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事業完了報告

2026/04/16更新

事業概要

事業期間開始日 2025/06/01終了日 2026/02/28
対象地域石川県珠洲市
事業対象者

・珠洲外浦地域等の仮設住宅や自宅で暮らす方々、一時的な避難のため地域外で暮らす方々、出身者等所縁のある方々
・珠洲において復興まちづくりを担う人材の方々、特に中長期的に関わる若い世代の方々
・復興まちづくりの資源となる珠洲の暮らし・生業の記憶を記録する方々

事業対象者人数

・まちづくりワークショップ、コミュニティダイニング参加者:250名
・復興まちづくりプロジェクト参画地域人材:20名
・アーカイブ拠点来館者:1080名(各地区でまちづくりに直接関わる、又は関わろうとしている人材を含む)
・写真・映像によりまちづくりを語り合う会参加者:150名
・珠洲の暮らし・生業の記憶の新たな記録者:30名

事業概要

 公費解体による街並みの変化、インフラ復旧など生業の早期再開・継続の難しさ、祭りや文化活動等の安らぎと地域への誇りを感じられる機会の減少という状況の中、珠洲の暮らしや生業の記憶や誇りの継承が困難となっています。一方、珠洲のまちづくりは復旧の先の復興に向け、地域独自の価値を基盤に据え地域外の方々とも連携し、具体の復興プロジェクトに進んでいく必要があります。
 このため本事業は、①各地区が持つ独自の価値を住民の方々が再認識・共有し継承したい地域資源を基盤に未来の地域の姿を描くこと、②計画に留まらず、個々の課題に対応し具体的なプロジェクトを実行していくこと、③これらに取り組む際、各課題に適した地域外人材を巻き込むとともに、地元や二次避難されている方々も気軽に関わることのできる場を創ることを目指します。
 具体的には、①地震・豪雨で大きな被害を受けた外浦地域で、所縁あるアーティストと協力し住民の方々が自由に話しやすく、かつスズシアターミュージアムの古民具や地域の食材・郷土料理を活用し独自の暮らしや生業を題材とするワークショップ等の場を創ること、②内浦地区に開設するアーカイブ施設を拠点に珠洲全体の記憶の収集・発信とともに写真や映像を題材に語らう場を創ること、③これらの場から生まれるプロジェクト(例えば、子ども達の学びの場づくり、祭りや地場産業の継承等)を地域外人材と連携し進めることに取り組みます。

事業の総括およびその価値

本事業は、地域独自の個性や価値の継承、地域内外の人たちが率直に意見を共有し協力できる関係づくりをテーマに取り組んできたと考えています。地域の食文化・暮らしや交流を要素とするコミュニティダイニング、民具・生業、アーティスト連携を要素とする民俗美術ブ、時間を越えた日常の記録・保存・活用等を要素とするスズレコードセンター。これらの取組により、復興まちづくりに向けた地域の個性の再認識・共有が図られ、また、地域の多世代の方々や移住者、地域外の方々も意見を共有しやすいコミュニティ拠点が珠洲の外浦と内浦に生まれつつあります。今後、これらの拠点が訪れるアーティスト・記録者・旅行者との結節点となって関係・交流人口を受け入れ続け、また、2029年奥能登国際芸術祭に向けた行政との連携も再度紡ぎ直すことで、地元の方々・移住者の方々、関わる方々が日々楽しく協力し珠洲らしい復興まちづくりに向かう取組を続けていきます。

