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事業完了報告

2026/03/12更新

事業概要

事業期間開始日 2025/05/12終了日 2026/02/28
対象地域珠洲市および全国
事業対象者

【事業で直接介入する対象者】
① 珠洲焼※作家と珠洲焼の復興をサポートする小規模事業者(特に失業中の移住者)
※珠洲焼:旧珠洲郡(現在の珠洲市と能登町の一部)で製造される石川県指定の伝統工芸品。
②珠洲(能登)の名産品や農水産物等の製造事業者、物販飲食事業者
【間接的効果が期待できる受益者】
珠洲市に留まり、地域の再興を目指す個人や事業者
 

事業対象者人数

【直接受益者】
・発災により作陶環境を失った珠洲焼作家・関連事業者 15名
・発災により失職し本事業に参画する個人又は小規模事業者
※奥能登芸術祭の運営などに従事し、失職した者を含む
【最終受益者】
珠洲と能登町に住む人:約2万人

事業概要

これまで取り組みを踏まえ、伝統工芸「珠洲焼の復活」を通して珠洲を元気にするプロジェクト「やさしいくろとたゆたうあお」を実施する。伝統工芸や芸術祭などの振興策により、移住促進に取り組んできた珠洲しだが、群発地震と豪雨は潜んでいた移住者と地元民の間の距離感を図らずも顕在化させた。本プロジェクトは、移住者と地元民、伝統工芸と現代アート、地域産業の協働の基盤作りである。この先駆的取り組みは、人口減少地域全体に共通する課題解決に展開が可能である。
【珠洲人にとっての珠洲焼】
令和6年の奥能登地震は一瞬で家と暮らしの全て奪った。代々受け継ぎ発災前まで使っていた輪島塗、珠洲焼などの工芸品は伝統ともに生きてきた能登人の誇りにであったが、その多くが割れ傷つき取り出すことなく廃棄された。これは能登に暮らす人のアイデンティティの復興でもある。
<事業>
①作家各々の実情を踏まえた復旧計画策定と助成申請、窯の再建
②世代横断的な協働共助関係の構築
③復興&珠洲焼体験ツアー(試験版)?
④作品内覧会
(⑤珠洲焼で楽しむ珠洲の会)
⑥東京と大阪万博の展示会で域外と外国人観光客に訴求し、能登の経済振興につなぐ

事業の総括およびその価値

【事業の総括】
前期:共助の芽吹きと共感の広がり
3度の地震と豪雨。「続けるか・やめるか・状況が変わるのを待つか」という、絶句するほどの逆境下、窯元と若手が「珠洲を元気に」とタッグを組み取り組む姿は、能登復興の象徴的な存在として多くの人々に勇気を届けた。発災直後から駆けつけた大学生との連携や国際展示会への挑戦は、個々の再建を超えた強固な協働基盤を形成。絶望に怯(ひる)まず、コミュニティの力で「珠洲焼の火」を守り抜き、域外へと支援の輪を広げた。
後期:深化する表現と未来への胎動
共助の礎の上に、有識者の講評を得て産地として成長。南青山での3年目の展示では、若手主導の共同焼成作品と復活を果たした窯元の作品が並び、訪れるファンとの絆を深化させた。以前にも増して緊張感を宿した作品群は、アートとの融合を経て「新たな挑戦への確信」へと変わり、再生への確かな鼓動を刻んでいる。
【本事業が能登の復興・振興に及ぼす価値と効果】
地域の「希望の象徴」としての精神的復興
窯元・若手と域外の応援者が一体となり、「珠洲と能登を元気にする」と掲げて活動する姿は、地域の人々の心をも明るく照らした。
アイデンティティの復興:
共同焼成を通じて伝統の技を守り抜く姿勢は、能登の文化的誇りを次世代に繋ぐ「希望」であり、地域アイデンティティの復興そのものとなった。
共感の連鎖:
作家たちの真摯な取り組みがメディアを通じて全国に届き、多くの激励や来訪意欲を生んだ。これは被災地の孤立感を解消し、地域外との強固な絆を創出する「磁石」のような役割を果たした。
地域の産業基盤への進化:
個人の生業(なりわい)としての工芸が、旅の目的地としての魅力を放ち、地域全体の産業基盤を引き上げる可能性を切り拓いた。

課題設定、事業設計に関する振返り

【事業設計の妥当性と運営の総括】
本事業が多大な反響を呼んだ要因は、再起への「課題設定の適切さ」と、それを解決する「事業設計の妥当性」にある。単なる一時的支援に留まらず、産地の自立に不可欠な要素を「多層的かつ同時並行」で推進する挑戦的な設計を試みた。全作家とメンバーが邁進(まいしん)した10ヶ月間、困難に対しても迅速にPDCAを回し、対話を通じて現場の実行精度を高め続けた。その結果、域外と現地の間に「共創の絆」が育まれ、次年度の飛躍を支える強固な基盤が構築されている。


