらったりとカフェ業務以外の就労にも取り組むことができた。また、これまで当法人が行なっていた食を通じた若者交流会も、山登りや宿泊などイベントを交えて開催することで、新たなきっかけでつながることができた若者もいた。居場所を通じたつながりのきっかけ、就労サポートを通じた次のステップへの伴走と、当法人の「居場所事業」「相談サポート事業」の発展にもつながることができた。若者の孤立心に対し、役割を取得することで得られる安心感や承認欲求など、メンタル面の安定にもつなげることができたと感じている。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1一定期間以上自宅以外で過ごす時間が少なくなっている若者が、週に数回当法人の居場所事業につながり、自宅以外の場で過ごす時間を確保する
指標若者へのアンケートによる居場所状況の変化
目標値・目標状態事業実施前と比較し、自宅以外の場で過ごす時間の増加
アウトカム:結果時間の増加有。
アウトカム:考察当法人の居場所事業や就労サポート事業につながることはもちろん、それ以外でもコミュニティ・カフェに顔を出しスタッフと交流を持つようになったり、2階のフリースペースで過ごす若者もいた。勉強をフリースペースでする若者の姿もあった。これは、これまで家(もしくは学校や職場)のみだった本人の居場所の選択肢が増えたことが大きな要因と考える。当法人の居場所やスタッフと一緒に過ごすことで、本人にとっての第三の居場所となり、自宅以外でくつろぐことができる場所の選択肢のひとつになったのだと考える。
2当法人居場所事業につながった若者が、つながる以前の状況より孤独・孤立感が減少している状況にある
指標若者へのアンケート・インタビューによる孤独・孤立感の変化
目標値・目標状態人とつながることによる本人の感情の変化がポジティブに働く
アウトカム:結果変化あり。
アウトカム:考察居場所活動や就労を通じて、スタッフとの対話を通じて、日常生活の中でも良い方向に変化していったと話す若者もいた。これまで対人依存の傾向があった若者が、自分の時間も他者との時間ももてるようになり、精神的孤立をあまり感じなくなったと話してくれた。本人と話をし、日常の安心感が対人依存の傾向の減少にもつながったこと、スタッフが否定せず受け止めながら話を聴いてくれていたことが「精神的孤立の減少」につながるのだと分析した。また、同世代の「若者サポーター」が若者と一緒に並んで同じ作業をすることで、言葉にしなくとも精神的に支えられたことも大きな要因として考えられる。

アウトプット

1場の周知ならびに若者同士がつながることができる場の増加
指標・参加者数 ・当法人SNS登録者数
目標値・目標状態・参加者数のべ50人 ・登録者数のべ300人
アウトプット:結果概ね計画通り
アウトプット:考察居場所活動の参加者はのべ120人だった。月平均で計算すると10人以上の利用があったことになる。若者向けのご飯会だけでなく、お泊まり会・山登りにも多くの参加者が集まった。その中には「今まで知ってはいたけど初めて参加しました」という若者もいた。普段の居場所活動だけでなく特別なイベントも需要があることが分かった。 SNS登録者数(LINE)は300人。まだまだ登録者数としては少なく、多くの人に当法人の活動を届けるよう工夫が必要であると感じている。更新頻度なのか使用するSNSの種類なのか、問題・懸念点は模索中である。
2若者の現状を発信し、周囲の理解促進につながる
指標・SNS発信や若者の声を届けるイベントの開催 ・若者の声を届けるインタビュー誌の発行
目標値・目標状態・参加者数のべ50人
アウトプット:結果概ね計画通り
アウトプット:考察若者の現状や理解を促進するために、若者主催の地域向けイベントは企画は行なったものの、若者の状況により実行まではかなわなかった。発信としては、休眠預金の報告書内に若者の声を届けるインタビューコーナーを設け、当法人の寄付者をはじめとした約100人に配布した。今後もイベント、冊子配布共に継続しておこなっていくのと同時に、SNSでの発信を積極的におこなっていき、若者の現状を周囲に伝えていく。ただ、各種SNSがあるがどの形態で発信するのがいいのか、どのような内容で発信していくのがいいのかは、発信を考える中で大きな課題である。
3困難を抱える若者をサポートする団体のネットワーク構築・情報共有の円滑化
指標・参加団体数
目標値・目標状態・参加団体10団体以上
アウトプット:結果未達成
アウトプット:考察ネットワークの構築まではいかなかったが、必要な団体につながったり、団体への紹介や連携は今まで以上に行うことができた。これまでつながりがあった行政や社会福祉協議会、若者サポートステーションに加え、新たな団体として引きこもり支援団体などとのつながりが生まれ、そこからの紹介で若者がsaculaでの就労サポートにつながったケースがいくつもあった。つながった団体が他団体ともつながりが持てるような仕組みづくりを模索していくことが今後の課題である。まずは情報共有の円滑化のために、情報の集約について模索し、その情報をもとに対面等での共有の場をつくることでネットワーク構築につなげていきたい。

