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2024/10/21更新

事業概要

事業期間開始日 2023/01/01終了日 2024/03/31
対象地域全国
事業対象者

外国にルーツをもつ学齢期・青少年期の子ども・若者(以下、外国ルーツ青少年:とする)

事業対象者人数

直接受益者約3000人

事業概要

本事業では、コロナ禍にて大きな変容がみられる外国ルーツ青少年に対する支援の質と量両方の再整備により、日本に暮らす外国ルーツ青少年、とりわけ新規来日又は再入国の外国ルーツ青少年の日本社会へのスムーズな適応を促進するとともに、外国ルーツ青少年が学校などの教育システムに包摂され、教育を受ける権利が保障されるための編入学等の就学及び学業継続に必要な仕組みづくりを目指す。具体的には、①新規来日及び再入国の外国ルーツ青少年への初期適応支援を行う、②日本の学校への適応のための日本語及び教科学習支援を行う、③進学・編入学のための教育支援を行う、④地域での受け皿の創出・再生を行い、今後増加すると見込まれる外国ルーツ青少年への支援のための体制整備の戦略、方向性を抽出し、政策提言につなげる。

実行団体数7

事業の総括およびその価値

 本事業は、日本への入国制限の緩和により新規および再入国の外国ルーツ青少年が急増している中、コロナ禍にて活動の縮小・中止・休止などにより外国ルーツ青少年の支援基盤が弱まっている可能性が高い状況を踏まえて、外国ルーツ青少年への教育・進路支援の質・量の改善を図ることを目指すものであった。外国ルーツ青少年を対象とした日本語・教科支援は日本語能力の向上や進学・進級の達成として確実な成果を見せた。また、学びを働くへとつなげることを想像し、進路の具体化していくことをサポートする進学説明会、仕事体験・見学、キャリア探索プログラム等を通じて、外国ルーツ青少年が高等教育機関の専門分野、日本語を含む資格取得、働きたい職種などを具体化していくという手応えが得られた。また、①支援者養成のためのカリキュラムの作成・公表による指導者の養成、②各地の支援の担い手となってきた(なりうる)団体への伴走支援によるクラスの新設、プログラムの拡大による受益者の増加、③行政や地域の関係団体への働きかけによる新規教室の設置、外国ルーツ子どもの存在への認知度の向上、といった支援リソースの拡充(量・質)が図られれた。
 さらに、外国ルーツ青少年の多様化や急増といった変化により今後支援手法の改善が一層求められることから、来日したばかり義務教育年齢相当の外国ルーツの子どの学校での適応を想定した「初期適応支援」の在りについて議論を行った。議論を通じて、日本に初めて来たという新規来日だけでなく、日本国内での移動、母国と行き来する移動、日本の学校から外国人学校への移動、中学校から高校への進学といった、子供たちの状況によっては多様な「初期」がありうることを踏まえて、多様な切口での「初期段階支援」の必要性が共有でき、今後求められる支援の在り方を事業成果の発信として公開シンポジウムを通じて発信でき、シンポジウムで冒頭あいさつをした文科省とも共通の認識が示されたことは今後に向けた大きな一歩になったと考える。

課題設定、事業設計に関する振返り

外国ルーツ青少年の新規来日を含む増加は、彼らの年齢、言語、文化、来日の理由など様々な背景が多様化していくことを意味し、それは外国ルーツ青少年の支援ニーズも多様化していくことを意味する。そのため、高まっていく外国ルーツ青少年の支援ニーズに答えるためには、自治体、教育委員会、地域の支援団体の連携、地域の支援リソースの拡充が欠かせないことは、教育委員会や自治体との協議の場の増加、公的セクターからの紹介・相談の増加、実行団体の受入れ人数の拡大とともにキャパシティを超える支援要請に対する地域団体の協力といった取り組みからその重要性と妥当性が確認できた。また、コロナ禍にて支援活動が縮小・中止・休止となった団体の活動の再開・拡大は、ボランティアグループ、任意団体といった恒常的な活動の体制が整備されていないが状況が多かったがゆえに、1年間の緊急支援の枠組みで「当該地域において新規開設・再開」を目指す団体を採択することよりは、外国ルーツ青少年支援の経験を持つ団体が新規地域の開拓、当該地域の団体への伴走支援を通じて支援の担い手の量・質の拡充が図れたことが適切との見立ては、採択事業のアウトプット・アウトカムにより確認できた。
一方で、国境の超える移動、または日本国内での地域間移動、日本の学校と外国人学校間の移動など、「移動」を何度も経験する外国ルーツ青少年が増加していることから、言語、文化が異なる新しい環境で生活し勉強することに対するストレスだけでなく、自分のキャリア・進路を描くための情報や機会が与えられていない状況が生じ、学習意欲の低下、人間関係の困難、進路・就労先への無計画性へとつながっている現状がある。それと合わせて、外国ルーツ青少年支援はこれまで小中学校段階までの「日本語教育」や「学習教育」を中心に行われたこともあり、当事者や保護者がキャリア・就労の重要性への認識と、支援に必要な人材やノウハウの蓄積が進んでいない状況であり、短期的な支援(短期的な課題設定、事業設計)ではそもそも改善が図れないことが再認識できた。