【相乗的設計が生んだ効果と5つの実り】
本事業の成果は、実行した6施策が互いに成果を積み上げ、補完し合う「連動する設計」が機能したことに起因する。この設計が能登への波及と産地の成長を後押しする相乗効果を生み出した。
・個人の生業復興と作陶の継続(歩みの再開):
「まず作陶を続けられる環境を作る」という最優先課題への的確なアプローチにより、作家の誇りと経済的基盤を確保した。
・協働共助による技術継承(産地の絆):
「共同焼成」を設計に組み込み、技術共有とコミュニティ再生を同時に実現。産地の魅力を高める「共有」の文化を根付かせた。
・デジタル対応による新しい機会の創出:
「距離の壁をデジタルで超える」という方針のもと、作家同士が支え合いスキルを習得。SNSや展示会と連動し、想いを直接届ける礎を築いた。
・工芸としての価値確認と市場評価(確固たる価値):
大規模展示と有識者講評を連動させ、支援に甘んじない正当な市場評価を獲得。約6万人に訴求し、魅力を高める新たな視点を得た。
・多分野連携と関係人口の創出(未来への接続):
異分野連携やモニターツアーを「能登との接点」として設計。用途の発掘とともに、一過性の支援に留まらない、能登と珠洲焼を愛する「関係人口」を育んだ。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1【事業①】プロジェクトに参加する珠洲焼作家が自身が納得する生業再建計画の策定し、公的補助等の申請などのアクションを進め、自身の経験をもとに他作家への支援等を行うこと
指標・作陶再開目処がついた作家の割合 ・補助金等の申請者数の増加
目標値・目標状態・10名の作家が制作を継続 ・計画策定支援を受けた作家再開割合100% ・申請数前年比150%増
アウトカム:結果【達成】 ①参加作家12名全員が制作を継続。 ②助成等の申請数も前年比200%。
アウトカム:考察【目標の達成状況:達成】 ①制作の継続: 現在プロジェクト参加作家12名全員が制作を再開し、継続している(再開率100%)。 ②公的支援の活用: アウトプットに記載の通り、助成金等の申請数も前年比200%に達した。 【目標以上の達成状況】 自立的な製作環境の構築: 計画策定に留まらず、実際に窯などを復旧させ、自立的に焼成まで完遂できる状態となった作家が4名誕生した。 互助ネットワークの形成: 作家同士で補助金や助成金の申請支援、材料や道具の調達先などの情報共有が日常的に行われるようになっている。 【総括】 「自然に裏切られたような」喪失感や、拭いきれない不安を抱えながらも、自身の計画を大きく変更することなく、複数の窯元が窯を復活させた本年は、まさに「珠洲焼復活への一歩を確実に踏み出した年」と言える。 数多くの復興応援展示や、想像を超える返礼作品の制作依頼。それら一つひとつに真摯に向き合う日々は、決して容易なものではなかった。しかし、自分たちのためだけではなく「能登を想う多くの声に応えたい」という利他の心が、何よりの原動力となり、この驚異的な復興を支えた。応援の声は依然として強く、今後の成長への確かな手応えを感じている。
2【事業②】被災を機に、これまで関係性が希薄であった珠洲焼作家同士、とりわけ異なる世代間の交流 を促進することにより、復興・再生のプロセスの対応力を高めるとともに、伝統工芸において重要な技術や経験の継承の基盤を構築する。
指標・焼成参加者中の若手作家の参加率 ・展示会準備でのデジタル対応者率
目標値・目標状態・焼成参加者中の若手作家の参加率20% ・展示会準備でのデジタル対応者率50%
アウトカム:結果【達成】 ①共同焼成を2回実施。若手参加率は、第1回が50%、第2回は75%。 ②オンライン・デジタル対応などを作家全員が会得。
アウトカム:考察【目標の達成状況:達成】 共同焼成による知見の共有: 計2回の共同焼成を実施。特筆すべきは若手作家の参加率で、第1回の50%に対し、若手が主体となった第2回は75%にまで向上した。これにより、経験やノウハウが世代を超えて循環する極めて有益な場を創出した。 【目標以上の達成状況と考察】 世代を繋ぐ「技術継承」の本格化: 復旧を果たした先輩作家の窯焚きに若手が参加し、作品を共に焼きながら研鑽を積むという、能動的な関係性が芽生え始めた。プロジェクトを通じて育まれたこの信頼関係は、次世代への確かな技術継承の土台となり、近い将来、新たな窯元が誕生することを強く期待させる。 取引基盤の質的な進化: 展示会におけるデジタル対応力を身につけたことで、参加する展示会の水準や取引先の幅が大きく広がった。従来の枠組みに捉われない新たな市場へのアプローチが可能となり、産地全体のプレゼンス向上に寄与している。
3【事業③】復興ツアーのコンテンツとして、珠洲焼体験を取り入れたプランが増えること。
指標・導入検討者(社)数
目標値・目標状態・お問い合わせ数5件
アウトカム:結果【達成】5件
アウトカム:考察【目標の達成状況:達成】 万博会場での発信と反響: 7月の万博会場にて、芸術祭作品の解説とともに珠洲の観光パンフレットを配布。かつて能登を旅した人々を含め、現在の能登の様子や「黒く力強い土の焼き物」が生まれる背景に高い関心が寄せられた。その結果、個人旅行者や旅行事業者からの具体的な問い合わせ・相談が5件以上に達した。 【現在の状況と今後の展望】 「珠洲焼」を核とした高付加価値な旅の提案: 作家との交流や窯元訪問を組み込み、「珠洲焼を通じて能登の深層に触れる旅」をテーマとした復興応援ツアーを検討中。現在も継続的にコンタクトをとっている。 次年度に向けた企画の深化: 厳しい自然と共生する里山里海の暮らし、その中で育まれる工芸、そして芸術祭の作品群。これらを掛け合わせた旅は、極めてポテンシャルの高いコンテンツであるとの評価を得ている。現在は宿泊施設の不足という課題もあるが、次年度も継続してモニターツアーを実施し、練度を高めながら「唯一無二の体験価値」を目指したい。
4【事業④】各作家の作品の評価が高まることで、珠洲焼全体の価値と認知度が向上すること。
指標・次年度以降の展示会や収蔵のオファー数
目標値・目標状態・オファー数 3件
アウトカム:結果【達成】3件
