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事業完了報告

2026/03/28更新

事業概要

事業期間開始日 2025/07/02終了日 2026/02/28
対象地域相談:全国住居支援等:熊本県・熊本県近郊(九州圏内)
事業対象者

虐待、ネグレクト、経済困窮、親子不和、社会的養護出身等の理由で親を頼りづらい/親から実質的な支援を得られない状況にある10代~20代半ばの若者

事業対象者人数

年間約30-40名

事業概要

虐待、ネグレクト、経済困窮、親子不和、社会的養護出身等の理由で親を頼りづらい/親から実質的な支援を得られない背景をもつ10代~20代半ばの若者たちが、路頭に迷ったり、食べ物がなかったり、大きなトラブルに巻き込まれたり、自身の精神面・発達面の課題等の理由から安心して自立した生活を送ることが難しい状況に陥ったときに、住居や自立に向けた様々なサポートを提供し、生活を再建していくための伴走を行う。


具体的には、①相談窓口、②短期緊急宿泊用シェルター、③自立支援シェアハウス、④アパート型ステップハウスを運営し、若者の相談対応から、状況やニーズに応じた住居提供・確保、生活支援(食事、家事等)、各種手続き同行、就労支援など、生活再建支援を行う。また、事情を抱える若者たちは公的機関や大人との関係構築が難しいケースも多く、制度の狭間に陥りやすいことから、官民で連携を取りながら、ニーズがある若者を繋いでいく体制を構築する。

事業の総括およびその価値

本事業は、既存の支援制度の狭間に置かれた若者や未成年者に対し、「緊急シェルター(okioki)」と「シェアハウス(NOA)」の2つの異なる機能をもつ居住支援を軸に、伴走型の生活再建支援を目的として実施した。
【事業の総括】 今年度は、2つ目の拠点となる女性専門シェアハウス「NOA」を増設したことで、短期利用専門の緊急シェルター「okioki」の回転率が向上し、それぞれの施設の役割(緊急対応と中長期的な自立支援)が明確化された。このことによって、これまで短期利用専門のシェルターに長期入居せざるを得ないケースがあったり、また女性専用の拠点がなかったことで、男女共同が難しい背景を抱える女性がシェルターに入らざるを得ない状況が改善され、それぞれの機能に応じた入居者をこれまで以上にスムーズに受け入れすることができた。児童相談所や保護観察所、警察といった公的機関からとの連携が深まっただけでなく、今年度は特に社会的養護で受け入れができなかった未成年者や、刑務所・少年院からの若年出所者など、既存の制度ではフォローが難しい複雑な背景を抱える若者たちをシェルターを多数受け入れ、その後の中長期的な住居に繋いでいくことができた。制度の狭間に陥った10代~20代の中でも特に、民間ならではの「緩さや自由さ」を必要とする層へ効果的なアプローチと、公的機関のニーズがうまく一致した結果だと感じている。
【本事業の価値】



  1. 官民連携が深まったこと:シェルターを機能的に回転させられるようになったことから、即日に、柔軟に、様々なケースを受け入れることができ、若者との信頼関係の獲得にも繋がるほか、スムーズに自立支援に移行することができた。このような当法人の自立支援モデルは、児童相談所からの関心も非常に高く、今年度は児童相談所のケースワーカー向けに自立支援に関する研修を実施するなど、意見交換の場を作りながら、互いのリソースについて学び、ケースに応じて柔軟に連携する基盤となった。これにより、行政だけでは対応が困難なケースの受け皿としての地位を確立しつつあり、今年度は特に児童相談所からの相談・依頼が増加した。


2.若者主体の支援のあり方の提示: 当法人では、並行して子どもの権利擁護を推進する役割をになっており、子ども・若者の権利擁護の観点をベースに、若者が支援の過程でないがしろにされず、主体性を持って自立していける支援のあり方を提示できたと感じている。特に10代後半の若者たちは、従来の「閉じ込める」「ルールで縛る」「指導する」形ではなく、若者が主体となって「考える」「選択する」「決断する」ことを大事な権利として、当法人ではサポートを行ってきた。その支援の姿勢が、若者自身のエンパワメントに繋がっていることが、関係機関にも少しずつ認知されてきているように思う。ただ若者たちのニーズに応えるだけでなく、関係機関含め、若者たちを一人の人間として捉えなおし、それぞれの支援の在り方を見直す機会になることで、若者たちの支援のあり方がより良いものになるように引き続き働きかけていきたい。
3. 全国ネットワークの重要性: SNS相談をスタートした当初は想定外であった「県外からの相談」が今年度大幅に増加していることを通じ、他県の公的機関とも積極的に顔の見える関係性作りに取り組み、連携体制を構築した。支援団体の発信力の弱さや、若者たちからのリーチのしやすさと地域のリソースが一致していない課題も明るみになったが、それ以上に支援団体の数や力量などの地域格差の大きさを改めて感じさせられた1年だった。今後、県外ケースにどのようなアプローチが可能なのか、当法人で担うだけでなく、広域ネットワークのあり方や、支援リソースが不足している地域へのサポートの在り方など、全国的な課題として検討が必要な領域であると感じる。