今回の事業実施で達成される状態

短期アウトカム

11. 地域の新規来日者が適切な情報提供等を受け、スムーズに日本での生活・教育をスタートすることができる。
指標・地域における新規に移住してきた外国ルーツ青少年の把握状況 ・地域の窓口・学習支援を担う支援者(ボランティアを含む)の数 ・地域の中間支援機能を担う団体・者の数
目標値・目標状態・地域の公的機関において新規の外国ルーツ青少年の就学状況等が把握され、就学に必要な情報が適切に提供されている。 ・地域の支援者の数が増加し、新規参加者も継続的にみられる。 ・行政、学校、地域団体をつなぐ力をもつ団体が安定的にコーディネートを行っている。
アウトカム:結果・地域の公的機関における外国ルーツ青少年の就学状況の把握は図れているものの、必要な情報の十分な提供においては引き続き改善が必要である。 ・支援の担い手として質が向上した支援者が見られる一方で、支援者の層によっては短期的な担い手にとどまる状況が見られた。 ・地域の関係者とのつながりが形成されている。
アウトカム:考察①本事業の実行団体が対象とする当該地域においては、自治体・教育委員会による定期的な在籍調査や、新規移住者の把握などを通じて地域の外国ルーツ青少年の就学状況の把握が図られており、その把握に基づき支援が必要な外国ルーツ青少年を実行団体などに紹介したり、彼らが必要とする情報の整理・提供を一緒に行ったりするなど、連携の進展も見られた。一方で、在留資格など複合的な背景をもつ外国ルーツ青少年に対しては、教育委員会など公的セクターから情報提供も含む対応が難しいケースが依然として見られるとともに、自治体と教育委員会、学校間の現状把握・報告において外国ルーツ青少年の実態とずれが見られるなど、引き続き改善が求められる状況がうかがえた。 ②支援者の確保・育成に取り組んだ2団体において、地域に根差した活動をしてきた団体においては、支援者養成講座の参加者(30人)のうち、約60%がカリキュラムを作成することができるようになったと回答、全員が子どもに日本語を教えるために必要な知識が得られたと回答し、支援の質の向上が見られた。また、講座修了者後も地域の6か所の日本語教室で日本語指導を担っているとともに、講座終了後、来年に向けた勉強会にも参加した支援者(3人)が地域での新たな団体の立ち上げを検討したいとするなど、地域に暮らす支援者を養成するプログラムの狙い通り、地域の支援体制の整備につながっている。一方で、新規地域での支援体制作りとして地域の学生団体との連携により新規参加者も含め常時10~15名の支援者の確保はできたものの、学業・就活などにより支援者の入れ替わりが常に生じうるため継続参加による支援の質の向上へとつなげることは難しい状況が見られた。短期間では地域に根差した支援者の発掘、育成が難しい状況がうかがえた。 ③当該地域で外国ルーツ青少年支援をしてきた団体(4団体)は、自治体及び教育委員会からの相談、紹介により新規来日者を含む外国ルーツ青少年の入学・編入・進学などの就学支援への介入が拡充されるなど、関係機関との情報共有、課題解決に向けた体制が構築されつつある。新規事業として取り組んだ(2団体)は、自治体、教育委員会、地域の子ども支援団体との複数回にわかる意見交換・協議を通じて、地域の団体として行政が連携をとるべき団体リストに含まれ、次年度事業の連携先として位置付けられるといった成果が見られる一方で、対象となる家族との信頼関係の構築、情報提供、通訳の紹介などを通じて地域の外国ルーツ青少年の課題の改善に取り組む団体としての認知度は高まったものの、地域の「外」の団体であるがゆえに1年間の活動では自治体、教育委員会、地域団体の連携体制作りへの介入までは至らなかった。
2 ②外国ルーツ青少年が日本の学校教育や地域での生活にかかわる情報を得ながら、勉学のための言語能力の向上により安定的に学習を続けられるようになる。
指標・日本語能力の向上 ・外国ルーツ青少年とその家族の地域など社会的つながりの改善(地域内での友人・知人の数、イベント等への参加状況等) ・希望する進学・進路の具体化
目標値・目標状態・学校教育、生活において不便のない日本語レベルを習得している。 ・地域でのつながりが増え、社会参画への関心が高まっている。 ・学習意欲の向上、自己管理能力の獲得等により、具体的な進学先や進路ができている。
アウトカム:結果・支援期間によって違いは見られるものの、総じて学校教育、生活において必要な日本語力の向上がみられている。 ・総じて地域でのつながりが増え、社会参画への関心が高まっている。 ・学習意欲の向上、自己管理能力の獲得等により、総じて進学先や進路の具体化が図れている。
アウトカム:考察①全団体において、当該受益者の日本語能力に対する自己評価または支援者評価において総じて肯定的な評価が見られた。新規来日で日本語がゼロという受益者もいるため学校教育、生活において不便のない日本語レベルの習得までには至っていないケースもあるが、対象者の95%以上が学業を継続すること(進級、進学など)ができたことから学校教育、生活に必要な日本語能力の向上が見られたと判断できる。 ②体験、イベントに参加した外国ルーツ青少年から、ⅰ)日本社会や地域に対する理解が深まった、ⅱ)心理的ハードルが下がり外出の機会が増えた、ⅲ)日本語を使うアルバイトをするようになった、といった肯定的な変化が見られた。また、調査研究プロジェクトに調査員として参加した外国ルーツ青少年を対象とした参加前・後のルーブリック評価の結果、全員から教育に関する地域の課題の把握、課題解決への意欲に対して数値が上昇するとともに、「他人任せな姿勢である自分自身について気づき、自分にできることは何かを考えるようになった」、「自分のルーツに誇りを持てず隠してしまわなければならない状況を変えるために何かをしたい」と姿勢の変化もみられた。 ③全団体において、支援を受けた外国ルーツ青少年が総じて進路・キャリアにかかわる情報の獲得、選択肢への認知、進学に必要な日本語・学力の向上を通じて、高校受験、編入、進路(職業や高等教育機関への進学)の具体化が見られた。ある中学生は、学校から定時制もしくは工業高校への受験の指導を受けたが、学習支援教室で外国ルーツの高校生から入試の内容や高校生活について話を聞き、大学進学のために全日制を受験しようと決め、受験勉強に努めた結果、第一志望の全日制に合格することができるなど、自らが将来を具体化し、第一志望校への合格という結果を手に入れるケースもあった。また、とりあえず日本語学習に傾斜しがちな進路指導に対して、自分の強みを実際の仕事と結び付けて考える機会(研修や、職場・仕事体験など)を与えたことで、高校卒業後はバイトというイメージしかなかった生徒が具体的な職業を目標設定し、その目標達成に必要な日本語レベルや資格を取得するために励むといったケースもみられた。

