事業完了報告
2026/03/16更新
事業概要
| 事業期間 | 開始日 2025/06/11 | 終了日 2026/02/28 |
|---|---|---|
| 対象地域 | 石川県七尾市 | |
| 事業対象者 | 1)和倉温泉旅館協同組合加盟旅館 | |
| 事業対象者人数 | 1)21社1,000名(2024年4月1日現在。和倉温泉旅館協同組合調査) | |
| 事業概要 | 震災を経て、復興活動と並行して和倉温泉の"新しいまちづくりビジョンと計画および多種多様な活動"が必要となる中で、その軸となるまちづくり会社の設立および拠点整備が進んでいる。本事業においては、3つの目的を設定し、それぞれを達成するための具体的な活動およびKPIを設定した。 【1.地域の事業を運営できる復興まちづくり拠点となっている】 【2.外部の企業や団体と連携し、支援を受け入れている】 【3.次世代を担う多様な人材が積極的に和倉のコミュニティづくりに携わっている】 | |
事業の総括およびその価値
本事業は、震災後の和倉温泉において持続可能な復興を実現するため、地域主体の推進体制の構築と具体的な事業基盤の整備を目的に実施した。地域の将来像を示す復興プランを策定するとともに、復興まちづくり拠点の開設とまちづくり会社の設立を進め、合意形成を担う協議会と事業を実行する組織を両輪とした体制を構築した。さらに、域外企業との連携によるコンソーシアム形成や企業視察の受入れを通じて多様な支援を呼び込む関係性を創出し、市民参加型の対話や大学との共創により新たなコミュニティの形成を促進した。また、休業中の旅館従業員が復興活動へ参画する仕組みづくりを進め、雇用維持と地域への当事者意識の醸成を図った。本事業は、単なる復旧にとどまらず、自立的かつ持続可能な復興モデルの基盤を確立した点に大きな価値がある。
課題設定、事業設計に関する振返り
本事業では、震災後の和倉温泉において地域経済の停滞や人口流出への懸念に加え、復興の方向性を共有する場や推進主体の不足により、取り組みが個別最適にとどまりやすい状況を主要課題として設定した。これを踏まえ、復旧にとどまらず中長期的な地域価値の向上を見据え、対話を基盤とした合意形成のプロセスを重視した事業設計とした。具体的には、住民や事業者、行政、域外企業など多様な主体が参 画する検討体制を構築し、復興プランの策定と推進組織の整備を一体的に進めることで、実行可能性の高い基盤づくりを図った。一方で、地域内の状況や復興段階には差があり、合意形成には想定以上の時間を要する場面もあったことから、今後はより柔軟な意思決定プロセスと継続的な対話の仕組みを強化していく必要がある。本事業は、将来の実装を見据えた復興プロセスを設計できた点に意義がある。
今回の事業実施で達成される状態
短期アウトカム
| 1 | 1.地域の事業を運営できる復興まちづくり拠点となっている。 | |
|---|---|---|
| 指標 | まちづくり会社の設立 | |
| 目標値・目標状態 | 事 業期間内に復興まちづくり会社を設立している。 | |
| アウトカム:結果 | 株式会社わくらす 2025年11月設立 | |
| アウトカム:考察 | 復興まちづくり拠点の開設と運営体制の構築により、地域住民や企業、関係人口が集う基盤が整い、事業を推進できる環境が形成されつつある。チャレンジショップや対話の場の創出など具体的な活動も始まり、拠点は交流と挑戦を生む場として機能し始めている。一方で、運営は立ち上げ段階にあり、安定的な収益源の確保や担い手の拡充が今後の課題である。想定以上に地域内外からの関心が高まる一方、受け皿となる組織体制の強化が求められており、持続的に事業を創出できる拠点運営へと発展させていく必要がある。旅館従業員の雇用維持を目的とした在籍型出向の受け皿をわくらすが担うことにより、これまでになかった旅館の枠を超えた地域内の従業員同士の横のつながりも芽生えている。人材流出に歯止めをかけ、まち一体となって目指す和倉温泉の復興に資するものとなる。 | |
| 2 | 2.外部の企業や団体と連携し、支援を受け入れている。 | |
| 指標 | 一定の企業・団体数で「和倉コンソーシアム」が生まれているかどうか | |
| 目標値・目標状態 | 域外の10団体と連携 | |
| アウトカム:結果 | ・候補企業20社抽出 ・企業視察5件実施 北 陸電力、東京海上日動、JR西日本、JTB商事、パソナ等を含む10社超とコンソーシアム形成に向け調整を進めた。 | |