アウトカム:考察【目標の達成状況:市場評価とネットワークの拡大】 具体的な成果: 都内常設取り扱いの決定1件、個展のオファー1件、作品収蔵のオファー1件。 有識者からの評価: 「土の本質」の再発見: 震災を機に珠洲焼に触れた層から、その「土そのものの生命力」や「能登の風土と心」を宿した独自の美学に対し、極めて高い評価を得ている。 次なる進化への期待: 現状の復興段階を「新たな出発点」と捉え、生活基盤と作陶工程が完全に整った暁には、各作家の個性がより純度高く発揮されるであろうと、将来性に強い期待が寄せられている。 【総括:工芸・産業としての可能性】 有識者への戦略的なアプローチを通じ、珠洲焼が持つ工芸品としての芸術性、および産業としての成長ポテンシャルに確かな手応えを得た。このネットワークを基盤に、さらなる市場開拓と価値の浸透を加速させていく。
5(【事業⑤】珠洲焼の魅力をより高度な工芸にするためのフィードバックがゲスト等から得られること)
指標・作品の景色に関する定性的な評価視点が把握できる ・使い心地等の改善点の数
目標値・目標状態・5つのフィードバック
アウトカム:結果【達成】5つ以上のフィードバック
アウトカム:考察【目標の達成状況:異分野連携による価値の再発見】 茶会、いけ花、金継ぎといった異分野とのコラボレーションを通じ、専門家や愛好家から珠洲焼の本質に対する高い評価と、新たな活用への示唆を得た。 「引き算の美学」への共感: 色彩豊かな装飾を施す一般的な工芸品とは一線を画す、土と炎が織りなす「灰黒色の静謐な表情」が強い個性として評価された。「Wabi-Sabi」の世界観を体現するシンプルさが、花や菓子、料理といった主役を鮮やかに引き立てる名脇役としての価値を証明した。 五感を研ぎ澄ます実用性: 「余計な装飾がないことで、素材の味や香りに意識が向く」といった声が寄せられ、食体験を豊かにする器としてのポテンシャルが浮き彫りになった。また、用途に合わせた重厚感や軽やかさの使い分けなど、作家の細やかな手仕事への理解も深まった。 創造性を刺激する「共創の素材」: 他の工芸技法や異素材と組み合わせることで、全く新しいプレゼンテーションや商品開発が可能であるとの期待が寄せられた。 【特筆すべき傾向:海外市場への高い親和性】 展示会やイベントにおいて、特に海外からの来場者から極めて高い関心と購入希望が相次いだ。装飾を削ぎ落とした原始的かつモダンな美しさが、国境を越えた普遍的な価値として受け入れられている。 【波及効果:珠洲焼が繋ぐ「能登への入り口」】 特筆すべきは、珠洲焼の背景を知ることで「ぜひ現地を訪ねてみたい」という声が多く得られたことだ。一点の器が入り口となり、珠洲や能登という土地そのものへの興味・関心を広げる「地域へのナビゲーター」としての役割を果たした。
6【事業⑥】大阪万博と連動した日本文化芸術祭で珠洲焼やアートに触れたことをきっかけに珠洲を認知すること
指標・来場者アンケート ・WHYNOTのSNS上での「いいね」数
目標値・目標状態・WHYNOTのSNSの「いいね」数 会期前より200%増 ・大阪万博をきっかけに珠洲を認知した人300人以上
アウトカム:結果【達成と未達成】301人のアンケート、いいね数は横ばい
アウトカム:考察【目標の達成状況:認知拡大と共感の広がり】 新規認知の獲得(達成): 会場アンケートの結果、出展を機に初めて珠洲を知った来場者が44%に達した。総接客数(約1,300名)から試算すると、約570名の新規認知を確実に見込んだ。また、メディア報道をきっかけに来場した層も約20%にのぼり、実売や深い交流へと繋がった。 デジタル・エンゲージメント(一部未達成と分析): Instagramの閲覧数は会期前の100倍、フォロワー数も7%増加と、圧倒的な拡散力を示した。一方で「いいね数」が横ばいに留まったのは、閲覧数の爆発的な伸びに対し、情報の保存やシェア(拡散)へとユーザーの行動が移行した結果であると推察される。 【認知と共感のポイント:物語が紡ぐ絆】 震災から「再起」へのストーリー: アンケートによれば、珠洲を認知したきっかけの多くは「震災」であった。しかし、展示を通じて「幻の古窯である珠洲焼が、度重なる試練を乗り越え今まさに再起している」という背景を丁寧に伝えた。 アートと工芸の融合が生む力: 国際芸術祭の作品群とともに、作り手の「復興への確かな意志」を訴求。単なる一工芸品の紹介に留まらず、逆境に立ち向かう産地の姿が、来場者の深い共感と応援の意志を呼び起こす結果となった。
7【事業⑥】毎年クリスマスの青山で珠洲の復興を応援し本格復興後に作品購入を待つファンが広がり、期待の声が珠洲に届く状態
指標・応援小作品の販売数 ・作家のSNSフォロワー数
目標値・目標状態・応援小作品の販売数 100点 ・作家のSNSフォロワー数 150%増
アウトカム:結果【ほぼ達成】応援作品ではなく厳選した作品を75点販売
アウトカム:考察【目標の達成状況:市場価値の向上と共感の広がり】 販売実績(売上目標達成): 珠洲焼計75点を販売。売上額は前年比約150%という大幅な伸長を記録した。会期3日目にして、日常使いに適した3万円以下の作品がほぼ完売。工芸品としての確かな需要を証明した。 作家個人のファン獲得: SNS発信に注力した作家1名がフォロワー数150%増を達成。他5名も約10%の新規フォロワーを獲得し、作家個人の「顔」が見える応援の形が定着しつつある。 【戦略的判断と分析:質への転換】 「作品性」を重視した出品方針へのシフト: 今回は「復興応援」という文脈に甘んじることなく、珠洲焼の本来の価値を訴求するため、安価な小作品(8,000円未満)を抑え、10,000円前後の「作品としての力」を備えたラインナップに厳選した。結果、販売個数こそ目標に届かなかったものの、一点あたりの付加価値が高まり、総売上は大幅に向上。来場者が時間をかけて一点ものを選ぶ「工芸の展示」としての質を確保した。 デジタル・エンゲージメントの課題と矜持: Instagramのフォロワー増が一部に留まった要因として、利用層との乖離に加え、一過性の「被災地応援」を煽るような誘導をあえて行わなかったことが挙げられる。数字上の拡散よりも、「ファン」との対話を優先した。