アウトプット

11. 地域の新規来日者が適切な情報提供等を受け、スムーズに日本での生活・教育をスタートすることができる。
資金支援/非資金的支援資金支援
指標当該地域での新規来日者向けの相談件数、情報提供・教育件数
目標値・目標状態①実行団体が受け入れた支援対象者の中、新規来日者が3割以上である。 ②受益者の80%以上が(支援のない時に比べ)スムーズに日本での生活・教育がスタートできていると回答する。
アウトプット:結果①実行団体が受け入れた支援対象者の中、新規来日者:28.5% ②当該受益者の90%以上がスムーズに日本での生活・教育がスタートできていると回答。
アウトプット:考察①当該実行団体(4団体)による学習・日本語支援を受けた受益者数は161名(実数)で、そのうち46人が新規来日者(28.5%)であった。目標値を概ね達成できたが、6月~10月にかけて教室への入室を希望する新規来日者からの問い合わせが急増したが、団体におけるキャパシティ(人員、スペースなど)上の制限により、他の支援団体を紹介したり、待機してもらったりするなど、急増する新規来日者に対して地域の支援体制が追いついていない課題が見られた。なお、当該実行団体で外国ルーツ青少年を対象とした学習・日本語支援の実施回数は延べ2,148回に上る。 ②評価測定対象者である新規来日者のうち、アンケート又はヒアリングにて回答が得られた28人(当該実行団体:3団体)の27人(96%)が、支援のない時に比べスムーズに日本での生活・教育がスタートできていると回答した。また、1団体は、5段階評価方法で支援による変化を測定し、対象者3名の平均値は「4」で概ね支援による肯定的な効果が見られた。ヒアリングからは、ⅰ)日本語学習などの支援を受ける前は、一人でスーパーやコンビニもいけなかったが一人でどこかに行くことも問題なくなった、ⅱ)友達ができた、ⅲ)日本での生活も楽しいと感じるようになった、といった感想が見られ、来日初期の支援が日本語に限定されず生活全般における効果をもたらすことが確認できた。
22. 日本の学校に通う外国ルーツ青少年が日本語能力等が向上し、学校での勉学を続けている。
資金支援/非資金的支援資金支援
指標学習支援実施数、参加者数、学習者の満足度、受益者の日本語能力、出席等の継続状況
目標値・目標状態①各実行団体が設定した開催数・参加者数の目標値の80%以上が達成される。 ②受益者の80%以上が満足していると回答する。 ③当該受益者の言語能力(日本語、母語)のレベルが1ステップ以上向上している。
アウトプット:結果①当該実行団体6団体のうち、開催数は4団体が、参加者数は3団体が目標値の80%以上を達成した。 ②1団体を除く該当団体において、受講者の80%以上が満足していると回答した。 ③当該受益者の言語の能力に総じて肯定的な変化が見られている。 ④当該教室で受益者の出席率が80%以上は約33%。
アウトプット:考察①当該実行団体(6団体)による学習支援(日本語・教科支援)の実施回数は合計「1,252回」で、参加者数は「延べ11,062人」。実施回数に対しては、4団体において目標値の80%以上を達成、2団体において達成率約50%の教室がそれぞれ1つ見られた。達成率が目標値を下回った団体の教室は、地域で新規活動であったため、対象者へのアウトリーチや支援者とその家族との関係構築、地域での受け皿となる拠点形成に想定より時間がかかったことが背景としてあった。一方で、6団体の対象教室(12教室)のうち50%にて100%以上の達成率が見られた。その背景には、日本語、教科、進学など受益者の個別ニーズに対して個別支援またはクラス拡充の形で対応したことがある。参加者数に対しては、3団体において目標値の80%以上を達成、3団体において達成できなかった。開催数に比べて参加者数の目標値達成率が相対的に低い背景としては、ⅰ)試験対策教室において受験後の教室への参加率が下がったこと、ⅱ)オンラインでの支援を想定していた対象者において受講環境や家庭内事情などによりオンライン及び対面実施が安定しなかったこと、ⅲ)来日の背景を踏まえてコミュニティベースの口コミをアウトリーチ方法として設定したものの、対象者のコミュニティが地域分散型だったため口コミによる参加者増が図れなかったこと、ⅳ)対象者となりうる外国ルーツ青少年について行政を含め情報把握が十分に進んでいなかったこと、があげられる。 ②当該実行団体(6団体)が取り組んだ12教室において、アンケートに回答した受講者(全受講者実数:293人、アンケート回答数:214人)の満足度が80%以上の教室が10か所、そのうち受講者の満足度が100%の教室が4つとなった。受講者の満足度が80%に達しなかった教室(それぞれ満足度は77%、50%)は、ⅰ)生徒の母語による学習に対する空白期間が長く、ⅱ)母語能力の低さ(読み書きができない状況)に対してネガティブな感情を持っているため、母語学習に対するモチベーションが低かったことが背景としてみられた。  ③当該受益者の言語(日本語、母語)能力に対する自己評価または支援者評価において総じて肯定的な評価が見られた(当該4団体の受益者108人:肯定的変化100%)。例えば、ⅰ)新規来日で高校入試を目指していた、ひらがな・カタカナが読めず簡単なあいさつさえ知らなかった生徒が、高校入試に向けて日本語での面接で受け答えもできるようになった、ⅱ)簡単な漢字や文章が書けるようになった、といった成長が見られた。一方、補修クラスでは、日本語、ポルトガル語、数学と対象となった科目及び小中高という学年、日本での在留期間による違いが見れらた。日本語について小学生は全員肯定的変化が見られた。一方で、中高生においては日本語、ポルトガル語、数学いずれにおいても上達はみられるものの、年齢相当のレベルの獲得に達したのは半数にとどまった。日本の学校で学習空白期間が長いダブルリミテッドの高学年の生徒にとって短期間の支援で言語・学力を年齢相当レベルに向上させることはきわめて困難であり、より中期的な支援、早期介入が求められる。 ④当該教室(12教室)のうち、受益者の出席率が80%以上の教室は4か所(50%以上を含むと8か所)となった。一部の教室では受益者の出席率が80%以上を占める生徒の割合が20%前後と低い結果も見られた。その背景には、ⅰ)対象者となる高校生が家庭の事情などもありアルバイトを優先せざるを得なかったこと、ⅱ)苦手な科目の時間は欠席をするなど、学習のモチベーションの維持が難しいこと、ⅲ)不登校気味や所属校がないなど受益者への継続的リーチが難しいこと、などがみられた。一方、出席率の低さが、高校生などの高学年において多く見られたことから、彼らのニーズを踏えて進学・就職に必要な日本語講座や、職場見学・体験、個別進路指導などより実践的な支援を取り入れた。その結果、参加者・実施回数が当初の計画を上回っただけでなく、進学・就職つながるケースもみられた。
