シンボル

休眠預金活用事業
情報公開サイト

ホーム事業検索結果

サムネイル

完了

事業完了報告

2026/04/08更新

事業概要

事業期間開始日 2025/05/01終了日 2026/02/28
対象地域富良野市及び近隣市町村(中富良野町・上富良野町・南富良野町)
事業対象者

・不登校児童生徒とその保護者
・不登校傾向の児童生徒とその保護者
・不登校を経験した中学・高卒者とその保護者

事業対象者人数

①不登校・学校になじめない小学生約50人、中学生70人(富良野市児童生徒数の約10%程度)
②登校はしているが教室で過ごせない、過ごしても別な活動など不登校傾向の児童・生徒170人とその保護者
③発達の特性によって学校になじめない子約50人とその保護者

事業概要

 不登校の急増によって、不登校児童生徒への支援は急務であり誰一人取り残されない学びの保障が行政・学校をはじめ全体で求められてきた。しかし、不登校の子をもつ家庭や保護者の問題はほとんど議論されず、その支援は全くと言っていいほど届いてはいない。
 そこで、フラヌイスコーレでは地域の人々や自然・産業を通した子どもたちの学びや体験の機会を保障し子どもたちの自立支援を行う一方、子育て・教育を家庭の問題にせず地域ぐるみで議論するようなシンポジウムや講演・ワークショップ等、不登校当事者への理解を求める場と機会を提供する。不登校の問題は、個人や家庭だけでなく、地域社会全体で取り組むべき課題であり地域全体で理解を深めることで、より包括的なサポートが可能になる。
これにより、家庭内に依存しがちだった子どもたちの生活が地域へと広がり、同時に保護者も不登校でも孤立することなく地域社会が支えになってくれるという実感が生まれ時間的・心理的・経済的負担が軽減され家庭・子育てと仕事の両立が可能となる。
フラヌイスコーレは協同労働という働き方を志向している。子どもの不登校によって就労が困難になっても子育て・教育の課題を当事者としての経験・目線でとらえ、同じ悩みをもつ家庭や保護者・地域の人々の困りごとを解決することがすなわち新たな「仕事」として生まれ、個々の生活環境や状況に応じた多様な働き方もめざしていく。

事業の総括およびその価値

不登校児童生徒への支援が急務とされる中、行政・学校による「学びの保障」だけでなく、家庭が抱える心理的・経済的負担の軽減が不可欠である。フラヌイスコーレでは、不登校を個人の問題に留めず、地域社会全体で解決すべき課題と位置づけ、子どもたちの自立支援と保護者の社会参画を両立させる「協同労働」を軸とした活動を展開してきた。
1年間の活動を通じ、子どもたちには地域社会という新しい居場所が生まれ、同時に保護者の心理的・時間的負担の軽減において顕著な成果が見られた。「将来への焦りや不安が軽減された」との声が多く寄せられ、「自身の健康管理やリフレッシュの時間を確保できるようになった」「精神的な余裕が仕事のパフォーマンス向上に繋がり労働時間の拡大や就業が再開された」など、具体的な経済活動の変化が見られた。これは、家庭と仕事の両立を阻んでいた「不登校の壁」が、地域の支援によって取り払われた成果と言える。

