事業完了報告
2026/04/08更新
事業概要
| 事業期間 | 開始日 2025/05/01 | 終了日 2026/02/28 |
|---|---|---|
| 対象地域 | 富良野市及び近隣市町村(中富良野町・上富良野町・南富良野町) | |
| 事業対象者 | ・不登校児童生徒とその保護者 | |
| 事業対象者人数 | ①不登校・学校になじめない小学生約50人、中学生70人(富良野市児童生徒数の約10%程度) | |
| 事業概要 | 不登校の急増によって、不登校児童生徒への支援は急務であり誰一人取り残されない学びの保障が行政・学校をはじめ全体で求められてきた。しかし、不登校の子をもつ家庭や保護者の問題はほとんど議論されず、その支援は全くと言っていいほど届いてはいない。 | |
事業の総括およびその価値
不登校児童生徒への支援が急務とされる中、行政・学校による「学びの保障」だけでなく、家庭が抱える心理的・経済的負担の軽減が不可欠である。フラヌイスコーレでは、不登校を個人の問題に留めず、地域社会全体で解決すべき課題と位置づけ、子どもたちの自立支援と保護者の社会参画を両立させる「協同労働」を軸とした活動を展開してきた。
1年間の活動を通じ、子どもたちには地域社会という新しい居場所が生まれ、同時に保護者の心理的・時間的負担の軽減において顕著な成果が見られた。「将来への焦りや不安が軽減された」との声が多く寄せられ、「自身の健康管理やリフレッシュの時間を確保できるようになった」「精神的な余裕が仕事のパフォーマンス向上に繋がり労働時間の拡大や就業が再開された」など、具体的な経済活動の変化が見られた。これは、家庭と仕事の両立を阻んでいた「不登校の壁」が、地域の支援によって取り払われた成果と言える。
課題設定、事業設計に関する振返り
不登校を地域社会全体で支える事業モデルの基本的な有効性は実証された。保護者の 就労継続率9割、子どもたちへの学びと体験の提供、当事者が支援者となる協同労働のあり方など、事業の価値は確実に生まれつつある。
一方で、いくつかの課題も明らかになった。第一に、賛助会員が目標の2割にとどまるなど、一般市民レベルでの理解の広がりが不十分であった。講演会の参加者数も伸び悩んでおり、情報発信の方法や市民が関わる入口の設計に改善の余地がある。
第二に、相談内容が子どもの発達や健康障害・いじめなど深刻化・多様化しており、専門性の強化と関係機関との連携体制の整備が急務である。
第三に、協同労働への参画や定期利用者数など、数値目標に対する達成度の評価基準が曖昧である。立ち上げ期として妥当な規模なのか、拡大すべきなのかを判断するため、次年度は明確な目標設定と段階的な成長戦略が必要である。
今回の事業実施で達成される状態
短期アウトカム
| 1 | (直接対象者:不登校の子をもつ保護者・間接対象者:不登校の子ども)不登校の子どもに地域の自然や環境を生かした学びや体験の機会が提供され、将来に対する不安が軽減される。 | |
|---|---|---|
| 指標 | ・夏・冬休みのキャンプ、各種行事・イベントのリピーター数 ・就職・進学意欲の増加や将来の進路選択肢の増加 ・再登校児童生徒数(再登校はあくまでもこどもの選択肢の一つであり再登校が事業の目的ではない) | |
| 目標値・目標状態 | ・就職者希望数の割合80% ・再登校、進学・就職を希望する児童生徒数が増加し、将来の選択肢が増える | |
| アウトカム:結果 | ・今期当初からの利用者の中で就職を希望する者はいなかった。 ・利用者の中で再登校が2名、進学が1名。 ・不登校の子どもに学びや体験の機会を提供した。 ・会員数7名、週3回、5時間の活動 ・自然体験活動では会員含め年間のべ55名が参加した。 ・フリースクール会員7名のうち2名が再登校。 ・現在高校進学を希望し受験に向き合っている会員・元会員が3名。 ・行事やイベントへの参加者数が昨年度比120%となり、リピーターも8割と増加している。 | |
| アウトカム:考察 | リピーター率8割という目標値を達成し、提供する学びや体験の質が参加者・保護者から高く評価されていることが 裏付けられた。利用者の中で再登校2名・進学1名という具体的な成果が生まれ、高校受験準備3名を加えると「進学・就職を希望する児童生徒数が増加し、将来の選択肢が増えている」という目標値を着実に満たしている。参加者のべ55名は会員7名を大きく上回り、地域の不登校児童生徒や保護者に広く機会を提供できたことも成果といえる。一方、「不安軽減」という主観的目標をより客観的に測定する評価指標の導入が必要であり、単発参加者を継続的支援へつなげる仕組みづくりも今後の重要な課題である。 | |