33. 教育を継続して受ける準備ができている。
資金支援/非資金的支援資金支援
指標プログラム参加者数、アウトリーチ件数、学校への編入学や復学、進学、進級の状況、出席等の継続状況
目標値・目標状態①各事項団体が設定した参加者数、アウトリーチ件の目標値の80%以上が達成されている。 ②当該受益者の70%以上が入学・編入等の教育システムに統合されている ③当該受益者の80%以上が学業を継続している ④当該受益者の80%以上が学業を継続している。
アウトプット:結果①当該プログラム約9割が目標値の80%以上が達成した。 ②当該受益者の96%が入学・編入等の教育システムに統合された ③当該プログラムへの出席率が80%以上の参加者は約8割
アウトプット:考察①当該実行団体(6団体)による教育の継続に向けたプログラムの実施回数は合計「2,084回」(フリースクール等編入学支援:1,547回、教育・キャリア相談:280件、キャリア教育プログラム(ガイダンス、説明会、勉強会、研修):60回、遊び場:197回)で、参加者数は「延べ7,580人」。当該12プログラムのうち、11プログラムが目標値を達成しており、達成率が100%以上となったプログラムは10プログラムであった。100%以上の達成率が見られたプログラムは、母国で義務教育を修了して来日した外国ルーツ青少年を対象とした高校進学・進路サポートプログラムや、外国ルーツ青少年とその保護者向けの教育・キャリア相談、キャリアプログラムであった。その背景として、入国制限が緩和されたことを受け、親による呼び寄せ、または親の就労などで親と一緒に来日するケースが増える中、学習・日本語教室への入室希望者の増加や、来日を控えた海外からの就労・進学・就職などの相談の増加、奨学金や就学費用、在留資格、社会保険など相談領域の拡大があった。また、日本の成人年齢の引き下げにより18歳前に扶養家族として呼び寄せるケースが増え、就学にとどまらず就労・キャリアなどへのニーズも高まっている状況も垣間見られた。 ②進路支援をした当該受益者81名中、78名(96%)が高校及び大学進学、希望する就労分野に進むことができた。進学が叶わなかったケースは、ⅰ)家庭の経済的理由により進学を延期せざるを得なかったこと、ⅱ)当該生徒の日本語力への懸念を高校が強く示したことにより入学ができなかったこと(ただし、当該生徒は、来年度の進学に向けて日本語学習に邁進中)が背景としてあり、学業の継続のための経済的、教育システム内での支援の改善が求められる現状が見られた。 ③当該プログラム(高校進学支援)に80%以上出席している生徒は、対象者の8割以上となった(対象生徒数:54人、出席率80%以上の生徒数:44人)
44.地域で学習支援を担う体制作りが図られている。
資金支援/非資金的支援資金支援
指標当該地域において新規開設・再開した教室・グループの数、地域内外における連携の状況、支援者向け勉強会の実施回数、参加者数
目標値・目標状態①当該地域で2つ以上の教室・グループが活動をスタート(再開・新規両方の合計)している。 ②当該地域において関係団体による意見交換・会議など支援体制作りの取り組みがみられている。 ③当該地域における支援者養成のための取り組みが行われる。
アウトプット:結果①事業期間中に18の教室・プログラムが活動をスタート(再開・新規両方の合計)した。 ②計画通り、当該団体において地域の支援体制作りに向けた取り組みが行われた。 ③当該団体(3団体)において2団体は概ね計画通り、1団体は計画より遅れが見られた。
アウトプット:考察①事業期間中に、合計18か所の新規の教室、プログラム、講座などを開設することができた。ⅰ)中間支援として事業に参画した当該地域の複数の団体に対して合計14か所の教室・プログラムの開設をサポートする、ⅱ)地域の行政や大学の学生団体、地域のボランティアと協力し、3か所の対面教室、1か所のアウトリーチの実施する、など外国ルーツ青少年の教育の機会の拡充に取り組んだ結果、目標値を大きく上回った。 ②当該団体(4団体)において、行政や企業、地域のキーパーソン、地域内外の外国ルーツ青少年または教育支援を行う団体などを対象に支援体制作りに向けた働きかけ、取り組みを概ね計画通り実施された。具体的には、ⅰ)地域における学びの機会にかかわる調査を、当初の計画通り外国ルーツの若者が中心となった研究グループにて実施(調査票の配布・回収は489か所に協力を仰ぎ実施)するだけでなく、行政(県)との協力による量的調査も実施できた。なお、関連する検討会議・勉強会を20回(目標値:10回)、調査報告会を2回実施を、報告書及び提言書を出版した。ⅱ)外国ルーツの住民の日本語を含む学びの場として重要な役割を担っている夜間中学校の開校の準備にあたり、関係者との協議、情報提供を行った結果、県内の関係者ネットワークに参画することになった。ⅲ)当該地域に教室開設に自治体や地域の支援者と協議を進めるとともに、1つの教室では地域の大学の学生団体と連携を進めた。ⅳ)地域内外の団体への視察及び意見交換を進めるものの、課題を理解し、協力可能な団体が当初の想定より少ないことが明らかになったことを受けて、情報発信にかかわる役割の再検討とそのための行政との情報交換を図る形へと方針を切り替え、行政との関係作りができた。なお、今後の兆しとして研修の企画といった次年度事業での連携の機会が生まれた、などがある。 ③当該団体(3団体)のうち、2団体では支援者間のノウハウ・経験の共有や指導方法の体系化を図るための講座・研修が計画通り行われた。具体的には、ⅰ)教科学習カリキュラムの更新を含むテキストの改訂を行い、「事前学習用ビデオの視聴→カリキュラム・指導方法に関するワークショップによる実践」を軸とした講座を実施。14回の講座に延べ259人(実数は目標値を上回る30人)が参加した。参加者からは、「指導をより長い目でとらえるようになった」、「指導に余裕をもてるようになった」、「担当する子供のためにできることが何か能動的に考えるようになった」との感想が見られた。ⅱ)中間支援として、オンライン研修5回(延べ146名参加)、集合合宿1回(8名)を実施した。参加団体からは、「協働を通し地元企業からの寄付につなげられるめどが立った」、「地域での波及性を意識したイベント等を企画し、ステークホルダと連携ができるようになった」、「やさしい日本語や多文化対応が参加前より組織内部に浸透した」、とのフィードバックが見られた。一方、遅れが見られた団体では、当初支援者として想定していた学生団体の参加者が学業などで安定的な対応が難しい部分が見られ、連携の在り方の模索に時間を要し、勉強会の実施回数及び参加者(勉強会実施数:2回(目標値:5回)、参加者数:12人(目標値:15人)は目標値より下回る結果となった。