課題設定、事業設計に関する振返り

不登校を地域社会全体で支える事業モデルの基本的な有効性は実証された。保護者の就労継続率9割、子どもたちへの学びと体験の提供、当事者が支援者となる協同労働のあり方など、事業の価値は確実に生まれつつある。
一方で、いくつかの課題も明らかになった。第一に、賛助会員が目標の2割にとどまるなど、一般市民レベルでの理解の広がりが不十分であった。講演会の参加者数も伸び悩んでおり、情報発信の方法や市民が関わる入口の設計に改善の余地がある。
第二に、相談内容が子どもの発達や健康障害・いじめなど深刻化・多様化しており、専門性の強化と関係機関との連携体制の整備が急務である。
第三に、協同労働への参画や定期利用者数など、数値目標に対する達成度の評価基準が曖昧である。立ち上げ期として妥当な規模なのか、拡大すべきなのかを判断するため、次年度は明確な目標設定と段階的な成長戦略が必要である。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1(直接対象者:不登校の子をもつ保護者・間接対象者:不登校の子ども)不登校の子どもに地域の自然や環境を生かした学びや体験の機会が提供され、将来に対する不安が軽減される。
指標・夏・冬休みのキャンプ、各種行事・イベントのリピーター数 ・就職・進学意欲の増加や将来の進路選択肢の増加 ・再登校児童生徒数(再登校はあくまでもこどもの選択肢の一つであり再登校が事業の目的ではない)
目標値・目標状態・就職者希望数の割合80% ・再登校、進学・就職を希望する児童生徒数が増加し、将来の選択肢が増える
アウトカム:結果・今期当初からの利用者の中で就職を希望する者はいなかった。 ・利用者の中で再登校が2名、進学が1名。 ・不登校の子どもに学びや体験の機会を提供した。 ・会員数7名、週3回、5時間の活動 ・自然体験活動では会員含め年間のべ55名が参加した。 ・フリースクール会員7名のうち2名が再登校。 ・現在高校進学を希望し受験に向き合っている会員・元会員が3名。 ・行事やイベントへの参加者数が昨年度比120%となり、リピーターも8割と増加している。
アウトカム:考察リピーター率8割という目標値を達成し、提供する学びや体験の質が参加者・保護者から高く評価されていることが裏付けられた。利用者の中で再登校2名・進学1名という具体的な成果が生まれ、高校受験準備3名を加えると「進学・就職を希望する児童生徒数が増加し、将来の選択肢が増えている」という目標値を着実に満たしている。参加者のべ55名は会員7名を大きく上回り、地域の不登校児童生徒や保護者に広く機会を提供できたことも成果といえる。一方、「不安軽減」という主観的目標をより客観的に測定する評価指標の導入が必要であり、単発参加者を継続的支援へつなげる仕組みづくりも今後の重要な課題である。
2(直接対象者:不登校の子をもつ保護者)孤立することなく、わが子をありのまま受けとめ経済的・心理的に追い詰められない。
指標・子育て・教育講演会、コーチングのリピーター数 ・保護者の心理的負担、経済的負担の度合
目標値・目標状態・イベントのリピーター数の割合80% ・講演会等学習会のリピーター数の割合80% ・保護者会を通して孤立が防止されつながりができる ・保護者の心理的、経済的負担が軽減される
アウトカム:結果・講演会・学習会の参加者数は目標値50名を下回った。リピーター率6割。記念講演会では25名が参加。「このような講演会があればまた参加したい」との意見が多くだされた。 ・保護者会は6回のべ22名が参加。毎回導入時コーチングやセラピーのデモンストレーションを行い、共通話題提供したり緊張感を和らげるとりくみを行った。定期的に開催した。保護者からは、参加することによって悩んでいるのは自分だけではないこと、子どもとじっくり向き合いたい、また参加したい等の感想が寄せられた。また、アンケートでは、これら保護者会や学習会に参加したことによって子どもの状態を客観的にみられるようになったと9割の保護者が回答している。