課題設定、事業設計に関する振返り

当法人はこれまで、「親を頼れない若者」を焦点を当ててきたが、今年度の活動を通じて、近年は明確な虐待やネグレクトを起因としない、グレーゾーンともいえる「親子関係不和」のケースが多いことに気が付いて。発達障害や、軽度知的、親の過干渉など、「虐待」とは捉えられづらく、表面化しにくい課題を抱えながら「家にいられない」と感じている若者が急増していることが浮き彫りになった。即保護になるほどの事情ではないが、実質若者自身が家にいられず、家出するケースも少なくない。このようなケースが増えていることから、若者個人への支援にとどまらず、今後は「家族」としてどうサポートしていくのか、という視点が必要になってくるのではないかと、改めて考えさせられた。また、前述の通り、県外からの相談が相次いだことで、全国的に住居支援のリソースが不足していること、また支援団体の発信力(=若者からのアクセスのしやすさ)の課題も再認識した。


その他、事業を実施する中で、再確認した課題等もあった。



  1. 物件確保の難しさ: 当初賃貸予定だった物件が急遽借りれなくなったことで、その後シェアハウス用の物件確保が難航し、計画が大幅に遅れたことは反省であった。改めて、シェアハウスに活用できる事業用物件の確保の難しさを痛感した。しかし、同時にこのトラブルがあったからこそ、事業に真に理解のある県内の不動産業者とのご縁をいただき、その後も強力なサポーターとして当法人を支えて下さる仲間となってくださった。今回巡り合ったこのご縁は、結果的に今後の事業継続において大きな財産となった。

  2. 拠点の機能分化による効果: シェアハウスの増設という拠点の追加は、単なる定員増にとどまらず、シェルター機能を強化させることにつながった。特に近年、社会的養護のアフターケアのリソースが大幅に拡充されてきていることから、「社会に出る前の自立訓練や居場所」としての役割から、相談からの即日入居、そして自立へと繋げる「レスキュー機能」のニーズが最も大きくなってきている。元々は社会的養護出身者の受け皿としてスタートした当法人だが、7年かけてようやく熊本にも少しずつリソースが拡充されつつあることから、「すべてを担う」フェーズから、「選択と集中」のフェーズに突入したと実感できた。今後は、自立の意思を固めた若者への伴走や、緊急対応といった、当団体が最も力を発揮できる領域に力を集中させ、民間支援の強みを最大限に発揮できる体制を作っていきたい。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1当事業で生活再建を行った若者が、家がある・お金がある、という物質的支援だけに留まらず、自立して生活を営む力や相談力・受援力を身に着けることができる。
指標生活再建(自立を最終目的として、住居・経済・精神面等を整える支援)を受けた若者(短期アウトカム①分子)のうち、1年以上安定して生活を維持できている若者の割合。
目標値・目標状態70%
アウトカム:結果100%
アウトカム:考察2025年度の助成期間中にシェルター利用や生活再建を行った若者については、現在100%が居所に定住(もしくはステップアップで次の居所に引っ越し、定住)しており、経済破綻を起こしたり、居所不定になったケースは0件であった。 最終的な評価は次年度となるが、フォローアップを継続していく。
2実動的かつゆるやかな官民連携の体制があり、若者のニーズに合わせて適切な支援先(行政、児童相談所、民間支援団体、DVシェルターなど)に繋ぐことができる。
指標関係機関間で繋がった若者のケース数
目標値・目標状態5件
アウトカム:結果15件
アウトカム:考察シェルター利用や生活再建を行った若者のうち、関連機関から繋いでいただいたり、逆に当団体から関連機関へ繋いだ若者の数は15件と、目標を大幅に上回った。関連機関で繋いだものの、受け入れが困難なケースもあったが、民間団体等とも連携し、無事居所を確保することに繋がった。