課題設定、事業設計に関する振返り

地域独自の価値を住民の方々が再認識・共有し地域の未来を描きプロジェクトを実行する、地域外人材、地元や二次避難の方々も気軽に関われる場を創るとの課題は、事業計画時、各地区まちづくり協議会での議論が復旧や復興公営住宅等の生活基盤整備が殆どでしたが、中長期のまちづくりの視点も必要と考え設定したものです。これに対応し、地域の食文化・民具・暮らしの記憶等をテーマにイベント等を実施し、また地域内外から関わる機会を創る意識で取り組みました。この結果、コミュニティダイニングを行った大谷地区では率直に意見交換し共に活動できる繋がりが生まれ、地域外人材についてもレコードセンター・民俗美術ブを通じたアーティスト・記録者等との連携が生まれました。今後も地域メンバーでプロジェクトの企画実施を担う力を更に向上させるため、地域外人材とも連携したプロジェクトの企画実施を継続させていきたいと考えています。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1A-1:住民の方々が、まちづくりに関する思いや意見をリラックスして自由に表現できる継続的な場が生まれている。
指標①ワークショップ等参加者増加数・継続数 ②リラックスし自由に意見を表明できる度合い ③次年度継続実施意向
目標値・目標状態①初期状態把握のうえ設定 ②ワークショップ等参加者のうち80%の方がリラックスし自由に意見を表明できていると回答 ③ワークショップ等参加者のうち80%の方が次年度継続実施意向を持っており、活動計画を立案している
アウトカム:結果①コミュニティダイニング(CD):1回38名、2回31名、3回35名、4回30名、5回32名、6回51名、7回22名、8回20名/民俗美術ブ等:1回25名、2回20名、3回21名、4回26名、5回21名 ②CD:100%(2/8アンケート)/民俗美術ブ90%(各回アンケート) ③CD:100%(2/8アンケート)/民俗美術ブ100%(各回アンケート)
アウトカム:考察CD:恒例行事化し、また住民が来訪者を誘い参加する形も増え、今後も地元メンバーにより毎月開催します。参加者が1品持ち寄る形式で料理を契機に会話が生まれ、世代を越え移住者や来訪者もリラックスできる場となっています。 民俗美術ブ:アーティストや国立歴史民俗博物館と連携し地域の民具を用いることで、住民が先生となる一方で住民の方も知らなかった使い方が判明したりという交流・発見があり、また民具や伝統的暮らしに関心ある学生も訪れるなど、地域外からの関わりも増えつつあります。 いずれも今後の課題は地域外からの参加・参画者を増やすことで、テーマに合うゲストを意識的に招聘し関係を広げる等の工夫を検討しています。
2A-2:住民の方々が、地域の暮らし・生業の魅力や価値・誇りを共有し大切に継承していくための具体的なプロジェクトに継続的に取り組んでいる。
指標①プロジェクト参画者数 ②プロジェクト企画実施数 ③次年度継続実施意向
目標値・目標状態①20名 ②2件 ③ワークショップ等参加者のうち80%の方が次年度継続実施意向を持っており、事業計画を立案している
アウトカム:結果①14名 ②2件(コミュニティダイニング(CD)の充実、大谷エリア体験プログラム(企画段階)) ③CD:100%(2/8アンケート)/民俗美術ブ100%(各回アンケート)、事業計画については立案段階です
アウトカム:考察CD充実:メンバーでの意見交換、参加者からのフィードバックにより改善しつつ継続開催しています。例えば、地域外からの新たな参加者を増やす動機付けの工夫として、会の前にゲストを招いた勉強会や、地域の祭りの太鼓の演奏会等も企画実施しています。 大谷地区体験プログラム:珠洲市との方向性の調整・共有も必要となりプログラム提供前の段階ですが、アーティストの南条さん、国立歴史民俗博物館の川村さんとも連携し取り組んでいます。このプロジェクトの企画には専門性が必要となる部分も大きく地元で担う人材を得ることは簡単ではないですが、例えば「語り部」というかたちなど地元の方々の関わりを創る工夫も考えて取り組んでいます。
3A-3:地域でまちづくりに取り組む人材が、地域外人材と協働することにより、プロジェクトの企画運営能力等が持続的に向上している(まちづくりの持続可能性が高まっている)。
指標①プロジェクト参画者における企画運営に係る能力向上実感・意欲向上感等
目標値・目標状態①プロジェクト参画者のうち50%以上の方が能力向上実感を持ち、80%以上の方が意欲が高まったと回答
アウトカム:結果①右記の理由から、概ね達成していると感じております
アウトカム:考察参画メンバー10名から聞き取りした結果、能力向上実感に関しては、地域でプロジェクト実施する際には住民との繋がり・信頼関係が重要であり、本年度の活動を通じてこの繋がり育まれたことによる能力向上実感はあるとの意見が多く聞かれました。また、意欲に関しては、各取組の中で参加者からのポジティブなフィードバックが直接得られ、全員が高まったと回答。一方でA-2記載のとおり、体験プログラムの企画は専門性が必要な部分も多く、地域外の専門人材と連携・役割分担して取り組む過程を通じ少しずつ担える部分を増やしていくとともに、活動を発信し続け関心層に訴求することで、地域外からの人材を増やす努力も続けたいと考えています。