アウトカム:考察各参加者数は目標に及ばなかったが、リピーター率6割は内容の質が評価されている。保護者交流会6回・のべ22名参加により「孤立することなく」という目標は実現されつつある。保護者会にはコーチングやセラピー要素を積極的に取り入れ、悩みを共有できる場が確立された。アンケートでは精神的安心感の改善率89%、孤独感軽減2.6点・スタッフへの信頼2.7点(3点満点)と高く、9割が「子どもの状態を客観的に見られるようになった」と回答した。子どもの居場所確保が保護者の精神的回復と就労継続・再開につながっており、「わが子をありのまま受けとめ、心理的に追い詰められない」状態への変化が数値からも裏付けられた。
3(直接対象者:不登校の子をもつ保護者)子育て・家庭と仕事の調和のとれた働き方ができている
指標・就労時間の変化 ・労働環境の変化(「子の看護」等労働条件の整備、職員・職場の理解) ・支援農園・団体企業数の増加
目標値・目標状態・不登校によって労働時間・条件等の不利益な変更が強いられない ・子育てへの職場の理解が得られる ・支援農園・企業団体2団体
アウトカム:結果・アンケート調査によると、スコーレに通うことで自分の仕事への影響は特に変化はないが、時短勤務からフルタイムへが1人、就業を再開したが2人。 ・森のキッチンを通じた保護者就労の橋渡し、子どもの就労体験2事例 ・ステークホルダー・企業との連携や課題意識の共有は不十分。 ・支援農園2団体、支援企業3団体
アウトカム:考察時短勤務からフルタイム1名、就業再開2名という具体的成果は、フリースクールによる子どもの居場所確保が保護者の就労を可能にしたことを示している。不登校が保護者の就労制限や離職を招く構造があったが、それを変える効果があると思われる。森のキッチンを通じた就労橋渡し・就労体験2事例は、協同労働モデルの萌芽として評価できる。支援農園2団体、支援企業3団体との関係構築は、地域連携の基盤形成という点で前進である。一方、ステークホルダー・企業との連携や課題意識の共有が不十分であり、柔軟な勤務形態や短時間就労など、子育て中の保護者が選択できる多様な働く場の創出には至っていない。
4(直接対象者:不登校の子をもつ保護者・間接対象者:地域住民)不登校を、その子と保護者・家庭の問題とすることなく地域社会全体でとらえる
指標・保護者の心理的負担の変化 ・家庭と地域とのつながりの変化 ・地域住民の理解度 ・個人他団体による支援や後援 ・賛助会員数
目標値・目標状態・個人賛助会員80人 ・団体賛助会員20団体
アウトカム:結果・アンケート調査結果によると、地域に不登校で悩む親と子の集いや仲間作りの場があればもっとよい、との意見が出された。 ・富良野市児童民生委員協議会にて問題提起と富良野市不登校支援対策問題協議会への参画。 ・民生児童委員2名がスコーレ活動に参加し、子どもや保護者と交流した。 ・社会福祉協議会を通じて子どもとともにボランティア活動に参加。 ・賛助会員数・団体数は目標値に対して2割程度にとどまる。 ・市教育支援センター「まいくらす」の不登校児童生徒を対象に「森のキッチン料理教室」を月1回実施。
アウトカム:考察富良野市不登校支援対策問題協議会への参画、民生児童委員の活動参加、市教育支援センターとの協働事業により、不登校を地域社会全体で支える地域連携の基盤が構築された。民生児童委員2名の実際の交流参加は、地域の見守り機能と専門的支援をつなぐ重要な一歩である。社会福祉協議会を通じたボランティア活動参加は、子どもたちの社会参加機会の拡大となった。一方、賛助会員数が目標の2割にとどまることは、地域住民全体への理解浸透が不十分である。アンケートで「集いや仲間づくりの場があればもっとよい」という意見が出たことは、潜在的ニーズは存在するが、それが賛助会員獲得や地域の支援者拡大につながっていない。