アウトプット

1熊本県において、虐待・DV・ネグレクト・経済困窮等様々な理由で親を頼れない状況にある10代~20代の若者が住まいを失ったり、家にいられない状況に陥ったときに、必要に応じて迅速に住居確保ができ、生活再建のサポートを受けることができる。
指標①相談窓口に寄せられた相談の中から、熊本県内での新たな住居や生活再建サポートを希望した若者のうち、実際に生活再建を行った若者の割合。
目標値・目標状態90%
アウトプット:結果97%
アウトプット:考察月ごとの推移を見ていくと、ほぼ100%対応が出来ていたが、9月の相談が7名中1名しか生活再建に繋がらず、数値としては目標値を大幅に下回っていた。しかし、助成期間の最後に向け、長期的に伴走をつづけたケースが居所確保に繋がったことで、最終的には97%という結果になった。 行政や民間団体同士で連携しあったことで、今年度は特に連携先での受け入れ件数も増え、具体的に居所や生活再建が必要だった若者たちの対応は、現時点ではほぼカバーできたことは、一定の成果であった。
2実動的かつゆるやかな官民連携の体制があり、若者のニーズに合わせて適切な支援先(行政、児童相談所、民間支援団体、DVシェルターなど)に繋ぐことができるよう、日々会議やケース検討会を通じて顔が見える関係性を構築する。
指標②実務者会議・ケース検討会議の開催回数
目標値・目標状態年5回 (うち、トナリビトからの開催提案2回)
アウトプット:結果年5回
アウトプット:考察目標回数としては達成したが、念願であった官民共同でのケース検討会議が実現できなかったことが次年度の課題として残った。しかし、年間5回、顔を付き合わせて実務者会議が出来たことは、次年度の連携強化に繋がると感じている。
3①相談窓口(LINE・対面):若者からの相談を受け、支援につながる入口として機能
指標・月ごとの相談件数
目標値・目標状態月30件
アウトプット:結果月平均49件
アウトプット:考察今年度は若者の相談対応件数が大幅に増え、月平均49件に上った。入り口として機能していると感じる反面、内容・対象の精査と見直しが必要な段階であることも今回新たに感じた課題であった。
4②短期緊急宿泊用シェルター:緊急宿泊が必要な若者の受け入れと保護 ④アパート型ステップハウス:より自立度の高い若者への一人暮らし支援
指標・のべ入居者数
目標値・目標状態10名
アウトプット:結果19名
アウトプット:考察シェルター利用者は19名となり、短期から中期まで、幅広いニーズの若者が利用した。
5③自立支援シェアハウス:支援付きの中長期住居を提供し、自立を支援
指標・のべ入居者数
目標値・目標状態5名
アウトプット:結果7名
アウトプット:考察シェアハウスは通常回転率は低いが、今年度は新規でNOAが開設されたこともあり、シェルターより中長期支援が必要な入居者を追加で受け入れることができたことから、年間7名の入居者を支援することができた。
6⑤手続き同行支援:生活再建のための手続き支援・送迎の実施
指標・同行支援実施件数
目標値・目標状態80件
アウトプット:結果69件
アウトプット:考察今年度は相談件数やシェルター利用者の数に比べ、同行支援は回数が少ない傾向にあった。年間で69件、実人数としては44名の若者について、同行支援を行った。今年度は緊急対応や緊急搬送等が少なく、ほとんどは住所変更や生活保護手続きを含む、窓口での手続きに対する同行支援であった。

