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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/07/01終了日 2024/02/29
対象地域長野県(中部圏域)
事業対象者

最終受益者は困り事を抱えたすべての人であり、街が社会的インフラ化していくことですべての市民にとって有益な場作りとなることを目指す。
中間受益者としては、家庭内の問題を抱え精神的な逃げ場や、日常を離れる場や、問題解決のための支援を必要としている人。
生活困窮等により住居や食料を必要としており、孤立している人。
就労や自立に困難を抱え、居場所や人の繋がりを必要としている若者。

事業対象者人数

500人

事業概要

この事業は上田の街中を社会的インフラ化することを目指し、それのプロセスを可視化し共有していくことで、この社会的困難を打破する道を示そうとするものである。令和4年の自殺者数(厚生労働省発表)は前年比で874人増と、依然深刻な社会状況であり、特に虐待やDVなど家庭内暴力の相談件数は過去最高を記録し続けている。また自殺の原因・動機をみれば1「健康問題」2「家庭問題」3「経済・生活問題」4「勤務問題」の順で著しく増加しており、多岐にわたる問題があるにも関わらず、そうした問題は個人や家庭の中に押し込められていることが伺われる(当法人が前年度に相談者に行ったアンケートでは60%以上の人が相談支援を必要としていながら繋がれずにいたことが分かった)。この事業はまずLINEによる敷居の低い相談受付を窓口を起点とし、安価で気軽に街中のゲストハウスに一時宿泊ができ、またそこから相談支援や各種コミュニティや就労支援に繋がることができるという、一時宿泊をきっかけにした相談支援事業(やどかりハウス)であり、またその伴走支援をきっかけに街に「助かる場」を増やすために街の社会資源に働きかけを行う取り組み(のきした)である。
取り組みの内容としては、一時宿泊(やどかりハウス)を起点とした伴走支援を行う中で、有償ボランティアによる就労体験場を街に増やすことや、無料で食べるイベントを市民ボランティアの主体によって行うもの、またインタビューによる社会的インフラとなる場や人の可視化など「支援」と「街作り」を連動させて活性化させてく取り組みとする。またそうした取り組みのプロセスを可視化した成果物を出すことで、困りごとを抱えた人たちの存在を可視化し、社会課題を明らかにすること、またそうした困難を打破するためのチャレンジを、相談支援という閉ざされた場ではなく、人々の生活の場(街)の中に生み出していくことを目指していく。

事業の総括およびその価値

事業全体で目標を上回る成果があった。当事業は街中に困り事を抱えた人が登場すること、そこから社会を変えていくことが目指された。行政の一時保護の40倍の人達が利用したこと、また当事者に向けて行ったアンケートで70%の人が相談行動がうまくいっていなかったことも分かり、行政の支援施策の隙間に多くの人が落ちていることが明らかになった。そうした状況が見えてくるなかで、集まった当事者達を起点としながら街の社会資源をいくつも創出することができたことは当事業が目指すことが達成された大きな成果と言える。またそうした活動が評価され、連携先である犀の角の代表が文部科学大臣賞を受賞したこともその社会的意義が大きいことを示している。また、集う当事者達が自らコミュニティを創出し、県にその声を届ける運動(長野県困難を抱える女性支援基本方針パブリックコメント50通を提出)が展開できたことは今後の運動に繋がる成果と言える。

