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休眠預金活用事業
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事業完了報告

2024/11/20更新

事業概要

事業期間開始日 2022/11/25終了日 2024/04/01
対象地域全国
事業対象者

新型コロナによる社会的制限や物価高による家庭の経済苦を理由に孤立孤独を感じている若者(15歳~39歳)を主な対象とする。


孤立孤独を抱えているにもかかわらず、これまで行政や民間支援団体等による「相談窓口・居場所事業」などの利用経験がない/少ない人への支援ニーズの掘り起こしを重視する。

事業対象者人数

孤独を感じている11,117,057人以上※


※科学技術振興機構(JST) 「コロナ下での人々の孤独に関する調査」、総務省統計局をもとに算出。
採択後、実行団体の採択結果を考慮し1,200人とする

事業概要

本事業はコロナ/物価高による先行き不安等を背景に、孤立や孤独を抱える若者世代(15歳~39歳)に支援を行う団体へ助成を実施します。
中でも現時点で支援に繋がれていない層への対応を優先し、「時間・距離・敷居」等の障壁に配慮した取り組みや、自殺・虐待のハイリスク時間帯である「夜間(18時以降)」の対応を重視します。
例:夜間の居場所や緊急対応を行う拠点「夜のユースセンター事業」、地域の学習拠点(サポート校等)をベースにした「アフタースクール事業」等


なお本事業は、事業成果(アウトプット・アウトカム)の検証を重視し、採択団体には事業のロジックモデルをベースとした共通調査への協力をお願いします。

実行団体数8

事業の総括およびその価値

夜間帯(17時~22時を対象)における居場所を10団体15拠点で開所し、延べ利用者は想定を大きく上回る形で推移した。各団体の立地や既存活動の特性上、各居場所ではバラエティに富む取り組みが展開された。現場では利用を通じて受益者との信頼関係を構築しながら、相談や労支援等の活動につなげるなど、支援の起点としての居場所の位置づけを再確認するとともに、公的な支援が手薄な夜間に孤独感を緩和・解消する価値があることを実感する事が出来た。
また、京都大学教授の監修のもと「夜の居場所」の有効性に関する共通調査を実施。結果として、「夜の居場所」の利用によって孤独・孤立に関わる指標がすべて改善し、将来をポジティブに考える感情の向上も見られた。調査結果はメディア報告会の中で公表するとともに、参議院議員や実行団体代表者を交えたパネルディスカッションの中でも、本事業の意義や今後の展開について活発な意見交換を行った。

課題設定、事業設計に関する振返り

夜間の居場所のニーズ自体は、資金分配団体であるNPO法人育て上げネットの活動を通じ一定の確認ができていたが、本事業で一般性があるかを確かめる事業設計とした。事業設計時点で調査を盛り込んだことで、成果およびKPIを定めることができ、実行団体へのサポートの方向性も明確化された。本事業を通じ各団体の運営する居場所には多くの利用者が集まり、孤独・孤立感の解消に繋がる結果が示され、夜の居場所の有効性を確認できた。一方、居場所の特性上どうしても取得が難しい若者もおり、当初設定した80%獲得という目標に対しては少ない結果となった。そうした居場所では、利用者およびスタッフのインタビューも実施し、定性的な結果を以て調査を補完する事で対応した。
各実行団体においては、居場所支援を新たに始めるにあたって広報集客で苦戦するものもあり、今後はそういった取り組みのサポートにも注力していくことが重要であると考えられる。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