| アウトカム:考察 | 域外企業との連携に向けた継続的な働きかけにより、目標としていた10団体規模の関係構築が具体化し、復興を地域内だけで抱え込まない推進体制が整い始めた。視察受入れやイベント連携を通じて、企業が関与しやすい接点を創出できたことは、資金面・人材面・事業面での支援可能性を広げる成果といえる。一方で、連携を一過性の支援にとどめず持続的な協働へ発展させるためには、参画企業の強みを活かした事業機会の創出や役割の明確化を進めることが重要である。今後はコンソーシアムを実行フェーズへ移行し、地域の自走力向上につなげていく必要がある。域外企業が資金だけでは得難い"情報"や"関わり"をコンソーシアム参画企業(或いは参画検討企業)に提供し、地域価値と企業価値が相互に高められる仕組みづくりを目指す。現時点でもコワーキングや打合せなどで拠点を利用することで、コミュニティでの有益な情報交換(住民の生の声や地域事業者の本音など)、コミュニティを介した関係構築(顔つなぎ紹介による信頼獲得や交流機会の提供など)が提供されている。 | |
| 3 | 3. 次世代を担う多様な人材が積極的に和倉のコミュニティづくりに携わっている。 | |
| 指標 | シビックプライドを持つことおよび、自分自身を軸とした復興プランや市民活動を”語れる” こと | |
| 目標値・目標状態 | 5人 | |
| アウトカム:結果 | ・大学・小中高校と連携した授業やワークショップを実施。 ・チャレンジショップ開設や創業アカデミーを契機に、主体的に関わる住民や来訪者が増加。 | |
| アウトカム:考察 | 対話の場やワークショップ、チャレンジショップの実施により、復興やまちづくりを自分事として捉える住民が増え、主体的に関わろうとする意識の芽生えが見られている。想定以上に多様な層の参加があり、新たな担い手の発掘につながった点は大きな成果である。一方で、関与はイベント単位にとどまる傾向もあり、継続的な活動や具体的な事業参画へ結び付ける仕組みづくりが課題である。今後は挑戦できる環境と伴走支援を強化し、次世代人材の定着と成長を促していく必要がある。 | |
アウトプット
| 1 | 【1.まちづくり拠点の立ち上げ】 和倉温泉の中心地に拠点を置き、各活動(防災、都市デザイン、地域マネジメントなど)の中心として動ける体制づくりを進めていく | |
|---|---|---|
| 指標 | ①事業計画の有無 ②新聞記事掲載の回数 ③HP、SNSの活用 ④住民説明向け冊子発行 | |
| 目標値・目標状態 | ①策定 ②10回 ③年間通 じて定常的な情報発信 ④30,000部 | |
| アウトプット:結果 | ①完了 ②達成(10回以上) ③達成(定常的に実施) ④達成(30,000部) | |
| アウトプット:考察 | 事業計画の策定や情報発信、住民向け冊子の発行を通じて、復興の方向性を可視化し、拠点を中心とした活動基盤を整備した。新聞掲載が重なったことで域外からの関心も高まり、関係人口の創出につながり始めている。一方で、拠点の認知は着実に広がっているものの、利用者層には偏りも見られ、地域全体への浸透にはさらなる工夫が必要である。今後は拠点機能の充実と参加機会の拡充を図り、多様な主体が関われる開かれた場として定着させていくことが求められる。 | |
| 2 | 【2.和倉コンソーシアム創出】 和倉温泉でなにか取り組みをしたいと思った際に、資金的支援、人的支援、事業的支援がスムーズにできる関係性を域外の企業と構築していく | |
| 指標 | ①候補企業(団体) 企業数 ②視察対応数 | |
| 目標値・目標状態 | ①20社 ②5件 | |
| アウトプット:結果 | 達成(20社) 達成(5件) | |
| アウトプット:考察 | 候補企業の抽出と視察対応により、域外企業との接点を体系的に構築し、支援を受け入れる基盤を整備した。企業側の関心も高く、復 興への参画意欲を持つ主体が広がりつつある。一方で、連携は個別調整に依存する部分も多く、持続的な協働関係へ発展させるための枠組みづくりが課題である。今後はコンソーシアムの運営方針や参画メリットを明確化し、企業が継続的に関与できる仕組みを整備することで、より実効性の高い連携体制を構築していく必要がある。 | |
| 3 | 【3.コミュニティづくり】 地域内の人がチャレンジしやすく、また、移住者や関係人口も関わりやすい場を提供していく | |
| 指標 | ①和倉トークの参加者数 ②復興まちづくり拠点でのイベント実施数 ③チャレンジショップの開店数 ④地域資源を活用した旅館従事者の職場以外のコミュニティづくり先進地視察 | |