課題設定、事業設計に関する振返り

気軽に一時宿泊が出来るという入口を設置し、集まる人達を起点に社会作りを行うという設計が一定の成果を出したと考えている。1年で153名の人と繋がり伴走支援を展開する中で、行政の支援窓口担当者達との連携も深まり広がった。また街の社会資源を使って支援展開を行うことで、街の企業や店舗が困り事を受入れる場を次々と作ってくれたことは、街に社会資源を創出することに繋がった。行政の支援窓口の40倍近くの相談者を受け入れてきたことは、事実として行政窓口の在り方や施策がニーズにあっていないことをアドボケートする上で重要な成果となった。この現状を可視化することも事業で取り組むことが出来たが、そこはまだ足りていない。事業の設計としては、この現実をこの場に作り出すことが役割として大きく、この現実を可視化し運動として大きくする「社会化」が今後の大きな課題となる。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1一時宿泊への利用をきっかけに、家庭不和や生活困窮など困り事を抱え孤立していた人に安心した避難所や居場所ができ、またその後の支援やコミュニティに繋がる機会が出来る
指標一時宿泊利用者数 コミュニティ参加者数 やどかりシネマクラブ参加者数 利用者アンケートやヒアリングによる評価
目標値・目標状態宿泊数:100名 コミュニティ開催数:30回 コミュニティ参加者数:のべ100名 シネマクラブ参加者数:40名 アンケート「居場所ができた」と答えた人の割合70%
アウトカム:結果宿泊数:153名 コミュニティ開催数:28回 コミュニティ参加者数:のべ418名 シネマクラブ参加者数:42名 アンケート未実施
アウトカム:考察全体的に目標値を大きく上回る利用があり、コミュニティの創出についても予想を上回る成果があった。特に女性の自立に向けた茶話会は一時宿泊を利用した相談者が呼びかけ人になり始まった会で毎回たくさんの利用があり、ネット上の居場所オープンチャットには42名が参加し、日々対話が行われている。一時宿泊を利用した人達がむしろコミュニティの担い手になるということが実現しはじめており、今後も大きな社会資源の一つになっていくと思われる。
2街の中に社会的インフラとしての機能を新たに経験をする企業や店舗が生まれ、困り事を持った人を受け入れる余地が街に生まれる
指標就労体験としての有償ボラ受け入れ箇所数 インタビュー調査による評価
目標値・目標状態受入れ場所:10ヵ所 インタビューによる言語化
アウトカム:結果受入れ場所:12カ所 事業終了後に業務提携を行うことができた
アウトカム:考察予想を上回る受け入れ箇所を獲得できた。また一つの企業とは事業終了後も業務提携を行いやどかりハウスを利用する人が週一回店番をする日を作ることが出来たことは、大きな成果と言える。街中が社会的インフラ化した一例と言える。
3困り事を抱えた人が気軽に相談や居場所に繋がれるツール(LINE)に登録し、情報を日常的に得る人が増える
指標LINE登録者数
目標値・目標状態LINE登録者数:500名
アウトカム:結果LINE登録者数:599名
アウトカム:考察新規登録者271名(合計599名)と予想を上回る登録があった。またこちらからの呼びかけは活発化し、長野県の困難を抱える女性への支援基本方針パブリックコメント募集では50通集まるなど一つのコミュニティとしての機能が果たせるようになってきたことは大きな成果である。
4街の中に「助かる場」があることが可視化され多くの人に共有される
指標のきしたmapの完成と配布数 ネット媒体への掲載
目標値・目標状態市内を中心に50か所以上に配布 ネット媒体への掲載
アウトカム:結果ワークショップ開催3回 市内5カ所に配布 ネット媒体でのお知らせ
