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事業完了報告

2024/08/27更新

事業概要

事業期間開始日 2023/08/01終了日 2024/02/29
対象地域相談窓口は全国対応。同行支援の実施は、主に、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県
事業対象者

妊娠(避妊、出産を含む)にまつわる不安を感じている主に10代、20代。家庭や学校でも「性」に関する悩みは特に相談しづらく、信頼して相談できる大人が周りにいない。性に関する正しい知識も不十分で、動画やネットで間違った知識のまま性行為に至り、妊娠したかもしれないと不安でだれにも相談できない。どうしたらよいか分からないまま妊娠を継続してしまっている。地域は日本全国を対象とし、東京近郊(千葉、埼玉、神奈川等)の場合は、必要に応じて、同行支援を実施。そのほかの地域の場合は、その地域の団体、行政と連携して支援を行う。

事業対象者人数

①延べ相談件数 1400回 ②新規登録者 50人/月×5か月=250人 相談日 週3回~で計画。 ③電子相談記録票のデータをもとに、アウトリーチ実施以降に登録した対象者を新規支援者として管理 ④該当なし

事業概要

産前産後の女性の死亡原因でもっとも多いのは自殺。そして、児童虐待死でもっとも多いのは生まれたその日になくなる命。これらは、妊娠をだれにも相談できず、一人で抱え込み、社会から孤立したために、母子の安全が守られなかった結果であると考えられる。当団体は、妊娠を社会から孤立させないために、相談窓口を設置し、社会とのつながりをつくる活動を行なってきた。これまで相談窓口では、主に電話、メールで対応を行ってきたが、本事業では、10代20代の若者が相談しやすいチャット相談ができる体制を構築する。更に、Twitter広告等を活用し、相談を必要とする対象者が、相談窓口を見つけることができ、相談をしてみようと思える入り口で、必要な支援を受けれる体制を整える。また、支援性の高いケースについて、支援者や他団体から繋がったり、妊娠葛藤を抱える当事者に対して、近くにいる支援者から、対応についての相談があとをたたない。そのため、支援者向け、相談者のまわりの大人への相談者理解や現場の支援に役立つ学習コンテンツの配信を行う。
① 繋がりやすいチャット相談のシステム構築と対応できる相談員の育成  
② 妊娠葛藤を抱える若年層と繋がる広報(Twitter、YouTube、LINE広告、HP改修等)
③ 孤立した妊婦、10-20代の若者と関わる可能性のある大人(教師、支援者、地域の人向け)に向けた学習コンテンツ(オンライン講座の配信など)
本事業で、①~③を行うことにより、妊娠したかもしれない段階から繋がり、必要に応じて、同行支援等を実施し、適切な支援に繋げていく。妊娠は、これまでたった一人で孤立し、困難の中生きてきた彼女たちにとって、身体が変化することで「助けて」の声を上げざるを得ない状況になり得ると考えている。妊娠をきっかけに、誰もが孤立することなく、自由に幸せに生きていける社会となることへ貢献する。

事業の総括およびその価値

妊娠葛藤相談に対するデジタルアウトリーチの効果は高く、相談件数は激増した。相談員の負荷を考慮し、広告配信は予定より大幅に減らさざるをえなかったが、日本社会の中に、妊娠葛藤する潜在層が想像以上に多いということが分かった(広告配信期間中2000人以上からの新規相談に対応した)。「妊娠葛藤」する人は、周りの人に相談することも難しく、孤立する人が多いが、今回の事業を行うことで、その方たちの「受援力」を高めることに繋がったと言える。困窮していて、妊娠しても受診をする費用もなく居場所もない人という人と繋がったことは、行政や病院に繋ぐことができたということだけではなく、妊産婦の抱える自殺予防対策の役割も一部果たせたのではないかと考える。今回の取り組みで「広告媒体によって『検索キーワード』『年齢層』『性別』に特徴があること」も知ることができ、団体の今後の相談事業への取り組みに大いに活かしていけると考える。