活動

1①相談窓口:公式LINE・対面での相談対応 支援退所者専用のホームページを通じて、相談用の公式LINEから困難を抱える10代~20代の若者からの相談に対応する。本人の困りごとやニーズを聴きとった上で、本人の希望に応じて支援方針を一緒に考え、必要なサポートの提案・提供を行う。
活動結果ほぼ計画通り
概要相談窓口としての公式LINE・対面対応は計画通り実施し、困難を抱える若者への支援方針策定や伴走支援を継続した。支援退所者専用ホームページの構築については次年度以降の課題となったが、月平均のLINE相談件数は35名/48件で、丁寧なヒアリングから対面相談につなぎ、そこから具体的な支援へつないでいく、伴走支援の起点としての役割を果たした。
2②短期緊急宿泊用シェルター:緊急で宿泊場所を要する若者へ安心して寝れる居場所の提供 相談を受けた中から、緊急で宿泊場所が必要であったり、加害者がいる等の理由から手厚い保護が必要な状況にある若者を受け入れるシェルター。若者は着の身着のままで入居でき、衣類や食事の提供を受けながら、生活再建に向けてサポ-トをうけることができる。
活動結果ほぼ計画通り
概要緊急で安全な居場所を必要とする若者に対し、即時の受け入れと生活再建支援を実施した。今年度は本助成により新たにシェアハウス2号となるNOAおよびワンルーム物件の増床を行ったことで、シェルター機能のキャパシティが拡大。これにより、緊急入居から中長期的な住居(シェアハウス等)への移行が円滑化し、シェルターの回転率が向上した。
3③自立支援シェアハウス:自立のために中長期的に生活支援・自立訓練を要する若者のための共同住宅 相談を受けた中から、中長期的に住居を必要とし、かつ一人暮らしの環境では必要なサポートが十分に得られないと判断される若者を受け入れ、支援付きの共同住宅。若者は着の身着のままで入居でき、鍵付きの個室や共有スペースに必要な家具家電が整備されているため、初期費用や家具家電費を負担せずに生活ができる。平日夕食が提供されるほか、自炊の練習や、金銭管理、就職活動など、自立に向けた目標を本人と一緒に考えて決めていく。より見守りが必要な未成年や、一人でいることへの不安感が強い若者、日常的に支援スタッフが関われる環境が向いている若者が対象となる。 また2025年度は対象となる若者が増加している現状と、女性専用住居のニーズがあることから、2拠点目のシェアハウスを8月~新規開設する。 ・シェアハウス①:入居者4名(15歳~23歳/男女MIX) ・シェアハウス②(新規):入居者2名(20歳~20代後半まで/女性専用)
活動結果ほぼ計画通り
概要増大する女性専用住居のニーズに応え、2拠点目「NOA」を10月に開設した。物件確保に難航し計画より2ヶ月遅延したが、無事に物件を確保、待機者の即入居を実現した。見守りが必要な未成年や生活支援が必要な若者が対象のIPPOと、一定の自立度を持つ20代対象のNOAという、属性や自立段階に応じた柔軟な住居提供が可能となり、若者一人ひとりのステップに合わせた多角的な自立支援体制を確立することができた。
4④アパート型ステップハウス(エクセルハイツ):短期~中長期で自立訓練を要する若者のための一人暮らし用住宅 相談を受けた中から、単発もしくは中長期的に住居を必要とし、かつ一人暮らしの環境でも生活を維持できる程度の生活力(食事、掃除、身の回りの整理整頓、連絡など)がある若者を受け入れ、生活再建をサポートするためのアパート型住居。最低限の家具家電が整備されており、一人暮らしに限りなく近い環境で自立に向けた練習をすることができる。また、トラウマや発達上の特性から他者との共同生活やコミュニケーションが難しい若者も対象となる。
活動結果ほぼ計画通り
概要既存物件から低賃料物件への切り替えと、事務所近隣に2室増床したことにより、計2拠点5部屋の集約を実現した。管理効率が向上し、緊急シェルターからの移行も円滑化している。ワンルーム型住居は家具家電完備で、共同生活が困難な特性を持つ若者も含め、個々のペースに合わせた自立訓練を促進。一人ひとりの生活力に応じた伴走支援を継続することで、孤立を防ぎながら着実な生活再建をサポートできている。
5⑤手続き同行支援 ①~④で支援に繋がった若者の、各種手続き等の同行や送迎支援を行う。住所変更や病院送迎といった一般的な手続きから、住基ロック・生活保護・警察対応・弁護士相談・助産師相談等の専門的支援について、本人の希望に応じてサポートを行う。関係機関への情報共有や代弁を行う場面では、あくまで本人主体で、本人の許可や意思確認を原則として一緒に手続きを進めていく。
活動結果ほぼ計画通り
概要①〜④の対象者に対し、行政手続きや通院、生活保護申請等、延べ44人(69回)の同行・送迎支援を実施した。別事業の「子どもアドボカシー」で培った権利擁護と傾聴の精神を基盤に、常に若者本人の意思確認を原則とする「本人主体」の支援を徹底。関係機関への情報共有や代弁を丁寧に行うことで、若者が主体的に生活再建に取り組めるよう伴走し、複雑な専門的支援を含む多様な手続きの確実な完了へと繋げた。
6⑥就労支援 ①~④で支援に繋がった若者の、就労サポートを行う。大きく分けて、①一般就労サポート(若者主体で一緒に求人を探す、面接準備、内定後の出勤サポートなど)、②福祉就労サポート(ハローワークへの相談、同行、障がい福祉・A方就労への繋ぎなど)、③職親を活用したサポート(当法人に繋がっている職親=雇用主への紹介・繋ぎ、就労後のサポートなど)の3つの方向性にあわせて、本人と一緒に決めていく。事情を抱える若年層の就労は「辞めないための準備」に時間を費やすのではなく、「本人が無理なく続けられる仕事を見つける」ことに重点を置いており、本人主体かつ枠にとらわれない緩やかな就労支援を行う。
活動結果ほぼ計画通り
概要就労支援では、一般・福祉・職親活用の3方向から本人の属性に合う選択肢を提示した。今年度は直接的な繋ぎ以上に、面接助言やスーツ・自転車の貸出といった「就労の土台作り」に注力。長期の訓練より「無理なく続けられる環境選び」を重視し、本人主体で枠にとらわれない緩やかな支援を展開した。こうした間接的サポートが心理的・物理的ハードルを下げ、若者が自身のペースで就職への一歩を踏み出す一助となった。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