5①新規来日の外国ルーツ青少年に必要な支援が整理できる。
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標実行団体共通の初期適応支援内容のマニュアル化の状況
目標値・目標状態実行団体において初期適応支援に必要な共通の情報が整理できている。
アウトプット:結果実行団体において、外国ルーツ青少年への「初期適応支援」という従来の捉え方の課題の整理のもと、「初期段階支援」として捉えられる視点の共有ができた。
アウトプット:考察全体会議を3回開催し、新規来日者を含む日本に暮らす外国ルーツ青少年の数(量)、背景(言語、年齢、宗教、学習歴等の質)の変化している現状にて求められる「初期段階支援」とは何かについて問題提起、情報共有、議論を重ねた。とりわけ、「学校に早く適応する」ことに重点を置く従来の新規来日者に限定した「初期適応支援」の捉え方の課題を整理することで、新たな視点を共有することを目指した。実行団体からは、3回の会議に対してすべて肯定的な評価(1回目:とてもよかった46%、よかった54%、2回目:とてもよかった85%、よかった15%、3回目:とてもよかった75%、よかった25%)が得られた。また、初期「適応」の位置づけ、課題について、「明確となった」(21%)、「ある程度明確になった」(64%)との結果が得られるとともに、「初期支援を考えるよい機会となった」、「色んな視点から初期適応支援への考察とアプローチを知ることで、初期適応支援の重要さを改めて認識した」、「初期適応支援という言葉のとらえ方次第では、来日後すぐという限定的なとらえ方になってしまうということに気づいた」、「初期適応指導のレベル設定に多様な側面があることと感じた」など、全体会議が実行団体にとって従来の支援の在り方を捉えなおす機会として活用できた。 具体的には、議論を通じて、従来の学校中心の「初期適応」では、学校という所属先を持たない(社会的所属を持たない)外国ルーツ青少年の排除、日本に初めて来た来日直後の一定期間として「初期」の定期により弱まる学習歴、日本国内での移動、文化への配慮などへの配慮の不十分さ、地域による情報・支援へのアクセスの格差などの課題が整理できた。それを踏まえて、①日本語または母語どちらでも、言語能力の土台作りが重要であること、②子どもたちが自分らしくいられる居場所や安心して相談できる関係づくりが重要であること、との認識のもと、「新規来日の子供が日本の学校に適応するための最初の一時的な支援」という狭い意味での初期「適応」支援ではなく、外国ルーツ青少年の年齢、言語、文化、来日時期・理由など多様な背景に配慮した広い意味での初期「段階」支援として捉えなおすことが必要との認識の共有ができた。 こうした議論の成果は、2024年2月21日に実施した公開シンポジウムにて発信し、「外国ルーツ青少年が日本で安心して学び、生活するための初期段階支援について」の理解についても、参加者の94%(「とても深まった」34%、「深まった」60%)が肯定的な評価をした。自由記述からは、「活動をしていて、日々感じていることを言語化してもらった気がする」、「初期段階支援という言葉は初めてだったが、必ずしも教育ばかりでないことを知ることができたから」、「様々な社会的要因(学校、家庭、子ども間の関係、母国との違いなど)をサポートしていくことが重要であると学んだ」、「一方的な学習機会の提供だけでなく、地域の多彩な方々の協力が必要」など、シンポジウムの狙いやこれまでの議論に共感するコメントが多数寄せられた。
6②地域単位(市区町村)を超えた支援の連携が見られる。
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標地域内外の団体(実行団体及びその関係団体)との連携状況
目標値・目標状態実行団体及び関係団体による意見交換や支援者へのフォローアップがみられている。
アウトプット:結果計画通り、実行団体及び関係団体とのつながり、連携への支援を行った。
アウトプット:考察実行団体同士、または関係者との連携を促すため、資金分配団体として、ⅰ)外国ルーツ青少年への支援、多文化対応を取り進めようとする実行団体と、本事業で教育分野における多文化対応の拡充に向けた中間支援に取り組む実行団体を事業開始早々につなぐとともに、現地への関係団体へのヒアリングを含むフォローアップを行った。ⅱ)当該実行団体の勉強会に現地参加するとともに、知事やJICA、国際交流協会など関係者と意見交換を行う、当該実行団体が実施する調査への協力をお願いした。また、そのフォロアップとして、調査結果に基づく提言書の発表を控えたタイミングで開催した地域の関係者と共催で知事、企業団体にも登壇いただくシンポジウムに、当該実行団体にも登壇いただき、調査の結果を広く共有する機会を設けた。当該実行団体からは、そのシンポジウムへの登壇を機に、提言書を知事に手交することができ、また経済団体とも課題を共有し、今後の協力の足がかりを得ることができたと評価した。
7③当該地域において支援を担う団体・グループの活動が改善されている
資金支援/非資金的支援非資金的支援
指標事務局の運営状況や活動の実施状況
目標値・目標状態当該団体グループが助成終了後も活動を継続できる状態になっている。
アウトプット:結果計画通り、学習支援や組織基盤強化に向けた伴走支援を行い、活動計画に向けた支援として肯定的な評価が得られた。
アウトプット:考察学習支援における支援者不足をサポートするため、住友商事との連携に基づき、3団体への住友商事の職員を学習支援者として派遣した。2023年度に住友商事の職員が学習支援した外国ルーツ青少年数は、延べ「882人」と3団体の約22%(2023年度に支援した外国ルーツ青少年の数:延べ3,951人)となり、3団体とも支援者という人手の確保だけでなく、支援方法の改善、支援者のマネジメントやコーディネートの改善にもつながる機会になっていると、肯定的な評価を行った。また、支援を受けた外国ルーツ青少年へのインタビュー(資金分配団体が実施)では、学力として数学、社会などの知識が身についてきただけでなく、学ぶことへの姿勢、考えが変わってきている様子が共通にみられた。