活動

1【フリースペース事業】9時~22時まで自由に出入りし過ごすことができるフリースペースの開放。同スペースに事務スペースを設け、スタッフが常駐。互いに意識しつつ関わることを無理強いしない空間を作り、必要に応じてスタッフと雑談や相談ができるようにする。読書や勉強(必要に応じてサポート可)、睡眠スペースも設ける。必要に応じて、22時以降の宿泊も同スペースでできるようにする。
活動結果計画通り
概要11月以降は常駐スタッフを徐々に増やすことができ、就労や居場所、話し相手がほしい、といった様々なニーズにも対応できるようになっていった。就労サポート枠の若者が、仕事の合間に休憩や仮眠等をとるなど、スペースの有効活用ができていると実感している。緊急宿泊対応もおこなった。今後はますます夕刻以降の居場所のニーズにも対応できるよう、スタッフの体制強化を図っていく必要がある。
2【食事サポート】9時~22時まで、いつでも無料で食事を提供する。フリースペース1階にてカフェ事業を行い、飲食が無料でできる仕組みを整える。
活動結果計画通り
概要無料での食事提供「ギフトカレーチケット」の利用数は、約250食。一人暮らしやパートナーと暮らす若者に、食糧配布や食糧を自宅に届けるなど、アウトリーチにつなげることもできた。緊急時にはコミュニティ・カフェにてカレーだけでなくおばんざい等の食事の提供に加え、家でも食事ができるよう、数日分のテイクアウトを用意するなど、柔軟な対応もおこなった。
3【就労サポート】相談・必要に応じて、カフェ事業や法人事務業務にて就労体験・就労(トライアル)を行う。現在すでにニーズがあり、数人の就労体験を実施中。出来高制・時給制の仕事から自分のペースでできるものを選び取り組む。休憩が必要な際にはフリースペースでいつでも休むことができ、徐々に勤務時間や日数を伸ばし、当法人以外の就労につなげることを目的とする。自己理解ワークやソーシャルスキルトレーニング等も行う。
活動結果計画通り
概要長期の就労には至らないケースもあったが、多くが新たに自分の長所やスキル獲得を経て就労意欲が高まり、時間や日数が増加した子や、他所のアルバイト採用につながった若者もいた。 長期の就労に至ったケースの背景には、就労内容の幅と休憩の取りやすさにあった。特に就労の幅については、当初はカフェ業務を想定していたが、アクセサリー作りやパソコンを使っての事務作業など個人の能力にあった就労を提供することができた。
4【若者交流会】月に2日ほど、若者の食事兼交流会を行う。同世代の法人スタッフや40代以上のマダムサポーターも参加し、若者同士の横のつながりやコミュニケーション能力の向上を目的とする。
活動結果計画通り
概要毎月10名ほどの若者が参加。ご飯会だけでなくイベントも開催し、新たなつながりもつくることができた。特に宇多野ユースホステルを利用しての若者お泊り会には、21名の参加者が集まった。イベントのプログラムは基本自由参加としていたが皆積極的に参加していたことが印象的だった。参加者同士で焚火を囲んで語り合ったり、深夜だからこそ話せるコミュニケーションが生まれていた。
5【若者支援団体のネットワーク構築】公益財団法人京都市ユースサービス協会と連携し、京都で活動する若者支援団体の定期的な交流・情報共有の機会をつくる。これまで数回行われていたが、ほとんどがオンラインだったため、対面での交流・情報交換の機会を当法人の活動スペース等も活用し実施する。
活動結果遅延あり
概要ネットワークの構築まではいかなかったが、必要な団体につながったり、団体への紹介や連携は今まで以上に行うことができた。新たな団体とのつながりが生まれ、そこからの紹介で若者がsaculaでの就労サポートにつながったケースもあった。つながった団体が他団体ともつながりが持てるような仕組みづくりを模索していくことが今後の課題である。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

