事業完了報告
2024/08/27更新
事業概要
| 事業期間 | 開始日 2023/08/01 | 終了日 2024/02/29 |
|---|---|---|
| 対象地域 | 宮城県(仙台市、石巻市) | |
| 事業対象者 | ・10代後半ー20代前半の若年女性 ・家庭の機能不全や経済的困窮による日常生活が困難な若者、様々なDV を受けている若者 ・震災の影響かつ新型コロナウイルス感染症の影響を受けている宮城県沿岸部の地域、特に石巻、東松島、女川地域周辺(若年層の支援機能が少ない) ・若者が集まる仙台市中心部 | |
| 事業対象者人数 | ①延べ相談件数1,260回 ②新規登録者20人/月×7か月=140人 相談月平均3 回で計画。 ③管理名簿(セールスフォースのクラウドを活用)をもとに、アウトリーチ実施以降に登録した対象者を新規支援者として管理 ④該当なし | |
| 事業概要 | 宮城県は東日本大震災後、不登校出現率全国ワーストを5年連続で記録しているが、震災から12年が経過し、当時小学生だった子どもたちは今、10代後半〜20代前でユースと言われる年代となり、多様な課題を抱えたまま成人を迎えている。若者たちの表面化した課題から掘り下げていくと、震災が引き金となって機能不全となった家庭環境で育ち、結果として複合的な課題を抱え、複雑かつ困難化し、彼らだけでは解決できない状況にある。一方では、新型コロナウィルスの拡大によって、グレーゾーンと呼ばれる子ども・若者や引きこもりによって生きづらさを抱える若者がアルバイトや仕事を失うことにより日常生活が困難となる状況となっている。石巻市の生活保護世帯は1400世帯を超えており、年々増加の傾向にある。ひとり親世帯も8.5%と全国平均を上回っている。 | |
事業の総括およびその価値
1団体では解決できない複雑で多様な課題の解決につながったことは、この事業をコンソーシアムで実施した大きな成果となった。また、LINE相談で顔の見えない相談者に適切なサポートができるか、これまでの対面での相談から不安もあったが、LINE相談者の属性や相談内容などから、対面ではない可能性を見出すことができたことも成果の一つとなった。この事業の大きな取り組みのひとつでもあるケースを共有し役割分担(緊急支援→居場所支援→住居支援→就労支援)、切れ目のない支援も、支援スキームのグラデーションができたことによってこの事業を通じて、日常的な安心できる居場所づくりを通して、彼らが自立に向けた困りごと(食、衣、職、住+α)解決をしながら、「とまり木」的な機能を持つ支援体制を確立していく体制ができたことも持続可能性を持って取り組んでいくものとなった。
課題設定、事業設計に関する振返り
初めての取り組みに加えコンソーシアム体制を構築するにあたり、双方のスタッフ間とのコミュニケーションや、LINE相談に 対する限界設定などでの議論に時間を要した。石巻圏域だけでは解決できないケースがあり、仙台の民間団体との連携が功をなした。そういった意味でも専門分野ごとの連携団体の必要性を感じた。それらの情報提供ができればもう少し円滑な相談機能になったのではないかと思った。LINE相談のシステム構築に関して同じ地域で若者支援をしている団体と地域性を理解しながら、私たちの活動も既に理解していただいていたことはよかったと感じた。地域性を意識していたが、LINE相談者の属性へ地域が特定できない背景も鑑みると「LINEだから相談できた、自分を明かすことなく悩みを打ち明けやすい状況、同じ地域の支援者ではないからこそ相談できること」など早期に悩みを打ち明けることができるというシステムのメリットを実感した。
今回の事業実施で達成される状態
短期アウトカム
| 1 | SNSの相談窓口が広く認知され、これまでつながらなかった層(特に一人で悩みを抱え込んでしまう若年女性)が孤立せず誰かに繋がっている状態になること。対象受益者数(15-29歳女性8,470人のうち720名) | |
|---|---|---|
| 指標 | ひとり親世帯率8.5%を脆弱な世帯とみなす。孤立せず社会資源と何らかの形で繋がっている状態 | |
| 目標値・目標状態 | ・継続対象とする受益者100人以上 ・自立した生活(一人暮らし、就業生活を継続) | |
| アウトカム:結果 | LINE新規登録者数が思った以上に伸びた。 | |
| アウトカム:考察 | 登録者、相談者の背景を知ることができないが自分を明かすことなく気軽に相談できる環境の重要性を理解することができた。対面での直接支援だけが課題解決できるという意識の変容につながった | |
| 2 | LINE相談を活用した相談窓口のスキームが機能し、スタッフが汎用性を持って取り組むことができる | |
| 指標 | SNS相談対応ができるスタッフが3名上いる | |
| 目標値・目標状態 | 相談件数を20件以上対応している | |
| アウトカム:結果 | 相談件数の一人当たり の件数は平均6件程度であった。 | |