| 目標値・目標状態 | ①100人 ②10回 ③1件 ④1回 | |
| アウトプット:結果 | ①達成(累計100名以上) ②達成 ③達成(1件) ④達成(1回) | |
| アウトプット:考察 | 和倉トークの開催やイベント実施、チャレンジショップの開設、先進地視察を通じて、地域内外の人材が関わる機会を創出した。挑戦を後押しする環境が整い始めたことは、地域活動の活性化に寄与している。今後、移住者や関係人口が地域内との接点を持ちやすいコミュニティがあることで、関わりを深めて地域内外の価値を融合できる活動人口・プレイヤーを増やしていくことにつながる。一方で、参 加者の関与を一過性に終わらせず、また関わりを広げ続けるための継続的な活動へ接続する仕組みづくりが今後の課題である。多様な主体が関係性を深めながら活動できる環境を整備し、持続的なコミュニティ形成へと発展させていくことが重要である。 | |
活動
| 1 | 1-1 復興まちづくり拠点の運営 和倉温泉の中心地にまちづくり会社の事務所が生まれたが、そこは単なるオフィスではなく、復興まちづくりの拠点である。その役割を果たせるよう、地域の人々と共に活用しながら運営をしていく。 | |
|---|---|---|
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 復興まちづくり拠点を開設し、まちづくり会社の事務所機能に加え、地域住民や関係人口が集う交流拠点として運営を開始した。イベントや対話の場、チャレンジショップなど多様な活用を進め、復興に向けた活動の基盤として機能し始めている。半数が地域の方、半数が観光客の方であり、地域のコミュニティに交流人口の方々が交わる場所というのは、観光客の方としても珍しく捉えていただき、リアルな対話が生まれている。 | |
| 2 | 1-2 毎月1回外部への活動報告の発信 まちづくり会社としての活動を、日々のSNSやHPのニュースの更新とは別で定期的に新聞記事として出していく(取材依頼) 。そうすることで、地域内外の企業・団体や支援者、行政などに対して活動の理解度を深めていく。 | |
| 活動結果 | ほぼ計画通り | |
| 概要 | 新聞社への取材依頼や情報提供を継続的に行い、活動内容が想定を超える頻度で掲載されるなど地域内外への周知を図った。何度か全国版にも掲載され、プレイヤー達も地域外からも声をかけていただくことが増えて前向きに活動が継続できている。またSNSやHPでの情報発信とも連動させることで理解促進につながっており、今後も定期的な発信体制の維持を目指す。 | |
| 3 | 1-3 復興まちづくり会社の事業計画策定のための調査、作成 まちづくり拠点を運営していくまちづくり会社が、ローカルディベロッパーや宿泊税活用の受け皿、指定管理などの選択肢がある中で、どのような体制で事業を運営していくのか、休眠預金の先を見据えた資金計画と合わせて具体的に計画を立てていく。 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 復興まちづくり会社の持続的な運営を見据え、他地域の事例を踏まえた事業スキームや資金計画の整理を進めるとともに、指定管理の可能性も含めた検討を行った。協議会から生まれたさまざまなプロジェクトの担い手としてまちづくり会社は大きな期待をされており、在籍型出向においては旅館従業員の雇用確保、地域の人材流出に歯止めをかける役割を担う。脱炭素先行地域においても事業会社の立ち上げを見据え、地域における持続可能な仕組みづくりを実行に移していく。 | |
| 4 | 1-4 地域内のまちづくり会社および復興団体との情報交換や役割分担 七尾市にも能登島にもまちづくり的な組織があり、また、震災を機に能登半島全域で多種多様な復興団体が活動を行っている。そことの差別化、適切な役割分担をしていくために、他団体との情報交換を細やかに行っていく。 | |
| 活動結果 | ほぼ計画通り | |
| 概要 | 七尾市におけるボランティア団体であるおらっちゃ七尾との連携調整を通して、和倉温泉における人材の課題と、地域の復旧の課題が同時に解決しそうである。今後も単なる連携の調整ではなく、双方の課題の抽出を通して引き続き連携を進めていく。また、ななおなかのとDMOや観光協会などとの役割分担について協議を行なっており、次年度については復興についても既存団体への業務の移行を進める。 | |