アウトカム:考察当初の計画ではマップを市内に配布予定であったが「助かる場」より「助かる経験」を共有するというより効果が高いと思われる方法へとシフトチェンジし「助かるた」というカルタを作成。街の人達とワークショップを3度行い、出来た物は5カ所に配布する方向となった。街に住む人達の経験をシェアすることが出来たこと、またそれを成果物として作成することが出来た。配布箇所が予定より少なくなっているのは持ち帰り不可の成果物になったことによる。パッケージにマップを掲載し、今後も配置箇所が増える度にマップが変化することができる度に仕組みを施すことで、持続可能な成果物を作ることができたと考えている。
5困り事を抱えた人やそれを支えようとする人達や場の存在が可視化され、またその人達の言葉が多くの人に共有され、困り事を抱えた人達の理解促進に繋がる
指標のきしたjournalの発行数と配布数 ネット媒体への掲載
目標値・目標状態年3回の発行 市内を中心に51か所以上に配布 ネット媒体への掲載
アウトカム:結果年3回の発行 市内を中心に20か所に配布 ネット媒体への掲載
アウトカム:考察予定通り年3回の掲載を行った。配布場所については減っているが関係4団体が直接関わる関係者や各団体の活動の中で配布した方が効果が高いのではないかという振り返りのもと(お店への配布は他のチラシにまぎれてしまいもったいない)配布場所は効果が高いと思われる場所(役所関係課など)に限定し、各団体経由での配布となっている。また内容としては街に住む困難を抱える人達の言葉を多く掲載することができたことで、社会問題の可視化を行うことができた。また部数を多く刷ったことで、上田市のみならず、連携団体を通して全国的に配布を行っている。
6生活困窮や自立に困難を抱えている人(特に若者)が、就労体験や就労支援に繋がり自立に向けた活動を行うことができる
指標就労体験や就労支援に繋人数
目標値・目標状態就労支援連携数:のべ30回 就労体験者人数:のべ80名
アウトカム:結果就労支援連携数:のべ126回、308時間 就労体験者人数:のべ名126(実人数19名)
アウトカム:考察目標を大きく上回り、就労体験を実施することができた。一時宿泊を利用した若者の多くは自立できる経済力がないゆえに家庭での関係悪化などがあったが、有償での体験ができたことで、経済的な支援にもなりつつ、仕事体験をきっかけにして実際の就労に繋がったケースもあった。実際に経済的に困難を抱えた若者を支援する仕組みとして、高い効果を発揮する仕組みであることを発見することが出来た。
7困り事を抱えた人を支えるための連携の実績が積まれ、顔の見える連携体制が構築される
指標連携会議の実施回数 連携した機関の数
目標値・目標状態連携会議数:4回 連携機関:20団体
アウトカム:結果連携会議数:4回 連携機関:46団体
アウトカム:考察連携会議自体は予定通り4回開催。連携団体についてはケースの増加に伴って倍増している。連携会議を大々的に行ずともケースを通じた日常的な連携が行うことが出来ている。また社会福祉協議会や市役所福祉課との共同相談会などの企画を行うこともでき、その実施会議などケースや企画毎の会議は日常的に行えるようになっており、連携会議としてはもう少し少なくても充分であった。一方で連携しにくい市役所の課などもあり連携に結びつくために何が必要かはもう少し模索が必要であった
8若者が社会貢献や支援に携わる機会を作ることで、支援されるだけでなく自らも社会の一員としての役割や、それによる居場所を獲得し、コミュニティや就労などに繋がるきっかけが生まれる
指標ボランティアに参加した若者の数 インタビューによる評価
目標値・目標状態ボランティア数:100名 インタビューによる言語化
アウトカム:結果ボランティア数:110名 インタビュー記録在り(随時ネットやjournalにアップ予定)
アウトカム:考察18回行った食事会では毎回若者達を中心にボランティアを行い、灯油支援、各種コミュニティ、ワークショップなど当事業で行った様々な場でお手伝いを呼びかけたくさんの参加があり社会参加の機会保障となった。また出番が増えたことで、自己効力感が高まり、就労や引きこもり気味な状況から脱した若者もおり、効果は高かった。