| アウトカム:考察 | 短期間での成果を得ることが難しかったのは、初めてのLINE相談であり、支援スタッフのスキルなど多くの学びの時間が必要であった。 | |
| 3 | 独自のLINE相談機能の設計構築をし、技術面も含め汎用性を持ってスタッフが使えるようになること | |
| 指標 | LINE相談の窓口が公開できるようになる。LINEにおけるキーワードのアップデートができるようになる | |
| 目標値・目標状態 | 相談スタッフ4名が対応できるようになる | |
| アウトカム:結果 | 相談スタッフ4名体制を毎日維持することが難しかった。 | |
| アウトカム:考察 | 1日の工数で、時間単位での交代制などスケジュール管理をもっと行う必要があった。スタッフミーティングの頻度を上げていく必要があった。 | |
アウトプット
| 1 | 1)SNSによる広報活動を強化することで新規相談件数が増加 | |
|---|---|---|
| 指標 | 相談記録からのカウント | |
| 目標値・目標状態 | LINE相談等オンライン新規相談件数150名(うち石巻圏域80名) | |
| アウトプット:結果 | 新規登録者300名をはるかに超えた登録者数になった。 | |
| アウトプット:考察 | LINE広告でのアプローチが登録者増につながった。一方そのことで相談件数が増加していったかというとそれに比例はしておらず、むしろリピートしてくる相談者が多かった | |
| 2 | 2)生活困窮など含む親に頼れない若年女性の支援につながる | |
| 指標 | 業務記録からのカウント | |
| 目標値・目標状態 | 居場所支援など、オフラインによる新規相談件数60名(継続支援20名) | |
| アウトプット:結果 | 居場所支援におけるフードパントリーは、潜在的な困窮世帯の高校生などからの相談につながった。食事の提供69回、フードパントリー9回 | |
| アウトプット:考察 | オフラインによる相談者がLINE相談からの受益者というフローにはつながらなかったものの、居場所支援からの直接支援(就労支援、医療に繋ぐ)課題解決に進めることができた | |
| 3 | 3)親に頼れない若年女性の一時的な住居支援が可能となる | |
| 指標 | イン テーク記録、業務記録、本人の日誌からのカウント(連携機関の記録含む) | |
| 目標値・目標状態 | 困難を抱える若年女性の緊急支援(シェルター、シェアハウス機能)8人 | |
| アウトプット:結果 | 石巻・仙台双方での機能により解決したケースがあった。相談5件、シェルター利用2件 | |
| アウトプット:考察 | 一拠点だけでは解決できないケースがあったことで、仙台の民間団体との連携が解決につながったケースがあった。これらを踏まえて今後も連携を継続しながら広域で受益者を支えていく体制をとっていきたいと考える | |
| 4 | 4)アウトリーチ支援をオンオフとの併用でより多くの支援が可能となる | |
| 指標 | インテーク記録、相談記録(関係機関含む)からのカウント | |
| 目標値・目標状態 | 関係機関との連携によるアウトリーチ支援(オフライン、オンライン併用)延べ相談件数1,260回 ②新規登録者20人/月×7か月=140人 相談月平均3回で計画 ③管理名簿をもとに、アウトリーチ実施以降に登録した対象者を新規支援者として管理 ④該当なし | |
| アウトプット:結果 | アウトリーチ支援が必ずしもLINE相談者からのつながりには至らなかった。相談38件、アウトリーチ支援5件 | |
| アウトプット:考察 | LINE相談の機能によってアウトリーチ支援の件数が多くなったというよりもコンソーシアムを組んだことによってケース会議を実施しながら適切な支援体制に向かった結果アウトリー支援が機能したと考える。 | |
| 5 | 5)デジタルアウトリーチ支援に必要なツールが完成し、SNSによる広報によりアクセス数が増加する | |
| 指標 | LINE相談アクセス件数、その他SNSへのアクセス件数 | |
| 目標値・目標状態 | アクセス件数 2,000/月(既存の支援ケースの受益者も含む) | |
| アウトプット:結果 | LINE広告による成果は一定数あった | |
| アウトプット:考察 | 若年女性に特化した経緯からLINE広告の効果性について提案があったことから発信してきたが、広告開始してから予想以上に新規登録者が増加した。登録者の背景は不明だが、これまでにつながっていなかった受益者層にたどり着いたのではないかと推測する。 | |
| 6 | 6)関係機関へSNS相談窓口の周知がされている | |
| 指標 | 関係機関へメールマガジン発信、相談カードの発送 | |
| 目標値・目標状態 | 関係機関50箇所 | |
| アウトプット:結果 | 相談カードの配布によって関係機関への周知ができた | |
| アウトプット:考察 | 石巻圏域で若年層に特化したデジタルアウトリーチ(LINE相談)を実施している団体がなかったこともあり行政や教育機関の関心度が多くあった。次年度以降も訪問しながら連携を図っていきたいと考える | |