アウトプット

1(直接対象者)「フリースクール事業」「森のキッチン」事業を活用した就労及び支援農園や団体・企業等と連携し働く場と機会を提供している。
指標・「フリースクール」「森のキッチン」事業への組合(労働者協同組合への組合員として)加入 ・支援農園・団体企業数
目標値・目標状態・新たな組合加入5名以上、出資10万円以上 ・支援農園・企業団体2団体
アウトプット:結果・高校生の就労機会としての森のキッチンに1名が組合員として加入。 ・不登校当事者として支援する側へと組合員として2名加入 ・支援農園1団体加入 ・保護者アンケート分析の結果、就業を新たに開始・再開した方が2名、労働時間を増やした方が1名おり利用保護者の多くが就業を継続・再開している。
アウトプット:考察アンケート結果から利用保護者の多くが就業を継続・再開していることが確認された。高校生1名が森のキッチンの組合員として加入したことは不登校経験者が「働く場」を得た重要な一歩であり、不登校当事者2名の組合員加盟は「支えられる側から支える側へ」という協同労働の理念が体現された成果といえる。支援農園1団体の加入も地域資源を活かした就労の多様化への端緒となった。協同労働の仕組みは機能し始めているが、働く場の選択肢はまだ限定的であり、今後は多様な就労機会の創出と地域連携の拡大が課題である。
2(直接対象者・間接対象者)不登校の子どもたちへの学びや体験を提供することによって将来への不安を軽減させる活動を展開している。
指標(直接対象者・間接対象者)不登校の子どもたちへの学びや体験を提供することによって将来への不安を軽減させる活動を展開している。
目標値・目標状態・利用者数10名×週3日×4時間 ・プログラム回数年10回 ・年間4回のイベント×30名 ・うち社会教育、民間等の子どもを対象としたイベント年2回 ・相談会・交流会年6回×10人 ・相談・問い合わせ件数年30件
アウトプット:結果・週3日・4時間、地域の人々や⾃然・産業を通した子どもたちの学びや体験の機会を保障し子どもたちの⾃立支援を行ってきた。会員利用者は5名。 ・夏冬のキャンプ・十勝岳トレッキング、ハイキング等自然体験活動を通じてコミュニケーション能力や創造性、協調性を育み、自立的な生活へと向かう意欲を向上させた(子ども対象事後アンケートによる)。参加者はのべ55名。 ・保護者会・交流会、相談会については数値目標を達成。
アウトプット:考察週3日・4時間の定期的な活動に5名が参加し、地域を通じた学びの場が確実に機能している。 ただ、定期利用者、イベント参加者とも目標人数には達しておらず、 自然体験活動への延べ55名の参加は、定期利用者以外にも広く機会を提供できたことを示す。事後アンケートで意欲向上が確認され、体験活動が子どもたちの心理的な変化をもたらす有効な手段であることを実証している。 保護者会等の目標達成は、保護者支援という事業の両輪が機能していることを示す重要な成果である。 一方で、定期利用者・イベント参加者とも目標人数には達していない。潜在的ニーズはあるので、利用しやすい仕組みづくりと効果的な広報が求められる。
3(直接対象者)個別の問い合わせ・相談などの対象者を孤立させない体制を確立するとともに、ピアサポート・交流会や子育て・教育講演会などを実施している。
指標・SNSや行政等を通した相談体制の確立 ・問い合わせ・相談件数 ・交流会の回数と参加者数 ・子育てコーチング講座と参加者数 ・子育て・教育講演会の回数と参加者数 ・個人・他団体による支援や後援
目標値・目標状態・掲載数・研修回数 ・相談件数20件・40時間、相談記録ファイルの管理 ・交流会6回×10人 ・講座・講演会4回×30人 ・後援団体・企業10団体 ・市民団体等集会・のシンポジウム等1回の参加人数70人以上
アウトプット:結果・講演会の新聞等掲載数2件 ・SNSへの投稿や紹介2件 ・相談件数10件(16回)1件あたり2時間計32時間 ・交流会・講座・講演会3回、63人 ・後援団体・企業4団体 ・市民団体等の集会未実施 ・SNSや行政等を通した相談件数が増え、その内容も不登校に限らず子育て全般、特性をもつ子どもの発達、子どもの健康障害、いじめなど深刻かつ緊急な事例も含め多岐にわたっている。 ・子育て・教育講演会は2回実施したが参加者数が伸び悩んでいる。広報活動やアクセシビリティーの検討が必要である。
アウトプット:考察相談件数の増加と内容の多様化は、不登校支援の枠を超えて地域の子育て相談窓口として機能し始めたことを示している。健康障害やいじめなど深刻な事例への対応は、専門性と緊急対応力が求められる重要な役割だが、同時にスタッフの負担増大や専門家との連携体制の強化が課題となる。 講演会の参加者数が伸び悩んだ点は、開催方法や広報の見直しが必要である。また、地域企業・団体との連携が不十分であり持続可能な運営のためにも協力関係の拡大が不可欠である。多様な就労機会の創出は、当事者の社会参加を促すとともに、事業基盤の強化にもつながる。相談対応と啓発活動、地域連携のバランスを取りながら、持続可能な体制づくりが求められる。