アウトプット

1【事業①】珠洲焼作家が安定的に創作活動を再開できるよう、2ヶ月に1回の訪問を通じて各作家の課題を整理し、個別の復旧計画を策定する。
指標・復旧計画を策定した作家の人数 ・助成申請を開始した作家の人数
目標値・目標状態・復旧計画策定:5名以上 ・助成申請サポート:4件以上
アウトプット:結果【達成】 ①復旧計画の策定 5名  ②8件の助成申請サポート(昨年比200%) ③次年度事業計画作成を5名。
アウトプット:考察【目標の達成状況:達成】 ①復旧計画の策定: 5名 ②助成申請サポート: 8件(申請率昨年比200%)および実績報告書の作成支援 ③次年度の事業計画・行動プラン策定: 5名が完了 【総括】 再建を目指し、制度活用に伴う工事見積もり等の他事業者との調整を完遂し、申請を行った。昨年より環境が落ち着いたこと、制度等の資源の利用への抵抗感も少なくなったことが要因と考えられる。 【次年度に向けて】 工房や自宅の再建が本格化する。工事時期の遅延や資材高騰など、復興状況による影響も予見されるが、着実に工事を完了させ、実績報告を行う年となる。作陶環境の回復と暮らしの再建に向けたアクションを具体化し、万全の態勢で備えている。
2【事業②】複数作家が参加する共同焼成を実現する。
指標・複数作家が参加した共同焼成の実現回数
目標値・目標状態・共同焼成:年2回以上
アウトプット:結果【達成】 共同焼成2回(5月・10月)実施。
アウトプット:考察【目標の達成状況:達成】 珠洲市の陶芸センターにて、共同焼成を2回(5月・10月)実施した。 【第1回】 2025年5月20日~5月29日(9日間) 参加作家:6名 【第2回】 2025年10月21日~10月29日(9日間) 参加作家:8名(若手作家が中心となり実施) 【総括】 若手とベテランが密に連携した。薪の価格高騰への対処策を若手が発案し、作陶歴20年を超えるベテランが焼成ノウハウを共有・主導する形で進行。普段は個々の窯で焼成を行っているベテラン作家間でも、手法をめぐる認識の相違が見られたが、議論を重ねることで作品の仕上がりイメージを擦り合わせた。若手も運営に積極的に参画し、世代を超えた協力体制のもとで共同焼成を完遂した。回を重ねるに従って、連携や役割分担も円滑になり、質の高い焼成となった。
3【事業③】復興&珠洲焼体験ツアーの試験版を開催し、フィードバックをもらう。
指標・体験者からの評価や改善案のフィードバック
目標値・目標状態・参加者の50%からコンテンツとして魅力的と評価されること
アウトプット:結果【達成】2回目で100%の参加者が魅力的と評価
アウトプット:考察【目標の達成状況:2回目で達成】 体験や窯元訪問を中心に、10月・11月に2つのモニターツアーを実施。 1回目のフィードバック: 天候の不順もあり、震災の影響や自然のエネルギーに圧倒され、「応援したい気持ちにはなったが、観光を楽しむ気分になれなかった」という意見があった。 2回目のフィードバック: 復興へ歩む人々の体験談や交流、訪問地のストーリーに力点を置いて構成を変更。ほぼ100%の参加者から「継続的に応援したい」「また来たい」「周囲に薦めたい」という回答を得た。 珠洲焼体験: 後日、自身が制作した作品が届く仕組みは、応援の気持ちを再喚起させる上で非常に有効であった。 【2回目の具体的な改善点】 窯への火入れ見学や薪割りと作陶体験を軸としつつ、窯場の裏山での収穫など、「能登の自然と共にある珠洲焼」を象徴的に感じられる体験を盛り込んだ。 食と宿に関しても、珠洲焼に縁があり、かつ能登の豊かな食文化に触れられる施設を選択した。 人との交流においても、困難を乗り越え復興の道を歩む「能登のストーリー」にフォーカスした。
4【事業④】作品内覧会を開催し、審査員を招いて各作家の作品に対するフィードバックを受け、作家本人に共有する。
指標・1人以上の審査員から講評を受け、作家本人にアンケートを取る
目標値・目標状態・作家本人へのアンケート 80%の回答
アウトプット:結果【達成】 審査員5名から総評と個別講評を取得。作家の80%から感想を得た。
アウトプット:考察【目標の達成状況:達成】 5名の審査員から、参加作品への総評と各作家1名以上の講評を得た。それらを各作家に伝え、全体の80%にあたる作家から感想やフィードバックを得ることができた。 【総評】 「震災以前より引き締まった作品が多く、珠洲焼全体を復興させていこうという力を感じる」との評価をいただいた。 【作品について】 若手主体の出品であり、それぞれの作家性を模索する姿勢が好意的に受け止められた。一方で、珠洲焼のルーツである古陶磁が「壺(つぼ)類」を主としていた背景を踏まえ、花器以外の現代的な展開については、他産地の事例も参考にしながらさらなる研究が必要であるとの示唆を得た。有識者からは「珠洲特有の土の特性やフォルムを深く分析し、珠洲焼らしさを基盤としつつ、新たな挑戦を通じて産地としての生業(なりわい)を再建してほしい」との期待を寄せられた。 【作家の感想まとめ】 珠洲焼の魅力をさらに高め、能登への興味関心を末長く継続的なものにしていきたいという、非常に高いモチベーションが確認できた。
5(【事業⑤】珠洲焼の魅力を広めるため、ゲストが珠洲焼を使ったイベントを企画し、食や体験の機会を提供する。参加者が実際に珠洲焼の器を使うことで、商品への理解を深め、販売につなげる。)
指標・開催回数 ・参加者数
目標値・目標状態・開催回数:4回以上 ・参加者数:延べ100名以上
アウトプット:結果【達成】 5回の体験イベントを実施。延べ106名参加。
アウトプット:考察【目標の達成状況:達成】 ・ 体験イベントの完遂: 文化サロン金継ぎや茶会など計5回の体験イベントを実施。各界の専門家をゲスト講師に迎え、延べ106名の参加者が実際に珠洲焼を手に取り、その手触りや使い心地を体感した。 ・ 次世代・一般層への浸透: アート・工芸の愛好家層に留まらず、若い世代を含む幅広い一般層が参加。多くの来場者にとって「人生で初めて珠洲焼に触れる」貴重な機会となった。_x000b_【総括】 プロダクトへの深い理解と期待が得られた。通りすがりや通常の利用者が珠洲焼に飛び入り参加する反響の大きなイベントとなった。 ・ 色彩と質感の再発見: 「素朴な土の質感や自然釉の表情が新鮮」「同じ産地でも作家ごとに表現が多様で面白い」といった、珠洲焼の個性も訴求できた。 ・ 「日常使い」への強い要望: 「すべての食器を珠洲焼で統一して体験したかった」という声や、「もっと気軽に日常の中で使いたい」という要望が多数寄せられた。
6【事業⑥】国内外のアーティストと珠洲焼作家が参加する展示会に出展し、珠洲焼の文化的価値を発信する。
指標・展示会の来場者数 ・WHYNOTがSNS上で投稿する数
目標値・目標状態・来場者数:延べ1000名以上 ・会期前から会期終了まで、SNS投稿数1日2投稿
アウトプット:結果【達成】来場者数は2回合計で57000人、詳細説明を2087名に実施。
アウトプット:考察【目標の達成状況:達成】 国内外の多様な作家が参加する現代アート・現代陶芸の展示会に計2回参加。総来場者数は約57,000人を記録した。両会場ともに、SNS(ストーリーズ・リール動画等)を用いた情報発信を1日2投稿以上継続。対面での説明および訴求実績は以下の通り。 【7月】日本国際芸術祭: 1,300名にパンフレット配布および珠洲焼の解説を実施(SNS:計42投稿)。 【12月】SPIRAL XMAS MARKET: 787名に作品解説とパンフレット配布を実施(SNS:計22投稿)。 【珠洲焼の訴求内容と反応】 文化的価値の訴求: 独自の「黒い焼き締め」の技法や特徴は、来場者に新鮮な驚きと深い共感を呼んだ。作家それぞれの作品世界についても丁寧に解説を行い、理解を深めることができた。とりわけ3年目となる「SPIRAL XMAS MARKET」では、次年度以降の継続や都内での常設販売を望む声が多数寄せられた。 作家の取り組みへの共感: 「珠洲焼で珠洲を元気に」と真摯に取り組む作家の姿が注目され、多くの主要メディア(全国ニュース、新聞、全国誌等)での報道に繋がった。報道を通じて活動を知り、会場へ足を運んで激励してくださる来場者も非常に多かった。