アウトプット

1困りごとを抱えた人や、居場所を必要としている人が街のゲストハウスにワンコインで宿泊でき、安心して駆け込める場を得ることができる(やどかりハウス)
指標利用者数 宿泊数 相談対応数
目標値・目標状態利用者:50名 宿泊数:300泊 相談対応数:のべ200名
アウトプット:結果利用者:153名 宿泊数:500泊 相談対応数:のべ449名
アウトプット:考察全ての計画において大幅に予想を上回る成果があった。また利用者の抱える困難は複雑かつ深刻なものも増加し、こちらの対応を止めざるを得ない状況も生まれた。まだまだ多くの人たちが必要としている社会資源であることが言える。
2いつでもアクセスできるLINE相談につながり、コミュニティや食事会のお誘いやイベント情報を受けることができ、また困った時に相談が出来るようになる(やどかりハウスLINE相談)
指標友達登録数
目標値・目標状態登録者500名
アウトプット:結果登録者599名
アウトプット:考察新規登録者271名(合計599名)と予想を上回る登録があった。またこちらからの呼びかけは活発化し、長野県の困難を抱える女性への支援基本方針パブリックコメント募集では50通集まるなど一つのコミュニティとしての機能が果たせるようになってきたことは大きな成果である。
3市民のボランティアで行う無料で食べることができるイベントを定期開催することで、市民の助け合いの経験や市民活動経験をする人が増える(のきしたおふるまい)
指標イベント参加人数 イベント参加ボランティア人数
目標値・目標状態参加者:400名 ボランティア150名
アウトプット:結果参加者:365名 ボランティアのべ182名
アウトプット:考察当初想定していた大型イベントは少なくし、月一回の少人数での開催に切り替えて開催した。結果としては人数は計画とさほど変わらず参加者を集めることが出来た。ボランティアについても結果として計画を上回る参加があった。毎月13日と決まった日に行うことや、無理なく開催することで参加のハードルが下がったことが要因と思われる
4上田地域の官民を超えた連携のための会議が開催される(のきした連携会議)
指標開催数 参加団体数
目標値・目標状態開催数:年4回 参加団体数:5団体×4回
アウトプット:結果開催数:年4回 参加団体数:のべ24団体
アウトプット:考察開催数は4回でのべ24団体が参加した。会議への参加団体は多いわけではなく固定した団体での開催となったが日常的な連携においては46団体と多数の団体と連携を行うことができた。そうした連携を広げるにおけるプラットホーム的な役割を担うことができた。
5孤立を抱えている人や居場所を必要としている人が街の映画館を居場所として利用することができる。また映画館側に困り事を抱えた人に向けた映画の選定やイベントを企画してもらう。(やどかりシネマクラブ)
指標やどかりシネマクラブ参加者数 イベント開催数
目標値・目標状態利用者数:40名 イベント開催数:8回
アウトプット:結果利用者数:42名 イベント開催数:5回
アウトプット:考察映画館との連携による企画を行った。映画の内容などに併せて映画館との連携を行うことができ、また利用者も目標を達成し、ひとつのコミュニティとして街中を社会的インフラにするということができた。イベント回数は、映画館との調整で当初計画よりは少なくなっているが効果的なイベントを行うことができた。
6就労や自立に困難を抱えている人が、街中で有償ボランティアによる就労体験をすることができる(のきしたしごと事業)
指標就労体験実施時間 体験者人数
目標値・目標状態実施時間:40時間×8か月 体験者人数:10名×8か月
アウトプット:結果実施時間:308時間 体験者人数:のべ126名
アウトプット:考察おおむね目標通りであった。体験人数は目標を上回っての利用があった。経済的に困難を抱える若者が多い中、気軽に有償で職業体験が出来る機会は効果が高く、実際の就労に繋がった若者も数名おり、若者支援の方法として効果が高い実践と言えることが分かった。
7街中の社会的インフラとなる場が可視化され市民に共有される(のきしたmap事業)
指標のきしたマップの作成
目標値・目標状態のきしたマップ完成 市内を中心に50か所以上に配布
アウトプット:結果ワークショップを3回開催 完成した成果物を5カ所に設置