活動

11. 新規来日の外国ルーツ青少年とその保護者への情報提供、行政手続き、初期日本語等の初期適応支援活動
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要ⅰ)就学、進学などの教育にかかわる情報提供、相談や、ⅱ)就労なども含むキャリアにかかわる情報提供、相談を行った。ただし、各活動は、新規に日本に来た外国ルーツ青少年に限ったものとして提供されるのではなく、再入国、日本国内での移動、日本生まれ・育ちでありながらも地域・学校へのつながりが十分ではない外国ルーツ青少年も含む広義の初期団体支援として実施された。
22. 外国ルーツ青少年の学校での適応を促進する日本語学習や教科学習の支援活動
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果ほぼ計画通り
概要ⅰ)編入学などの就学、学業継続、進路指導のための日本語・教科学習支援、ⅱ)進学、就労をみ据えた日本語能力試験(JLPT)対策講座、ⅲ)ダブルリミテッドの改善のための日本語・母語補修クラスなどを実施した。一部、受益者の支援を受けるうえでの環境の不安定さ、支援団体・者との連携の在り方の模索における難しさなどにより、一部目標値を達成できなかった活動が見られた。
33. 教育の継続を保障するための教育支援(母語による教育支援、学齢超過者の高校進学、不就学・不登校の生徒に対するアウトリーチなど)活動
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果ほぼ計画通り
概要ⅰ)義務教育終了後に来日した外国ルーツ青少年を対象とした高校進学支援や、ⅱ)既卒者や不登校状態の外国ルーツ青少年への相談、キャリア支援、ⅲ)高校生を対象とした進学支援、ⅳ)中高生を対象としたキャリアプログラムなどを実施した。高学年への母語支援における長期的介入の必要性が確認されたことから、一部目標値を下回る活動があったものの、概ね計画通りまたは、目標値以上の実績がえられた。
44. 地域の日本語教室、学習支援教室等の地域での支援を担う受け皿の創出・再生に向けた活動
資金支援/非資金的支援資金支援
活動結果計画通り
概要ⅰ)オンラインによる協働学習支援の実施、ⅱ)学習支援のノウハウ移転のための研修会の実施、ⅲ)指導者養成プログラムの開発及び実施、ⅳ)新規来日者を含む日本語指導が必要な生徒のための教材の改訂、ⅴ)地域に引き継ぐアウトリーチ型対面教室の開設、などの活動を行った。新規地域での調整に時間を要したアウトリチ一の遅れで目標値を下回る活動があったものの、概ね計画通りまたは、目標値以上の実績がえられた。
51.実行団体が活動する地域での初期適応支援に必要な共通状況、ツールの共有を図る。
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要実行団体及び関係団体との意見交換も図った全体会議を3回(2023年6月1日、8月22日、12月20日)実施し、各団体が活動を初期段階における支援の側面から改めて役割、位置づけを検討し、「初期適応支援」にかかわる課題を共有し、議論した。
62.ICT等のオンラインを活用した地域を超えた支援の共助を促す。
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要外国ルーツ青少年分野に新規参入したともいえる実行団体と、オンラインを活用した中間支援を試みている実行団体を事業開始早々につなぎ、オンライン・オフラインにより共助を図る機会を提供した。また、住友商事(株)の社員参加型の社会貢献活動プログラム「100SEED」との連携を通して、当該実行団体によるオンライン学習支援への人的サポートを行った。
73.新たに作られたまたは再開されたグループ・団体の運営体制整備を促すような介入を行う形で伴走支援をする
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要外国ルーツ青少年分野に新規参入したともいえる実行団体に対して、活動の紹介、情報発信、他団体とのつながりの機会を設け、採択事業の位置づけや今後の方向への検討を伴走支援として行った。
84.各団体のもつ課題の解決及び目標達成に向けたアプローチや、仕組みづくりに向けた気づきなどを今後の支援基盤作りに生かすための好事例として実行団体と一緒に整理し、JCIEの強みである啓発・アドボカシー活動を通じて文科省等の政府機関を含め発信し、今後必要な体制作りに向けた情報発信や地元でのネットワーク作りをも側面的に支援する。
資金支援/非資金的支援非資金的支援
活動結果計画通り
概要各実行団体によるノウハウや課題、気づきなどの整理とともに、全体会議などを通じて共有を促した。また、本事業を通じて取り組んだ外国ルーツ青少年への「初期支援」の在り方をめぐる議論、実践を広く共有するため、2月21日に公開シンポジウム「外国ルーツ青少年への初期段階支援とは―安心して学ぶ、暮らす機会を支えるためー」(ハイブリット)を開催した。当日は、NGO/NPO、自治体、学校、大学・研究機関、メディア、企業、一般市民など、延べ約250名が参加した。