活動

1【事業①】2ヶ月に1回は対面でキャリアカウンセリングを実施。傾聴による受容・寄り添いにより作家の内面に語りかけながら、自分が本当は今後どのようにしていきたいのか向き合えるように支援する。面談を通して行動計画の策定を支援。
活動結果計画通り
概要【相談方法】 当初は対面のみで開始したが、数ヶ月後には電話やオンラインを併用し、高頻度で相談を実施。今後の取り組みや行動計画の策定を支援した。 【方針と行動】 避難所から仮設住宅に入居し珠洲市内に留まって再建に取り組む方など、家族構成や生活環境、発災時の状況によって抱える課題は異なる。一人ひとりに寄り添い、珠洲焼の作陶継続を軸に、取り組むべき順序や活用可能なリソース(補助金・支援策等)を模索した。 【現在】 多くの作家が作陶を継続できる段階に至り、次の課題に向き合っている。現在は、次年度のアクションを具体化するための「計画支援フェーズ」に移行し、伴走支援を続けている。
2【事業①】該当する助成金や補助制度をリサーチし、作家に上提供する。必要書類の準備や申請方法等のレクチャーを実施。制度のメリットデメリット、対象品目等についても具体的にアドバイスを行う。
活動結果計画通り
概要【障壁と課題の把握】 必要とされるリソースとその背景を把握。 例:①被災程度や発災時の所在場所、②建物資産や設備の所有の有無、③公費解体や復旧工事、資材調達の遅延により、申請済み事業の実績【提供した情報やリソース】 報告が完了できない現状など、各作家の個別事情を詳細に整理した。 設備資産の復旧に留まらない公的助成制度や、民間財団・法人が主導する多種多様な支援制度に関する情報提供を行った。 【方法】 状況に応じた制度等を調査し、上述の相談を通じて適宜情報提供を行った。また、公式な情報提供の場として、東日本大震災の支援経験を持つ専門家(中小企業診断士・川居氏)による説明会や、レクチャー動画での解説も実施。
3【事業②】珠洲実行メンバと共に、協働共助する上での課題の把握、心的障壁、物理的障壁への対処方法について話し合う。5月に1回、10月に1回行う予定。必要に応じて計画見直しを行う。
活動結果計画通り
概要【背景に関する意識合わせ内容】 震災以前は、各窯元のノウハウに若手が触れる機会はほとんどなかった。震災後は、窯の損壊に加え、震災と豪雨の影響で薪が不足している。薪生産事業の復旧遅れに伴う費用の高騰もあり、伝統的な薪窯による焼成を単独で行うことは極めて難しい状況であった。これを受け、震災を機に作家同士の技術交流と若手が経験を積む機会を創出し、伝統の継承と産地としての進化を目指すこととした。 【実施概要】 上記の認識に基づき、自身の窯での焼成再開に至っていないベテラン作家の協力を得て、若手作家への技術継承と協働の場である「共同焼成」を5月と10月に実施した。 【留意した点】 実施にあたっての課題(参加者同士の心理的距離や物理的障壁)への対処方法、および準備段階における役割分担等について、事前の話し合いを丁寧に行った。
4【事業②】作家間の連絡、展示会の情報共有、作品写真およびリストの共有をデジタル上で円滑に行うため、ツールを導入する。
活動結果計画通り
概要【対応の必要性に関する意識合わせ内容】 これまでは窯場や工房を訪れれば会える距離感でコミュニケーションが育まれてきたが、震災を機に環境が変化した。珠洲市内および近隣における販売拠点の復旧状況を鑑み、遠方の都市圏への展開や委託形式での販売に対応できるよう、新たな販路を開拓する必要が生じている。 【実施の内容】 ① 避難による居所の変更等も踏まえ、継続的なコミュニケーション手段としてデジタルツールへの移行を図った。 ② 展示会等への出品において主流となっている、オンラインでの打ち合わせやデジタル形式での資料準備に対応できるスキルを習得した。 【方法】 説明会の実施に加え、訪問やオンラインによる個別サポートを実施した。7月の「万博(日本国際芸術祭)」に向けて、若手作家が個別にサポートを行うことで、産地全体でデジタルスキルの向上に取り組んだ。
5【事業③】復興&珠洲焼体験ツアーの試験版を開催。復興ツアーのコンテンツとして、体験者にフィードバックをもらう。11月に開催予定。
活動結果計画通り
概要【実施背景に関する意識合わせ内容】 震災を機に珠洲焼を知った県外の興味層(特に美術や工芸・陶芸に関心のある層)をターゲットに設定。珠洲焼と芸術祭作品の魅力を訴求することで、珠洲・能登への来訪と、それを起点とした「地域全体への応援消費」の創出を目指す。「珠洲焼応援」の機運を、地域の復興・振興にいかに繋げられるか、その可能性を探る。 【実施概要】 珠洲焼が「珠洲来訪の動機」となるための工夫について、作家の視点を取り入れて検討した。作家との交流体験や窯元訪問を軸に、10月と11月に計2回のモニターツアーを実施した。 【各回の概要】 第1回: 若手作家がナビゲーターを務め、珠洲市内を中心に巡るコースを実施。 第2回: 窯元作家を中心に、訪問エリアを輪島・穴水まで広げて実施した。
