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事業完了報告

2026/03/24更新

事業概要

事業期間開始日 2025/04/01終了日 2026/02/28
対象地域愛知県名古屋市
事業対象者

シングルマザーや離婚を検討している子育て中の女性(10代~30代前半)

事業対象者人数

40人

事業概要

 厳しい家庭環境で育った若年層のシングルマザー(10代~30代前半)は強い不信感から、支援拒否をしたり連絡が途絶えたりする傾向にあり、支援難易度が高い。しかし当団体は、シングルマザー当事者の相談員が寄り添いながら、ニーズに応じた多様な選択肢を分野横断的に示して意思決定を支援したり、大家と連携して食品等を住まいに直接届けたりと、多様な接点と信頼関係を築きやすく、それを基盤に他の支援者を繋ぎやすいという立場にある。
 本事業では、その強みを生かし、被虐待経験ゆえに一層の経済的困窮と孤立リスクを抱えた彼女たちに対して、①「快適な住まいと安心できる繋がり」を提供する伴走支援の拡充と、②若年層を応援する支援者コミュニティの拡充に取り組む。
 ①では、住まい探しサポートから始まり、入居後の生活支援を実施する。家庭環境を背景に家事スキルが低かったり、高等教育の機会を必要としていたりする彼女たちの潜在ニーズにも応えるため、適切な機関に繋ぎ、支援の利用までサポートする。また、ケースごとに振り返り会を行い「何が支援の肝となったか」等を話し合う場を設定する。
 ②では、理事・職員の知人の域を超えて多くの人が支援に参画できるよう、支援者コミュニティを拡充する。そのため、まずは団体が大事にしている思いや支援、行動指針等を議論・明文化して対外発信するとともに、それを通じて、支援機関・ボランティア等を開拓する。


【2025年12月24日追記】事業目的に適う活動追加のため、変更申請を行いました((3)-3 活動の第4項目)

事業の総括およびその価値

本事業では、被虐待経験等から公的支援に強い不信感を抱く若年層のシングルマザーに対し、「快適な住まいと安心できる繋がり」を提供する伴走支援と、支援者コミュニティの拡充を実施した。 期間中に106件の相談を受け、14世帯の伴走支援を実現した。トラウマ等を抱えた家庭との関係構築や支援機関への接続などにより、最低限の生活基盤の確保を達成した。それを基礎として、その後の継続的な関わりにより、ほぼすべての家庭が「繋がりが増えた」と実感し、それぞれの家庭が多様な形の伴走者(支援機関等)と繋がることができた。それと並行し、団体内では、本事業の仕組化を進めるために、団体理念の明文化やケース会議により、支援の標準化も進めた。 本事業の価値は、トラウマ等の経験を持ち、また、制度のはざまに陥りやすく、支援を拒否し孤立しやすいハイリスク層に寄り添って信頼を築き、社会との多層的な繋がりを再構築した点にある。単なる住居提供を超え、貧困の連鎖を断ち多様な人とつながり真の自立を促すセーフティネットとして高い社会的意義を持つ。
①若者に直に接して若者を応援する関係者の実数(事業開始時):29人
②当事業を通して増えた若者を応援する関係者の実数:12人
③それらの関係者が直接関わっている若者の実数:22人
④若者を応援する関係者のコミュニティ数(事業開始時):1つ
⑤当事業を通して新たに形成した関係者のコミュニティ数:0つ