資金分配団体としての非資金的支援の取り組み総括

1取り組み事業実施に関する伴走支援
取り組み分類事業運営支援
到達度想定通りの成果
概要および考察7つの実行団体に対して、定例の面談だけでなく、団体主催イベントへの参加や活動への参与観察、地域のステークホルダーとの面談、実行団体への仲介などを通じて現場の動きを的確にとらえた伴走支援に務めた。また、事業期間を通して外国ルーツ青少年に対する「初期適応」支援の在り方に関する議論を継続的に行う機会を設け、実行団体として現在の対象設定を含む支援の課題への気づきを踏まえた活動展開をサポートすることで実行団体において総じて計画通り、または計画を上回る実績、成果の発現が得られた。
2取り組み実行団体間、実行団体と関係機関とのネットワーク作り支援
取り組み分類ネットワーク形成・CI促進支援
到達度想定通りの成果
概要および考察実行団体同士、または関係団体とのネットワークを図る目的にて全体会議を3回実施。2022年度通常枠との合同会議企画で「枠を超えることを想像する」と題した対面会議では、2019年度通常枠の成果でもある外国人支援分野と教育分野の協働を紹介することで、CI促進の場を設け、参加者全員(14人)から満足したの回答が得られた。また、外国ルーツ青少年分野に新規参入する実行団体と、公益活動の多文化化のための中間支援を行う実行団体の協働を伴走することで、前者に対しては課題への的確な理解、支援手法の開発・精査が促され、後者においては新たな領域(分野)への中間支援(伴走支援)の開発・改善の機会につなげた。
3取り組み情報・成果発信、アドボカシー活動
取り組み分類調査普及啓発・アドボカシー支援
到達度想定以上の成果があった
概要および考察Facebookを通じて外国ルーツ青少年とその家族にかかわる情報や実行団体の活動を含む本事業の様子を発信するとともに、2024年2月21日には事業の成果報告を兼ねた公開シンポジウムを開催した。想定を上回る約250名が参加したシンポジウムでは、冒頭で文部科学省総合教育政策局国際教育課長が代表挨拶を行い、外国ルーツ青少年が将来にわたり日本社会を形成する存在であると言及、外国ルーツ青少年に対する教育の充実とその実現のための地域における連携・協力体制の必要性について述べられ、本事業の取り組みの同様の方向性が政府の考えとして示されたことは大きい。

想定外のアウトカム、活動、波及効果など

 本事業では、外国ルーツ青少年の量・質(背景)両方の変化が今後より拡大すると見込まれる中、外国ルーツ青少年の支援団体の活動の拡充に加えて、①地域における支援リソースの創出にかかわる活動(主に資金的支援)、②「初期適応」という現在の支援の課題を明確にする活動(主に非資金的支援)を軸に取り組んできた。ただし、公募の段階では、コロナ禍にて外国ルーツ青少年の支援活動が休止・中止となった団体の活動再開、新たに外国ルーツ青少年の支援分野に参画する団体への支援も想定していたが、公募の結果、前者の採択はなかったため、①地域にて活動する団体による支援者の育成、②新規参画の団体による地域の支援体制作り、③中間支援としての他地域で活動する団体への伴走支援による支援体制作りが支援リソースの創出の活動の中心となった。
 地域における支援リソースの創出においては、①カリキュラムの作成や受益者のニーズに沿ったカスタマイズなど指導者としての自立を目指した支援者養成プログラムを体系化し、WEB講座の形式で情報公開した。本カリキュラムに基づく指導により例年に比べて一冊の教科書に充てる時間の短縮、例年同様の日本語能力の向上が達成できているため、母国で義務教育を終了して来日する日本語量ゼロの外国ルーツの学齢超過者が増えている中、本カリキュラムの活用により外国ルーツ青少年の高校進学の選択肢が広がることが期待される。②外国ルーツ青少年分野へ新規参画した実行団体は、地域の子育て支援の拠点としての機能が期待される学童に外国ルーツの子どもがつながっている状況を踏まえ、地域内のニーズの現状把握のために行政との連携を試みたことで、団体の取り組みが行政にも周知されるだけでなく、外国ルーツの子どもの包摂が地域で子どもを育てるという市の方針ともつながり、次年度の連携の可能性が広がっている。③中間支援としては、参加団体の活動の可視化やつながりを意識した伴走支援により、講演、イベント開催などの形で他機関を巻き込んだ活動ができたことで、当該参加団体が活動する地域で海外ルーツ青少年の支援について考える機会が提供できた。また、支援の多文化化を意識した他の休眠預金事業の団体との協力関係をもとに、地域の支援拠点に外国ルーツ青少年のアクセス可能性も広がっている。
 非資金的支援の一環として、日本で暮らす、学ぶ外国ルーツ青少年が増える中、新規来日者の学校での適応に重点を置いた「初期適応」によりそもそも対象としてみなされない、地域の支援の担い手が狭まってしまうなど支援にアクセスできない外国ルーツ青少年を生み出さないために、多様な切口で外国ルーツ青少年が置かれやすい「初期段階」をとらえ支援の在り方の検討を重ねてきた。前述したように、議論を踏まえて事業の成果発信として開催した公開シンポジウムでは、「外国ルーツ青少年が日本で安心して学び、生活するための初期段階支援について」の理解についても、参加者の94%(「とても深まった」34%、「深まった」60%)が肯定的な評価をした。また、事後アンケートでは、これまでの支援の在り方についての気づき、課題認識がNGO/NPO、研究者にかぎらず、自治体、学校関係者、企業、一般市民からも寄せられ、社会課題の改善に向けた支援の在り方に対してインパクトを与えることができた。また、当該実行団体のニーズを踏まえて、事業の一環として実施した調査及び提言を地域社会に発信できる機会をシンポジウムの登壇の形で提供し、調査員を務めた外国ルーツ青少年らが直接県知事をはじめ、県教委(県立学校課、小中学校課)、国際課に提言書を提出する機会へとつながった。

事業終了時の課題を取り巻く環境や対象者の変化と次の活動

課題を取り巻く変化

コロナ禍の収束化とともに入国制限が緩和されたことにより就労目的、勉学目的、親による呼び寄せといった形で新規入国者が増えていく。一方で、日本語教師をはじめとする日本語教育にかかわる法制度の整備、地域における多文化コーディネーターの育成・配置の拡大、就労目的の外国人のルートの拡大といった国の政策の動きも見られている。しかし、地域においては、在留外国人への情報提供や就労・生活環境の整備だけでなく、学ぶ機会を保障すべき対象である外国ルーツ青少年の就学や日本語・学習の支援のための体制の整備、支援者の確保、拡充は進んでいない状況がある。