6【事業④】作品内覧会を開催。トークイベントを通じて珠洲焼の魅力を発信するとともに、審査員を招いて各作家の作品を審査。作家に対して今後の制作の参考となるフィードバックを提供する。SPIRALでの展示前の12月に開催予定。
活動結果計画通り
概要【対応方針に関する意識合わせ内容】 これまでは復興支援としての展示や制作依頼が相次いできたが、今後は徐々に平常の状態へと移行していくことが予想される。そのため、単なる「復興応援イベント」としての評価に甘んじることなく、作品そのものの本質を見つめ直し、専門的なフィードバックを得る機会を設けることとした。 【実施概要】 12月19日の「SPIRAL」展示オープンに先立ち、会場に設置した作品を対象として、5名の有識者から講評を得る「講評会」を実施した。作品の長所や課題、価値を高めるための具体的なアドバイスを収集。これらの講評を作家にフィードバックすることで、自身の作品や今後の作陶活動を客観的に見つめ直す一助とした。 【考慮した点】 珠洲焼の可能性を広げる視点から、伝統工芸、現代陶芸、美術など、複数分野をまたぎ領域横断的な知見を持つ有識者に講評を依頼した。
7(【事業⑤】珠洲焼の用途開発や利用シーンを広げる企画を、食、装飾などの有識者をゲストに向かえて実施する。珠洲焼の魅力を伝えながたら、有識者の視点からの改善点の提言を得る。)
活動結果計画通り
概要【実施背景の意識合わせ】 伝統工芸としての熟達には、日々研鑽を積み、長い時間をかける習熟が必要とされる。産地として力強く成長を続けるには、作陶人口の確保とともに、技を極めていく過程における「生業(なりわい)の創出」が不可欠である。これは工芸界全体の課題でもある。 【実施概要】 他分野の有識者(ゲスト)から、珠洲焼の可能性を広げるためのフィードバックを得る。また、普段珠洲焼に触れる機会のない不特定多数の参加者が、実際に器に触れる場を設け、直接的な反応や意見を収集した。 【実施内容】 11月の交流サロンでの食事会を皮切りに、いけ花、金継ぎ、茶会などを実施。 1月20日・25日: 珠洲焼を用いた「いけ花体験」を計2回、 金継ぎ体験、テーブル茶会を実施。 1月22日: 珠洲焼の器を使用した食事会を開催し、海外シェフとのコラボレーションによる魅力発信を行った。
8【事業⑥】珠洲焼の魅力を国内外の市場で発信し、ブランド価値向上を目指すため、万博会場に隣接する日本文化芸術祭に出展。作品の展示(一部販売)を行い、珠洲焼の認知度を向上。6月30日から7月6日に開催予定。
活動結果計画通り
概要【実施背景に関する意識合わせ内容】 国内の伝統工芸、とりわけ現代工芸の作品が出展される展示会(漆芸や、備前・信楽などの陶磁器)に参加し、他産地の新たな取り組みを学び、交流を図る。自身の復旧・復興に懸命に向き合いながら、「珠洲と能登を元気にするため」と窯元・若手が一体となって取り組み、能登への応援の輪を広げることとした。 【実施概要】 会期: 2025年7月2日~7月6日  会場: EXPO WASSE(万博関連催事) 来場者数: 約54,000人 広報実績: 会期前および会期中、多数のメディア取材に対応。 【来場者層と反響】 来場者は主に関西圏が中心であったが、出展している海外パビリオン関係者や大使館関係者等へも積極的に訴求し、深い共感を得た。
9【事業⑥】東京・青山のSPIRALで開催される「Spiral Xmas Market 2025」に出展。珠洲焼作家の作品を展示・販売し、都内の購買層への認知度を高める。12月のクリスマス時期に開催予定。
活動結果計画通り
概要【実施背景に関する意識合わせ内容】 2023年の奥能登地震をきっかけに始まった「珠洲焼応援プロジェクト」による、スパイラルでの3度目の展示。デザイン系セレクトショップとしても賑わいを見せるクリスマスのスパイラルは、茶道や華道など日本文化に精通し、美的リテラシーが高い客層が中心となる。1月の震災発生の日を前に、改めて能登に思いを馳せていただく場として、活動の「継続・定着・成長」を強く意識して実施した。 【実施概要】 会期: 2025年12月19日(金)~12月25日(木) 会場: スパイラルガーデン(スパイラル1F/東京都港区南青山) 【来場者層と反響】 メディア報道や事前広報の効果もあり、本展示を目的に来場された方や、前年からの継続的なファンも多く見受けられた。昨年と比較して、本年は20代~30代の若い世代が熱心に作品を手に取る姿も目立ち、客層の広がりを実感する内容となった。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