| 7 | 7)独自で開発したLINE相談による新規の登録者が一定数増加 | |
| 指標 | LINE新規登録者数 | |
| 目標値・目標状態 | 新規登録者数300件(既存のケースも含む) | |
| アウトプット:結果 | 新規登録者数が達成できた(1030件) | |
| アウトプット:考察 | 新規登録者数は予想以上に広告を出してから増加した。この登録者からふと相談したくなった時に思い出して悩みを打ち明けられるよう体制を継続していきたい。 | |
| 8 | 8)LINE相談窓口開設により、つながっていない受益者との繋がりが持てるようになる | |
| 指標 | LINE新規登録者のうち、既存の支援ケースでない受益者 | |
| 目標値・目標状態 | 新規登録者数80件 | |
| アウトプット:結果 | つながっていない受益者とつながった件数22件 | |
| アウトプット:考察 | 居場所支援や就労支援のフィルドでは出会えない受益者につながったことは今回の大きな成果となった。件数など数ではなく、LINE相談という顔の見えない関係でも、チャットで解決することができるのだということを学んだ。 | |
活動
| 1 | (3)活動 | |
|---|---|---|
| 活動結果 | ほぼ計画通り | |
| 概要 | 円滑なコンソーシアム体制に時間を要したものの、概ね基盤はできたのではないかと考える。また石巻という地域にとどまることなく、仙台の団体との連携が受益者の支援につながっていく可能性を感じた。それらは、LINE相談という広く広域のセーフティーネットだからこそ、また直接支援ではない効果継続性を持って今後も取り組んでいきたい。 | |
| 2 | 1)居場所での広報及び相談支援 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 石巻圏域や宮城県の会議に参加し、関係機関への周知やSNSでの発信強化を行った。結果的に、関係者からの間接的相談や居場所 の紹介、連れてくるケースが増えた。また、経済的困窮以外に多様な生きづらさを抱えたケースの相談が増えた。間接的相談から居場所につながるケースは難しい。ニーズとしては女性が多いが、20代男性や引きこもりの方の支援の必要性も高まっている。 | |
| 3 | 2)居場所での食料支援(食事の提供等) | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 食事の提供とはしているが、「自活力」を高めるため協働での食事づくり、準備、片付け、団欒まで行うことで、居心地の良さと相談支援につながりやすくなる関係づくりができた。その中で、食料支援の必要性の高い若者に、定期的にフードパントリーを行った。また事業実施中に、フードバンクに登録でき、安定的に食糧支援の量を増やすことにつながった。 | |
| 4 | 3)困難を抱える若年女性の緊急支援(シェルター、シェアハウス機能) | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 石巻と仙台との連携によって解決したケースがあったことで、今後の体制や連携強化につながった。 | |
| 5 | 4)関係機関との連携によるアウトリーチ支援(オフライン、オンライン併用) | |
| 活動結果 | ほぼ計画通り | |
| 概要 | アウトリーチ支援が必ずしも当団体だけで実施するというスキームから、LINE相談への広報活動や理解促進に努めていく活動から関係機関との関係性が良くなったことでの効果が大きかった。 | |
想定外のアウトカム、活動、波及効果など
コンソーシアム事業のための双方の法人の共有に時間は要したものの、定例ミーティングなどの積み重ねで機能性が大きくなった。LINE相談による「気軽につながる」「相談へのハードルを下げる」ことで、直接支援ではない可能性を感じた。若年女性での相談支援のスキームではあるものの、若年男性の相談も一定数あることも視野に入れておかなければらないと感じる。生活困窮世帯の多さを実感しており、月末になると食材が枯渇している家庭があり、高校へ通学できているという側面から、その家庭状況が見えずらいことが多い。そういった意味でも、グラデーションのある相談機能は重要だと思った。声なき声の受益者とつながる(LINE相談)⇨関係性からオフラ インの相談へ(居場所支援)⇨ラポール形成が図れ困ったを話せるようになる⇨居住支援や就労支援へつなぐといった支援スキームが地域の中で、構築されていくことが重要だと考える。
事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動