課題設定、事業設計に関する振返り

被虐待経験や公的支援への不信感から孤立しやすい「若年層のシングルマザー」を対象とした課題設定は適切であったと考えている。期間中の居住相談177件のうち6割を20〜30代が占め、離婚成立前で制度の狭間にあるなど、複合的な困難を抱える層の深刻なニーズが浮き彫りになった点からも妥当性がうかがえる。 事業設計においても、「快適な住まいと安心できる繋がり」を提供する伴走支援は有効に機能しました。物資支援等の日常的な関わりで信頼を築くことで、その信頼関係を基盤にして、徐々につながりを増やし、多くの伴走者(支援機関等)を本人が受け入れていく流れを作ることができた。また、団体理念の明文化やケース会議により支援の言語化が進み、属人化を防ぐ基盤が整った。さらに、親子交流イベントやボランティア参画により「支援する/される」関係を超えた多層的なコミュニティが形成され、ハイリスク層の孤立を防ぐ本事業モデルの妥当性が実証されたと考えている。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1若年層のシングルマザーが快適な住まいを手に入れることができている。
指標①若年層(35歳以下)のシングルマザーの累計入居世帯数
目標値・目標状態20世帯
アウトカム:結果14世帯
アウトカム:考察初期設定より下回る結果となったが、これは、物件供給が追い付かなかったこと、相談者の希望(学区など)が合わなかったことなどが主要因である。後述の通り、問い合わせは高い水準で推移しており、物件の確保が今後も重要となる。
2入居後1年で、若年層のシングルマザー(10代~30代前半)が衣食住や生活に必要な家具家電など、最低限の生活基盤を整えることができている。また、母子ともに心身に大きな問題がない状態になっている。
指標「支援評価シート」(右参照)において、最低限の生活基盤が整っていることを評価するフェーズ1で、平均値が2.7以上(0~3.0で評価)に到達している若年層のシングルマザーの割合
目標値・目標状態75%
アウトカム:結果100%
アウトカム:考察当団体による物資支援や支援機関の接続により、おおむね半年以内に、最低限の生活基盤(衣食住の確保、安全の確保、精神の安定、補助含む収入の確保等)が実現している。この基盤が、その後のつながり創出の基盤になっている。
3若年層のシングルマザーにとって安心できる「繋がり」が増えている。
指標入居後に、「伴走者」(行政機関や民間団体、家族友人など、生活の困り事が生じたときに何らかの形でサポートしてくれる他者の存在)が増加した、若年層のシングルマザーの割合
目標値・目標状態90%
アウトカム:結果100%
アウトカム:考察入居者へのアンケート調査を実施し、該当する回答者より「非常にそう思う」「そう思う」の回答を得た。当団体の定期面談を通した経過観察でも、入居後相談先が増加していることを感じている。家庭によりばらつきがあるが、おおむね①当団体との信頼関係構築②当団体からの紹介を通した相談者との関係構築③住居の安定性、心理的安定性の回復による、自身で相談者の発掘、といったプロセスにより、つながりが増えている。

アウトプット

1住まい相談の受付および居住後支援の実施
指標①若年層シングルマザー(30代以下。問合せ時点)の住まい相談件数 ②若年層シングルマザー(35歳以下。2025年12月末時点)の累計入居件数
目標値・目標状態①60件 ②14世帯
アウトプット:結果①106件 ②14世帯
アウトプット:考察当団体への事業期間中問い合わせは177件に上り、そのうち6割(不明除く)が20代・30代からの問い合わせであった。当団体に相談に来る母子家庭は離婚成立前の母子が過半を占める。そのため、20~30代の問い合わせが多くなっている。また、親を頼れない家庭も非常に多く、そのような家庭の受け入れを進めることができた。
2居住後の母子への最低限の生活確保のための支援の実施と改善
指標①入居後半年で「支援評価シート」(右参照)において、最低限の生活基盤が整っていることを評価するフェーズ1で、平均値が2.7以上(0~3.0で評価)に到達している若年層のシングルマザーの世帯数 ②ケース会議・ケース振り返り会議の開催
目標値・目標状態①50% ②12回
アウトプット:結果①100% ②45回
アウトプット:考察当団体による物資支援や支援機関の接続により、おおむね半年以内に、最低限の生活基盤(衣食住の確保、安全の確保、精神の安定、補助含む収入の確保等)が実現している。この基盤が、その後のつながり創出の基盤になっている。また、受け入れ世帯増加に伴い、ケース会議の運用方法の見直しを事業開始後に行った結果、ケース会議開催件数は増加し、それが有効な支援計画を立て、よいつながりを作るサポートを行うことにつながった。
3連携機関の開拓と居住後支援対象母子世帯への繋がり創出
指標①若年層母子が持つ「伴走者」(困ったときに相談できる人・生活の困り事が生じたときに何らかの形でサポートしてくれる他者)の数 ②若年層母子に対する訪問・面談・同行件数
目標値・目標状態①25人 ②150回
アウトプット:結果①39人 ②302回
アウトプット:考察伴走者は計画よりも多くつながることができた。伴走者の種類は家庭により多岐にわたる。生活相談員のような伴走することを役割とする機関が伴走者となるケースもあるが、保育園の先生やかかりつけ医、キャリアコンサルタントや派遣会社のスタッフなど、伴走を主役割としない福祉機関や民間サービスの個人が伴走者になることも見られた。多くのケースでは、伴走者となるために、その主体が自身のサービス提供を通じてだけでは見られない受益者の背景について共有・理解すること、その情報を踏まえてサービスを提供しながら、その周辺領域に気をかけられるようになり、その気にかけてくれたことが本人と伴走者との関係性につながる、といったプロセスが進んでいくと感じている。