| 5 | 2-1 復興まちづくり拠点でのコワーキングスペースの提供 まちづくり拠点は、外に開けた場所でイベント等を行うが、コワーキングスペースとしての利用も可能性がある。これが実現すると、コンソーシアムに参画してくれる企業および団体にとってのメリットともなるため、実験的にコワーキングスペースとして提供を始めて仕組みを整えていく。 | |
| 活動結果 | ほぼ計画通り | |
| 概要 | 拠点スペースを活用し、コワーキング利用の実証を開始した。企業関係者や来訪者の利用も見られ、交流促進や関係構築の場としての可能性を検証している。企業関係者においては、復興に関わる地域プレイヤーとの打合せでの利用、別件での訪問時への立ち寄り、滞在時の空き時間のコワーキング利用などがあり、気軽に使える雰囲気から地域内外の顔の見える関係づくりに寄与している。 | |
| 6 | 2-2 企業視察のための人材育成およびコンテンツ作り(情報整理、資料作成、地元事業者とのコミュニケーションなど) コンソーシアム参画の可能性がある候補企業の中には視察を望む可能性も考えられるため、その際に活動を紹介できる人材を事務局内で育て、資料を精査し、地元事業者にも上手く関わってもらえるような関係性を整えておく。 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 企業視察の受入れに向けて資料整備や情報整理を行うとともに、対応可能な人材の育成を進めた。実際に複数の視察を受け入れ、地域事業者との連携体制構築にもつながっている。復興プランがもととなり、まちづくりの方針やプロジェクト推進のフェーズ、協議会の取り組み内容や和倉トーク開催概要など、体制構築や仕組みづくりに関わる人材が増えたことでそれぞれの実施意義と成果・効果の理解促進にもつなが った。 | |
| 7 | 2-3 大学との共創 復興プロセス、人材育成、事業づくり、防災など様々な観点から大学との共創を進めていくことでより質の高いアウトプットを生む。また、企業・大学と三者で連携し共創していく可能性も秘めている。 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 金沢大学や東京都立大学、立教大学と連携し、復興やまちづくりをテーマとした授業やワークショップを実施した。また、北陸大学とはデータJAMを実施し、これまでの切り口とは違った協議会活動ができた。学生との協働を通じて新たな視点を取り入れるとともに、将来的な関係人口の創出にもつながっている。 | |
| 8 | 3-1 まちなかでのイベント企画 市民が中心となったイベントを定期的に開催していく。復興に限らないテーマで実施していくことも可能で、まちの盛り上がりが生まれる多様な場となっていくことが理想。 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 復興祈願セレモニーや、牡蠣祭りを商店連盟などと企画するなど、地域住民が参加しやすいイベントを企画・開催し、復興に限らないテーマも取り入れながら交流機会の創出を図った。まちなかの賑わいづくりに寄与している。 | |
| 9 | 3-2 チャレンジショップ実証実験 新しくできるまちづくり拠点のスペースを活用し、域内外の方のチャレンジショップとして提供していく。コーヒー屋さん、手作りの特産品の販売など様々な形での利用が考えられる。 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 拠点スペースを活用したチャレンジショップを開設し、域内外の事業者が挑戦できる環境を整備した。来訪者の増加や滞在機会の創出にもつながり、復興まちづくり拠点における地元住民と観光客、域外から復興に関わる企業などさまざまなアクターとの交流を生んでいる。またチャレンジショップの実証により、拠点の間貸しにおける課題(拠点スペースの住み分け、コミュニティの質の担保など)が見えてきた。 | |
| 10 | 3-3 和倉トークのプログラムづくり、主体者(毎回のプレゼンター)の声掛け、集客 コミュニティを育てていくために市民が議論していく場を創出する。しかしながら、まちづくり拠点が全てをお膳立てして行っていくのではなく、必ず市民または関係人口をプレゼンターとして立て、市民主体で展開されていくことが望ましい。 | |
| 活動結果 | 計画通り | |