| 2 | (直接対象者:不登校の子をもつ保護者)孤立することなく、わが子をありのまま受けとめ経済的・心理的に追い詰められない。 | |
| 指標 | ・子育て・教育講演会、コーチングのリピーター数 ・保護者の心理的負担、経済的負担の度合 | |
| 目標値・目標状態 | ・イベントのリピーター数の割合80% ・講演会等学習会のリピーター数の割合80% ・保護者会を通して孤立が防止されつながりができる ・保護者の心理的、経済的負担が軽減される | |
| アウトカム:結果 | ・講演会・学習会の参加者数は目標値50名を下回った。リピーター率6割。記念講演会では25名が参加。「このような講演会があればまた参加したい」との意見が多くだされた。 ・保護者会は6回のべ22名が参加。毎回導入時コーチングやセラピーのデモンストレーションを行い、共通話題提供したり緊張 感を和らげるとりくみを行った。定期的に開催した。保護者からは、参加することによって悩んでいるのは自分だけではないこと、子どもとじっくり向き合いたい、また参加したい等の感想が寄せられた。また、アンケートでは、これら保護者会や学習会に参加したことによって子どもの状態を客観的にみられるようになったと9割の保護者が回答している。 | |
| アウトカム:考察 | 各参加者数は目標に及ばなかったが、リピーター率6割は内容の質が評価されている。保護者交流会6回・のべ22名参加により「孤立することなく」という目標は実現されつつある。保護者会にはコーチングやセラピー要素を積極的に取り入れ、悩みを共有できる場が確立された。アンケートでは精神的安心感の改善率89%、孤独感軽減2.6点・スタッフへの信頼2.7点(3点満点)と高く、9割が「子どもの状態を客観的に見られるようになった」と回答した。子どもの居場所確保が保護者の精神的回復と就労継続・再開につながっており、「わが子をありのまま受けとめ、心理的に追い詰められない」状態への変化が数値からも裏付けられた。 | |
| 3 | (直接対象者:不登校の子をもつ保護者)子育て・家庭と仕事の調和のとれた働き方ができている | |
| 指標 | ・就労時間の変化 ・労働環境の変化(「子の看護」等労働条件の整備、職員・職場の理解) ・支援農園・団体企業数の増加 | |
| 目標値・目標状態 | ・不登 校によって労働時間・条件等の不利益な変更が強いられない ・子育てへの職場の理解が得られる ・支援農園・企業団体2団体 | |
| アウトカム:結果 | ・アンケート調査によると、スコーレに通うことで自分の仕事への影響は特に変化はないが、時短勤務からフルタイムへが1人、就業を再開したが2人。 ・森のキッチンを通じた保護者就労の橋渡し、子どもの就労体験2事例 ・ステークホルダー・企業との連携や課題意識の共有は不十分。 ・支援農園2団体、支援企業3団体 | |
| アウトカム:考察 | 時短勤務からフルタイム1名、就業再開2名という具体的成果は、フリースクールによる子どもの居場所確保が保護者の就労を可能にしたことを示している。不登校が保護者の就労制限や離職を招く構造があったが、それを変える効果があると思われる。森のキッチンを通じた就労橋渡し・就労体験2事例は、協同労働モデルの萌芽として評価できる。支援農園2団体、支援企業3団体との関係構築は、地域連携の基盤形成という点で前進である。一方、ステークホルダー・企業との連携や課題意識の共有が不十分であり、柔軟な勤務形態や短時間就労など、子育て中の保護者が選択できる多様な働く場の創出には至っていない。 | |
| 4 | (直接対象者:不登校の子をもつ保護者・間接対象者:地域住民)不登校を、その子と保護者・家庭の問題とすることなく地域社会全体でとらえる | |
| 指標 | ・ 保護者の心理的負担の変化 ・家庭と地域とのつながりの変化 ・地域住民の理解度 ・個人他団体による支援や後援 ・賛助会員数 | |
| 目標値・目標状態 | ・個人賛助会員80人 ・団体賛助会員20団体 | |
| アウトカム:結果 | ・アンケート調査結果によると、地域に不登校で悩む親と子の集いや仲間作りの場があればもっとよい、との意見が出された。 ・富良野市児童民生委員協議会にて問題提起と富良野市不登校支援対策問題協議会への参画。 ・民生児童委員2名がスコーレ活動に参加し、子どもや保護者と交流した。 ・社会福祉協議会を通じて子どもとともにボランティア活動に参加。 ・賛助会員数・団体数は目標値に対して2割程度にとどまる。 ・市教育支援センター「まいくらす」の不登校児童生徒を対象に「森のキッチン料理教室」を月1回実施。 | |