活動

1【「快適な住まいと安心できる繋がり」を提供する伴走支援の拡充:住まい探しサポート】 様々な理由で住まいを失った若年層のシングルマザー(10代~30代前半)に対して、LINEやメール、電話で住まいの相談を受け付け、生活課題をともに整理し、より良い住まいの選択肢を複数提示する。そのため、大家や不動産会社、活動地域の名古屋以外を希望であれば他地域の居住支援法人等とも連携して快適な住まい探しを支援する。
活動結果計画通り
概要活動欄に記述した内容どおりの活動を行うことができた。不動産会社との連携は強化され、自団体の住宅では希望に合わない相談であっても、不動産会社につなぐことで住まいを見つけるサポートを行うことができた。
2【「快適な住まいと安心できる繋がり」を提供する伴走支援の拡充:入居後の生活支援】 物資支援を兼ねた負担のない形で、月1回程度、面談室や当事者の自宅で定期面談をする。 その場で聞き取ったり、アセスメントしたりした生活課題やニーズに応じて、就労支援や病院、弁護士等、行政・民間を問わず、分野横断的な支援情報を提供する。また、両者の信頼関係が構築できるまで、適宜同行支援や、支援機関との連絡調整を行う。
活動結果計画通り
概要活動欄に記述した内容どおりの活動を行うことができた。ケース会議の見直しや支援のポイントの整理などにより、支援機関への接続の効率性を高めることができた。
3【「快適な住まいと安心できる繋がり」を提供する伴走支援の拡充:支援の質向上】 属人化を防ぎ、チーム全体の支援の質を高めて、当事者に安心してサポートを受けていただくため、ケースの振り返り会議を実施する。 「何が支援の肝となったか」「逆にどんな言葉がけで信頼関係が棄損されたか」「類似ケースが今後生じた場合、どのように対応すべきか」等を定期的に議論し、個別ケースの支援方針策定や、支援者育成に生かす。
活動結果計画通り
概要月に1回程度ケース会議とは別に、チームでの支援の振り返り会議を開催。俗人化しやすい支援の言語化を進めることができた。
4【若年層を応援する支援者コミュニティの拡充:団体理念等の明文化】 現状、理事・職員の知人が支援者の中心的な役割を担っている。より当事者にとって繋がりが見つけやすい環境を作るため、支援者の輪を広げるべく、団体理念等の明文化に取り組む。月1回程度、団体が大事にしている思いや支援は何か、事務局内で議論する場を設け、理念や行動指針、実現できていることが分かる指標設定等まで議論・明文化する。
活動結果計画通り
概要月に1回程度、事務局内の議論の場を設け、行動指針の策定など、組織の基盤の構築を進めることができた。事業期間中に複数人新しいスタッフを迎えたが、価値観共有や導入を有効に進めることができるようになった。
5【若年層を応援する支援者コミュニティの拡充:対外発信】 団体理念等の明文化を踏まえ、既存ツールに反映させ、対外的に分かりやすくするため、団体HP等の内容を改訂する。 また、支援開始時に当事者に配布する支援ガイドブックも併せて新たに制作する。団体概要や支援サービスの内容、頼り方等も明記し、当団体以外に関わる支援者が増えた場合でもスムーズなコミュニケーションが取れるよう支援する。
活動結果計画通り
概要支援のありかたの明文化をもとに、ウェブサイトの文言の修正や相談者向けのリーフレットの改修などを行い、相互理解の促進を進めることができた。
6【若年層を応援する支援者コミュニティの拡充:支援者開拓】 若年層を様々な形で応援する支援者コミュニティを醸成するため、近隣の法人やまだ繋がりのない地域の支援機関等をリストアップして、団体概要説明等で伺い、メールニュースや単発ボランティア、活動報告会の案内などを通じて徐々に関わりを増やし、協働可能性を模索する。 特に、潜在ニーズの高い家事スキルの向上や学び直しの機会で連携できる支援者開拓に注力する。
活動結果計画通り
概要ボランティアの参画促進を進めることができた。それにより、当団体スタッフ以外の見守りの目/手が増え、より多様なつながりを作ることができるようになった。必要な支援機関の開拓は常に再構築が必要であるものの、大方型化ができ、支援家庭が陥りやすい課題への解決策を提供できる支援機関・人と関係性を築くことができた。
7【会計労務の管理的経費に関わる活動】 組織拡大や資金調達の多様化を進めながら、効率化を図るために、専門機関の協力や業務委託を進めていく必要がある。そこで、NPOという通常の株式会社とは異なる処理でも対応ができる機関に委託することで、適切な処理を行える体制を築く。
活動結果計画通り
概要会計労務のアドバイザーに委託することができ、事業拡大に応じた基盤整備を進めることができた。
8【居住者間の交流の深化】 若年層を様々な形で応援するピアコミュニティを醸成するため、親子参加型のイベントを開催する。バスツアーへの参加を通じて、子ども同士・親同士が知り合いになることで、相談できるつながりを増やす。
活動結果計画通り
概要12月に親子交流イベントを開催し、27名が参加した。当日は親子が楽しむだけでなく、親子同士の交流を促進することができた。さらに、一部入居者がボランティアとして関わってもらうことができ、支援する/されるの関係を超える関係性づくりを実践する場ともなった。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