| 概要 | 市民や関係人口が主体となる対話の場として和倉トークを開催し、プレゼンターの選定や集客を行った。地域外から復興に関わる専門家、企業、地元事業者やプロジェクトリーダーが、様々な視点から復興プランや対話を深めるための新たな地域や問題提起を行い、対話の場の活性化につながった。和倉トークに継続参加する住民や、テーマに関わりの深い住民が参加するなど、多様な立場の参加があり、地域の将来を考える機会となっている。 | |
| 11 | 3-4 中高校生の復興まちづくり活動への参加 まちなかで実施するイベントや和倉トークに地元の中高生に参加してもらうことで、若い頃からシビックプライドを醸成できるきっかけを作る。 | |
| 活動結果 | ほぼ計画通り | |
| 概要 | 地元中高生がイベントや対話の場に参加する機会を創出し、若い世代が地域の復興やまちづくりに触れる環境を整えた。具体的には、金沢大学と鵬学園高校が連携し、和倉温泉においての探究学習が行われた。大人と高校生という関係の間に、大学生が入ることで、非常に雰囲気が良く、また若者目線での復興のアイディアを頂けた。これにより継続的な関与に向けた基盤づくりが進んでいる。 | |
想定外のアウトカム、活動、波及効果など
復興まちづくり拠点の開設を契機に、地域住民に加え域外企業や大学、関係人口など多様な主体から想定以上の関心が寄せられ、視察や連携相談が増加するなど支援の広がりが見られた。また、和倉トークやイベントを通じて、復興を自分事として捉え主体的に関わろうとする住民が現れるなど、地域内に前向きな意識変化が生まれたことは当初想定していなかった波及効果である。一方で、外部からの期待の高まりに対し、受入れや調整を担う人材が不足し、事務局機能の強化が課題として顕在化した。また、復興の進展度合いに差がある中で、地域ニーズも「生活再建」から「将来のまちづくり」へと移行しつつあり、多様化する期待に応える柔軟な事業推進が求められている。現在は運営体制の見直しや役割分担の整理を進めるとともに、外部人材の活用や連携強化を図り、持続的に事業を推進できる体制整備を検討している。
事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動
| 課題を取り巻く変化 | 事業の実施を通じて、復興に向けた合意形成の基盤や推進体制が整い、地域内外からの関心も高まるなど、和倉温泉を取り巻く環境は「復旧中心」から「将来を見据えたまちづくり」へと移行しつつある。住民や事業者の中にも主体的に関わろうとする動きが見られ、対象者は支援を受ける側から地域を担う側へと変化し始めている。一方で、復興フェーズの進行に伴い、多様化するニーズに対応できる運営体制の強化や安定的な財源確保が引き続き課題である。今後は復興まちづくり拠点を核として、コンソーシアムによる外部企業との連携を深化させるとともに、地域プレイヤーが挑戦できる機会を創出し、具体的な事業化を進めていく。また、まちづくり会社がエリアマネジメントの役割を担い、持続的に地域価値を高める循環を生み出すことで、自立的な復興の実現を目指す。今回のチャレンジショップ実証事業においては、公募にてUターン移住者の期間限定カフェ運営を実施した。今後移住者や二拠点居住者・関係人口等、地域に関与する人を増やしたい一方、域外からの参入には価値観の違いなどからコンフリクトが起こりやすいことも課題であった。地域での創業を検討する個人が地域と関わりはじる受け皿として、相互理解を深め、より良い関係構築をサポートするコミュニティ機能をわくらすが担った。まちのことや創業の悩みを気軽に相談できる人材との関わりがチャレンジショップを通して拠点に蓄積することで、コミュニティの質も担保される。今後は市の創業塾(創業補助金を活用しながらの伴走支援)や日本政策金融公庫の創業サポート(個別相談や情報収集、資金調達まで幅広く対応)と連携し、コミュニティ醸成と多様な創業をまちの賑わいづくりにつなげていく。 |
|---|---|
| 本事業を行なっている中で生じた実行団体や受益者のもっとも重要な変化だと感じた点 | JANPIA様からご紹介いただいた、福市様の取り組みについてお伺いし、東日本大震災の時の地域の雇用における課題と共通する和倉温泉の課題の解決に資する内容であり、和倉温泉の体制構築ができた後にノウハウの提供等の支援につながる意見交換ができた。また、今後も復興のフェーズにおいて、起こりうる課題に対しても先読みした提案をいただけそうである。他企業からの提案はソリューション提案が多いが、過疎地域における高年齢者が中心の暮らしに寄り添ったご提案をお伺いしたことで、これまでの協議会活動において働く方がクローズアップできなかった部分にようやく光が見えた。また、まちづくり会社が設立することにより、実際復興を進める中で、地域のプレイヤーが覚悟を持って立ち上がることの重要性も示すことができたのではないか。 |