| アウトカム:考察 | 富良野市不登校支援対策問題協議会への参画、民生児童委員の活動参加、市教育支援センターとの協働事業により、不登校を地域社会全体で支える地域連携の基盤が構築された。民生児童委員2名の実際の交流参加は、地域の見守り機能と専門的支援をつなぐ重要な一歩である。社会福祉協議会を通じたボランティア活動参加は、子どもたちの社会参加機会の拡大となった。一方、賛助会員数が目標の2割にとどまることは、地域住民全体への理解浸透が不十分である。アンケートで「集いや仲間づくりの場があればもっとよい」という意見が出たことは、潜在的ニーズは存在するが、それが賛助会員獲得や地域の支援者拡大につながっていない。 | |
アウトプット
| 1 | (直接対象者)「フリースクール事業」「森のキッチン」事業を活用した就労及び支援農園や団体・企業等と連携し働く場と機会を提供している。 | |
|---|---|---|
| 指標 | ・「フリースクール」「森のキッチン」事業への組合(労働者協同組合への組合員として)加入 ・支援農園・団体企業数 | |
| 目標値・目標状態 | ・新たな組合加入5名以上、出資10万円以上 ・支援農園・企業団体2団体 | |
| アウトプット:結果 | ・高校生の就労機会としての森のキッチンに1名が組合員として加入。 ・不登校当事者として支援する側へと組合員として2名加入 ・支援農園1団体加入 ・保護者アンケート分析の結果、就業を新たに開始・再開した方が2名、労働時間を増やした方が1名おり利用保護者の多くが就業を継続・再開している。 | |
| アウトプット:考察 | アンケート結果から利用保護者の多くが就業を継続・再開していることが確認された。高校生1名が森のキッチンの組合員として加入したことは不登校経験者が「働く場」を得た重要な一歩であり、不登校当事者2名の組合員加盟は「支えられる側から支える側へ」という協同労働の理念 が体現された成果といえる。支援農園1団体の加入も地域資源を活かした就労の多様化への端緒となった。協同労働の仕組みは機能し始めているが、働く場の選択肢はまだ限定的であり、今後は多様な就労機会の創出と地域連携の拡大が課題である。 | |
| 2 | (直接対象者・間接対象者)不登校の子どもたちへの学びや体験を提供することによって将来への不安を軽減させる活動を展開している。 | |
| 指標 | (直接対象者・間接対象者)不登校の子どもたちへの学びや体験を提供することによって将来への不安を軽減させる活動を展開している。 | |
| 目標値・目標状態 | ・利用者数10名×週3日×4時間 ・プログラム回数年10回 ・年間4回のイベント×30名 ・うち社会教育、民間等の子どもを対象としたイベント年2回 ・相談会・交流会年6回×10人 ・相談・問い合わせ件数年30件 | |
| アウトプット:結果 | ・週3日・4時間、地域の人々や⾃然・産業を通した子どもたちの学びや体験の機会を保障し子どもたちの⾃立支援を行ってきた。会員利用者は5名。 ・夏冬のキャンプ・十勝岳トレッキング、ハイキング等自然体験活動を通じてコミュニケーション能力や創造性、協調性を育み、自立的な生活へと向かう意欲を向上させた(子ども対象事後アンケートによる)。参加者はのべ55名。 ・保護者会・交流会、相談会については数値目標を達成。 | |
| ア ウトプット:考察 | 週3日・4時間の定期的な活動に5名が参加し、地域を通じた学びの場が確実に機能している。 ただ、定期利用者、イベント参加者とも目標人数には達しておらず、 自然体験活動への延べ55名の参加は、定期利用者以外にも広く機会を提供できたことを示す。事後アンケートで意欲向上が確認され、体験活動が子どもたちの心理的な変化をもたらす有効な手段であることを実証している。 保護者会等の目標達成は、保護者支援という事業の両輪が機能していることを示す重要な成果である。 一方で、定期利用者・イベント参加者とも目標人数には達していない。潜在的ニーズはあるので、利用しやすい仕組みづくりと効果的な広報が求められる。 | |
| 3 | (直接対象者)個別の問い合わせ・相談などの対象者を孤立させない体制を確立するとともに、ピアサポート・交流会や子育て・教育講演会などを実施している。 | |
| 指標 | ・SNSや行政等を通した相談体制の確立 ・問い合わせ・相談件数 ・交流会の回数と参加者数 ・子育てコーチング講座と参加者数 ・子育て・教育講演会の回数と参加者数 ・個人・他団体による支援や後援 | |
| 目標値・目標状態 | ・掲載数・研修回数 ・相談件数20件・40時間、相談記録ファイルの管理 ・交流会6回×10人 ・講座・講演会4回×30人 ・後援団体・企業10団体 ・市民団体等集会・のシンポジウム等1回の参加人数70人以上 | |

