事業完了報告
2026/03/09更新
事業概要
| 事業期間 | 開始日 2025/04/15 | 終了日 2026/02/28 |
|---|---|---|
| 対象地域 | 沖縄県うるま市島嶼地域 | |
| 事業対象者 | うるま市島嶼地域に住む児童・生徒、その保護者 | |
| 事業対象者人数 | うるま市島嶼地域(平安座島・宮城島・浜比嘉島・伊計島)の小・中学生約160人 | |
| 事業概要 | 本事業では、うるま市の島嶼地域に住む小・中学生を対象に、基本的な食支援・生活習慣支援を行いながら学習支援を行うことを目的とする。生活習慣の乱 れが学習意欲の低下につながることから、まずは基本的な生活リズムを整えることを重視し、その上で学習環境の充実を図る。 | |
事業の総括およびその価値
活動を通して延参加1,509人の子どもに関わることができ、子ども一人ひとりの生活や学習の変化を単発ではなく継続的な過程として捉えることが可能となった。食支援は延1,428食を提供し、安心して通える入口として機能するとともに生活リズムや家庭状況を把握する重要な接点となった。学習支援ではICT教材、プリント学習、宿題対応を組み合わせ、学習への抵抗感が強かった子どもも含め、自ら教材に向き合う行動や学習時間の定着といった変化が見られた。また、勉強合宿や体験活動では集団生活の中で生活や食の乱れを把握し、日常生活の中で学習習慣が定着するよう工夫を取り入れた。これらの活動を通して、生活習慣や自己管理に課題を抱える子どもの様子を丁寧に捉え、その気づきを日常の支援へ還元することができた。本事業の価値は、食・生活・学習を分断せず同一拠点で行い、安心感を土台に行動変化を積み上げる支援モデルを実践できた点にある。
課題設定、事業設計に関する振返り
本事業では、生活習慣の乱れや学習に向き合う場所の不足、学習意欲の低さが、学習や登校の継続を困難にしているという課題設定のもと、学習支援を単独で行うのではなく、食・生活・学習を同一拠点で重ねる事業設計を行った。実施を通して、食事の提供が参加の入口となり、生活状況や困りごとを把握した上で学習へつなぐ流れは有効であった。一方で、学習支援開始時に来所数が一時的に減少するなど、「学習」という言葉への心理的ハードルが想定以上に 大きいことも明らかとなった。また、ICT教育についても教材中心の活用は定着しにくい場面が見られたが、体験活動と結びつけることで意欲を引き出す手段として有効であることが分かった。これらの結果から、子どもの状態に応じて関わり方を調整できる柔軟な設計が不可欠であり、支援の段階性や目的をより丁寧に伝え、安心して参加できる導線設計が重要であると分かった。
今回の事業実施で達成される状態
短期アウトカム
| 1 | 自己肯定感や挑戦する意欲が芽生え、自ら学習するなど学習意欲の改善が見られる | |
|---|---|---|
| 指標 | ・学習に取り組んだ回数(週) ・学習時間(ICT・プリント・宿題) ・検定試験に挑戦した人数 ・支援する子 やその家族の変化(支援実例) | |
| 目標値・目標状態 | ・学習支援:週2〜3回 ・学習時間:20〜30分以上 ・自分から学習教材を開くようになる | |
| アウトカム:結果 | ・学習に取り組んだ回数:週0回→週3回 ・学習時間:1日0分→1日20分以上 ・検定試験に挑戦した人数7名 | |
| アウトカム:考察 | 兄弟の体調不良時も検定への意欲から登校を続けるなど、自己肯定感の向上が具体的な行動変容として表れている。保護者も結果だけでなく挑戦過程を応援する姿勢に変化し、親子共に意欲が高まった。 全体としても学習頻度や時間が安定し、自ら教材を選ぶ姿が増加した。これは小さな成功体験と承認の積み重ねが、挑戦への心理的ハードルを下げた結果である。個別対話を重ねたことで信頼関係が深まり、子どもを取り巻く環境全体が「学び」に対して前向きな状態へ整ったことは本事業の重要な成果である。 | |
| 2 | 基本的生活習慣についての意識が向上している | |
| 指標 | ・登校時間内の登校回数 ・自主的な行動が取れる ・学習に取り組んだ回数(週) ・ヒヤリングによる睡眠時間の変化 ・支援する子やその家族の相談数やその変化(支援実例) | |
| 目標値・目標状態 | ・規則正しい生活習慣を意識した行動が見られる ・学習支援がスムーズに進むようになる | |
| アウトカム:結果 | ・登校時間内の登校回数:8割の子が向上 ・全員が自主的な行動を取れる様になった。 ・ヒヤリングによる睡眠時間の変化は6割の子が夜型から朝型に変化 ・支援する子からは家庭の相談が多く、対話後に保護者と話合いを行った結果、子どもが望む環境を作ることができた。 | |