外部との連携実績
| 1 | 活動 | 官民連携会議の開催 |
|---|---|---|
| 実施内容 | 第1回(7/29)第2回(8/28)など毎月1回開催し、七尾市各課、国交省、日建設計、旅館組合等が参加し、復興事業の進捗や要望書について協議を実施。 | |
| 結果・成果・影響等 | 復興事業の調 整を行う場が継続的に設けられ、行政との協働による推進体制が構築されている。 | |
| 2 | 活動 | 防災・事業継続計画の体制構築 (BCPプロジェクト) |
| 実施内容 | 東京海上日動および中小企業基盤整備機構がプロジェクト推進を担い、専門家がアドバイザーとして参画。 | |
| 結果・成果・影響等 | ヒアリングを基に「和倉ミニマムスタンダード」のイメージ共有やワーキンググループが始動し、地域防災計画の大枠提示に向けた基盤が整備された。 | |
| 3 | 活動 | 脱炭素・観光まちづくりに関する企業・高校・大学連携 (和倉トークでの企業登壇・知見共有) |
| 実施内容 | ・北陸電力がゲストスピーカーとして参加し、温泉排熱利用や共同調達など地域連携型の脱炭素の取組みを共有。 ・國學院大學の吉見教授が登壇し、地域文化や「まち歩き」の価値について講演。 ・立教大学・金沢大学の地域活動の拠点として定着しつつある。 | |
| 結果・成果・影響等 | ・環境配慮を仕組み化する方向性が示され、能登全体への波及や業務効率化による人手不足補完への期待が共有された。 ・住民の思い出や日常がまちの魅力を形成するという認識が共有され、住民参加型まちづくりの重要性が再確認された。 ・若年層の継続的な関与が生ま れ、次世代人材の育成と地域理解の促進につながる教育連携が進んでいる。 | |
| 4 | 活動 | 金沢駅での復興PRイベント「めぐる市」開催 (交通・観光関連企業との共同イベント) |
| 実施内容 | ・JR西日本、IRいしかわ鉄道と共同で開催 | |
| 結果・成果・影響等 | 約3,500人が来場し、過去2度和倉温泉観光会館で実施しためぐる市を上回る売上を記録、旅館の物資輸送も共同で実施するなど協働プロジェクトとして成果を創出。 | |
| 5 | 活動 | 企業視察・コンソーシアム形成 (企業視察の受入れと連携調整) |
| 実施内容 | CCCの視察対応や講演依頼、複数の上場企業の視察予定、さらに北陸電力・東京海上日動・JR西日本・JTB商事・パソナ・日建設計等、10社を超える企業とコンソーシアム調整を実施。 | |
| 結果・成果・影響等 | 域外企業との資金・人的・事業的支援につながる関係構築が進み、広域連携の基盤が形成されている。 |
広報実績
| メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等) | あり | |
|---|---|---|
| 内容 | 2025年 地方新聞(能登版)掲載 | |
| 広報制作物等 | あり | |
| 内容 | ・わくらすチラシA4 広報誌折込用(七尾ごころ和倉地区配布):7月号、8月号、9月号、10月号、11月号、12月号、1月号、2月号 | |
| 報告書等 | なし | |
| イベント開催等 | あり | |
| 内容 | ・2025年7月20日/拠点オープンイベント「わくらす はじまります!」/参加人数114名 ・2025年9月28日/「和倉トークvol.7」1部テーマ:海のこと、2部テーマ:山のこと/参加者16名 ・2025年10月11-12日/「よさこい&ドローンショー」和倉温泉復興DRONE SHOW (後援)/住民・観光客が来場 ・2025年10月18日/「和倉トークvol.8」テーマ:環境に配慮した観光地域づくり/参加人数11名 ・2025年10月19日/「和倉復興めぐる市@金沢駅」/使われなくなった旅館の大切な食器などの販売、金沢駅開催/来場者数約3,500 ・2025年11月16日/「和倉トークvol.9」テーマ:”まち歩き”がしたくなる「まち」ってどんな街?/参加者約40名 ・2025年12月21日/「和倉トークvol.10」テーマ:若者で描く未来の和倉温泉プロジェクト発表会/金沢大学×鵬学園/お祭り会館開催/参加者約50名 ・2026年1月1日/「和倉温泉2026復興祈願セレモニー」/比古那神社前/参加者約60名(地域事業者・団体、地域住民、報道関係者など) ・2026年1月24日/「和倉トークvol.11」テーマ:こどもの遊び場を考えよう!/参加者15名 ・2026年2月19日/「和倉温泉創造的復興シンポジウム2026」(観光庁予算)/東京開催/企業団体来場者数138名 ・2026年2月21日/「和倉トークvol.12」テーマ:まちまるごとBCP いのちを守る行動マニュアル/参加者14名 | |