【想定以上のアウトカム:限界を突破する力】
本事業を進める中で、当初の予測を上回る前向きな変化が各地で芽生え始めている。
デジタル実装による「距離」の克服:
作家たちが驚異的な粘り強さでITスキルを体得し、SNS発信やオンライン対話を活動に取り入れた。環境の変化を乗り越え、遠方のファンや都市圏の顧客と直接つながる「心の通う接点」を自ら築き上げている。
伝統を更新する「焼成方法」への挑戦:
燃料高騰という課題に対し、若手が「杉と松の併用」による新たな焼成方法を提案・実行した。伝統を守るための知恵を自律的に絞り出したこの一歩は、薪窯(まきがま)の火を次世代へつなぐ確かな希望となった。
「磁石としての価値」の再発見:
能登の風土や作陶の姿を発信する中で、全国から「珠洲を訪ねたい」との声が寄せられた。珠洲焼が人々を惹きつける「磁石」のような価値を再獲得したことは、地域振興の新たな原動力となっている。
【プロジェクトを超えた「自律的・相乗的」な波及効果】
事務局の設計を超えて、作家たちの自発的な行動が産地の景色を塗り替えつつある。
若手主導による「珠洲焼まつり」の復活:
地元への感謝を込め、若手中心で2年ぶりに開催。渋滞が起きるほどの盛況ぶりは、珠洲焼が能登を元気づける象徴であることを改めて証明した。
世代を超えた「質」への研鑽(けんさん):
世代を跨(また)いだ共同展示が自然発生的に増加し、若手が先輩作家を招いて共に高め合う姿が見られるようになった。産地全体の表現レベルとともに、魅力を伝えたいという「誇り」も一段と高まっている。
「協働共助」のしなやかな広がり:
窯や道具の貸し出しといった「分かち合い」の輪が広がっている。他者の窯焚きに若手が応援へ駆けつけるなど、交流は一過性の支援を超え、強固なコミュニティへと進化を遂げた。
【地域貢献と未来への胎動】
「地域を癒やす」自発的な活動:
仮設住宅の高齢者や子供たちへの陶芸教室を作家たちが自ら企画。自らの再建に奔走する最中にあっても、「珠洲焼で恩返しを」という利他の心が、被災した人々の心に寄り添う温かな場を生み出している。
技術継承と「新たな窯元」への期待:
この10ヶ月で育まれた「生業(なりわい)のモデル」は、次世代の道標(みちしるべ)となった。技術が受け継がれ、発信力が強まる中、近い将来、この地から新しい窯元が誕生する胎動を感じさせている。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

【今後の事業課題:自律から自立へのロードマップ】
こうした自律的な動きを産地の永続的な力に変えるべく、以下の二点を最重要課題として取り組む。
「関係人口」の深化による持続的な振興:
モニターツアーやデジタル活用で得た繋がりを一過性の支援で終わらせず、能登に深く根ざす「ファン」として定着させる。
多層的なネットワークの構築: 都市圏のアート・デザイン層や海外層など、多様な人々が珠洲焼を入り口に能登の風土そのものに深く関わる仕組みを整える。
「体験」を通じた価値の提供: 作家と触れ合う独自の体験を、単なる観光を超えた地域理解の装置として機能させ、継続的な来訪と域内への経済波及を生み出す。
次世代型「生業(なりわい)モデル」による経済的自立:
本事業で培ったデジタルスキルや多分野との連携実績を活かし、震災前よりも強靭(きょうじん)でしなやかな経済基盤を構築する。
高付加価値化と自立した市場開拓: 現代のライフスタイルに適合する新たな価値を創出し、応援消費に頼らない自律したブランドとしての市場を切り拓く。
若手の定着を支える仕組み: 作陶を極める過程でしっかりと「食べていける」経済性を確保する。この生業の確立こそが、若手の定着を促し、地域の人口減少に対する現実的な防波堤となる。


【今後の展望:共感を確かな誇りへ】
今後は、この10ヶ月で得られた多くの「共感」を、珠洲焼の「確固たるブランド」へと昇華させていく。「応援していただく段階」から「選ばれ続ける産地」へ。支援に依存しない自律的な産業構造を確立し、能登の文化と誇りを次世代へとつないでいく。

本事業を行なっている中で生じた実行団体や受益者のもっとも重要な変化だと感じた点

【創造的復興のリーディングモデルとして:地元の誇りへの進化】
本事業を通じた最も大きな変化は、珠洲焼が「一地域の伝統工芸」という枠を超え、能登の復興を牽引する「象徴的な産業資源」として再定義されたことにある。


アートと工芸の共創が拓く、新しい産業振興:
「奥能登国際芸術祭」との緊密な連携は、珠洲焼に新たな光を当てた。珠洲市が主導し、1月から金沢駅で始まった共同企画展示では、芸術祭と並び「珠洲の復興を支える柱」として珠洲焼が紹介されている。このアート(都市的・現代的視点)と工芸(伝統的・地域的視点)の交差は、都市部や海外の関心層を強力に引きつけ、地域の産業振興に新たな循環をもたらす「共創のモデル」になると予見される。