本事業の実施過程において、当初の計画を越えた以下のような成果や波及効果が得られた。
•広域連携の進展と理想的な官民連携モデルの発見: 当初は想定していなかった県外(宮崎県、佐賀県等)からの利用相談が相次ぎ、現地の女性センターや社会福祉協議会といった公的機関との初めての連携が実現した。特に、他県の極めて丁寧な事前準備や連携体制に触れたことで、熊本県内でも応用可能な「官民連携の理想的なビジョン」を得ることができた。
•公的機関からの信頼獲得と認知度の飛躍的向上: 児童相談所からの依頼による自立支援研修の実施を通じ、互いの「困りごと」を共有できる深い信頼関係が構築された。これにより、警察や保護観察所などの公的機関においても当団体の認知度が非常に高まり、「支援の現場で当団体を知らない人はいない」と言われるほどの地位を確立できた。
•「ハッピーな生活再建」という新たな視座の獲得: 支援の過程で、若者が支援団体や行政窓口、金融機関の手続き等において、その都度自身の窮状を説明させられるなど「搾取」されている現状が浮き彫りになった。これを受け、親を頼れない事情を抱えた若者たちを単に生活再建させるだけではなく、「若者がハッピーに、搾取されずに社会復帰できるインフラ」を構築したいという、次なる事業展開の核となるキーワードを見出すことができた。「我慢するのが当たり前」「傷つけられて当たり前」の若者支援ではなく、若者たちが人として大事にされ、主体性を取り戻せる支援がスタンダードになっていくために、関係各所またコミュニティに向け、さらに普及啓発や発信、提言を行っていくことの重要性を再認識できた。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

事業開始時と比較し、支援対象者の特性や地域環境には以下の変化が見られる。これらに対応するため、次期活動の方向性を定めていく。
•相談内容の複雑化・内面化(対象者の変化): 暴力や住居喪失といった明確な困窮・搾取事案だけでなく、発達障害の傾向や親の過干渉に起因する「親子関係の不和」を抱える若者の相談が急増している。若者自身が自らを「権利の主体」と認識し、権利侵害を訴え始める肯定的な変化が見られる一方、家族というクローズドな場での悩みは表面化しにくく、事実確認が難しい側面もあります。今後は「若者個人への支援」や「困りごとの即時解決」だけでなく、「家族支援」の視点を取り入れた中長期的な専門的アプローチが不可欠となってくると考えている。
•地域支援リソースの拡充に伴う役割の再定義(環境の変化): この5年間で、熊本県内においても社会的養護のアフターケアに関するリソースが着実に増加した。この環境変化を受け、当団体がすべての役割を抱え込む必要性は下がってきているように感じている。今後は、「レスキュー的な緊急対応(即日の住居確保)」や「自立の意思を固めた層への伴走支援」といった、当団体が最も強みを発揮できる領域にリソースを集中させる「選択と集中」を進める方針をとる。
•次期活動への展開: 県外事例から得た知見を活かし、熊本県内での官民連携の役割分担をより明確化する働きかけを行っていく。同時に、若者が社会の仕組みの中で疲弊しないためのインフラ整備や、複雑化する親子問題への家族支援体制の検討を進めていく。