| アウトカム:考察 | 登校時間内に登校できる日が増えたり、睡眠や生活リズムについて話題にする場面が増えるなど、日常の中で自分の生活を意識する場面が広がっている。こうした変化を通して、子ども達の生活習慣に対する向き合い方にも変化が見られるようになった。その結果、関わりの中で安心して過ごせる時間が増え、生活面についても落ち着いて話ができる雰囲気が生まれてきている。また、あいさつや手足を洗う行動を取り入れたことをきっかけに、帰宅時や帰り際の行動が日常の流れとして定着しつつある。こうした生活の土台が整い始めたことで、学習に向かう際の気持ちの切り替えもしやすくなり、生活面と学習面の両方に安定した変化が生まれている。 | |
アウトプット
| 1 | 個別化された学習支援のアプローチができおり、進学や将来について促すことができている | |
|---|---|---|
| 指標 | ・個々にあったカリキュラムや教材の選択を子どもとできている | |
| 目標値・目標状態 | ・教材選択ができている ・子どもが納得してる | |
| アウトプット:結果 | ・丁寧に対話を繰り返し、個々にあったカリキュラムや全員の教材を選択することができた。 | |
| アウトプット:考察 | 子ども達は学習量そのものよりも、学習に向かえる状態が整うことで行動が大きく変化することが確認された。食支援や居場所での関係づくりにより安心感が育まれ、学習への抵抗感が和らいだ結果、自ら教材を選び、学習に向かおうとする姿が見られるようになった。また、オープン型とクローズ型を併用した関わりにより、集団では見えにくい生活面・学習面の変化を個別に捉えることができ、子ども一人ひとりの状態に応じた支援につなげることができた。特に、「学習」という言葉が子どもに与える心理的影響の大きさが明確になり、安心感を土台に段階的に関わることで、学びへの向き合い方が変化していくことが分かった。 | |
| 2 | 子どもの学習レベルに合った学習支援の実施ができている | |
| 指標 | ・個々にあったカリキュラムや教材をもとに子どもたちへ学習支援を行うことができている | |
| 目標値・目標状態 | ・学習支援:週3回 ・学習に取り組む回数:開始当初より1.5倍 ・学習時間:開始当初より1.5倍 | |
| アウトプット:結果 | 開始当初は来所が7割減となったが、現在では来所数も増え、週3回、学習時間・学習に取り組む回数も1.5倍以上増加した。 | |
| アウトプット:考察 | 学習支援の質は一律の内容を提供することではなく、子どもの理解度や特性に応じて学習内容や進め方を調整できるかどうかが重要であることが確認された。本事業は、学校での学習を中心に行っている子ども達を対象に支援を開始し、学習支援は週3回実施した。個々に合った教材やカリキュラムを用いて対話を重ねた結果、学習への拒否感が軽減し、学習に取り組む回数や学習時間は開始当初と比べ1.5倍以上に増加した。途中、学習への抵抗から来所が減少する時期もあったが、子ども自身が納得して取り組める形を整えたことが、学習行動の定着と継続につながった。本事業は、「学習に向かえる状態を整える」視点の有効性を示した。 | |
| 3 | 定期的な食支援を通して現在の生活リズムを把握し、規則正しい生活リズムについて促すことができている | |
| 指標 | ・調理体験の開催数 ・保護者へのヒヤリング ・スタッフによる生活レベルの確認 ・子ども食堂の開催数または食事の提供数 | |
| 目標値・目標状態 | ・子どもの現状把握がスタッフ間で共有されている ・食支援の回数週3回 | |
| アウトプット:結果 | 月4回の調理体験、子ども食堂計156回、延1,428食を提供。個別支援時間を設けたことで、子ども達から現状を聞き、スタッフ間で共有も行うことができた。 | |
| アウトプット:考察 | 生活習慣改善合宿を実施したことで、夜型の生活から朝型へと移行する子どもが複数確認されるなど、睡眠リズムの安定につながる変化が見られた。これは一時的な環境変化にとどまらず、適切な関わりと生活設計が行動の改善につながる可能性を示している。また、居場所で満腹になることを目的とせず、「家庭で親と一緒に食事をとりたい」と考え、自ら食事量を調整する子どもが現れたことは、食支援が家庭関係にも波及していることを示す変化である。これらの出来事は、食や生活支援が単なる栄養補完ではなく、生活習慣と関係性の両面に影響を与える取り組みであることを裏づける結果となった。 | |
| 4 | 他団体と連携することで、子どもに必要な支援につなげることができている | |