4A-4:ワークショップやプロジェクト等の企画実施を通じて地域外の新たな人材・ファンとの繋がり(関係人口)が生まれている。
指標①ワークショップ・プロジェクト等を通じた関係人口(継続的に地域に関わる地域外の方々)の増加数
目標値・目標状態①20名以上の地域外人材の方々が継続的に関わる意思を持っている
アウトカム:結果①16名
アウトカム:考察市外からの参加者数は、延べ人数では、コミュニティダイニングで42名、民俗美術ブ30名(計72名)となりました。このうちコミュニティダイニングでは、震災後支援に来ている白山市ライブハウスチーム、ふどうの森(金沢の飲食店)、金沢工業大学の学生、珠洲市支援職員など7名の方々、民俗美術ブでは、南条氏・川村氏のほか、芸術祭サポーター経験者、民俗学研究者・学生、金沢在住デザイナー、金沢21世紀美術館関係者など9名の方々が、大谷地区での活動に継続的に関わる意向を示して下さっています。
5B-1:アーカイブ写真や映像に触れた方々が、地域への愛着や誇りを強め、まちづくりへの参画意向が高まっている。
指標①アーカイブ施設訪問者・交流会参加者の地域への愛着・誇り・まちづくり参画意向の向上(愛着・誇り及びまちづくり参画意向の具体的内容も把握)
目標値・目標状態①訪問者・交流会参加者のうち80%以上の方々が地域への愛着・誇り・まちづくり参画意向が向上したと回答 ※愛着・誇りの具体的内容・対象や、具体的にどのようにまちづくりに関わる意向か等についても調査・分析
アウトカム:結果①アンケートでは80%の方々が、地域のことを前よりも身近に感じた、やっぱりこの地域は大事だなと感じた、知らなかったことや新しい気づきがあったと回答
アウトカム:考察昨年5月の開館以来延べ2,000名以上が来場し、1時間近く滞在する方やリピートされる方も多く見られました。震災前の飯田町商店街、キリコ・曳山等の祭礼、のと鉄道等の常設展示のほか、ショッピングセンター「シーサイド」展では、食堂「道づれ」のメニュー等の写真・映像の前で足をとめ来場者同士が語り合う場面が多く見られました。アンケートでは、「知らなかったことや、新しい気づきがあった」など地域の価値を再認識するとともに、「何かできることがあれば関わってみたい」といった参画意向も見られました。来場後に知人へ共有したいと写真をスマホで撮影する方も多くおり、口コミによっても来場者増に繋がったと考えています。
6B-2:アーカイブ写真や映像により、地域外の人たちが、震災前の珠洲の風景に触れ、珠洲の文化・歴史等への関心、珠洲への関わり意向が高まっている。
指標①アーカイブ施設への地域外の方の来訪者数 ②地域外からの来訪者の珠洲の文化・歴史等への関心、珠洲への関わり意向の向上(関心・関わり意向の具体的内容も把握)
目標値・目標状態①410人 ②地域外からの来訪者のうち80%以上の方々が珠洲への関心・関わり意向が向上したと回答 ※関心・関わり意向の具体的内容についても把握
アウトカム:結果①803人(2025.8~2026.1月) ②70%以上の方々が何かできることがあれば関わってみたいと思ったと回答
アウトカム:考察来訪者の77.8%が「また来てみたい・人を連れてきたい」と回答。展示では、震災前の暮らし(商い・漁・祭礼・学校行事)を地区別に写真で示し、来訪者がポストイットで写真について知ってること、思ったことなどを書き込めるように工夫しました。写真が珠洲の生活のなかでより意味づけられることで来場者の理解も深まったと考えています。大学ゼミからのフィールドワーク提案もあり(京都芸術大学山下ゼミ)、実際に展示作業に参加し、レコードセンターの活動が関係人口の媒介になっていると感じ、また、アンケートでも30%以上が「写真・映像・話などを残すことに関わりたい」と回答するなど、関与の入口になっていることが分かりました。
7B-3:珠洲市民や地域外から珠洲に関心を寄せる方々による主体的な記録活動が行われ、広がっている。
指標①珠洲の記録者数
目標値・目標状態①20名
アウトカム:結果①10名
アウトカム:考察飯田高校の授業に参加するなどカメラ貸出は20件以上となり、また、レコードフェアもきっかけに記録登録者数は10名となりました。飯田高校の授業では、写真家石川直樹氏がカメラの撮り方やポスターの考え方を教え、高校生が自分で選んだ市内のお店のポスターを制作しました。プロのデザイナーに注文をつけるなどして、珠洲市内10店のポスターが完成しレコードセンターに展示されました。レコードフェアでは、被災家屋の片付け、被災後のまちの変化の定点観測等をそれぞれの視点で記録されたものが展示されました。「日々の変化を自分で残す」という意識が浸透し記録活動への関心が高まっていると考えています。