活動

1・拠点で不登校生対象に支援+対話+自然・農業体験・指導(週3回)
活動結果計画通り
概要・週3日不登校性生及び不登校傾向・学習に支援を要する子どもたちの支援を行っている。スコーレの活動内容は子どもたちによるミーティングによって決定している。自然体験活動や農業体験は時期的なことも考慮し計画的にスタッフ提案により決定している。自然体験や農業体験は子どもの体験の幅を広げている(協力農園:ウレシパフラノ・鈴木農園)。子どもたちの日々の活動は連絡帳によって保護者と共有している。
2・訪問型支援+対話(週1回)
活動結果遅延あり
概要利用会員の訪問型支援はなかった
3・各種イベント、春、夏、冬期にキャンプ
活動結果計画通り
概要・旭山動物園遠足(5/22・親子17名参加)、スコーレ子ども祭り(6/28・のべ35名参加)、サマーキャンプ(7/31~8/1・親子23名参加)、親子夏休み企画(手話にトライ・5名参加、「昔」と「今」・10名参加)、登山(10/13・7名参加)、収穫祭(10/26・40名参加)、「数の学校」(12/14・15名参加)、ウインターキャンプ(12/26~27・親子25名参加)、餅つき(2/28予定)
4・保護者対象の個別相談・保護者会(月1回)
活動結果計画通り
概要スコーレ説明会(6/12・保護者4名参加)、保護者会(5/23・6/26・7/24・9/25・10/23・1/29のべ22名参加)、個別相談(10件・16回)
5・子育て・教育講演会(年3回)
活動結果ほぼ計画通り
概要・1周年記念講演会(5/28・25名参加) ・富良野市児童民生員との交流18名参加 ・こどもの尊厳と権利を守る~価値ある尊厳であり続けるために~(12/14・20名参加)
6・子育てコーチング・教員対象研修(年2回)
活動結果ほぼ計画通り
概要教員対象研修(市不登校支援対策連絡協議会6/24・教員代表・地域代表22名参加)・市民講座「わかってもらえた」がこどもを救う(9/6・7名参加)・「労働者協同組合」って何ですか?(9/6・10名参加)
7・「森のキッチン」の長期体験活動・保護者就労支援(随時)
活動結果ほぼ計画通り
概要・スコーレから1名・スコーレボランティアスタッフ1名キッチン体験参加。不登校生徒1名アルバイト組合員。市教育支援センター「森のキッチン料理教室」月1回実施・小中児童のべ24名参加

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

当初想定していた不登校支援の枠を超えて、地域の包括的な子育て相談窓口としての機能が生まれたことは重要な波及効果である。相談内容が子育て全般、発達特性、いじめなど多岐にわたり、フラヌイスコーレが「困ったときに頼れる場所」として地域に認識され始めている。これは不登校という入口から、より広い子育て支援のプラットフォームへと発展する可能性を示している。
また、高校生が組合員として加入したことは、不登校経験者の社会参加の道筋として新たなモデルを提示した。学校復帰や進学だけでない「その後」の選択肢を示すことは、当事者の将来への不安軽減に大きく寄与する。
さらに、自然体験活動への延べ55名という参加は、定期利用者以外にも広く門戸を開く結果となり、潜在的な支援ニーズの掘り起こしにつながった。
一方で、深刻な相談への対応が増えたことで、専門性の強化や関係機関との連携という新たな課題も浮上しており、事業の持続可能性を考える上で重要な点である。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

不登校児童生徒数は全国的に増加を続けている。背景には学校環境への不適応のほか、様々な複合的要因が絡み合っている。相談内容の多様化が示すように、不登校は氷山の一角であり、背後には子育て全般への不安や孤立が存在する。
今回の事業における、保護者の就労継続率9割という成果は、子どもの不登校が保護者の離職や経済的困窮につながる従来の構造を変える可能性を示した。一方で、協同労働による就労創出はまだ限定的であり、森のキッチン以外の選択肢拡大が求められる。
次の課題として、第一に財政基盤の強化が不可欠である。賛助会員獲得に向け、事業の社会的価値を可視化し地域全体の理解を深める必要がある。第二に、地域企業・団体との連携拡大による多様な就労機会の創出である。農業、観光、福祉など富良野の地域資源を活かした協同労働の場を増やすことで、当事者が自分に合った働き方を選べる環境を整える。第三に、総合的な子育て支援拠点としての機能強化である。行政との連携を深化させ、予防的支援から緊急対応まで切れ目のない支援体制を構築することが、地域全体で子どもと家庭を支える仕組みづくりにつながると考える。