本事業を行なっている中で生じた実行団体や受益者のもっとも重要な変化だと感じた点

外国ルーツ青少年に対する支援が主な活動となるため、その介入による日本語や学力、進路の具体化といった変化が成果として測れることになるが、今回の事業においては、「学びの保障」という観点から地域の課題、ニーズを明らかにする調査を外国ルーツ青少年が担うという取り組みが行われ、主体となった当事者の変化、課題に取り組むための視点が広がった団体の変化は重要な示唆を与えるものであった。量的調査の設計、調査票の配布、結果の集計、当事者に対するインタビュー、データの考察とそれに基づく報告書の執筆、公開シンポジウムにおける報告といった一連の作業を担った13名の外国ルーツ青少年は、調査課程における想定外の出来事などで負荷を感じ、それが勉強会やMTGへの参加率の低下とつながった時期もあったが、着実にタスクを遂行し、報告書及び提言書を仕上げ、県知事に提言書を直接提出することができ、大きな達成感が得られる貴重な経験をした。それらの経験は自分自身を振り返る機会となっただけでなく、他人への配慮、環境を変えたいとの意識へつながり、若いCLD青少年のロールモデルとなりつつある。また、団体としては、事業を通じて、「学ぶ」と「働く」の連続性への気づきと、「働く」場すなわち職場・経済界との課題の共有により課題の改善・解決に向けた次のステップを明確にすることができ、ステークホルダーとの連携を意識した組織としての体制を検討、整備する機会としても機能したと考える。

外部との連携実績

1活動住友商事(株)社員参加型の社会貢献活動プログラム「100SEED」との連携
実施内容2019年度の外国ルーツ青少年未来創造事業(SYDRIS)に引き続き、住友商事(株)の社員参加型の社会貢献活動プログラム「100SEED」との連携を通して、外国ルーツ青少年に対する学習支援や、実行団体の組織運営に関わるプロボノ支援を提供した。
結果・成果・影響等住友商事社員20名が、3つの団体に対してオンライン・オフラインによる学習支援を実施した。団体に対するヒアリングからは全団体が支援に満足すると回答するとともに、オンライン・オフラインの教室の安定的な運営につながっているだけでなく、支援記録の改善、支援者間のノウハウの共有、新たな指導法の検証といった支援手法の改善にもつながっている支援の質の向上につながっていることと評価した。また、高校入試模擬面接支援を2つの団体に対して行い、累計30人近くが参加し、緊張感のもって本場のように面接に挑むことができたと外国ルーツ青少年からの感想が得られた。また、組織基盤強化支援では、2つの団体に対して10名のプロボノが参画し、団体ホームページのリニューアル、資金調達のための法人向けの営業資料の作成、事務関連サポートを行い、支援を受けた団体からは文字だけでない視覚化の重要生など活動や団体の見せ方において気づきが多かったと評価した。

広報実績

メディア掲載(TV・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等)なし
広報制作物等なし
報告書等あり
内容

公開シンポジウムの開催報告:https://jcie.or.jp/report/global-issues/20240315.html
公開シンポジウムのアーカイブ動画:https://www.youtube.com/watch?v=s_WTUURbTt4

ガバナンス・コンプライアンス実績

規程類の整備状況

事業期間に整備が求められている規程類の整備は完了しましたか完了
整備が完了した規程類を自団体のwebサイト上で広く一般公開していますか全て公開
変更があった規程類に関して報告しましたか変更はなかった

ガバナンス・コンプライアンス体制

社員総会、評議会、株主総会、理事会、取締役会などは定款の定める通りに開催されていますかはい
内部通報制度は整備されていますかはい
内容

内部に窓口を設置

利益相反防止のための自己申告を定期的に行っていますかはい
コンプライアンス委員会またはコンプライアンス責任者を設置していましたかはい
ガバナンス・コンプライアンスの整備や強化施策を検討・実施しましたかはい
報告年度の会計監査はどのように実施しましたか(実施予定の場合含む)外部監査
内容

実施済み

事業完了した実行団体へ事業完了時監査を行いましたか実施済み
内容

JCIEでは実行団体の監査を行うに当たり、本分野に詳しい大学教員、財団関係者、企業関係者、計3名に書類および面談による監査を依頼した。その結果、監査上問題になるケースは報告されなかった。また監査報告では、増加する外国ルーツ青少年の数と、外国ルーツ青少年の多様な支援ニーズに沿った試みの重要性について高い評価がなされた。

本事業に対して、国や地方公共団体からの補助金・助成金等を申請、または受領していますかいいえ

その他

本助成を通じて組織として強化された事項や新たに認識した課題、今後の対応/あればよいと思う支援や改善を求めたい事項など

・外国ルーツ青少年に対する支援としては「教育」の視点が何より重要であることはいうまでもないが、その教育が「学校」という教育システムに「適応する」ことに傾斜しがちであることで、言語、文化、国籍など多様な要因が時には「障壁」として現れやすい外国ルーツ青少年にとっては、不安要素になりやすい側面があることを、本事業を通じて改めて認識することができた。外国ルーツ青少年が「自分らしく、安心していられる居場所」、「信頼できる関係性」、「安心できる日本での生活」とは何かを問いながら、外国ルーツ青少年の「適応」ではなく「ウェルビーイング」を意識した支援を形作っていくことが必要と考える。
・一方で、公開シンポジウムの事後アンケートからは、外国ルーツ青少年への「初期段階支援」を適切に実施するために中心的なかかわる必要があるアクター(3つまで回答)として、国(62%)が最も多く、次に教育委員会(57%)、学校(小中校、52%)、基礎自治体(49%)、市民公益活動団体(46%)の順で、行政、教育委員会、自治体といった制度・政策・方針の策定・整備、人材の確保といった仕組みの構築が必要との意見が多かった。外国ルーツ青少年分野におけるアドボカシー活動の重要性がうかがえる結果であり、今後の事業設計、活動においても重要な視点であると考える。
・今回の事業では、環境変化に対応するものとして、2019年度通常枠にて採択された事業の拡充、又はそれを発展させた新規事業の採択が複数あった。休眠事業に採択されたことにより組織として体制を整備し、地域にインパクトを与えられる事業を構想することができたり、これまで点として取り組んだ活動を線、面へと拡充し地域へのインパクトを与える活動として評価され、国際交流基金の地球市民賞を受賞したりと、継続的支援が生み出せる成長・変化が見られたため、確実に課題の改善にてインパクトを与えられる存在を発掘、育てる(支援する)プロセスを助成期間で区切らないための仕組みも必要と考える。

シンボルマークの活用状況

各団体のホームページ、SNS(Facebook等)
公開シンポジウムの案内等