アウトプット

1A-1:珠洲外浦地域でのアーティスト等と連携したまちづくりワークショップ等の実施により、リラックスして自由に意見交換でき、かつ地域の個性を感じ、誇りが喚起される場・機会が定期的に行われている
指標①ワークショップ等実施回数 ②ワークショップ等参加・参画者数 ③ワークショップ等企画実施ノウハウの蓄積(ナレッジマネジメント)
目標値・目標状態①5回 ②125名 ③ワークショップ等企画実施ノウハウが作成されている
アウトプット:結果①5回 ②120名 ③ノウハウ共有の方法として振り返り会を計画的に行うことを検討しております
アウトプット:考察地元の方々や移住者等が共に珠洲の稲作の後半工程を体験するWSを実施。伝統的な農作業を通じ地域に根ざす知恵や生活文化を身体を通じ次代へ繋ぐことを目指し、アーティスト南条氏・国立歴史民俗博物館川村氏と連携。住民、アーティスト・専門家や地域外の方が身体を動かし民具の使い方等知恵を出し合い取り組むことでリラックスした交流が生まれ、住民が先生となり地域の暮らしや思い出を語り誇りが喚起される場、参加者にとっては地域の暮らしへの関心が高まる機会となりました。企画面では、専門性が必要な部分も多く、南条さん・川村さんが主体となったが、今後知見を蓄積するため随時振り返る会を行い、内容を記録する等対応していきます。
2A-2:珠洲外浦地域での料理名人・地域外人材と連携したコミュニティ・ダイニングの実施により、自由な意見交換に加え、地域の食文化や農林水産業等に関する知識・知恵が収集・保全・継承される場・機会となっている。
指標①コミュニティ・ダイニング実施回数 ②コミュニティ・ダイニング参加・参画者数 ③地域の食文化・農林水産業・郷土料理等の知識・知恵の収集・保全・継承
目標値・目標状態①5回 ②125名 ③地域の食文化等に関する知識・知恵がまとめられ、継承のため活用されている
アウトプット:結果①7回 ②259名 ③(前年度作成した大谷レシピに加え)食等の地域文化に関わる「歳時記」(祭り・行事、漁業・海産物、農作業・農産物等)を収集整理している段階
アウトプット:考察地元の方々の意向も強く、毎月開催の恒例行事となっています。大谷地区は元々住民同士が親しい地域でしたが、コミュニティダイニングの中で世代間や新たな移住者との交流が促進され、各家庭の味が共有され、同級生が集まる機会になり、また友人を誘って参加しやすい場にもなっています。地域の食文化等個性を共有しまちづくりに繋げる段階には至っていませんが、この住民の方々や地域外からの参加者のコミュニティがベースとなると考えています。なお、開催時間について、地元の方は夕方以降が参加しやすい一方で、地域外の方は、宿泊場所がない状況もあり日中の方が参加しやすく、地域外からの参加を促進するにあたっての課題だと考えています。
3A-3:ワークショップ、コミュニティ・ダイニングで提示された地域課題に対応したプロジェクトの実施により、地域人材の参画が促進されるとともに小さくとも成果を上げ、まちづくり参画の動機づけが高まっている。
指標①プロジェクト企画実施数 ②プロジェクト参画地域人材数
目標値・目標状態①2プロジェクト ②20名
アウトプット:結果①2プロジェクト(コミュニティダイニングの充実、大谷エリア体験プログラム(企画段階)) ②14名
アウトプット:考察コミュニティダイニングについて、参画メンバーの意見交換により、課題は、地域外からの参加者(将来の関係人口等)の増加、開催内容により食材・料理等より大谷らしい要素を加えることだと考えており、ゲストを招聘した勉強会開催など試行・改良を続けていきます。大谷地区での体験プログラムについては、南条氏・川村氏と意見交換を行うとともに、プログラム設計の背景・コンテンツとなる地域の祭り・生業等の「歳時記」の収集に取り組んでいます。こちらは、今後のシアターミュージアム再開や2029年芸術祭開催に向けた、珠洲市との方向性のすり合わせも必要なため遅れていますが、実現させ滞在価値の充実・ガイド等生業創出にも繋げます。