| 指標 | ・サポート会議の回数 ・新たな連携先とつながった箇所数 | |
| 目標値・目標状態 | ・支援が必要な子に適切な支援先がつながっている ・サポート会議月1回 | |
| アウトプット:結果 | 2ヶ月に1度のサポート会議開催。地域の習い事と連携を行い、意欲向上に繋げた。(計6人)学校との連携も強化した。 | |
| アウトプット:考察 | サポート会議は2か月に1回の開催となったが、学校訪問等による日常連携が進んだため、形式的な全体会議は隔月開催として効率化した。学力面・生活面についても情報共有を重ねることができた。その結果、居場所内で抱え込むことなく、子どもの状況に応じて外部支援や地域活動へつなぐ判断が可能となった。また、地域のサッカーや空手等の活動と結びつけるパイプ役を担うことで、子どもが居場所の外にも安心して関われる場や挑戦の機会を持つきっかけとなった。形式的な会議回数に依存せず、子どもの状態に応じて柔軟に連携したことが、実態に即した支援につながることが確認され、本事業を通して連携の在り方に関する重要な示唆が得られた。 | |
| 5 | 発達特性やアレルギーについて理解し、個々の子どもに合わせた対応を行なっている | |
| 指標 | ・研修会への参加回数 ・研修会の実施回数 | |
| 目標値・目標状態 | ・子どもの対応がスタッフ間で共有されている状態 | |
| アウトプット:結果 | 研修会へ参加6回、単独研修25回開催し、情報共有の基盤ができた。 | |
| アウトプット:考察 | 発達特性やアレルギーに関する研修を受けたことで、子ども達の現状について、スタッフ間で共通の言葉を使って話し合えるようになった。これまで個々の経験や感覚に頼りがちだった対応につ いても、研修で得た視点をもとに、この子の今の状態はどうか・どのような配慮が必要かを共通の考え方で確認し、判断できる場面が増えている。スタッフ個人の感覚だけに依存しないことで、支援の方向性に迷いが少なくなり、チームとして落ち着いて対応できるようになった点は、本事業を通して得られた大きな成果だと感じている。また、対応についてスタッフ同士で立ち止まって確認する姿勢が生まれたことも、現場の変化として実感している。 | |
活動
| 1 | 学校帰りに気軽に寄ることのできる居場所を開催 ・月・水・金はオープン型の居場所開催 ・火・木はクローズ型として個別支援に取り組む(保護者ヒアリング・特性のある子の対応など) | |
|---|---|---|
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 学校帰りに子どもが気軽に立ち寄れる居場所を拠点として、オープン型とクローズ型を組み合わせた運営を行った。オープン型では交流や食事、学習支援を通して安心して過ごせる環境を整え、クローズ型では来所が難しい子どもへの個別対応や保護者ヒアリング、生活状況や特性、困りごとを把握した。居場所開催は計141回、延参加人数は1509人。両形態を併用したことで、生活面・学習面の変化を継続的に把握することができた。 | |
| 2 | 食事を楽しむ環境を整え、生活習慣を把握 ・簡単な調理体験を実施(月4回) ・宿泊体験学習の開催(7〜10月 各月1回実施) | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 食事を楽しむ環境作りと生活習慣の把握を目的に、調理体験と宿泊体験学習を実施。調理体験は月4回、子どもの作ってみたいを尊重。10月以降は個別対応を取り入れ、安心して気持ちを話せる時間とした。宿泊体験は6〜11月計5回、各回10名前後で実施。献立作成から後片付けまでを経験。夜更かしの改善や起床時間の安定、遅刻の減少、少食だった子が自作の食事を完食し再挑戦を希望。生活面・食への主体的な変化が見られた。 | |
| 3 | 安定した食の機会を提供する ・子ども食堂の定期開催(月・水・金) | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 安定した食の機会を提供するため、月・水・金曜日に開催し、計156回、延1,428食を提供。食事量の増加や新しい食材への挑戦が確認できた。また、特性上遊びながら食べていた子も、個別対応を重ねることで座って食べる時間が伸び、食事時間が短縮されるなどの変化が見られた。保護者からは「食の話題が増えた」との声があり、食事を通じて子どもの生活や気持ちの変化を捉え、継続的な見守りや支援につなげることができた。 | |
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