アウトプット:考察当初計画していたマップは、地域の人達も一緒に議論する場を経て街の場所をマップ化するより、やどかりハウスに集まってきている人の経験をマップ化する方が効果的であり、またそれを作る過程で街の人たちとその経験を共有する場を持ち、そのプロセスを成果物にして街におくことで、マップ以上の効果を発揮するのではないかと言葉になり、それぞれの「助からないエピソード」をかるたにする「たすかるた」作りへと変化した。ワークショップを地域の福祉事業所と連携して3度行い、地域の参加者も多く、成果物を作ることができた。設置個所が目標より少ないのは、成果物の形態がペーパーからカルタに変わったことによる
8月一回、誰でも来ることができる無料の食事会が開催される(やどかり食堂)
指標参加者数 開催数
目標値・目標状態参加者数:10名×8回 開催数:月一回(8回)
アウトプット:結果参加者数:のべ365名参加 開催数:10回
アウトプット:考察のきしたむすびの日という名前で毎月13日に無料の食事会を開催できた。目標を大きく上回る人数が参加をし、繋がりを作ることができた。また毎月13日に開催することによって、定着を図ることができ、実際に定着してきた感がある。食材に関しても、毎回寄付が集まり、抑えながら実施をすることができた。事業終了後も続いていくであろう企画となった
9生活に困窮している人や、自立に困難を抱える若者等に食糧の支援を行う(食糧支援)
指標利用者数
目標値・目標状態利用者数:月3名×8か月
アウトプット:結果約150名
アウトプット:考察食糧支援は直接行うことによる心理的負担を軽減する目的で、宿泊場所に常時食料を配備して、自由に食べられるよう配慮したため、正確な利用人数は分からないが157名が宿泊利用をしたことを鑑みれば、目標より遥に多い人数が利用したと考えられる。
10困窮している人への灯油配布支援を若者が中心となり行うことで、困窮している若者達自身が社会の担い手ともなれるような機会とする(若者による灯油支援)
指標利用者数 ボランティア若者数
目標値・目標状態ボランティア若者人数:20名 利用者数:200名
アウトプット:結果ボランティア若者人数:5名 利用者数:168名 相談10件
アウトプット:考察ボランティア人数は想定より少なかったのは、イベント計画が具体化していく中で、ボランティアの必要人数が少なかったことによる。どちらかと言えば相談員など専門スタッフが必要なイベントとなり、また社会福祉協議会の職員の人出が多く職員さんに経験してもらうことも重要であったため、ボランティア数は制限をした。社会福祉協議会、市役所福祉課との協働イベントとして行えたことは大きな成果だった。今後の連携に繋がるイベントとなった。また相談会も行い、10件の相談があり、その場で繋がることもできた。
11困りごとを抱えた人達やそれを支えようとする人たちの存在が可視化される(のきしたjournal事業)
指標発行回数 配布か所
目標値・目標状態年3回発行 市内を中心に30か所以上に配布
アウトプット:結果年3回発行 市内を中心に20か所配布
アウトプット:考察予定通り年3回の掲載を行った。配布場所については減っているが関係4団体が直接関わる関係者や各団体の活動の中で配布した方が効果が高いのではないかという振り返りのもと(お店への配布は他のチラシにまぎれてしまいもったいない)配布場所は効果が高いと思われる場所(役所関係課など)に限定し、各団体経由での配布となっている。
12困りごとを抱えた人が安心していられる居場所やコミュニティが定期開催される(やどかりコミュニティづくり事業)
指標開催日数 参加人数
目標値・目標状態参加人数:20名×8か月 参加日数:4回×8か月
アウトプット:結果参加人数:68名 参加日数:10回
アウトプット:考察当初想定していたように定期開催をするものではなく、利用者のニーズに合わせた開催を目指したため、目標値より下がっているが、内容は意義深いものとなった。やどかり利用者からの発案で始まった女性の自立を考える茶話会は毎回10名を超える参加があり、現在も頻繁に開催しており、その繋がりからオープンチャットの設立や県の困難女性支援基本方針のパブコメを募集した際には50通ものパブコメが集まるなど、やどかりハウスを必要とした困難を抱える女性の確かなコミュ二ティへと成長することができた。