1受益者が本事業の支援を通じ、つながりを獲得し、孤立孤独感を低減させている状態
指標共通調査(UCLA孤独尺度日本版による定量調査、構造化アンケートによる定性的評価など)
目標値・目標状態受益者におけるUCLA孤独尺度の統計的有意な改善(対照群を置ける場合はそれとの比較、置けない場合は対象者の開始前後の変化による)
アウトカム:結果統計的に有意な数字となり、達成できた。
アウトカム:考察「夜間の居場所」の利用前後での若者の孤独・孤立感を測定することを主な目的とし、「夜間の居場所」の有効性を分析するために、令和 3 年度に実施された内閣府「子供・若者総合調査」における孤独・孤立感の調査結果との比較、および、過去の支援場所やサービスの利用経験についての調査を実施。 結果として、「夜間の居場所」の利用によって孤独・孤立に関わる指標がすべて改善し、将来をポジティブに考える感情の向上も見られた。
2本事業による仮説(若者の孤立孤独支援に関し、ニーズを抱えながら支援につながれていない層に、「時間」「距離」「敷居」に配慮した支援が有効である)が共通調査により統計的に検証され、確固としたエビデンスとして、今後の孤立孤独対策に取り入れられる状態
指標インパクトレポートの広がり
目標値・目標状態シンポジウムへの政治・行政・メディアなどを中心とした参加者50名
アウトカム:結果設定数字としては未達も、政策提言は実現した。
アウトカム:考察調査報告書を作成し、メディア報告会を開催。16のメディアから申込あり、若者向けの居場所の効果について説明をおこなった。当日は谷合正明参議院議員に登壇をいただき、実行団体の代表者を交えたセッションを行った。参加したメディア貴社からも活発な質問をいただき、社会的な関心がまだ高まっていない若者への支援の必要性について理解いただくことができた。

アウトプット

1孤立孤独を抱える若者が、居場所および付随する生活支援につながる
資金支援/非資金的支援資金支援
指標利用人数(延べ数)
目標値・目標状態3600人(1団体当たり360人)
アウトプット:結果延べ20,120人
アウトプット:考察繁華街に近い拠点ほど利用者が多く、積極的なアウトリーチをせずとも口コミで利用者が増加。団体によっては利用者制限が必要になるほどの利用者が出た。また、ユニーク数こそ少ない拠点でも信頼関係を築いていくことでリピーターが頻度高く来所したり、希望を受け週末を含む週5日以上開所した拠点もあり、当初想定を大きく超える結果となったと推定される。居場所内では若者と接するスタッフが与える影響は多く、社会との繋がりの再構築としてポジティブに機能する一方で、スタッフとしての対応の難しさが課題として挙がることもあった。
2過去に支援サービスの利用経験のなかった若者が、支援サービスの活用を経験する
資金支援/非資金的支援資金支援
指標新規利用者の利用人数(ユニーク数)
目標値・目標状態1200人(1団体当たり120人)
アウトプット:結果1,440人
アウトプット:考察ユニーク数に関しても同様で、繁華街付近など若者の母数の多いエリアでは多くの新規利用があったが、地方やバス便エリアでは新規アウトリーチに苦戦することも多くアクセスの良し悪しと比例する結果に。居場所自体は「支援サービス」という打ち出し方をしないことで若者との交流を持ち、そこから適切な支援に繋げていくというスタイルが主流であった。交流を通した信頼関係の構築により、過去「支援サービス」にネガティブな印象のある若者を適切な支援に繋げるというパターンもみられた。
3実行団体同士がノウハウや課題を共有することで、受益者への理解を深めることができ、事業の実効性をより高められている
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標団体同士の情報交換会の開催回数
目標値・目標状態1回以上
アウトプット:結果4回
アウトプット:考察実行団体が持ち回りで自団体の得意とする領域について事例発表を実施しつつ、情報・意見交換や交流を行う場として、3か月に1度「事例共有会」を企画し5月・8月・10月・2月の計4回開催。うち2回は育て上げネット・DxPの居場所現地視察も兼ねてオフラインで開催。開催後アンケート結果は全体満足度5段階中(5がとても満足)、平均〇となっており、情報交換の機会を作りインプットを促進。目の前の課題解決の糸口はもちろんのこと、横並びで全国各地の「夜の居場所」をみることにより、改めて自団体のあり方、現在地を客観的に認識する場として機能したと考える。
4研究者との協力のもと、事業全体としてのアウトプット・アウトカムが測定され、孤立孤独対策の新規のエビデンスとして公開される。
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標インパクトレポートの公表
目標値・目標状態公表の有無
アウトプット:結果調査報告書を作成し、事業ウェブサイトにて公表済
アウトプット:考察専門家(近藤尚己・京都大学主任教授など)の協力のもと共通調査を実施し、取得環境の問題で加味しきれていない要因はあるものの一定の有効性を確認ができたといえる結果に。調査報告書も専門家監修のもと作成を行い、その内容についてメディア報告会を実施。本調査をもとにしたNHKラジオでの特集や、Yahoo!ニュース、毎日新聞での記事配信なども行うことができている。