4B-1:アーカイブ拠点施設(珠洲内浦地域)による珠洲の記憶の収集及び発信により、将来にわたって住民の方々や珠洲に関心を寄せる地域外の方々がまちづくりを考え続けるため必要となる珠洲の暮らしや生業の記憶の保全・継承が行われている。
指標①アーカイブ写真・映像の収集・保管数 ②アーカイブ施設来訪者数 ③当該写真等について訪れた人たち誰もがアクセス可能な状態
目標値・目標状態①1230個 ②1230名 ③人的・設備的にアクセス可能な状態となっている
アウトプット:結果①1564個 ②2158名 ③石川県震災アーカイブでの保存・公開・活用に向けアーカイブの意義・可能性への理解を深める活動の段階
アウトプット:考察写真・映像1200点以上を収集し、順次スキャン・デジタル化、ファイル命名、撮影年・場所・提供者・内容要約のメタデータ付与を行っています。紙焼き写真は劣化・散逸の恐れが高く、家屋の取り壊しで捨てられようとしていましたが、レコードセンターでデータとして保管できるということが徐々に広まりました。場所・地域、事象、キーワード、シリーズ等のタグを設定、検索しやすい導線を整備しました。今後、より検索性の高いデータベースの構築を模索し、記録データの利活用を促進します。記録データについては、より広く関心をもって貰うためエピソードを含めた記事を作成しレコードセンターのWEBサイトでも発信する準備も行っています。
5B-2:アーカイブ拠点施設(スズレコードセンター)での珠洲の写真・映像を活用した「まちづくりの語らいの場」の実施により、珠洲の暮らしや生業の記憶の保全・継承が行われている。
指標①まちづくりの語らいの場開催数 ②まちづくりの語らいの場参加者数
目標値・目標状態①6回 ②150名
アウトプット:結果①6回 ②859名
アウトプット:考察展示及び語らいの場を計6回開催し、延べ800名以上が参加しました。各回で記録者の写真・映像を見ながら語り、参加者もそれについてコメントすることで、あらためて珠洲について知ることも多く、また記録者自身にとっても記録という観点で気づきが多かったようです。今後も記録を継続したいという声も多く、資料の質と量の向上が見込まれます。アーカイブが地域のものとして、住民や移住者の対話を生むきっかけとして機能し、また地域を改めて見つめ直す機会にもなっていると考えています。会の終了後には、参加者同士が連絡先を交換し、次回の内容やスケジュールについて意見を出すなど、継続参加に繋がる動きが出てきていると感じています。
6B-3:アーカイブ拠点施設(スズレコードセンター)におけるカメラ等貸出を行うことにより、珠洲の記録が促進されるとともに、記録者が増加する。
指標①カメラ等の記録機材の貸出数
目標値・目標状態①40回
アウトプット:結果①45回
アウトプット:考察カメラ5台を整備し、貸出申請書・利用記録簿・返却確認・データ提出の運用フローを策定しました。貸出時に撮影目的を確認し、返却時にデータ提出と簡易ヒアリング(日時・場所・被写体・背景)を行うことで、画像だけでなく文脈情報も同時に収集できる仕組としました。利用者向けに撮影の注意点(個人情報・肖像権等)を1枚資料で配布し安心して参加できる環境を整えました。運用開始後、貸出実績が伸びなかったが、11月から1月にかけて飯田高校の授業を企画し、高校生たちにも撮影して貰ったことで、貸出し数が増えました。機材をアーティストにも使って貰って機材を使った感想等もまとめて貰い、提供してくれたメーカーにも報告しました。