活動

1【やどかりハウス事業】 家庭内の問題を抱えている人や、自立への困難を抱えている若者や生活困窮者などが1泊500円で街中のゲストハウスに泊ることができる事業を行う。LINEで気軽に問い合わせができ、同行支援など伴走支援を受けることもできる。また一時宿泊をきかっけにして街のコミュニティや就労支援につながることができるもの。街中に「助かる場」を作ることで街自体を社会的インフラ化していくことを目指す。
活動結果計画通り
概要計画を大きく上回る利用、相談対応を行うことができた。利用者:153名(計画50名)、宿泊数:500泊(計画300泊)、相談対応数:のべ449名(計画200名)。相談内容についても深刻なものも多くあり、各関係機関との密な連携を行うことができた。一方で行政の一時保護はほとんど機能していないことにより、当事業が必要とされている現状もあり、現状を社会に訴えていく必要がある
2【LINEを活用した相談受付事業】 やどかりハウス公式LINEページにて、一時宿泊の案内や困り事への相談対応を行う。またコミュニティへの誘いや情報提供、また関わるスタッフの紹介や宿泊場所である犀の角の近況報告など「こちらから発信」も行うことで相談への敷居を下げる工夫を行う。また伴走支援における援助関係作りとしての活用や、支援後も繋がり続けていることが実感できる孤立防止のツールとしても活用する。
活動結果計画通り
概要新規登録者271名(合計599名)と予想を上回る登録があった。またこちらからの呼びかけは活発化し、長野県の困難を抱える女性への支援基本方針パブリックコメント募集では50通集まるなど一つのコミュニティとしての機能が果たせるようになってきたことは大きな成果である。
3【のきしたおふるまい事業】 街の中心にある劇場を使い、無料で食事が食べられるお祭りを実施する。実施主体は市民のボランティアとし、代表者も設けず、計画の呼びかけに集まった人達が主体となって対等に内容を決定し、また当日もヒエラルキーを作らず、誰もが対等な立場で実施ができるようファシリテートする。その体験をすることで、誰もが主体となり市民活動を行うことや、市民の助け合いを活性化させることを目的とする。
活動結果計画通り
概要当初想定していた大型イベントは少なくし、月一回の少人数での開催に切り替えて開催した。結果としては人数は計画とさほど変わらず参加者を集めることが出来た。ボランティアについても結果として計画を上回る参加があった。毎月13日と決まった日に行うことや、無理なく開催することで参加のハードルが下がったことが要因と思われる
4【のきした連携会議】 街をのきした化(社会的インフラ化)していくための連携会議を年に4回行う。行政や民間や個人など立場を超えて対等に街がセーフティネットになっていくためのアイデアを持ち寄ったり、のきしたおふるまいの計画を立場を超えて行う。また街で起こっていることを行政に知ってもらうことも目的とする。前年度市長にも現場でやどかりハウスを紹介できたこともあり、今年度もさらに理解促進を図っていく。
活動結果計画通り
概要開催数は4回でのべ24団体が参加した。会議への参加団体は多いわけではなく固定した団体での開催となったが日常的な連携においては46団体と多数の団体と連携を行うことができた。そうした連携を広げるにおけるプラットホーム的な役割を担うことができた。
5【やどかりシネマクラブ】 やどかりハウスに繋がった人や居場所や休息など街中の繋がりを必要としている人に、街の映画館(上田映劇)で映画鑑賞やイベントに参加できるチケットを配布。上田映劇がやどかりハウスに繋がった人向けにエンパワーされる作品を選定し、やどかりシネマクラブ選定作品として上映。上映後にオープンダイヤローグ(対話会)を開催することで、映画を通して街の中で繋がりができるように促していく。
活動結果計画通り
概要映画館との連携による企画を行った。映画の内容などに併せて映画館との連携を行うことができ、また利用者も目標を達成し、ひとつのコミュニティとして街中を社会的インフラにするということができた。イベント回数は、映画館との調整で当初計画よりは少なくなっているが効果的なイベントを行うことができた。
6【のきしたしごと事業】 やどかりハウスに繋がった方で、就労や自立に困難を抱える若者等が有償ボランティアとして就労体験をする事ができる。街の店舗や企業に若者を受け入れる経験をしてもらうことで、社会的インフラとしての機能を発生させること、また若者にとっても街中に居場所を得ることで就労やエンパワーに繋がる事を目的とする。若者サポステや生活困窮者支援(まいさぽ上田)とも連携しながら就労支援にも繋げていく。
活動結果計画通り
概要おおむね目標通りであった。体験人数は目標を上回っての利用があった。経済的に困難を抱える若者が多い中、気軽に有償で職業体験が出来る機会は効果が高く、実際の就労に繋がった若者も数名おり、若者支援の方法として効果が高い実践と言えることが分かった。
7【のきしたMap事業】 街ののきした(社会的インフラ的機能)となっている場や人を可視化する成果物を作成する。インタビュー記事をネット媒体にて連載(やどかりハウスnote)し、マップと紐づけることで、街中の「助かる場」を多角的に可視化し、街の社会的インフラ機能を促進することを目的とする。