外部との連携実績

1活動自治体の福祉担当課、相談支援機関、医療機関、他の若者支援団体等と連携している。緊急的な居住支援や日常的な生活支援は自団体で行い、制度利用や専門的支援が必要な場合は関係機関につなぐ役割を担っている。また、全国の自立支援団体との連携も拡大中で、他県からの相談やレスキュー要請がある場合は、そうした連携団体につないでいる。
実施内容・弁護士会(ボランティア登録をいただいており、借金、負債問題の相談など) ・児童相談所(18歳未満の子ども・若者の保護について相談) ・障がい者相談事業所(療育手帳等所持者の利用できるサービスについて相談) ・グループホーム(シェルター利用後の住居として相談) ・不動産会社(シェルター利用後の訪問看護や生活保護受給に特化している物件の相談、当法人で受け入れができない場合の緊急受け入れ相談) ・熊本市生活保護課(生活保護申請相談) ・若者相談支援センターや警察、女性相談センターなどから、シェルター利用の相談を受けることがある。
結果・成果・影響等行政、弁護士会、不動産業者等との重層的な連携ネットワークを確立した。専門機関との役割分担により、法的事案や高度な医療的ケアを要する案件にも即応できる体制が整い、支援の質とスピードが向上した。警察や各相談センターからの受け入れ要請が増加するなど、地域の緊急居住支援における信頼の拠点を担うとともに、他県の団体とも連携することで、広域的な若者支援インフラの構築に貢献した。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・夜回り(アウトリーチ活動)の実践についての紹介(熊本日日新聞)
・困難を抱える若者へのアプローチについての紹介(熊本日日新聞)
・大麻を使用する若者の実情についてのインタビュー(テレビ/KAB)

広報制作物等あり
内容

・Annual Report 2024→2025

報告書等あり
内容

・Annual Report 2024→2025

イベント開催等あり
内容
・KIMONOプロジェクト2026
2026年2月に新成人4名へ晴れ着の着付け・撮影を贈呈したほか、1月には8名に振袖、3月には2名に卒業袴の無料レンタルを実施した。現入居者やOBOGを含む対象者にとって、親を頼れない事情があっても「節目を祝われる経験」は自己肯定感に直結する重要な支援である。日常的な生活支援のみならず、晴れの日を共に分かち合うことで、孤立を防ぎ、社会へ踏み出す若者へのエールを形にする活動となった。

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て添付・公開をした
内容
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった
助成金の対象経費に人件費が含まれる場合、当該人件費の水準等を公開をしていますかはい
内容
https://www.tonaribito.net/business-home

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

公益通報者保護法に基づき「公益通報者保護に関する規程」を整備し、通報窓口として事務局(内部)のほか、監事および外部の社会保険労務士法人(外部窓口)を設置・契約してている。
周知については、全職員(パート・アルバイト含む)を対象とした個別面談を実施し、制度の趣旨と通報者の不利益な取り扱いの禁止、および相談の秘匿性が厳守される旨を直接説明した。また、窓口の連絡先を記載した書面を事務局内に常時掲示し、必要な時にいつでも確認できる体制を整えている。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますか
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

実施者: 当団体監事
実施内容: 2024年度の本事業に係る会計帳簿、領収書等の証憑書類、および人件費の勤務記録等を照合し、助成金が適正に執行されているかを確認した。また、事業計画に沿った予算執行であるか、および会計規程に基づいた事務処理が行われているかについての監査を受け、適正であるとの認める監査報告を受けた。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかはい、受領しているが事業区分が明確に整理できている

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

初期整備への助成により女性専用シェアハウスNOAとワンルーム型住居の住居支援インフラが劇的に強化されたことは、活動継続の盤石な礎となった。今後はこの基盤を活かし、以下の3点を重点課題として取り組んでいく。
まず、「行政の巻き込み」が喫緊の課題である。若者支援を属人的な活動に留めず、地域の公的システムとして定着させるためには、行政とのさらなる対話と役割分担の明確化が不可欠である。
そのための根拠として、現場で起きている事象を数値化・言語化した「ファクト(実態)の蓄積」を徹底し、政策提言や社会資源の拡充を促す客観的なデータとして提示していく。
また、複雑化する若者の課題に対し、単一の団体で対応するには限界がある。そのため、「民間サイドの強固な連携」を推進し、各団体の強みを活かし合う重層的なネットワークを構築することが重要である。行政・民間の垣根を越えた連携モデルを熊本から発信し、若者が搾取されず人として尊重される支援がスタンダードとなるよう、現場からの発信と提言を継続していきたい。

シンボルマークの活用状況

自団体のウェブサイトで表示