地域社会の心理的復興(レジリエンスの向上):
「困難を糧に、伝統はさらなる進化を遂げられる」という珠洲焼の歩みは、仮設住宅で暮らす方々や地元の他産業に携わる人々にとって、目に見える「希望」となっている。この姿に触れた人々の中に芽生えた「あきらめない連鎖」こそが、能登全体の復興を加速させる最大の原動力である。珠洲焼が、地元の人々が心から自慢できる「地域の誇り」へと昇華したことは、本事業がもたらした何物にも代えがたい成果である。

外部との連携実績

1活動レコードフェア2026 https://okunoto-archive.jp/202601/234/
実施内容「レコードフェア2026」(会場:スズレコードセンター、会期:2026年1月17日-3月31日)にて《たけのり陶房 薪窯再建の記録》を展示。
結果・成果・影響等【関連イベントの成果:映像《たけのり陶房 薪窯再建の記録》の上映】 2025年9月から12月にかけて制作した映像作品《たけのり陶房 薪窯再建の記録》を、「レコードフェア2026」(会場:スズレコードセンター/会期:2026年1月17日–3月31日)にて上映・展示した。 会場の特性と意義: 会場となった「スズレコードセンター」は、珠洲や奥能登のこれからを考える「参加型アーカイブ・プロジェクト」を実践する施設である。2025年5月のオープン以来、市民から収集した写真やショッピングセンターの資料展示など、「記録」を通じたコミュニティ活動を継続している。今回の「レコードフェア2026」は、同センターに集積された記録資料や、周辺で行われている記録活動を紹介する企画展として開催された。 来場者の反響と価値: 来場者からは、「これまで目にしてきた『解体』の記録映像とは異なり、本作では何かが『建てられていく過程』を見ることができて、前向きな気持ちになれた」といった感想が寄せられた。本作が単なる被災の記録に留まらず、「再建」という創造的な営みに焦点を当てた試みとして高く評価されたことは、産地の未来を提示する上で極めて大きな価値を持つと考えている。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

【メディア掲載実績:社会的な関心と評価】
本事業は、発災から再建に至る軌跡、および「日本国際芸術祭」への出展を通じ、全国規模で極めて高い注目を集めた。
■ 掲載媒体数(総計 24件)
テレビ:5件(NHK全国放送、ニュース番組特集など)
新聞:12件(全国紙、地方紙、英字新聞)
WEB:7件(美術専門誌、新聞デジタル版など)
■ 掲載テーマ別の主な実績



  1. 「再起への歩みと作家の意志」を捉えた報道


絶望的な状況から窯を再建し、再び土に向き合う作家たちの姿が多くの共感を集めた。
日テレ news zero: 「かしゆか取材 珠洲焼作家 ”絶望”からの歩み」
中日新聞: 「能登が好き。珠洲焼作家 窯被災から再起作品展」
北國新聞: 「珠洲焼の窯 自力で再建」
朝日新聞: 「PHOTO GALLERY 息を吹き返した相棒」
2. 「日本国際芸術祭・万博」への挑戦と世界への発信
伝統工芸を現代アート、および復興の象徴として世界へ発信する取り組みが大きく取り上げられた。
NHK「おはよう日本」: 「能登半島地震1年半 珠洲焼:関係人口が支える復興」
朝日新聞(全国): 「珠洲焼を世界に」
The Japan Times: 「Noto's Suzu ware reemerges from the earthquake rubble」
BS日テレ: 「冨永愛 伝統to未来:日本国際芸術祭」
3. 「共創とコミュニティの再生」に焦点を当てた報道
若手とベテランの連携や、都内企画展を通じた産地の新たな展開が注目された。
産経新聞: 「『幻の古陶』ベテラン&若手の異例タッグで再建へ」
美術手帖: 「珠洲焼応援プロジェクト『やさしいくろとたゆたうあお』」
産経新聞: 「窯元連携し共同制作、東京のイベント出展」
■ 分析と考察
全国放送や主要紙のトップギャラリー、英字新聞、美術専門誌といった多様かつ権威あるメディアでの露出は、珠洲焼が単なる被災地の産品を超え、「日本を代表する文化資源の一つ」として認識されたことを示している。著名人による取材や専門メディアでの紹介は、産地の信頼性とブランドイメージの向上に大きく寄与した。

広報制作物等あり
内容

日本国際芸術祭パンフレット   SPIRALXMASMARKET パンフレット
プロジェクトサイト https://whynot.tokyo/pages/suzu

報告書等あり
内容

珠洲焼応援プロジェクト 実施報告書 広報報告書

イベント開催等あり
内容
事業報告書に記載
2025/07/02  日本国際芸術祭
2025/12/19  SPIRALXMASMARKET
2026/1/20,22, 25 いけ花、金継ぎ、食との珠洲焼コラボレーションイベント

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て添付・公開をした
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更があり報告済み
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますかいいえ
内容
今回の助成事業において人件費は発生していない。業務委託の各分野の専門性の高い人材で構成し、運営を行った。

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部通報制度を共有し、助成事業の実施内容や役割分担、支出等についても関係する各メンバーにも共有しながら事業を遂行した。事業や支出等に関する問い合わせや意見も、一つ一つに説明や必要に応じた是正を行った。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

通常の事業の進捗の他に、事業方針やメンバー、役割分担などは定期的に実行委員会で議論を行った。また破損や想定がの事態などに際して、事前承認のない事項に関しては事後的にしっかり振り返りと是正、記録と共有を実施。

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

顧問税理士や、監査担当者、事業アドバイザーで実施した。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

緊急枠の後に、次なるステップを見据えた「通常枠」等の継続的な支援が設けられることで、本助成を起点とした地方再生や伝統継承、文化発展といった課題を、新たなスキームで解決できるのではないかと考えます。
本事業から確かな成功事例を創出することこそが、社会への最大の還元になると自負しております。助成期間の終了に際し、次なる展開で活用可能なリソースの提供や、他制度への橋渡しといったフォローアップをいただけますと、より確信を持って未来へ飛躍できると考えております。

シンボルマークの活用状況

自団体のウェブサイトで表示

広報制作物に表示

報告書に表示

イベント実施時に表示