活動結果ほぼ計画通り
概要当初計画していたマップは、地域の人達も一緒に議論する場を経て街の場所をマップ化するより、やどかりハウスに集まってきている人の経験をマップ化する方が効果的であり、またそれを作る過程で街の人たちとその経験を共有する場を持ち、そのプロセスを成果物にして街におくことで、マップ以上の効果を発揮するのではないかと言葉になり、それぞれの「助からないエピソード」をかるたにする「たすかるた」作りへと変化した。ワークショップを地域の福祉事業所と連携して3度行い、地域の参加者も多く、成果物を作ることができた。設置個所が目標より少ないのは、成果物の形態がペーパーからカルタに変わったことによる
8【やどかり食堂】 月に一回の食事会を行う。やどかりハウスLINEに繋がっている方(現在330名)に主に声かけを行い、食材の調達から料理まで一緒に行うことで、利用者同士の繋がりを促進すると共に、家庭以外の居場所ができるよう定期開催する。またできれば行政職員や支援者なども一緒に食事をとることで立場性を超えていけるような機会となるよう促していく。
活動結果計画通り
概要のきしたむすびの日という名前で毎月13日に無料の食事会を開催できた。目標を大きく上回る人数が参加をし、繋がりを作ることができた。また毎月13日に開催することによって、定着を図ることができ、実際に定着してきた感がある。食材に関しても、毎回寄付が集まり、抑えながら実施をすることができた。事業終了後も続いていくであろう企画となった
9【食糧支援】 やどかりハウスに繋がった方で生活困窮や自立や就労が困難な状態にある人への食糧支援を行う。中長期の滞在を必要としており生活保護など支援制度に繋がるまでの繋ぎや、DVや虐待などで避難を余儀なくされ生活再建に時間を要する人や、自立生活後も困難に直面した際に利用できるものとし、社会福祉協議会の生活困窮者自立支援(まいさぽ)や若者サポートステーションなどとも連携をしながら、必要な提供を行う。
活動結果計画通り
概要食糧支援は直接行うことによる心理的負担を軽減する目的で、宿泊場所に常時食料を配備して、自由に食べられるよう配慮したため、正確な利用人数は分からないが157名が宿泊利用をしたことを鑑みれば、目標より遥に多い人数が利用したと考えられる。
10【若者による灯油支援】 冬に電気代が高くなり生活困窮してしまう若者が多かったことから、灯油支援を行う。また、配布については社会福祉雇用議会の炊き出しと合同で行い、やどかりハウスにつながった若者や、長野大学の若者を中心に若者自身が配布を行うものとする。支援される側ではなく自分も支援する側としての経験をすることでエンパワーや自立に向けた力となるような機会とする。
活動結果計画通り
概要ボランティア人数は想定より少なかったのは、イベント計画が具体化していく中で、ボランティアの必要人数が少なかったことによる。どちらかと言えば相談員など専門スタッフが必要なイベントとなり、また社会福祉協議会の職員の人でが多く職員さんに経験してもらうことも重要であったため、ボランティア数は制限をした。社会福祉協議会、市役所福祉課との協働イベントとして行えたことは大きな成果だった。今後の連携に繋がるイベントとなった。また相談会も行い、10件の相談があり、その場で繋がることもできた。
11【のきしたjournal発行】 やどかりハウスをはじめ困りごとを抱えた人を受け入れる場を広く可視化すると共に、そこに関わる人達の言葉を発信することで、困りごとを抱えた人たちの存在を可視化すること、またその理解促進を図ることを目的とする。年3回の発行を目指し、広く市民に見られるよう配布を行っていく。
活動結果ほぼ計画通り
概要予定通り年3回の掲載を行った。配布場所については減っているが関係4団体が直接関わる関係者や各団体の活動の中で配布した方が効果が高いのではないかという振り返りのもと(お店への配布は他のチラシにまぎれてしまいもったいない)配布場所は効果が高いと思われる場所(役所関係課など)に限定し、各団体経由での配布となっている。
12【やどかりコミュニティ作り】 やどかりハウスに繋がった人を中心に、居場所や繋がりを街に作る取り組みとして、小さなコミュニティとなる場を開催する。想定している活動としては「時間銀行ひらく」(お金ではなく時間を交換し合う集まり)、「いどばた」(発達障害をもつ当事者と親の集まり)、「天気の親の子の会」(障害のある親など親の対応に困っている若者の会)週に一回、何等かのコミュニテー開催を目標とする。
活動結果ほぼ計画通り
概要当初想定していたように定期開催をするものではなく、利用者のニーズに合わせた開催を目指したため、目標値より下がっているが、内容は意義深いものとなった。やどかり利用者からの発案で始まった女性の自立を考える茶話会は毎回10名を超える参加があり、現在も頻繁に開催しており、その繋がりからオープンチャットの設立や県の困難女性支援基本方針のパブコメを募集した際には50通ものパブコメが集まるなど、やどかりハウスを必要とした困難を抱える女性の確かなコミュ二ティへと成長することができた。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