ガバナンス・コンプライアンス実績
規程類の整備状況
| 事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか | 整備中 | |
|---|---|---|
| 内容 | まちづくり会社設立に伴い、定款および各種内部規程(就業規則、経理規程、コンプライアンス関連規程等)の整備を段階的に進めている。基本的な組織運営に必要な規程は整備済みであり、現在は事業拡大や外部連携の進展を踏まえた運用面の精査と一部規程の策定を進めている。 | |
| 整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか | 全て添付・公開をした | |
| 内容 | [協議会規約] | |
| 変更があった規程類に関して報告しましたか | 変更はなかった | |
| 助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますか | いいえ | |
| 内容 | 人件費水準については内部規程に基づき適切に管理しているが、個人情報および組織運営上の観点から対外公開は行っていない。 | |
ガバナンス・コンプライアンス体制
| 社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますか | はい | |
|---|---|---|
| 内部通報制度は整備されていますか | はい | |
| 内容 | 内部通報に関する規程を整備し、役職員に対して通報窓口を周知している。相談・通報が可能であることを明示し、不正の未然防止と早期把握に努めている。 | |
| 利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか | ||
| コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたか | はい | |
| ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しまし たか | はい | |
| 内容 | まちづくり会社の設立に伴い、組織運営に必要な規程類の整備や意思決定プロセスの明確化を進めた。また、経理処理や契約手続きのルール整理を行い、内部統制の強化を図っている。 | |
| 報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む) | 内部監査 | |
| 内容 | 本事業費の使用状況については、経理担当および管理責任者による内部確認を行い、証憑書類や支出内容の適正性を定期的に確認した。必要に応じて資金分配団体とも情報共有を行い、適切な執行管理に努めている。 | |
| 本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますか | はい、受領しているが事業区分が明確に整理できている | |
その他
| 本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など | 本助成を通じて、復興まちづくり会社の設立や拠点運営を実現し、地域内外の多様な主体と連携しながら事業を推進する組織基盤が強化された。特に、意思決定プロセスの整理や規程類の整備を進めたことで、ガバナンスと事業推進の両立を図る体制が整いつつある。また、企業や大学、行政との協働を通じて、復興を地域内に閉じず外部資源を取り込む重要性を改めて認識した。一方で、事業の広がりに対して運営を担う人材が不足しており、中核人材の確保と育成が課題である。今後はエリアマネジメントの視点を取り入れ、地域プレイヤーが主体的に関われる仕組みを構築することで、持続的に事業を創出できる体制を強化していきたい。あわせて、立ち上げ期のまちづくり会社に対する伴走型支援や専門人材のマッチング機会がさらに充実することで、地方における自立的な復興モデルの確立がより加速すると考える。 |
|---|
シンボルマークの活用状況
自団体のウェブサイトで表示 広報制作物に表示 イベント実施時に表示 |