活動

1対象者の生活時間に配慮した居場所事業 ※特に、夜間帯(18時から21時など)の支援の提供
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要10団体(コンソーシアム含む)、全国15拠点で若者を対象とした夜間帯(主に17時~22時)にも居場所を開所。外国ルーツの方や、シングルマザーを対象とした拠点もあり、各拠点にて必要に応じてそれぞれ食事や相談支援、学習支援、同行支援、適切な機関へのリファーなども実施していた。
2孤立孤独に関する相談支援および、緊急時(虐待発生、希死念慮の訴えなど)の対応
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要居場所の利用とそこで生まれるスタッフへの信頼関係を通して、悩みの種類に限らず、居場所を利用する若者が現状抱えている課題の相談が自然に発生し、予防の観点でも機能している。居場所内でのオーバードーズ、自傷行為などが起こる居場所も複数あり、当事者の対応に加えて居合わせたスタッフのケアも必要なため、そうした団体では対応フローの整備が優先的に行われた。
3キャリア・進路・生活苦などに対する相談対応
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要相談自体は各居場所で日常的に発生。高校生との繋がりが多く、キャリア、進路などの相談を得意とする団体では、学校との連携を通し積極的に保護者へのアプローチを行う団体も複数見られた。また、居場所利用者への支援の延長として、参加することが単位認定されるワークショップの実施もあった。
4食糧支援(弁当類の提供・保存食料品の提供等を含む)の実施
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要全拠点で必要に応じた食事の支援を実施。弁当類の提供や、厨房設備のある拠点では活用した暖かい食事を提供しており、アウトリーチにも貢献。利用者と一緒に料理をする機会を設ける団体も多くあった。人と作る、食べるという居場所での食事機会を通し、「嫌いなものが食べれた」「次は〇〇が食べたい」など、利用者の食に対する価値観の変化がみられるという結果も各団体から複数寄せられた。
5学習支援(学習環境の整備あるいは指導)の実施
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要塾や通信制高校などを運営しているような、もともと学習支援機能を持っており学習サポートができるスタッフがいる居場所では、居場所の利用からの自然な流れで学習サポートを行うことができていた。他方で、利用者への学習支援に意欲的であっても、利用者の絶対数が少なく実現が難しい団体もいた。
6同地域における支援機関・関係団体との連携
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要どの団体も支援機関との繋がりを前提として居場所を運営しており、団体によっては支援機関からのリファーで繋がる利用者もいた。全ての団体が夜の居場所開所について行政との連携や提言アプローチ、地域の関係機関(学校や商店街等)との連携の強化をすべくアクションを起こし、地域ネットワーク構築やメディア掲載、既存事業拡大などに繋げることができた。
7事業全体の成果(アウトプット・アウトカム)の検証に関わる共通調査への協力
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要一部団体においては、対応に配慮すべき深刻な問題を抱えている利用者が多くアンケートが設定基準(利用者に対し80%)よりとれないという事案が発生。最低限の取得は促しつつも、どうしても一定数の取得が難しい団体は、対応可能な利用者およびスタッフへのインタビューを実施し、定性的な情報により調査を補完した。