活動

1A-1:珠洲外浦地域でのアーティスト等と連携したまちづくりワークショップ等の企画実施(計5回開催) ・所縁あるアーティストや地域外人材と協力するとともに、スズシアターミュージアム所蔵の震災前の珠洲の民具コレクション等を活用し、リラックスして自由に意見交換でき、かつ地域の個性を感じ、誇りが喚起されるワークショップ等を企画実施。(参加・参画者数目標:125名(25名/1回×5回))
活動結果計画通り
概要①民俗美術ブ「稲刈り&ハザ掛け」ワークショップを9/20に開催し参加者25名、南条義毅氏(スズシアターミュージアム演出など)、川村清志氏(国立歴史博物館)と連携(以下同じ)。②「脱穀・調製」WSを10/11に開催し参加者20名。③「開墾畑づくり」WSを10/30に開催し参加者28名、➃「精米・新米を食べる」WSを11/23に開催し参加者26名、⑤「民具お直し」WSを11/24に開催し参加者21名。
2A-2:珠洲外浦地域での料理名人・地域外人材と連携したコミュニティ・ダイニングの企画実施(計5回開催) ・地域食材や郷土料理を味わいながら住民や支援者・ゲストが食文化や農林水産業について語り合う会を、潮騒レストランや集会所等で実施。(参加・参画者数目標:125名(25名/1回×5回))。健康に配慮した食事、地域の食に纏わる話題提供、料理や農林水産業に関するゲスト招聘など、継続参加の動機づけを工夫。
活動結果計画通り
概要①6/29開催し38名参加、②8/3開催し31名参加(ぶどうの森米田氏招聘)、③9/28開催し35名参加(珠洲市応援職員等)、➃10/26開催し30名参加(すずなり食堂和田氏招聘)、⑤11/1開催し32名参加(きっかけ食堂佐々木氏招聘)、⑥11/23開催し51名参加(祭り太鼓伝承クラブの子ども達等)、⑦12/20開催し22名参加(金沢工大学生等)、⑧2/8開催し20名参加(すずなり食堂和田氏招聘)
3A-3:ワークショップ、コミュニティ・ダイニングで提示された地域課題に対応したプロジェクトの企画実施(計2件実施) ・ワークショップ等により地域の方々から提示された課題に対し、適した地域外人材をコーディネートし、地元でまちづくりを担う方々と共にプロジェクトを企画実行する。例えば、子ども達の学びの場づくり、祭りや生業の再開・継承等の課題に対応するプロジェクトを想定。(参画地域人材数目標:20名)
活動結果遅延あり
概要①コミュニティ・ダイニング充実プロジェクト:本年度関わった地域メンバー(約10名)と意見交換を実施し、よりよい場とするための課題と対応策アイデアを出し合い共有。 ②大谷エリア体験プログラムづくりプロジェクト:本年度連携した南条嘉毅さん(シアターミュージアム演出・キュレーター)、川村清志さん(国立歴史民俗博物館)と、シアター・潮騒レストランを拠点とした大谷エリアでの体験の内容について意見交換を実施。
4B-1:アーカイブ拠点施設(スズレコードセンター)による珠洲の記憶の収集及び発信(通年) ・震災前の珠洲の風景の写真や映像を継続的に収集し、背景にあるエピソード等を添えて保管する。全ての写真等を検索・閲覧可能な状態とするとともに一部を常設展示。(来館者数目標:1080名(120名/1か月×9か月)※本年5月開館目標)
活動結果ほぼ計画通り
概要昨年5月以降週5日開館を継続し、2階での珠洲各地区の写真の常設展示とともに1階では燈籠山祭りやショッピングセンター「シーサイド」展等の企画展を開催。地域内外の方がいつでも入館・見学できるよう取り組み、写真等収集数1564個、来館者数2158名。収集写真等は石川県アーカイブでの保存・公開・有効活用に向け、行政等におけるコミュニティアーカイブの意義・可能性の理解促進を図るための活動に取り組んでいます。
5B-2:アーカイブ拠点施設での珠洲の写真・映像を活用した「まちづくりの語らいの場」の実施(計6回開催) ・アーカイブ写真や映像を囲み、また、写真等での記録に取り組む人たちを招き、珠洲の復興まちづくりを語り合う交流会を開催。会の様子自体も映像又はファシリテーション・グラフィックにより記録し残していく。(参加者数目標:150名(25名/1回×6回))
活動結果ほぼ計画通り
概要①10/2~12/21ショッピングセンター「シーサイド」展開催・観覧者788名、②シーサイド関係の写真・映像・資料を集める「記憶の大蔵ざらえ」実施、③10/21写真家石川直樹氏撮影の珠洲の写真を同氏解説付きで鑑賞し意見交換する会を開催・15名参加。➃11/15「能登のこれからの記録について考える・東日本大震災での記録活動『わすれン!』から学ぶ」開催・32名参加、⑤2/10「東北記録映画三部作から、話すこと、聞くことを考える『なみのおと』」開催・16名参加、⑥2/18同『なみのこえ 気仙沼』開催・8名参加。
6B-3:アーカイブ拠点施設におけるカメラ等貸出による珠洲の記録の促進(通年) ・自ら珠洲の記録活動に取り組むとともに、カメラ・周辺機器等の貸出を行うことで新たな記録者を生み出し、珠洲の風景等の記録を促進する。(記録者数目標:20名)
活動結果ほぼ計画通り
概要記録者の方は使い慣れた自身の機材を使うためか一般の貸出は東京から継続的に定点観測(撮影)を行っている記録者のみだったが、飯田高校生向けに撮影を指南する石川直樹氏ワークショップにより40名の高校生に貸出しを実施。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