| 課題を取り巻く変化 | LINE相談の機能を持つことで、石巻という地域にとらわれない支援体制の必要性を感じた。この事業で石巻と仙台での団体との連携に留まったが、受益者への情報提供によっては、東北県域の主要な若者支援の団体との連携も検討していきたいと思った。シェルター機能の課題は、交通機関のない地域での機動性のデメリットがあったことで今後の課題になった。それだけシェルター機能の必要な受益者が多く存在することもわかった。今後は、駅周辺での場所も検討していきたい。居場所支援にとどまっていた場所に付帯的な機能としてシェルター機能も拡大していくことも検討していく。食糧支援から直接相談につながったケースが多かったことから、日常的な生活支援から潜在的にあった重大な課題に直面することができた。これらを通じて、居場所・食糧支援・LINE相談は解決しなければならない本題へ行くためのプロセスの一環として重要な機能であることが理解できた。必ずしもすぐに就労・金銭面・親のDV・ネグレクトなどの問題が表に出ることがむしろ少なく、関係性の連続から、これらの機能がフックとなることを鑑み、次年度からのコンソーシアムの体制強化に繋げていきたい |
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外部との連携実績
| 1 | 活動 | シェルター機能 |
|---|---|---|
| 実施内容 | 仙台の民間団体との連携により受益者の受け入れにつながった | |
| 結果・成果・影響等 | 今回の結果からこれまでの相談者は、情報が少なく選択肢も狭かったことから緊急支援に繋がらなかったのだと推測する。仙台側の民間団体からも今後も連携していき、緊急支援だからこそ少し広域で本人を支える仕組みができると良いとのことであった。今後の支援スキームとして促進していきたいと思う。 |
広報実績
| メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等) | あり | |
|---|---|---|
| 内容 | 当初、無償のサイト(WIX)を作成したが、ランディングページを別途新規で作成した方が効果的との見解から、ランディングページを制作依頼した。https://miyagitomarigi.com/ | |
| 広報制作物等 | なし | |
| 報告書等 | なし | |
ガバナンス・コンプライアンス実績
規程類の整備状況
| 事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか | 完了 | |
|---|---|---|
| 整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか | 全て公開 | |
| 変更があった規程類に関して報告しましたか | 変更はなかった | |
ガバナンス・コンプライアンス体制
| 社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますか | はい | |
|---|---|---|
| 内部通報制度は整備されていますか | はい | |
| 内容 | 内部通報においては規程をもとに職員研修の際に理解促進を図っている。また、通報者→管理職→理事もしくは監事→代表理事へ情報を伝達していき、必要に応じて臨時理事会の招集を図ることを共有し ている。 | |
| 利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか | はい | |
| コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたか | はい | |
| ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたか | はい | |
| 内容 | ガバナンス体制においては、規定に沿って職員会議で共有し理解促進を図っている。コンプライアンスの整備においては、法令遵守の範疇ではあるが、個人情報やプライバシーに関する誓約書を入社時に締結しており、その部分においては特に遵守している。 | |
| 報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む) | 内部監査 | |
| 内容 | 外部顧問税理士の同席のもと、法人監事が財務会計システム上での確認、現預金の有高確認、証憑類とシステムの照合などを経て、会計監査を行なっている。 | |
| 本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますか | いいえ | |
その他
| 本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など | とても重要で必要な活動であると思ったからこそ、活動の期間が短かったので成果指標など測れなかった部分もあり2年間などの期間での実施も要望したいと思います。 |
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シンボルマークの活用状況
LINE相談カード、ランディングページ、LINE相談窓口機能 |