8事業実施に対する環境整備のサポート 1)夕方・夜の時間帯の支援実施に対する助言 2)事業実施時の目標・指標の策定 3)事業実施に関する助言、グッドプラクティスの紹介
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要月1回の定期面談にて課題把握、助言、情報共有を実施。定期面談に加え、個別対応として実行団体の居場所視察や追加面談を通し課題をくみ上げ、必要に応じて施策提案や研修開催、マイルストーン見直しなど団体の課題に沿った助言を実施。広報力が弱くアウトリーチに苦戦する実行団体へのサポートをきっかけに、育て上げネット主催の広報研修も9月に1度行った。
9事業実施に対するや支援体制構築のサポート 1)支援者(ボランティア等)の育成に関する助言 2)安全対策・リスク管理・各種法令等の遵守へ関する助言 3)地域のリソース(支援団体、商店など)との連携に関する助言 4)本事業の採択団体同士の交流の推進
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要「事例共有会」と題して計4回、各団体の得意とするテーマにて持ち回りで事例を共有する会を実施(うち2回は視察も兼ねた対面開催)。「居場所内でのトラブル対応」「アウトリーチ」「若者の地域特性」「大人(保護者や学校)へのアプローチ」をテーマにし、事業期間に出てきやすい悩み順に開催。テーマ外の意見交換も行う時間を設け、夜の居場所以外であっても活動をしていく上で必要な情報交換も促した。
10休眠預金事業を円滑かつインパクトを最大化するための経理・計画進捗管理サポート 1)経理処理へのDXツール有効活用サポート 2)事業計画変更・事業報告書作成サポート 3)団体運営・経営に関する助言
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要本事業における成果最大化とその成果の表現方法について、報告書作成時を含め適宜サポートを実施。休眠預金事業における会計ルールを独自マニュアルに落とし込み公開し、毎月精算報告が月内に完結するスムーズな対応が実現できた。また、決められたルールを守るだけでなく、透明性高く適切な資金管理を行っていくことや、使ったお金の先にどのような成果があったかを評価し対外的に示していく必要性の理解が進んだ。
11事業成果を社会に伝える能力育成 1)団体の事業の経過や成果について、第三者への説明に耐えうる素材を作るための記録や成果報告作成のサポート 2)資金調達サポート(クラウドファンディングを含む、団体の規模に合わせた多様な資金調達方法アドバイス)
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要各報告書の作成タイミングでは、評価主旨の理解を促すことに加え、作成物をふまえてより成果が伝わるよう具体的なアドバイスを実施。資金調達における選択肢の提案や見せ方のアドバイスは随時行っており、実際に継続寄付募集の開始や紹介により寄付に繋がるケースもあった。プロボノマッチング会では参加2団体ともに対外的な団体アプローチに成功し、大手企業とのマッチングが実現した。
12本事業全体のインパクトを評価する調査 1)専門家と連携した評価スキームの構築 2)評価マニュアル・事前研修・評価用紙の設計 3)評価結果の分析を基にしたインパクトレポートの作成・政策提言
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要専門家(近藤尚己・京都大学主任教授など)と計4回ミーティングを開催し、調査設計を実施。調査票・調査マニュアルを展開し、全3期間でアンケートを実施。調査結果をもとに調査報告書の作成を行い、内容についてメディア報告会を開催。衆議院議員も登壇いただき、提言に繋げることができた。また、調査報告に関連したラジオ特集やネットニュース記事なども配信を行った。