コミュニティダイニングは、移住者を含む地元の多世代の人たちが月に一度食事を囲み気軽に語り合える場、また地域内外の方も対面で時間をかけ交流できる場・恒例行事として定着しました。個別には、従来やや心理的距離のあった50代と70代の住民同士がより親しくなれたという声や、すずなり食堂の和田さんが震災前営業されていた「庄屋の館」の食事が共通の懐かしい味であるとの発見、和田さんゲスト参加時に同級生が集まり同窓会の雰囲気になったこと等が小さなことですが想定外の成果です。また民俗美術ブでは、アーティストや民具・民俗学を媒介に研究者・学生、デザイナーや美術館関係者など、ある程度想定してはいたものの、他地域では余り見られない分野等の関係人口が生まれています。スズレコードセンターは、地域の方々・記録者のコミュニティ拠点となったことに加え、修学旅行等の研修で訪れる、震災前の珠洲を知らない方々の最初の訪問先に選ばれることも多く、また芸術大学の実地学習の場として活用された例もありました。さらに、地元出身者が里帰り時に友人を連れ震災前の珠洲の姿を話す様子も見られ、旅行者が震災前の珠洲を知る入口の場ともなっています。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

珠洲市では公費解体が終わり、また新たな関係人口・移住者は少なくなってきている印象があり、年度末が近づくなか子育て世代の転出予定も聞かれます。一方県や珠洲市等では、奥能登国際芸術祭の2029年開催等が計画され、またスズシアターミュージアムが本年再開を目指しているなど、向かう目標も生まれています。このような外部環境変化の中で本取組を行ってきた結果、震災後移住者が本事業を含む地域活動を通じて交流・連携することでチーム・コミュニティとなり、個々人でも地域おこし協力隊等の仕事を得るなど、持続的な定住の見通しが立ちつつあり、また特に大谷地区では、若い移住者がいることで地元の若者の積極的な活動・イベント参画が促進されるとともに、元々地域活動の中心にいた高齢層の住民との身体を動かしながらの交流が促進される循環も生まれています。更に特にレコードセンターは、地域外への発信力が強く珠洲に関わる入口となり、少しずつ移住希望者が現れてきており、また、復興まちづくりにおけるアーカイブの必要性や効果を認識した珠洲市内外の能登地域の人たちが参考事例とする状況も生まれるなど、記録者・活動が少しずつですが波及しています。

本事業を行なっている中で生じた実行団体や受益者のもっとも重要な変化だと感じた点

当団体:潮騒レストランは、震災前は旅行者が訪れる場でしたが、コミュニティダイニングを継続してきたことで地元大谷地区の方々が気軽に交流できる場として定着するとともに、地域住民との連携活動の能力が高まったと考えています。またスズレコードセンターは、市内外の記録者の場・市外の方々の定番の立ち寄り先となり珠洲市内外を繋ぐ媒介になりました。珠洲の外浦・内浦両地域に地域・テーマコミュニティができ地域外からの玄関口ができました。事業対象者の方々:大谷地区では、若い住民・移住者が参画メンバーとして定着、また当初特定の友人がかたまっていた場が流動的になり、誰とでも会話する様子が増えました。「実は上の世代と距離があったけど話しやすくなった」という50代の人たちの声も聞かれました。レコードセンターでは、地元記録者がイベントの度に集まり連携が生まれ、地域外からも「レコードセンターで働きたい」という方も出てきており、活動に共感する地域内外のコミュニティが生まれてきました。いずれも震災前にはなかった多様かつ共感で繋がるコミュニティであり、居場所や役割があることで、より活動しやすい状況に変化してきたと考えています。

外部との連携実績

1活動民俗美術ブ(アーティスト連携ワークショップ)、大谷エリア体験プログラムづくり
実施内容ワークショップの企画実施について、南条義毅氏(スズシアターミュージアム(STM)演出等)、川村清志氏(国立歴史博物館)及びアートフロントギャラリ―と連携。
結果・成果・影響等南条氏によりSTM所蔵民具の価値を最大限引き出し、かつ参加者の交流が促進されるWS企画が生まれ、また川村氏により学術的な裏付けのある企画となりました。加えて、両氏等を通じた関心層(研究者・学生・芸術祭サポーター・美術館関係者等)の参加に繋がりました。
2活動コミュニティダイニング
実施内容ゲスト招聘として、すずなり食堂和田丈太郎氏、ぶどうの森米田岳人総料理長、きっかけ食堂佐々木彩乃氏等と連携。
結果・成果・影響等ゲストにより地元食材・料理が提供され、地域の食文化を再認識する機会となるとともに、特に和田氏は地元でもあり、同級生や友人が集まる動機づけも生まれました。
3活動スズレコードセンター(SRC)運営・イベント開催
実施内容運営・イベント開催全般について、せんだいメディアテーク甲斐賢治氏及びアートフロントと連携。
結果・成果・影響等SRCにおける写真・映像等の預かり・返却等の手続を含む基盤となる運営体制の整備ができ、また、各イベントの企画実施、アーカイブ活用の意義・可能性を行政を含め伝える活動について、せんだいメディアテークの知見を活かし効果を高めていただいたと考えています。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・新聞掲載7件(北國3・朝日3・山形1)等:https://drive.google.com/drive/folders/1j5H61-Z8kNMYorgTqJhCQA2MgWsvREa7