一時宿泊を利用した「相談者」が呼びかけ人になり「女性の自立を考える茶話会」というコミュニティが生まれ、茶話会の開催と共にネット上でオープンチャットを作り43名が登録し毎日のように対話が繰り広げられている。また、そのグループを起点に長野県が出した「困難を抱えた女性への支援基本方針」に対するパブリックコメントを50通も集め、県に提出することができた。またのきした仕事事業では事業終了後に受け入れ企業「株式会社バリューブックス」と業務提携を行い毎週金曜日にはやどかりハウス利用者が店員をする事業が始まった。また、一時宿泊場所として提携していたゲストハウス兼劇場である犀の角がやどかりハウスをきっかけとして「家出チケット」という独自の支援の仕組みを作ってくれたこと、またその活動が評価され文部科学大臣賞芸術選奨を受賞することができた。またのきしたマップについても当初想定してなかった障害福祉事業所「NPO法人リベルテ」との共同作成を行い成果物を作ることができた。作る過程でも地域の人との協働が生まれた。多方面に大きな波及効果のあった事業となった。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

当事業で行った一時保護(宿泊利用者)は今年度157名、500泊の利用があり、そのほとんどが困難を抱えた女性たちであった。一方で、令和4年度の長野県の一時保護施設利用者は15名であった。これは行政の施策が女性たちの実態に合っていないことを示唆している。当事業で行ったアンケート調査によれば、「上記の悩み(心身不調・家庭の悩みなど)について相談したか」という設問では「相談していたがうまくいかなかった」と答えた人が54%「相談できずにいた」20%であったことを見てもその実態はうかがえる。当事業を3年間行い伴走支援に繋がった人は250名であった。特に今年度事業で特徴的だったことは、利用者が社会資源の担い手として位置付くことができた点である。コミュニティの開催を行い、「困難を抱える女性への支援基本方針」に対するパブコメを50通も集めた。そうした当事者主体による社会資源作りや運動が生まれたことは全国的に見ても貴重な場と言える。この繋がりを活かして、本当の意味で支援の現場をきっかけにした社会作りが進ための運動を利用者と共に力強く展開したい。

外部との連携実績

1活動のきした仕事事業
実施内容街の店舗や農家さんなど12カ所が若者の仕事体験を受け入れてくれ、有償での仕事体験を行うことができた
結果・成果・影響等のきした仕事事業を経て実際の就労に繋がった若者が数名いたこと。また事業終了後も業務提携を行い事業継続を行うことに繋がった
2活動8月21日 妊娠SOS連携会議
実施内容産婦人科のある総合病院と望まない妊娠をした女性の支援をしている妊娠SOSとのケース検討や情報共有。
結果・成果・影響等それぞれの機関で困難なケースを挙げながら、どのようなかかわりをしているか、対応の中での葛藤を話し合ったことでお互い知り合うことができ、その後、連携がよりスムーズになった。
3活動12月27日 上田市社会福祉協議会と灯油支援・食糧支援・相談会を協働で実施 「支え合い年末市」
実施内容上田市社会福祉協議会と市役所福祉課と共同企画として、食料支援・灯油支援・相談会を実施した
結果・成果・影響等やどかりユーザーによるボランティアもあり、利用者数:168名 相談10件の相談があった。社協との共同企画の実績を作ることで今後の連携のきっかけを作ることができた
4活動ケースによる連携(行政:長野県・長野市・上田市・小諸市・東御市・佐久市・御代田町・軽井沢町・松本市)
実施内容各ケースの連携を各自治体と行った
結果・成果・影響等行政との連携は深まりと広がりを作ることができた。
5活動2月6日 上田市相談窓口担当者研修
実施内容上田市市役所や生活困窮・若者支援など関連する機関の相談窓口担当者向けにやどかりハウスの取り組みや、トラウマインフォームドケアについての研修を行った。
結果・成果・影響等各窓口で困難ケースを抱えこみ、他機関がどのような考え方で動いているかなどがわかっていなかったのが、対話中心の研修の中で、横のつながりができ、窓口担当者が安心して相談に応じられる下地ができた。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

2023.8.21信濃毎日新聞(ルポ新型コロナ現場発にて特集)・2024年3月8日信濃毎日新聞「焦点」・FMとうみ「OCOラジ」毎週水曜日

広報制作物等あり
内容

・のきしたjournal発行(2023年9月発行・2023年11月発行・2024年2月発行)パンフレット作成(2024年2月発行)・たすかるた作成(2024年2月完成・配布)

報告書等なし

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

事業ごとの外部窓口を設置し事務所に掲載している。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査および内部監査
内容

公認会計士による事業の外部監査と、法人監事による内部監査を行う

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

公式LINE登録者は600名を超えた。その大多数が困り事を抱えた当事者である。当事者たちとこうした繋がりを作れたことは大きな成果と考えている。社会をよりよく変えるための最も重要なヒントを持っているのは、困り事を抱えている当事者であり、その人達と共に、今後も社会活動を展開できると考えている。一方で組織としての持続性を考えると、助成金に依存しているところが課題である。必要な活動をしていると自負しているので、寄付や行政へのアプローチは積極的に行いながら、自主事業としての収入確保を目指したい。
助成期間終了後、助成を受けていた活動が続くように、起業のCSRへのつなぎや、活動の広報にも協力してもらえるとありがたい。

シンボルマークの活用状況

のきしたjournal年三回発行に掲載・note記事への掲載・パンフレットへ掲載・法人ホームページへ掲載・イベントチラシへ掲載