課題設定、事業設計に関する振返り

課題設定は、相談件数が増えたこと、寄せられる相談の内容については十分適切だったと考えている。
事業設計は、相談増への対応を想定しきれておらず、人員増等の適切な対応の検討、決定が迅速に行えなかったことが大きな反省点である。
また、プロジェクトに関する担当者が、他の業務との兼務であったり、本プロジェクト内でも兼務が多く、MTGの調整に時間を要し、検討事項の決定が遅れる要因となった。今後、新規プロジェクトを行う場合には、一部のメンバーに負担が集中しないよう、広く人員を集め、柔軟に動ける体制作りが課題だと言える。また、本事業に関する周知が、相談員や他の部署の人には不十分であったとの意見も聞かれたため、内部のメンバーに対する周知方法についても、より丁寧な対応が必要である。急な課題に迅速に対応する、ということは、どんな事業にも共通に必要となるものであるので、今後の内部の体制構築に活かしていきたい。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1相談窓口の認知向上し、支援を必要とする人に窓口の存在が届けられている。孤立し、命の危険を伴って妊娠葛藤する人が減っている。 妊娠葛藤にまつわる相談を否定したりないものにする大人の数が減っている。
アウトカム:結果相談件数が3倍近くに増加し、2000人以上からの新規相談があった(内チャット相談は400人)ことからも、窓口の認知は向上し、支援を必要とする人に窓口の存在を届けることができた。
アウトカム:考察本事業により、妊娠葛藤を抱えている人、妊娠にまつわる心配事、不安を抱えている人たちは、想像以上に多いことが分かった。その人たちが、相談窓口や周りの人につながることができるようになるには、「相談してもいいんだ」「自分だけが悩んでいるわけじゃないんだ」「相談できるところがあるんだ」と感じて、相談のハードルを下げることではないかと考える。その為、相談が必要な人の元に、情報やメッセージを届ける為の、デジタルアウトリーチが必要であることが分かった。相談件数の増加は、ライトな相談層の裾野を広げることにもなったが、そのことは、深刻な相談となる人を、手前で防ぐとても意味のあることだと理解することができた。

アウトプット

1① 新規相談者の増加
指標相談記録票からのカウント
目標値・目標状態250人(ユニーク数)
アウトプット:結果・期間:10/2~10/31(月、水、土曜日 各2時間実施) ・新規相談者数(期間中)2000人(内チャット相談は400人)となり、相談者は予想以上に潜在していることが分かった。広告やチャット相談を実施することは、相談が必要な人が、窓口を探すのには、効果的であったと言える。
アウトプット:考察今回、広告を行うことで、相談が必要な人は予想以上に潜在していること、相談が必要な人が窓口を探すのには、デジタルアウトリーチが効果的であることがわかった。キーワードや広告媒体によっても、相談者の特徴が見られ、キーワードを検討する中では、「中絶」というキーワードによる広告はクリニックがたくさん出しているが、「中絶の相談」についての広告は、殆どないことも分かった。生活困窮を抱えている人からの相談も多く、お金がないことで受診ができない事から、その後の公的な支援につながれずにいる状況も浮き彫りとなった。妊娠を確定する前からの支援について検討することが、今後、妊娠しても安心な社会につながると感じる。
2② Twitterエンゲージメント率、YouTube視聴者数、HP閲覧数等の増加
指標各媒体の視聴回数等
目標値・目標状態新規投稿(60回以上)
アウトプット:結果■X投稿 約500回 ■SOSのHPアクセス状況 広告開始後10月~2月は開始前にくらべ平均4.7倍 ■上記のうち、広告クリックできた来訪回数 クリック数 クリック率 google広告 4,215  10.85% yahoo広告 3,487 0.81%
アウトプット:考察孤立する深刻度、支援性の高い相談者につながるためには、相談の件数全体が多くなることが分かった。 各広告媒体ごとに、検索ワードや属性の違いが顕著であり、今後の広告、発信に活用していきたい。 Xは男性からも多く「死にたい」「お金がない」「辛い」などの収入、孤独等男性視点の検索ワードが見られ、男女含めた拡散を今後視点として活用したい。 2月よりインスタ開始後、深刻な相談が入るようになったので、私たちの繋がりたい層へ繋がるツールとして、活用していきたい。 Google、Yahoo!はライトな検索ワードが多かったがYahoo!では、中絶や健診の費用に関する検索ワードがあったのが大きな違いであった。
3③ 困難を抱える相談者に出会う可能性のある大人への啓もう啓発
指標参加者数、視聴者数からのカウント
目標値・目標状態50人(のべ)
アウトプット:結果2本動画完成。(アニメーション、解説動画の構成) 配信は期間内にできなかった。
アウトプット:考察委託先とのコミュニケーション、内部の時間と体制が不十分で、完成はしたが配信まで至らなかった。今回制作したコンテンツを今後様々な場面で有効的に活用していきたい。
4④ アウトリーチのための広報活動に関して、効果検証
指標相談記録票からの検証
目標値・目標状態125人
アウトプット:結果2023年10月1日~2024年2月20日のチャット相談者385件のうち、広告媒体が確認できた132件を対象とし、団体が考える深刻な相談者にリーチ可能(量・質)という観点から、134件の集計を行った。リスク評価を、広告媒体ごとの3段階にスコア付けを行った。
アウトプット:考察予定の種類の広告の配信が相談件数増によりできず、広告元の確認もアンケート形式となり、検証対象が限られてしまったが、一定の傾向はつかむことができた。
5⑤ 次年度以降も相談者が金銭の負担なく相談や支援(同行、居場所支援)を受けるための道筋ができる。
指標参加者数、視聴者数からのカウント
目標値・目標状態30回答
アウトプット:結果埼玉県、千葉県の窓口については資金確保できたものの、にんしんSOS東京の窓口については資金確保は現在のところできていない。
アウトプット:考察窓口の継続と支援(医療費等)を前提に、寄付、自治体からの補助金、助成金の獲得を目指していく。