外部との連携実績

1活動富良野市教育委員会
実施内容・教育支援センター「まいくらす」の学習支援の一部を担当。週1回支援センター通所の小中学生数名とオンラインで学習支援。フラヌイスコーレが市教委の委託を受け実施。 ・「森のキッチン」スタッフが月1回、「まいくらす」通所児童・生徒を対象に料理教室を実施。食を通した子どもたちの自立活動を支援。
結果・成果・影響等週1回のオンライン学習支援は、センター通所児童生徒に多様な学びの選択肢を提供し、月1回の森のキッチン料理教室は食育を通じた自立活動の機会となった。この取り組みにより、行政だけでは対応しきれない個別ニーズへの柔軟な支援が可能となり、子どもたちの学びの機会が拡充された。また、フラヌイスコーレが市教委の委託事業を受託したことは、民間団体の専門性と実践が公的に認められたものであり、今後の協働体制強化の基盤となると考える。
2活動富良野市民生児童委員連絡協議会
実施内容・富良野市内「不登校」児童生徒の状況について諸会議で情報交換。「不登校」支援について両者で共通認識にたって家庭、児童・生徒への包括的支援を検討。 ・児童民生委員がイベントや自然体験活動に参加。実際に子どもたちと交流をすすめる。
結果・成果・影響等富良野市民生児童委員連絡協議会との連携により、地域の見守り機能と不登校支援を結ぶことができた。諸会議での情報交換を通じて不登校児童生徒の実態を共有し、家庭訪問や地域での見守りを担う民生児童委員と、居場所・学びの場を提供するフラヌイスコーレが共通認識のもと包括的支援を検討できる体制が整った。また、民生児童委員がイベントや自然体験活動に実際に参加し子どもたちと交流したことで、不登校に対する理解が体験的に深まり、地域における偏見や誤解の払拭につながった。この取り組みは、不登校を「家庭の問題」から「地域で支える課題」へと転換する具体的な一歩となり、民生児童委員のネットワークを通じて地域全体への理解促進が期待できる。今後の課題は、この連携を一時的なものにせず継続的な協働関係へ発展させることが必要である。
3活動富良野市教育委員会「不登校支援児童生徒連絡協議会」および「支援ワークンググループ(WG)」
実施内容富良野市教育委員会「不登校支援児童生徒連絡協議会」および「支援WG」のアドバイザーとして参画。
結果・成果・影響等学校現場、教育委員会、福祉関係者など多様な主体が集まる協議会において、フリースクール運営や保護者支援で得た具体的な事例や課題を提供することで、より実効性の高い支援策の検討が可能となった。今後の課題は、協議会での議論を具体的な施策実施へつなげること、そしてフラヌイスコーレ単独ではなく複数の民間団体や当事者家族の声を政策に反映させる仕組みをつくることが大切である。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・2026年2月発行の北海道社会福祉協議会広報誌『明るい社会』への寄稿。
・2025年11月27日、TBSラジオ「荻上チキ・Session」にて「コープ・プレゼンツWE CO・OP(ウィーコープ)プロジェクト」各地の協同組合の取り組の取材から。
・北海道新聞取材5月28日、「私が出会った子どもたち」教育講演会

広報制作物等あり
内容

・富良野市教育委員会広報資料「気軽に相談してください」の相談窓口として

報告書等なし
イベント開催等あり
内容
・北海道ワーカーズコープ「ちかほイベント」へのイベントブース出店(12/4)

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て添付・公開をした
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更があり報告済み
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますかはい
内容
https://storage.e.jimdo.com/file/bffb0a3a-8107-4057-bf66-ffb0b3821703/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E5%8D%94%E5%90%8C%E7%B5%84%E5%90%88%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%8C%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AC%E4%BA%BA%E4%BB%B6%E8%B2%BB%E6%B0%B4%E6%BA%96.pdf

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部に窓口を設置、外部にJanpiaの窓口を利用

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

・労働者協同組合フラヌイスコーレ「監査規定」にもとづいて、①監事による定期的な監査、②帳簿・領収書・契約書の確認、③理事会のチェック、④現金・預金の突合、⑤事業の進捗や成果の確認、を実施してきたし、実施予定。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

【組織として強化された事項】
助成により設立初年度から安定的な事業運営が可能となり、フリースクール運営、保護者支援、協同労働モデルの実証という三本柱を確立できた。特に市教育委員会や民生児童委員協議会との公式連携、市不登校支援協議会への参画など地域連携基盤を構築し、政策形成に関与する立場を得た。また事業評価を通じてPDCA能力が向上し、データに基づく改善思考が組織に定着した。
【新たに認識した課題】
賛助会員が目標の2割にとどまり、助成終了後の財政的持続可能性が最重要課題と認識。富良野という地域特性上、若手人材確保が極めて困難で、組織の持続性にリスクがある。協同労働の就労選択肢が森のキッチンに偏り、多様な働き方提供に至っていない。また利用者数が想定の半分で、広報力不足と参加ハードルの高さが課題である。
【求める支援】
単年度助成では組織基盤強化が困難なため、3〜5年の複数年助成と伴走支援の拡充を求める。地方小規模団体特有の課題(人材確保困難、広報力不足)への配慮をお願いしたい。

シンボルマークの活用状況

自団体のウェブサイトで表示

広報制作物に表示

イベント実施時に表示