広報制作物等あり
内容

・「シーサイド展」チラシ(スズレコードセンター事業):https://drive.google.com/drive/folders/1xMETamnMyH4SVy0AQaCH3M3qkyZnu5HQ
・「開墾畑づくりワークショップ」チラシ(アーティスト連携WS事業):https://drive.google.com/drive/folders/1xMETamnMyH4SVy0AQaCH3M3qkyZnu5HQ

報告書等あり
内容

・「民俗美術ブ」等アーティスト連携WSに係る各回実施結果報告書(5回分)及びアンケート結果まとめ
・「コミュニティ・ダイニング」に係る各回実施結果報告書(7回分)及びアンケート結果まとめ(最終日)
・スズレコードセンターにおける「シーサイド展」「記憶の大蔵ざらえ」「能登のこれからの記録について考える」に係る実施結果報告書、及びアンケート結果まとめ(レコードフェア時)

イベント開催等あり
内容
・「民俗美術ブ」等(アーティスト連携WS):5回(9/20、10/11、10/30、11/23、11/24)
・「コミュニティ・ダイニング」:8回(6/29、8/3、9/28、10/26、11/1、11/23、12/20、2/8)
・10/2~12/21ショッピングセンター「シーサイド」展、シーサイドに纏わる写真・映像・資料を集める「記憶の大蔵ざらえ」、10/21写真家石川直樹氏の解説付きで同氏撮影(2015~25)の珠洲の写真を鑑賞し意見交換する会、11/15コミュニティアーカイブをテーマとした「能登のこれからの記録について考える 〜東日本大震災での記録活動『わすれン!』から学ぶ〜」、2/10「東北記録映画三部作から、話すこと、聞くことを考える『なみのおと』」、2/18「東北記録映画三部作から、話すこと、聞くことを考える『なみのこえ 気仙沼』」

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て添付・公開をした
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますかはい
内容
https://test.support-suzu.jp/wp-content/uploads/2025/01/24926-%E7%B5%A6%E6%96%99%E6%B0%B4%E6%BA%96%E5%86%85%E8%A8%B3%E6%9B%B8.pdf

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

役職員が不正行為等の相談、相談するための窓口を設けている。相談通報先は南方代表理事及び山口監事としている。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
内容

本団体は、震災前においては基本的に珠洲市・奥能登国際芸術祭実行委員会からの業務委託料を財源として運営してきましたが、震災後、複数の助成金等を受けて運営させて頂くかたちとなり、助成金の間で対象事業・経費の重複が決してないよう管理する仕組みの構築・運用(助成金ごとの責任者の設定、各責任者間の定期的な確認のための打合せ実施等)を行っています。

報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

内部監査をサポートスズ監事の山口茂樹氏に依頼。本年度は4月30日に監査を実施し、内容に誤りがなく適正に処理されていることを認められている。来年度も同様に監査を実施いたします。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

本助成事業を通じ、地域内外の方々が自由に語り合える場づくり、まちづくりに繋がるアーカイブ活動の運営等について、当団体スタッフの経験・技能が向上・蓄積されるとともに、地域外人材とのネットワーク・地域住民とのチームワークが一層充実されたと考えています。特に地域内では、震災後移住者の方々の居場所・役割が増え、地元住民との相互理解が一層深まりました。今後、2029年芸術祭開催も見据え、本年度の活動の成果を地域における体験プログラム・ガイド等として事業化することで、移住者を含む地元の方々の生業づくり・定着にも繋げたいと考えています。一方で、長期の復興過程を担うには、イベント等諸活動を企画運営できる経験・技能を持つ現地人材は依然不足しており、また、地域外人材・企業との関係構築を図るコミュニケーション能力を持つ人材も必要です。資金面については、本団体に限らない課題ですが、震災後に公共的活動に取り組んできた民間団体・人材は、今後の復興を担う重要なプレイヤー・実行者であり(震災により得られた人材・機会とも言えると考えます)、これら団体等の活動及び組織運営を引き続きご支援下さいますようお願い申し上げます。

シンボルマークの活用状況

自団体のウェブサイトで表示

広報制作物に表示

その他:スズレコードセンターのカウンター上に常時掲示