活動

1① 繋がりやすいチャット相談のシステム構築と相談員の育成  
活動結果ほぼ計画通り
概要システム構築は9月に完了。10月よりチャット相談を、スタートアップのチームメンバーで開始した。その後、12月より、事業終了までの期間に、全相談員がチャットシステム対応可能となるように研修を実施し、1月よりOJTを開始した。結果として、2月末の時点で9割の相談員がOJTを終了し、実際の相談シフトにおいても、相談を開始している。3月中には全相談員のOJT完了の見込みであり、育成に関しては完了と言える。
2② 妊娠葛藤を抱える若年層と繋がる広報(Twitter、YouTube、LINE広告、HP改修等)
活動結果ほぼ計画通り
概要・広告は、10月よりYahoo!、Googleで配信。Xは12月末より、インスタグラムは2月より配信を開始した。広告媒体は静止画や漫画など、今後も使用できるようなものを制作した。LINEはかなりターゲットが広く、絞り込めないため、妊娠葛藤にはフィットしないのではということで、今回は実施しない方針となった。相談件数が増加(3倍弱)となったため、YouTube配信は実施しなかった。
3③ 孤立した妊婦、10-20代の若者と関わる可能性のある大人(教師、支援者、地域の人向け)に向けた学習コンテンツ
活動結果遅延あり
概要・学習コンテンツは、動画が2本完成。アニメーション+解説の構成。制作に時間を要してしまい期間中配信することができなかったが、今後、子どもたちの周りの支援者に向けて、活用していく。 また、資金支援対象ではないが、期間中に、支援者向け研修や活動説明会を実施し、一定の啓蒙活動は行われた。
4④ アウトリーチのための広報活動に関して、効果検証
活動結果ほぼ計画通り
概要・チャット相談(10月~2月20日分まで)の効果検証を実施。385件のうち、広告媒体が確認できたのが132件であった。 今後の団体における広告媒体などの選定などに活かすため、団体が考える深刻な相談者にリーチ可能性(量・質)という観点から、134件の集計を実施し考察した。
5⑤ 次年度以降も相談支援を続けるための道筋ができる活動
活動結果遅延あり
概要・相談件数の多い23区内の二か所の区に対し、相談事業に対する補助金等の検討について検討の機会を持っていただいた。うち一か所に関しては、区長・保健所長も活動の必要性をご理解をいただいた状況であったが、現在のところ予算化については動きはない。今年度の相談実績、今回の広告の成果などもあわせて、来年度も提案を行っていく。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