資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括

1取り組み月次面談などによる事業推進の課題解決の促進・サポート
取り組み分類事業運営支援
到達度想定通りの成果
概要および考察月次での面談では、各団体で面談シートを活用し事業進捗と現状感じている課題を共有。活動報告を通し得た良事例は他団体へ展開するとともに、課題については育て上げネット・READYFOR内の事例・知見からサポートを行った。進捗が芳しくない団体へは直接訪問しての相談や、突発的なアクシデント発生時には月次以外の場を設け面談にて連携し、対処を行った。また、事業実施の中でも精算および資金計画についての相談は非常に多く、都度のコミュニケーションを通し適切な資金管理能力の底上げに繋がったと考える。
2取り組み実行団体同士の情報交換、ネットワーク形成のサポート
取り組み分類ネットワーク形成・CI促進支援
到達度想定通りの成果
概要および考察「事例共有会」計4回、うち2回は現地視察を兼ねたオフライン開催し、情報交換とネットワーク形成を促した。予算やスケジュールの都合上オンラインも混ぜた計画としたが、顔を合わせた上でのオンライン実施はチャット欄などを活用した質問や意見交換が活発になる傾向もあり、オンラインでのメリットもあると感じた。また、JANPIA-POを通し、他の資金分配団体と連携し、近隣に連携団体が少ないことが課題の一つであった団体に対し、同県内で活動する別事業の実行団体とお繋ぎすることができた。
3取り組みガバナンス・コンプライアンス整備やバックオフィス強化のサポート
取り組み分類組織基盤構築支援
到達度想定通りの成果
概要および考察休眠預金事業で求められる体制や会計管理への対応を通して、規程類の整備や透明性の高い管理体制の必要性について十分に理解いただけるようサポート。その上で、バックオフィス面に不安のあった団体を中心に伴走を通した課題抽出により実現するための体制づくりにも踏み出していただき、JANPIA主催の研修への参加(1団体)やマッチング会へも参加(2団体)し、実際に経理業務のプロボノ支援が決まるなど、本事業期間内で属人化や兼務体制からの脱却への具体的アクションを起こすことができた。
4取り組みアドボカシー活動のサポート、対外的なイベントへの登壇協力
取り組み分類調査普及啓発・アドボカシー支援
到達度想定通りの成果
概要および考察対外情報発信用の広報ツール(ウェブサイト)等のレビューを行い、記載する情報に関する助言を提供した。
5取り組み資金調達に関するサポート
取り組み分類資金調達支援
到達度想定通りの成果
概要および考察資金分配団体の知見を活かし、夜の居場所に関わる取り組み以外の活動や、事業終了後を見据えた活動資金の獲得について助言を提供した。具体的には、クラウドファンディングの準備および開始以降の取り組みについて、効果的な方策を提案。FDOが持つネットワークの中で、活動を支援してくださる方を繋げる等のサポートを行った。結果、目標金額を達成するプロジェクトを複数つくることができた。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

夜の居場所に関する取り組みを各地で進めた結果として、若者に対して安心・安全な場所を提供し、孤立・孤独を緩和・解消する価値があることを確認するという当初想定していた成果を収めることができた。加えて、想定していなかった成果として、各実行団体の中で、居場所の運営に関するノウハウの蓄積が進んだことが挙げられる。特にいくつかの団体は繁華街近くに居場所の拠点を開設していた関係で、様々なアクシデントに直面することになったが、そのような経験を通じて、危機管理体制を整備するなどの取り組みが進められた。また、夜の居場所の取組が他団体にも伝わる事で、実行団体以外の支援機関が新規に夜間の居場所の取組にチャレンジするなど、本取り組みが想定よりも早く社会に浸透するなどの効果もあった。こういった取り組みの成果や知見は、事業期間中に複数回実施した実行団体間の研修会や交流セッションの中で共有され、同様の課題をもつ団体が活用されたことも成果として挙げることができると考えられる。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

若者支援という領域が、社会的に関心を集め、具体的なアクションにつなげていくことが事業を通じての大きな課題である。夜の居場所の取組を通じて、支援機関や、それらの支援機関とつながりのある行政機関等の中では若者支援の重要性と価値を再確認することができたといえるが、その意義をより広範に伝えていく事は引き続き課題であると言える。一方で、子ども家庭庁が居場所支援を主要な政策課題として取り上げるなど、社会全体で若者支援に取り組もうという姿勢が現れつつあり、今後居場所支援を含む若者支援にも新しい展開が見えてくると期待される。それぞれの団体の居場所に目を移すと、それまではトーヨコ・グリ下といった繁華街で時間を過ごしていた若者が居場所につながり、支援者や他の利用者との様々なやり取りを通じて、彼らが居場所と思える場所として腰を落ち着けていく様子が随所に見られた。孤独感が解消され、他の利用者の変化を目の当たりにすることで、学びたい、働きたいといった新しいモチベーションが生まれる事例も少なからず報告されており、居場所と並行、あるいは次のステップとして学習支援や就労支援につなげていくような取り組みを進めていく事が期待される。