本事業では当初、孤立する若年層シングルマザーの繋がり先として行政や医療などの「支援機関」を主に想定していた。しかし、たとえば12月に開催した親子交流イベントにおいて、生活に余裕が生まれた入居者の母親たちが、自らボランティアとして運営に回るという想定外の変化が起きた。このような事例により「支援する/される」の垣根を超え、当事者同士が支え合う多層的なコミュニティが形成された。
また社会的波及効果として、物価・不動産価格の高騰を背景に「アフォーダブル住宅」が注目を集めたことが挙げられる。当団体の名古屋での実績がモデルケースとして高く評価され、2026年度には東京都で「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」が立ち上がった。一地域の事業が全国展開を見据えるモデルへと発展する、大きな社会的インパクトを生み出している。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

物価高騰は、元々余裕のないひとり親家庭の家計に深刻な打撃を与えていることを実感している。実際、「お米を買い控える」「暖房器具の使用を控える」など、出費を極限まで切り詰める過酷な状況が急増している。こうした日々の経済的困窮は当事者から心身の余裕を奪い、助けを求める気力や時間すら失わせている。民間サービスや一部公的サービスも受けるために交通費含め支出が必要となり、それを払うことすらためらわざるをえず、結果として、社会から完全に孤立してしまうリスクが高まっていると感じている。

外部との連携実績

1活動住まい探しサポート
実施内容LINEや電話等により、住まいの相談支援を実施。(詳細は3.活動欄に記載)
結果・成果・影響等株式会社LivEQuality大家さんとの連携により良質で安価な物件提供を実現。また、ちとせ不動産と連携し、様々な居住ニーズをもつ相談者に対して、物件の紹介を実現。
2活動支援の質向上
実施内容ケース会議およびケース振り返り会議を定期的に実施し、個別支援の質を向上するとともに、チーム支援実現に向けた言語化を行う(詳細は3.活動欄に記載)
結果・成果・影響等NPO法人アダージョちくさ下園氏と連携し、外部の支援者の視点からの助言及び視点を提供いただき、言語化を進めることができた。
3活動入居後の生活支援
実施内容定期面談を基本としながら、様々な専門機関に接続。(詳細は3.活動欄に記載)
結果・成果・影響等弁護士法人ハレ名古屋支所、医療法人アライフサポートほか様々な専門機関と、受益者のニーズに応じて連携を進め、支援体制を構築し、自立に向けたサポートを行うことができた。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

東海テレビ「ニュースONE」、名古屋NGOセンター会報「さんぐりあ」、一般社団法人高齢者住宅財団「財団ニュース」掲載

広報制作物等なし
報告書等なし
イベント開催等あり
内容
自団体の活動報告会にて、当事業の取り組みとそれによる学びを報告した。

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て添付・公開をした
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますかはい
内容
https://drive.google.com/file/d/1uE8vdilDgdlJWjpopmyoaEACE5l_kdzs/view

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

シンボルマークの活用状況

自団体のウェブサイトで表示