就労サポートの4名は全員在学中の高校生で、当初想定していた20~30代の年齢層よりも低い結果となった。しかし、在学中の高校生は若者サポートステーションの利用が対象外、診断や障害者手帳等がない場合は多くのサポートや支援からこぼれてしまうが、いわゆる公的支援の対象外である彼らの中にもメンタル面等に不安を感じる子は多く、就労をはじめとした様々なサポートに対するニーズが高いことも改めて分かった。
また、就労と同時に居住の相談も相次いだ。「住むところがないから仕事ができない」という相談も行政を経由して受け、就労サポート以前のアクションとして不動産同行や契約書類作成の伴走などの居住サポートもおこなった。「自分は普通じゃない」「自分はみんなより劣っている」と自分自身で呪縛をかけ、さらにしんどくなる子に対し、不安な気持ちに寄り添い伴走するサポートの必要性も感じた。若者が安心して就労や生活ができるよう、就労サポートを継続しつつ緊急対応も含めた住まいのサポートも必要だと強く感じている。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

子ども若者が抱える不安やしんどさに対して、どれだけ「安心、安全」を生み出すことができるかが、居場所を作る団体に求められていることだと強く感じた。自己のスキルや能力の向上が大きく自己肯定感につながるとは限らず、その事象を通じてどれだけ他者に評価してもらえるか、受け止めてもらえるかが重要で、他者の受容を実感して初めて「自分はここにいてもいいんだ」と「安心、安全」や承認欲求の満たされを感じ、不安やしんどさの軽減にもつながると実感している。来年度はスタッフの傾聴・受容スキルを高める研修の機会も積極的に持つことを計画している。それと同時に、「居住地の安心、安全の確保」にもつなげ、ジェンダー関係なく暮らすことができるステップハウスやコレクティブハウスの運営につなげていく。

外部との連携実績

1活動就労サポート
実施内容引きこもり支援団体Lコネクトから、就労サポート希望者の相談を受ける。
結果・成果・影響等面談を行い、就労サポートもしくは居場所事業につなげる。1名は就労サポートにつながり、週1回実施。本助成終了の2月以降も継続し、3月は週2~3日の就労に増やし、本人のスキルアップにつながっている。
2活動居場所事業
実施内容区役所や市社会福祉協議会等から若者の相談、居場所事業につながる。
結果・成果・影響等居住の相談や就労の相談だけでなく、「話し相手を探している」などの相談にも柔軟に対応。常駐スタッフが増え、法人のジェンダーバランスも調整できたため、最近では若年男性の居場所の相談が増加した。
3活動居場所事業
実施内容不登校親子の会と共同で行なったイベントをきっかけに、新規クローズ事業につながった。
結果・成果・影響等お泊まりイベントをきっかけに、意気投合した彼らが定期的に行ける活動として週に一度クローズの事業を1月より開始。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・youtube「フクシの未来デザイン研究所」
https://youtu.be/KKJ-4IfnyyA?si=goz5- KgUatSN92Ts
・2023年10月23日京都新聞朝刊「福祉のページ わたしの現場」
https://fukushi.kyoto- np.co.jp/column/genba/ge231023.html

広報制作物等なし
報告書等あり
内容

コミュニティカフェを利用した就労サポート 活動報告書
https://drive.google.com/drive/folders/1uA-W5luOAhP-FwfI4GtpWr8qkDCd1AXs?hl=ja

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更があり報告済み

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

代表理事もしくは業務監事を窓口とし、スタッフの相談先として整備。代表理事への相談が数件あり、業務監事への報告・相談に加え、臨時理事会の開催などで法人としての対応を検討した。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

2024年3月を決算の〆とし、4月に法人の他事業と併せて会計監事による監査を実施予定。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

シンボルマークの活用状況

就労現場の整備として、棚や消耗品を多く購入させていただいた。また、スタッフ事務や若者の就労時の作業用にノートパソコンを複数台購入した。購入したそれぞれにシンボルマークのシールを掲載している。