本事業を行なっている中で生じた実行団体や受益者のもっとも重要な変化だと感じた点

実行団体に関する重要な変化は、支援としての居場所支援の特殊性を実感できたという点が挙げられる。一般的な若者支援は、受益者の主訴・ニーズに応じて、支援者が様々な支援を提供していくことで、課題の解消やニーズの充足を目指すのが基本である。一方で、居場所支援の場合、支援者は基本的には受益者に対して積極的な働きかけはせず、空間をともにしたり、食事を通じて体験を共有することを重視する。支援のスタイルとして大きな違いがあるため、支援職としての経験が豊富なスタッフほど当初は戸惑うが、事業期間を通じてそのギャップを克服し、支援のレパートリーを増やすことができたことは、支援者として大事な変化であると考えられる。
受益者の変化としては、安心・安全な居場所で時間を過ごすことで、孤立感が解消され、新しいニーズや希望がうまれてきたことが重要な変化であると考えられる。繁華街で深夜まで時間を過ごしていた若者が、居場所で時間を過ごすことで、料理をすることが好きな自分を発見したり、友人と過ごすことで自立した生活を送る事を目指すようになり、アルバイトに挑戦するなど、夜の居場所をきっかけにして変化・成長がみられる。

外部との連携実績

1活動専門家として近藤尚己先生(京都大学主任教授)と連携
実施内容共通調査の調査票設計への助言、調査報告へのコメント、メディア報告会への登壇を依頼
結果・成果・影響等アカデミック領域の有識者からの助言により、調査設計、実査、分析の各フェーズにおいて、その質を高めることができた。
2活動国、行政等への提言
実施内容竹谷とし子参議院議員を訪問し、実行団体の居場所視察を実施。また、その訪問をきっかけにメディア報告会では谷合正明参議院議員に登壇いただき、調査結果報告および実行団体とのディスカッションを通し提言を行った。
結果・成果・影響等調査結果を国や自治体、関連支援機関に幅広く提供することを通じて、今後の若者支援に関する議論の土台となる情報を提供する事が出来た。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)あり
内容

・ABEMAヒルズ (6/24配信)
・Nらじ「若者の孤独によりそう夜の居場所」(3/28配信)
・Yahoo!ニュース「夜の居場所を利用する若者たちの変化 392名への調査結果」(4/1配信)
・各新聞への記事化(朝日新聞、東京新聞、毎日新聞、琉球新報)
・soar(ソアー)の記事配信予定(6月末予定)

広報制作物等なし
報告書等あり
内容

調査報告書

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

団体内に置いて、コンプライアンス規程、倫理規程、利益相反規程、内部通報規程を整備し運用している。本事業期間を通じて、本事業に関する内部通報制度の利用は報告されていない。

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)内部監査
内容

弊団体の会計は7月締めのため、報告年度の会計報告は2024年10月頃になる見込みである。

事業完了した実行団体へ事業完了時監査を行いましたか実施済み
内容

担当外メンバーにて全団体へ実施済。伴走満足度を5段階評価(1:とても不満~5:大満足)で確認し、育て上げネット4.4、READYFOR4.6。役割を補い合うコンソ体制の価値が発揮できた。コミュニケーションツールについて、slackからメールへ変更したところ、一部団体からslackが圧倒的に良いとの要望があり、効率化に繋がるのであれば検討したい。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

本事業を通じて、団体スタッフが他の支援機関とのネットワークを構築することができた。特に若年層スタッフにおいては、担当業務・配属拠点に活動範囲が限定されてしまうことがあるため、実行団体の同年代の支援職と繋がり、活動について情報交換できることは、スキル伸長の機会であると同時に、キャリアを考えるきっかけや、支援職が孤立・孤独にならないという点でも意義があったと感じる。
また、助成事業である性質上、継続的に事業リソースを担保できる取り組みではないため、事業採択によりプロパー人材を雇用することは困難であったことから、外部人材を業務委託契約で事業に関わってもらう対応をとった。結果として、そういったスキルのある外部人材との接点をつくることができ、今後同様の事業を推敲する際も、必ずしも団体内のスタッフで切り盛りせず、適材適所で組織内外の人材を活用するという考え方がより定着した。
居場所支援は息の長い取り組みであり、本事業のような緊急枠で短期間で実施することには価値があるのは当然であるが、一方でその効果は限定的にならざるを得ない。より中長期の取り組みとして、居場所支援に取り組める事業を組成する事が重要であると考えられる。

シンボルマークの活用状況

ウェブサイトへ掲示