①相談件数の増加
・ハイリスクへのアウトリーチを狙ってのプロジェクトであったが、相談件数全体が急増するという状況になった。
→潜在的に妊娠の悩みを抱えながらも相談することのできていない人たちの存在や妊娠葛藤とデジタルアウトリーチの親和性の高さを知ることが出来た。
相談現場に負荷がかかったことによる体制への限界や相談の件数に対するそれぞれの考えを見直す貴重な機会となった。
②広告に有効なSNSの可能性
・今回トライアルとして挑戦したインスタグラムの反応が良く有効性を感じた。ファクトの要素が強いというインスタグラムの特徴が利用したことのない相談窓口への信頼へと繋がったのかもしれない。
③組織の課題の顕在化
・団体への負荷が増加したことやアンケートの実施を通し、団体の抱える課題が顕在化し、団体の課題として共有しやすくなった。
・助成期間に対面で集まる会議を何度か開催することが出来、そこでのリモートワークにはない対面での業務実施のよさを感じる経験を団体として持つことが出来た。
→2024年3月実施の相談員MTGより今回気付くことのできた課題に対して共有する時間を持ち継続的に取り組んでいく予定。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

・課題を取り巻く変化としては、アウトリーチしていなければ繋がることができなかった層と繋がることができたことで、相談者の受援力を高めることができたと考えられる。今回、HPへ来訪した人の中には、相談に至らなかったり必要なかった人も含まれるが、今後相談が必要となったときのために、相談窓口があることを周知できた。
・対象者の変化としては、相談したことで、「死にたい」と思うほど悩んでいた人が、自身の不安を解消できたケースや、避妊・妊娠について間違った知識を持っていた人が、正しい性の知識を知ることができた。また、安定した居所がなかった人が公的支援に繋がることができたり、医療に繋がれていなかった人が、医療に繋がることができた。
・今後の活動としては、アウトリーチしたことで繋がることのできた潜在層を、団体内でどう捉えていくか(HPの妊娠・避妊にまつわる知識を充実させるなど)を議論し充実させていく。また、制作したコンテンツ(静止画、ポエム等)を活用して、孤立して困窮する対象者と繋がるための活動(SNS配信)を、これからも継続していく。

外部との連携実績

1活動同行支援の実施
実施内容生活が困窮していたり、医療につながれていない人を、行政機関や医療機関に同行を行った。(医療、福祉系の国家資格を持つ相談員が同行)
結果・成果・影響等行政、医療機関につながることができたことで、妊娠が終わった後にも、必要に応じて、繋がることのできる場所ができた。また、当団体としても、連携機関との協力関係を築くことができた。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)なし
広報制作物等あり
内容

・静止画(X,インスタ配信用)を130枚
・大人向け学習動画 2本
・ポエムとイラスト 10枚

報告書等なし

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか整備中
内容

「情報公開に関する規程」「リスク管理に関する規程」については4月上旬開催予定の理事会での承認後、HP、JANPIAへ公開する予定。その他の規程については、理事会の承認をうけ、公開済み

整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部通報規程を作成し2023年10月から施行。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかいいえ
内容

今年度、自己申告は実施できていないが、「定期的に利益相反に関する事項について自己申告する」体制を構築し、来年度から実施予定。

コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

ガバナンス・コンプライアンスに関する規程を作成し、理事会の承認をうける。団体内でハラスメント実態調査アンケートを実施。弁護士の支援を受けながら、ハラスメント対策体制を構築中。他のガバナンス・コンプライアンスに関する規程についても、団体内で周知徹底にむけて、研修等を検討

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査
内容

2024年6月に監事による外部監査を実施予定

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

・本助成を通じて組織として強化された事項は、コンプライアンス・ガバナンス体制である。規程策定したことはスタート地点に過ぎないが、今後強化していくための大きな一歩を踏み出すことができた。
・課題は、内部の体制が最適なものではないかもしれないこと、意思決定者の業務膨大で偏っていることが、今回の事業を通して明らかになった。今後のチームづくり、体制づくりを改善していきたい。
・今回の事業の振り返りのための相談員へのアンケートから、内部のコミュニケーションや体制に対して、改善の余地があることが分かった。
・団体が関わる対象者は、医療にかかることが必要な人たちであるが、避妊・妊娠・出産に関しては、医療費が保険適用されない分野であるため、資金の拠出に常に苦慮しているが、今後もその分野にスムーズに支援がされる体制となると良いと考える。
・助成期間については、1年以上であるとより有難いのと、助成金の使途変更等がより柔軟であると、現場の変化する課題に対応しやすいと考える。
・組織基盤強化につながる支援がより充実されるとありがたい。(研修、ワークショップ等の実施など)

シンボルマークの活用状況

ホームページ(団体HPとにんしんSOS東京のサイトへ掲載)
https://nsost.jp/
https://piccolare.org/